刃牙道 第37話 空手



本部を差し置いて独歩が武蔵とまみえた。
また守れなかった……と本部が嘆く未来が見える。
それは置いておいて、独歩と言えばもっとも古い実力者だ。
最新にして最古の実力者、武蔵とかち合わせるにはピッタリか。
(正確にはピクルの方が古いのだが)
2番目は本部な。なお、実力者のメッキは即剥がれた模様。


「ふむ…」「この人なら―――」
「食事(めし)の以前(まえ)に立ち合っても構わんが…?」


独歩を値踏みする武蔵であった。
独歩を武蔵にとって最大級の娯楽(と思われる)食事をよりも優先すべき強者と見たのか、
あるいは食事前に軽くこなせる程度の相手と見たのか。
解釈が分かれるところであったが、みっちゃんの解釈は後者、朝飯前だった。
独歩でさえ朝飯前にしてしまう武蔵の恐ろしさか。

侮辱とも捉えかねない武蔵の態度を軽く流す独歩であった。
さすがの百戦錬磨。並大抵の煽りには動じない。
刃牙とは一味違いますよ。多分……

そんなわけで武蔵との立ち合いが内定した。
独歩は武蔵を恋い焦がれていた相手と言う。
ピクルの時といい、強者に向けられる感情に恋愛感情に似ているようだ。
ピクルも武蔵もモテモテだ。
刃牙もモテモテだったが、アクビで相手を断ち切ってきたので印象が最悪ですね。

「抑えられた」
「この部屋に入ってからここに座すまで」「三度仕掛けてみた」
「抜きしな頭を抑えられた三度とも」

※初動のこと

既に武蔵は得意の幻影刀で斬りかかっていた。
8回斬られた佐部、3回中2回は斬られた刃牙……
それに対し独歩は3回とも初動を抑えた。
さすがは常在戦場の武神である。
目玉をくり抜かれても心臓を止められても顔を爆破されても戦うのを止めなかった男だ。
その実戦性は武蔵に勝るとも劣らずか。

また、オーバーアクションでかわした刃牙とは異なり、独歩は微動だにしていない。
無駄な動きがないということであり、最強格になった刃牙にもまだ甘さがあることが伺える。
そして、かつての強敵、佐部を怒濤の勢いで置いていった。
あの人は武蔵に壮絶に噛まれるためだけに出てきたと思うと不憫だ。

武蔵の幻影刀を全て防いだ。
だが、それでも朝飯前には変わりなく、みっちゃんの飯への誘いを断り飯なしで決行だ。
しかし、試合前に飯を食わせようとするな。吐くぞ。
あと現代の味覚に驚くぞ。肉をどう思うのか、ちょっと気になる。

2人は徳川邸の道場に場所を移す。
道場という格闘漫画にはあって当たり前のスポットだが、徳川邸の道場は作中初登場だったりする。
徳川邸で戦うことはあっても道場が使われたことはない。
花田の時も庭で戦いやがった。
そういえば、花田はどうしているのだろうか。
師匠がやられたら弟子の出番だし準備しておいた方がいい。

さて、試合の前に独歩の紹介ということで演舞が行われる。
久し振りに出てきた加納秀明によってコンクリートブロックとビール瓶、角材が用意された。
空手と言ったら試し割りだ。
戦国時代にはなかった文化なのか、武蔵はぴんとこないようだ。
でも、試し斬りはありましたな。……やるのは人間相手だったりだけど。

と、加納秀明が出てきている。
防御が上手い人だ。
今更個性にも何にもならない能力の持ち主だ。

この人、刃牙と戦ったことを覚えている人は多いと思うけど、ドリアンに瞬殺されたことを知る人は少ないと思う。
ドリアンが徳川邸を襲った時に背景でやられていたのだ。
(余談ながらその巻の登場人物紹介で地味に加納秀明は紹介されている)
こういう脇役を忘れないのが板垣先生である。
だから、本部も忘れない。アイアン・マイケルも忘れない。

こうして独歩の演舞が始まる。
まず、3枚に重ねたコンクリートブロックを手を当てたまま押し込み破壊するのだった。
寸勁の類だろうか。
ゼロ距離からの打撃は以前も見せている。(範馬刃牙第103話
武神らしい懐の深い技術だ。

次にビール瓶を割っていく。THE・空手な試し割りだ。
2つめまでは手刀で斬っていき、3つめは裏拳で中央からくり抜く。
かつて克巳が見せた試し割りと同じものだ。
克巳にできるなら独歩にもできる。逆に言えばあれは独歩レベルのものなのだ。

最後に加納秀明が持った角材を跳び蹴りで斬る。
テグス不要の鋭さによって真っ二つに切れるのだった。
でも、これは刃牙も同じようなことをやっている。
しかも、難易度がさらに高いだろう竹に対して敢行した。
その時の武蔵の反応は散々だった。
あっ(察し)

「ぶっ」
「武と云うよりは舞」「舞踊だな」
「しかし何故石や木を………?」


武蔵は現代格闘技を再びダメ出しした!
武ではなく舞。同じ読み方ながら意味合いは異なる。
ま、まぁ、演舞ですからな。
アンタも竹で素振りしていたのでこれくらい理解してあげてもいいのに。

「なんだァ?てめェ……」

不躾な武蔵に一瞬でキレる独歩であった。
青竹をささらにするエピソードは刃牙が知っていたのだから独歩も当然知っているだろう。
そんな男に試し割りを問われるとなると、さすがにイラッと来るだろう。
武蔵の真意は如何なるものか。
独歩の怒りが向けられるのか。
本部は今何をしているのか。
次回へ続く。


独歩が武蔵にその実力を披露した。
独歩はクラシックな技術を体得した格闘家だけに水域が近いかと思いきやダメ出しされた。
試し割りへのダメ出しは勇次郎が思い出される。
試し割りで得られるものは無意味だと武蔵も捉えているのか?
意外と勇次郎並みの毒舌なのだろうか。

武蔵ももうちょっと現代格闘技を褒めてもいいのに。
勇次郎はダメ出しするけど褒めることもある。
こうしてダメ出しするのも敵を作って試合をするためか?
武蔵と言えば狡猾というイメージも強いため、戦略レベルで戦いを仕掛けているかもしれない。

しかし、これはチャンスですよ。
何がチャンスって本部さんですよ。
本部は試し割りなんてしていない。
知る人ぞ知る実戦の王だから、試し割りなどしないのだ。
だから、武蔵に叩かれることもない!
……まぁ、試し割りしなければ守護れるものでもありませんが。

こうして現代格闘技が武蔵にダメ出しされていくのだろうか。
そりゃ本部が守護らなければならんな。
でも、勇次郎までも守護るべき対象なのが謎だ。
守護らねばならぬの真意はどこにあるのか。
ただの勘違いというオチか。ありそうだな!

もしかして、本部の役割とは武蔵のダメ出しに理路整然と反論することかもしれない。
技術でも筋力でも敵わない。剣術なんて天と地の差だ。
だが! 口なら負けない!
本部の知識量を以てすれば武蔵と互角に渡り合うのも夢ではない。
本部が守護らねばならぬと滾っていた理由がわかってきた気がした……
要するに解説役しろということである。




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