範馬刃牙 第166話 完全憑依



ピクルの本気、ピクルタックルの構えだ!
小細工では破ることの出来ない究極の力業だ。
その破壊力は間違いなく刃牙をぺしゃんこにする!
一度くらいなってみてはどうか。
はみ出た脳からSAGAと梢江の想い出を抜き出して、再び元に戻せば昔の刃牙に戻れるかもしれない。


ピクルタックルの構えに徳川光成は驚愕する。
そして、烈は自分との試合を一瞬で終わらせた技だと述懐する。
克巳の時も同じことを言った。
ピクルタックルによって磨き上げた中国武術を打ち砕かれた烈にとっては、記憶の奥底に刷り込まれていることだろう。
ここで克巳やジャックに聞けばあれはすごいけど俺は破ったよと身の蓋もない返答をしそうだ。
烈は解説役として本当に素晴らしいお方!

そんなピクルタックルだが今までで3回使用した中で完全に決まったのは烈に放った1回だけだ
克巳に放ったものはファイナルマッハ突きによって跳ね返され、ジャックには謎の技術によって逸らされた。
一撃必殺のはずが実に66%の確率で破られている。
超強力な攻撃であることは疑いようもないが、その成功率には疑問符を掲げざるを得ないのだ。

鞭打のノリで横を向いていた刃牙はやる気無さげにピクルの方を振り返る。
何だよ、その目は。やる気、出せよ。
これだから範馬刃牙は…と、また小言を言われたいのだろうか。

ピクルタックルはピクルが相対する相手が、本気を出すに値する実力の持ち主だとわかった時に繰り出している。
ピクルにとって、ピクルタックルを使うということは相手を一流と認めた証拠でもあるのだ。
でも、何か今回は刃牙の実力を認めたというよりも、嫌らしい手ばっかり使われてムカついたからピクルタックルの構えを取ったという感じだ。
実力を認めてもいないし本気を出すまでもないけど、面倒な奴が相手だから本気を出してさっさと終わらせよう…
何かそんなニュアンスが込められていそうだ。
過去、3人の戦士に向けたピクルタックルと刃牙に向けたピクルタックルはその意味合いがまるで異なっていそうである
かなり悪い意味でな!

ピクルタックルを前には鞭打は意味を為さない…花山はそう推測する。
例えピクルタックルに鞭打を打ち込んでも、ピクルはそのまま刃牙に突っ込むだろう。
そうすれば一瞬で勝負ありだ。
カスりパンチや鞭打などのインチキ臭い手で誤魔化されたが両者の肉体の差は歴然としているのだ
小細工は通じないぞ、刃牙。

烈は刃牙も鞭打は通じないことは認識しているだろうと答える。
刃牙には何かの策があるという期待が含まれていそうな答えでもある。
これが刃牙ツン(花山)と刃牙デレ(烈)の差であろうか。
ええい、刃牙にはデレるな!克巳にデレろ!

さて、ピクルタックルの恐ろしさは炸裂する場面を2度も見てきた刃牙だって知っていることだろう。
正確には破られた場面しか見ていないわけだが、その破壊力は一流の刃牙なら十分に推測できるに違いない。
あの技って破られてしかいないから大したことないでしょとか言い出したら殴る。
特に烈は驚愕の足技で叩きのめしてもまったくもって許される。

そのピクルタックルに刃牙はいかに対抗するのか。
刃牙はゆらりゆらりと四肢を動かす。
再び鞭打なのか?まだやる気なのか?通用するのか?と信頼感ゼロの視線を徳川光成は向ける。
だが、武術の達人、烈海王は刃牙の取ろうとしている構えが鞭打でないことを見切っていた。
素晴らしい解説眼だ。確実に本部の領域に近づきつつある。
近づいて嬉しいのかどうかはわかりません。

そして、刃牙が構えを力強く取る。
背景には虎!
…いや、何の構えだよ、それ。

「虎形拳ッッ」

ここで解説担当の烈が即座に反応した!
非常に頼りになる。頼りになりすぎて本部って感じだよ。
烈海王じゃなくて烈本部に改名したのか?

烈は反応するだけじゃなく虎形拳の何たるかについて語る。
虎の形と虎の勢いを取り入れた拳法のようだ。
リアクションで驚かせるだけではなく、アフターフォローまでしっかりしている。
刃牙は烈に感謝しておくといいだろう。
烈がいなければ多くの行動が不可解なものになっているところだ

「不可解ッッ 何故ここにきて中国拳法を………ッッ」

どうしてそういうこと言うのぉ!
いや、アンタがそれを言っちゃダメだよ、烈ッッ。
ここにきて中国拳法とか中国拳法家のお前は死んでも言っちゃいけないぞ!
暗に中国武術がピクルに通じないと認めちゃったじゃないか。
実際に通用しなかったのは確かだけど、それは自分の未熟さが原因という考えに至って欲しい。
他の格闘技は3000年前に通過しているとか大口を叩いた烈は本当にどこへ行ったのだろうか。
「ここで虎形拳とはよく勉強をしているな」と昔なら言っていたはずなのに…

突然、目の前の獲物が虎と化したのでピクルは呆然とする。
いや、呆然としちゃダメだろッッッ。
そりゃあ、いきなり虎になれば驚くけど、中身は人間だから!

もしかして、過度に発達した妄想力で虎のリアルシャドーをピクルに見せているのだろうか。
純粋なる野生であるピクルは、その妄想に惑わされても文句は言えなかろう。だとしたら呆然として当然だ。
…マヒ攻撃(カスりパンチ)、毒攻撃(鞭打)の次は混乱攻撃(虎形拳)か…
さっきから刃牙は状態異常攻撃ばっかりしている。典型的なめんどくさい敵だな。

「鷹爪拳ッッ」
「蟷螂拳ッッ」
「猿拳ッッ」
「熊掌拳ッッ」


刃牙は虎だけではなく、鷹、カマキリ、猿、熊の姿も真似てみせる。
そして、すかさず烈が反応している
刃牙の行動は理解不能だが、烈がうまく補佐することで足りない分を補っている。
いや、それでも理解不能だけど。
そして、蟷螂拳と聞いて不吉なモノを思い出すのがバキファンの嗜みである。

(動物の形を取り入れる象形拳
 これ程完璧に憑依できる天才性は見事と言う他ないが―――)



動物の動きを見事に模倣してのける刃牙に対し、烈は天才の評価を与えた。
何か天才の水準が下がった気がするな…

というか、これって憑依なのか?
憑依は相手に乗り移ることだ。
刃牙が憑依の達人なら虎や鷹などに乗り移らなければいけないはずだ
どうみても乗り移られています。どちらかと言えば憑依体質だ。
あるいは刃牙は霊媒師ということだろうか。
もしも、動物の霊を自らの身体に乗り移らせていたとしても、刃牙は妖術師なのでまったく驚きません

(君は忘れてはいないか!!? 今演じた動物達は全て――――)
(ピクルにとっては――― 明らかに捕食の対象ッッ)


だが、刃牙の行為の問題性については烈は指摘する。
動物たちが捕食の対象だからって別に通用しないことにはならないが、つまりはそういうことなのだ。
刃牙が憑依した(語弊あり)動物たちは食われるからピクルには通じないのだ!
理屈じゃないッッ。勢いで納得しろッッッ。
というか、いくらピクルでもカマキリは食わないよ。いや、蜂は食べていたからカマキリも食べるか…?

虎、鷹、カマキリ、猿、熊ではピクルには勝てない。
理屈は置いておいて、こいつらでは勝てないのだ。
例えば、刃牙がムエタイをしてもピクルには勝てない。同じようなニュアンスなのだろう。
別にピクルに勝てる動物を真似ても勝てないと思うけど。
真似て勝てるなら勇次郎を真似るのはどうだ。少なくとも顔芸だけなら完璧だ!

ともあれ、一同は刃牙の一挙動一挙動に注目する。
ピクルだってヒーローの変身を待つ悪役のようにじっくりと見守っている
YOU!ピクルタックルしちゃいなYO!
刃牙の動きにいちいち構っているからいけないんですよ。そして、それに呑まれたから幾度も酷い目に遭った。
刃牙のペースを断ち切るためのピクルタックルのはずが、再び刃牙のペースに呑み込まれてしまっている

刃牙は5種の動物を真似た後、新しい動物の形を取る。
5種の動物を真似る意味があったのかは謎だが、そのおかげでピクルを呆然とさせることが出来た。
陽動としては十分以上の効果があったのだ。
主人公としてどうかと思うが。

(ウム……)(これも動物だな…)
(しかも…… 力強い………相当に…ッッ)
(でかいな……)
(相当に…… 大きい……)


刃牙の一挙動一挙動に対し実況を行う烈であった。
本当に良くできた人だ…観察力とリアクションに優れている。
しかし、力強さはともかく大きさまでわかるものなのか?
何か見えてはいけないものが見えている気がしてならない。
そして、刃牙には見えてはいけないものを見せることが出来るのだった。

(……?? この形は!!?)
(これは―――象……!? 犀(さい)……!?)


象かサイなのかまでわかるのかよ!?
もう虎形拳の時点でどこが虎なのかがさっぱりわからないというのに…
これがリアルシャドーの力なのか?
烈さん…もう刃牙を見ない方がいい…TVを至近距離から見るようなものですよ。目を悪くする。

もういっそのことアイアン・マイケルに憑依してもらえばどうだろうか
一目見るだけで伝わってくるダメさ加減に、ピクルの闘争心は一気に萎える。
そうするとピクルタックルの構えを解く。
チャンスだ!
うっかり、アイアン・マイケルの憑依を解かずに殴りかかって、ジャガられるといいだろう。

(〜〜〜〜ッッ)「……………………ウッソ……」

やがて、烈はやたらと初々しい驚き方をする
…烈…お前、いつの間にこんな人間に…
いや、まぁ、刃牙が伝説上の怪物にでも変貌すればこんな風に驚いてもしょうがない。
例えば、ヌエ拳とかクラーケン拳とかフェニックス拳とか、そんなファンタジー象形拳を炸裂させるのだ。
刃牙はファンタジーの具現化に成功しているし、きっと出来る!

(ト……………………ッッ トリケラトプス…………
 ――――――――拳ンン!!?)


深く沈めた腰に突き出した両腕…その姿はまさにトリケラトプスだ!
あるあ…ねーよ!
どこがトリケラトプスなのか、本気で理解できないが刃牙はトリケラトプスになった。
両腕がトリケラトプスの2つの角なのか?
そうは見えません。

刃牙=トリケラトプス…まさかの変化だ。
さすが、妖術師である。
森羅万象、ありとあらゆるものに姿を変えることが出来るぜ。
花山のようにトリケラトプス並みの力を感じさせたのではなく、構えだけでトリケラトプスの姿を連想させた!
マジ詐欺くせえ!

しかし、トリケラトプスになっても問題は解決しない
虎や鷹などがピクルに捕食される存在のように(実際には捕食することは稀だが)、トリケラトプスだって既に捕食済みだ!
そもそも、トリケラトプスもピクルタックルで打ち砕いていることがモノローグで語られている(第100話)。
例えトリケラ拳を使ってもピクルに勝てないことは確定的に明らか。
トリケラトプスは既に2億年前に捕食しているッッッとピクルは喋れないけど豪語することだろう。

さて、既に通過した恐竜を出されたピクルは…
冷や汗をだらだらに流してピクルタックルの構えを解除していた。
いや…まったくトリケラトプスに見えないけどトリケラトプスですよ?
もう既に捕食したんです。烈の理論だと敵にはならないんです。
恐れる必要がまったくないというのにピクルには大きな動揺が生まれている。
いや、目の前の獲物がいきなりトリケラトプスになればそりゃあビビる。ビビるけど、ハッタリだと気付いてください。
もう何が何だかわからなくなったところで、次回へ続く。


新たなる象形拳、トリケラ拳でトリケラトプスになった刃牙であった。
ピクルタックルに対抗するには、突進が得意なトリケラトプスになればいい。
恐竜に勝てないのなら恐竜になってしまえばいいのだ。
残念ながら恐竜になってません。構えを模倣しただけです。構えすらトリケラトプスになってませんが。

刃牙はトリケラ拳でピクルにどう対抗するのだろうか。
力と力、ピクルタックルにはトリケラ拳の突進で勝負か?
構えはトリケラトプスになっても(繰り返すが構えですらトリケラトプスになってない)刃牙自身の質量や速度は変わらない
ぶつかり合っても一体の生ゴミが出来上がるまでだ。
それでは話にならない。みんな、リアルシャドーに誤魔化されていますよ。

トリケラ拳でトリケラトプスになっても刃牙の肉体的な不利は変わらない。
そもそも、ピクルはトリケラトプスを捕食済みらしい。
ティラノサウルス食ったんだからトリケラトプスだって食っていて当然だろう。
つまり、トリケラトプスそのものになれても刃牙に勝算はないのだ。

しかし、例え実績があったとしても、ピクルのメンタルを揺るがしたのは大きい。
動揺や混乱でメンタルが乱れていれば、本来100の力を出せるはずが20くらいしか出せないのかもしれない。
トリケラトプスになったのはピクルタックルに対抗するためではない。
トリケラトプスになることでピクルを混乱させ、ピクルタックルの威力を減退させるためなのだろうか。
脅威のピクルタックルと言えど、その威力を落とさせれば刃牙にだって対抗することが出来るだろう。
ピクルタックルをした瞬間、トリケラ拳を解いて普通にカウンターをする!
やり口としては非常にセコい。

刃牙のここまでの行動を好意的に解釈すると、カスりパンチ・鞭打・象形拳と全てが格闘技の技術を用いている
トリケラ拳はどうなんだというツッコミは置いておいて、刃牙は格闘技者としてピクルと真っ向勝負しているのだ
いや、恐ろしく回り道しながら戦っているけど。
刃牙はピクルの現代格闘技の真髄を叩き込んでいる。同時にピクルの原始の力を見事に発揮させていない。
ハメっぽい。汚ェ…

現代と古代の融合技、トリケラ拳はピクルにどんな傷を刻むのであろうか。
普通に突進しても勝ち目はゼロだ。
突き出した両腕をトリケラトプス最大の武器、2本の角に見立て突き立ててみるか?
イメージ上では角でも現実は腕なので意味がありません。
イメージ上では多重関節になれる人間がいるので、こういうツッコミは野暮かもしれませんが。

しかし、前述した通り、トリケラ拳はピクルを混乱させるためだけのフェイクかもしれない。
ならば、真の創作象形拳はここから始まる。
ウム…やはり現代の動物だな…恐竜なんて真似られないし…
しかも…愛らしい…相当に…ッッ。
あまりでかくないな…相当に…大きくない…
………??この形は!!?
これは――ナマケモノ…!?カモノハシ…!?
〜〜〜〜ッッ。…ウッソ…
カ…カンガルー…――拳ンン!!?

こうして、刃牙はカンガルーになりきってぴょんと飛ぶ。ピクルタックルは見事に空振る。
俺はピクルタックルを破ったァ!と叫んでも許す。
ごめん、やっぱり許さない。

それにしても刃牙VSピクルは予想もまったく出来ない展開が続いている。
何もかもが斜め上の展開だ。
あまりにも斜め上すぎて段々わけがわからなくなってきた。
理解してもしょうがないんだろうな、これ。
理解のための導体に烈がなっているんだけど、いっそのこと絶縁体になってみてもいいかもしれない
放置されれば刃牙だって真面目にやってくれるはずさ…



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