範馬刃牙 第169話 スタート



迷いを振り切ってついにピクルが踏み込んだ!
もう迷ったり立ち止まったりなんかしない。
目の前にある道を走り抜けるだけだ!
なお、この漫画のタイトルは「ピクル」ではなく「範馬刃牙」です。
刃牙は扉絵で瞳全てが黒目という妖術師のような顔つきを見せていた。
お前それで良いのか?


さて、本編に入る前に短距離走のフォームが語られる。
かつては古いフォーム…スタンディングスタートが行われていた。
戦前のオリンピックではこのフォームを実行する選手もいたらしい。
が、最終的にはスターターと呼ばれる器具の登場により、
――作中ではスターターと表記されているが、正式名称はスターティングブロックである。略称も「スターター」ではなく「スタブロ」――
クラウチングスタートに統一されることになる。
人間が短距離を走る上でもっとも効率の良いスタート方法がクラウチングスタートと言える。
そして、短距離走のスタートの歴史はどこまで水平に近づけるかの歴史なのだ!
ええ?そうなの?

メカニズムがよくわからないので、こちらのページを参考に考えてみる。
地面からの反発力は通常上方向に向いてしまう。前に進む競技では上への力は実質不要なので、無駄な力となってしまう。
だが、その方向を横向きに出来れば有効活用できることとなり、より速いタイムで走ることができる。
そんなわけで反発力を横向きにするスターティングブロック+クラウチングスタートが有効となる。
スタートを水平に近づける歴史というのはあながち間違っていないようだ。

ただ、水平に近づけたままでの走りは長続きしない。
様々な理由があるが持久力がないのだ。
水平に近づけた走りは短距離専用といえる。
加えて水平に近づけるほど持久力がなくなるとも言えよう。

[本日―――――― 遂に―――――― 人類初の――――――
 水平のスタートを実行した者が出現(でた)…!]


そんな短距離走の歴史の先を行くように、ピクルは柵をスタブロ代わりにすることで完全な水平のスタートを実現した
人類初だ。ピクルも人類と認められた。
刃牙よりは圧倒的に人類だし、人類として迎え入れよう。
あと立花兄弟が水平スタートを中学生の時点で実現していたのは忘れておこう。

ピクルは水平のスタートを行った。反発力の全てを横に向けることが出来る。
だが、持久力は間違いなくゼロだ。
後先考えずに一瞬で燃え尽きる古代の炎の走りである。
柵、脆くね?足場として不十分じゃね?と思ってしまうが、頑丈さには定評のあるかもしれない柵だ。
足場としては十分!白亜紀闘法の時は使い捨てだけど足場になったから無問題!
地下闘技場で壊れる機材の代表格が柵であることは忘れろ。

[対戦者範馬刃牙との―――― 接触までの時間1秒以下………………]
[中国武術師範烈海王氏 この時の様子を後にこう語っている]
[“感じた”……と]

「言葉で説明すると長くなるが…… あの一瞬に多くを感じたのです」


ここでバキ世界の解説の最高峰、後日談系解説に烈が登場した。
しかも、サングラス着用だ!
に、似合わねえ…無駄におめかししすぎですよ。
そもそも、トップシークレットであるはずのピクルの戦いを誰がインタビューしたんだ
整合性(バキ世界ではまったく意味を為さない言葉である)を無視してまで解説に命を賭ける男、烈海王であった。
本部の立つ瀬がまるでない。

まず、烈はなるほどと関心した。
これと同じように樹木や岩石を足場にすることで、ピクルは自分よりはるかに重い恐竜たちを受け止められたのだと。
野生ならではの技術であった。
正面からやっても勝てないなら、正面からやっても勝てる踏み込みを行う。
…技術はあるかもしれないけど、知恵はないな。

「―――と同時に感じたのは 刃牙さんのことです」
「刃牙さんの体重は70キロそこそこ 100キロを超える私が―――――」
「一瞬も踏みとどまれなかった あの体当たりをどうやって……………」
「しかも条件は―――――― 地面からスタートした私のときより遥かに厳しい」
「“この試合” “ここで決着を見る” ………と」


さて、9ページ目(扉絵除く)にしてやっと思い出された刃牙であった。
体重の問題でもないと思うが、刃牙は烈よりも軽い。
そして、今回はピクルタックルを超えるスカイラブピクルタックルだ。
白亜紀闘法である。
刃牙信者の烈ですら諦めが鬼なった。

白亜紀闘法にはジャックも敗れ去っている。
刃牙はどう対抗するのだろうか。
ええい、敗れ去れ。
今なら1週敗北しても許す。

さて、ここで烈はどうして1秒にも満たない時間でそこまで考えられたのかを問われる。
たしかに突っ込みすぎだ。お前はキャプテン翼の実況かよ。
だが、解説海王が烈海王だ。解説王、本部を超える勢いの烈ならば、この疑問に対しても素晴らしい返答をくれるはず!

「譬(たと)えるなら―――――」
「極上のカレーライスをあなたが―― 一口だけ食べたとする」
「辛い――――― しょっぱい―― 甘い―――――― 少し酸っぱい
 香り―――― コク―――― 具材の食感 ゆきわたる米 スパイス――」
「ていねいに語るなら10分も掛かるでしょう」
「しかしそれらは――」
「全て一瞬での感覚です ――――――と言えば理解(わか)るでしょうか」


テメェ、インド料理で語るなぁ!
アンタ、中国人じゃないか。
しかも、カレーライスかよ。カレーはインド料理(正確にはそう呼ぶにはやや語弊がある)だがカレーライスは日本食だ。
中国人なら中国人らしく、極上のラーメンを食べたように麺・スープ・具それぞれの味が…いや、ラーメンも日本食か。

自国の料理を引き合いに出して欲しかったが、
様々な素材を使われなおかつ日本人にとっては国民的料理なカレーライスは引き合いに出すのに最適の素材だ。
おそらくはインタビューをした人間は日本人なのだろう。
解説の理解のためにあえてカレーライスを選んだのか…
解説海王、烈海王らしい気配りであった。
カレーライスでも理解には至らないんですけどね。

カレーライスは置いておこう。
相変わらずバキに出てくる料理は美味しそうなので、カレーが食べたくなったが置いておこう。
料理は美味しそうなのに何で女性キャラはああも可愛くないんだろう。
梢江とか可愛くなさすぎて料理までまずそうだったのに。
毒に冒された刃牙は梢江の料理を食べなくて良かったと思う。
あのスープ、間違いなくアオダイショウとか入ってるよ。
…梢江も置いておこう。

さて、気になるかもしれない現実の刃牙の動向だ。
刃牙はトリケラトプス拳で突っ込むかと思いきや、なんと構えを解いて足を止めていた
結局、トリケラトプス拳はフェイクじゃねーか!
フェイクだと思った恐竜象形拳は実はフェイクじゃなく、だけど実はフェイクだったという…
詐欺に相次ぐ詐欺だ。もう何が真実なのやら。
もしかしたら、闘技場に立っている刃牙も実は人間ではなくリアルシャドーなのかもしれない
人生そのものが詐欺でしたオチ。

「ええ………まともに受ける形になりました」
「避ける間などあろうハズもありません」


立ち止まれば一撃必殺のピクルタックルが決まる。
もっとも今のところ、命中率は1/3だ。33.3333...%…低いな。金的並みの破壊力だ。
でも、スカイラブピクルタックルだし、刃牙が食らうんだし、直撃してもらいたい。
読者の想いを乗せスカイラブピクルタックルが火を吹く!

「ところがです」
「飛んだのです…………ッッ ピクルがッッ いえ………“跳んだ”のではありません」
「文字通り宙に高く――遠く――」
「“飛翔(と)んだ”……のです」


はい、飛びました。スカされました。ジャックがやったように、刃牙もスカしました。
必殺、ピクルタックル逸らしだ。
ピクルは勢いよく観客席にぶつかる。
一撃必殺のピクルタックルの成功率はこれで1/4、25%にまで落ち込んだ。
まじんぎりよりも分の悪い攻撃だ。

さて、ピクルタックルを逸らした刃牙の動きは右腕一本軽く上げただけだった。
妖術ですか?
妖術ですよね。
だって、刃牙は妖術師ですから。

「投げ……? ……たのか?」

「………… わかりません……」


解説海王、烈ですら刃牙の行動は説明出来なかった。
チクショウ…ジャックの時はあんまり驚かなかったのに…
刃牙が破っただけでこれだよ。これが範馬濃度の差かよ。
刃牙はピクルタックルでくたばって当然という認識があっただけ、驚きが増しているのだろうか。

烈曰く蠅でも追い払うような動作…博識な烈を持ってして古流柔術にも合気道にもない型と言わしめた。
って、中国武術はどうしたよ
さっきから随分異文化ばかり引っぱってくる。
中華最高、中国武術最強!の烈は死んでしまったんだな、本当に…

そんなわけで刃牙のピクルタックル破りは出来ないから恐竜象形拳で時間を稼いだのではなかった。
やれるけどやらないだけだったのだ。
…ジャックは何をやっていたのか、正直わからないけどマックシングしていたし、ピクルタックルを破れた理由が何となくわかる。
ああ、破れてもしょうがないよと納得してしまう。
でも、刃牙は何もしていねえ。ただ立ち止まって右腕上げたらピクルタックルを破った…
チクショウ、何なんだよ、お前は。
この天才め。天才すぎて天災だ。

まぁ、右腕を上げただけでピクルタックルを破れる刃牙はすごい。
すごすぎてどうでもよく思えてしまうくらいにすごい。
うん、スゴイネー。エライネー。乙女の身でよく悶絶に耐えましたネー。
ご褒美としてチャンピオン引き裂きの刑を与えよう。
ゆっくりしね!!!

ピクルは即座に立ち上がる。
これほどの衝突をしておいてダメージは軽微らしい。
相変わらずの驚愕のタフネスだ。今はこのタフネスが頼もしい。
ピクルタックルを逸らしてもダメージにはならないのだ。
逃げもとい守りの風呂敷の多い刃牙だが、ピクルに決定的なダメージは未だ与えられていない。
勝ちの目が一向に見えてこない。そして、ピクルとしては歯がゆい状況が続いているのだろう。

さて、原理はともかくとしてピクルタックルを破った刃牙であった。
スゴイネー。エライネー。
だが、一人着眼点の違う男がいた。
喧嘩師、花山薫だ。

「スゲェな…………」「ピクルは」
「野郎………とんでもねェタマだぜ」

[花山氏が――――― ピクルを語り始めたのです―――――― 刃牙ではなく…ッッ]


花山は刃牙ではなくピクルに驚愕していた!
いや、烈さん。そんなに刃牙のことを語って欲しいのかよ。
恋は盲目だ。克巳のことも思い出してやれ。片腕だが男前だ。

刃牙がピクルタックルを破っただけに見えて、その実ピクルも機転を利かせていたのだろうか。
例えば、刃牙が新しい象形拳、松本梢江拳を行い、熱く溶けた泥の海をピクルに見せる
こいつはヤバいッッッ、とピクルは即座に方向を変え熱く溶けた泥の海に突っ込むのを中止し、観客席に突っ込む。
そうなるとピクルもすごい。恐るべし反射神経だ。すごい。

ともあれ、ピクルタックル失敗の謎は、刃牙だけでなくピクルも関与しているようだ。
ピクルはどんなファインプレイをしたのだろうか。
それが刃牙撃破に繋がる鍵になっていることを祈る。
闘技場の端から反対側の観客席にまで突っ込む身体能力はすごいというオチは勘弁してもらいたい。
あとダメージを受けていないとかそういうオチも勘弁な!
次回へ続く。
なお、来週は休みで再来週に2本立て+袋とじというここ数年のお約束の構成になる。
個人的には1週ずつやってもらった方がありがたいのですが…


ピクルタックル、余裕っす。
憎たらしいほどの刃牙の才能であった。
普通にズルい。何なんだ、この人は。
素晴らしい俺様の才能にかかればピクルタックルも物の数ではないらしい。

さて、ピクルタックルを刃牙はどうやって破ったのだろうか。
合気でも古流柔術でもないものらしい。範馬刃牙オリジナルであろうか。
先程書いた松本梢江拳か?
嫌がったピクルは方向を逸らす。観客席の激突のダメージと梢江とぶつかったダメージでは、前者の方が圧倒的に低い!

刃牙は見た感じ脱力している。
120%力属性のピクルタックルを右腕の動きだけで逸らすのは無理があるだろう。
技だけじゃさすがにそこまでは…
というわけで、きっと妖術を使ったに違いあるまい。
わしの妖術は108式まであるぞ。

実は今立っている刃牙は幻影なのだ。実態のない幻影を狙ったからには当然スカる。
こうして思いっきり空振って観客席に激突だ。
破ったのではない。破ったように見せていただけ。
それが刃牙の妖術の真髄である。

花山はピクルの実力を評価していた。
これがピクルタックル不発の根幹に関わっているのだろう。
刃牙がすごいのではなく、ピクルがすごい…
花山にそう思わせるだけの出来事が、刹那の交錯の間に起こったのだ。
繰り返すようだけど身体能力がすごいとかタフネスがすごいとかは勘弁な。

刃牙は防御のためじゃなく攻撃のために右腕をあげたのだろうか。
例えば目潰しとか。
それを察知したピクルは回避…
…回避のために頑張ったとしたら自爆で格好悪いな。

実は外れたかに見えたピクルタックルは命中していて、刃牙の内臓を八つ裂きにしたとか。
次回、冒頭で吐血する刃牙の姿が見られる!
身体のひとつやふたつ噛みちぎっておけばいいのに…

しかし、刃牙は本当に憎たらしい。
余裕綽々でピクルを弄びやがる。
だから、人気がないんだよ、お前はッッッ。
今、人気投票をやられやがれ。多分、恐ろしい結果が待っているぞ。

でも、見方を変えると今のピクルはライバルに翻弄される主人公という感じだ。
格上に挑むのが主人公の定石である。
そして、ピクルは今まで戦ってきた相手を全て真っ向勝負で下している。
真っ向から仕掛け、真っ向から受け止める…堂々としたまさしく王者の戦いである。
ピクルがチート性能を誇りながらも憎めないのは、諸処の理由が考えられるがこうした真っ直ぐな部分を備えているからだろう。

つまり、何が言いたいかというとここからがピクルの見せ場だ。
正義は勝つ。邪道を駆逐するのは王道。悪が栄えた試しなし。
悪の妖術師を叩きのめしてしまえ。
本気のピクルの原始パワーが妖術の濃霧を吹き飛ばすのだ!
…どうやって刃牙を応援しろというんだよ、この流れで…



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