範馬刃牙 第200話 天命



徳川光成は自らが抱えた病巣を見つめている。
本当に余命幾ばくもないらしい。
勇次郎の特殊能力は凄いな。


「祟ったのォ…」

レントゲンを見て徳川光成は呟く。
祟り…天罰…天命を誤った…
うん、天罰が下って祟られてもおかしくないほどに徳川光成は享楽で人の命を弄んできた
片脚や片腕を失った烈や克巳に対しては遺産の半分を譲り渡す気でいてもらいたい。

そんな徳川光成は鎬紅葉に自分の勤めを問う。
地下ファイトの筆頭…
人の命を自分の娯楽のために使う人くらいのイメージしかない。
徳川光成は自分のことを「結婚相談所」と名乗る。

「世界中に散らばる――」
「戦いたくて戦いたくて戦いたくて 戦いたくて戦いたくて」
「戦いたい奴らッ」
「そ奴らそれぞれに相応しい好敵手に引き合わせるッ
 それがワシに課せられた天命じゃ」


どうやら今までの悪行三昧は一方的な善意によるものらしい
自分の強さを確かめたい人間がバキ世界にはゴロゴロいる。
こうした人間たちの戦いを描いているのがバキという物語だ。
徳川光成のような人間が必要となる時もあろう。
でも、徳川光成に付き合わされてヒドイ目に遭った人は報われないな。
せめて資金面だけでも援助をしてもらいたいところだ。
ムエタイなんて弄るだけ弄られて終わりなんだから、手厚いアフターフォローをするべきだ。

まぁ、そんな仕事を怠ったようだ。それが天罰として自らに降りかかった。
いや、十分以上にピクルに生贄を捧げたと思いますが…
むしろ、犠牲となった格闘家へのフォローを怠ったことを悔やんでいただきたい
危機として生贄を捧げるくせに、いざヒドイ目に遭うと泣くことしか出来ないから困る。

そんな格闘家相談所、徳川光成は鎬紅葉に独歩を戦いたいかを問う。
唐突な問いだ。というか、いきなりの大物だ。
渋る様子を見せていた鎬紅葉だったが、独歩が戦いたがっているのなら、戦ってくれないと自殺するのなら、と話を進められて、
そうなるのなら戦わざるを得ないなと笑いながら答える。

「どーでもいいんじゃ理由などッッ」
「出会うだけでよかったのじゃッ ヤリタイ同士ッッただ会わせればッッ」
「独歩を 花山を 昂昇を ガイアを 渋川を 紅葉を」
「これらの男たちは戦う理由など問わぬッッ 向き合えば即ッッ」


徳川光成は病の身ながら語る。
やりたい同士が出会えば、それが戦う理由になる。
バキ世界のルールみたいものだ。
それを大義名分にして好き放題やったのが死刑囚編である。

ただここ最近はそれぞれの格闘家が自発的に戦っていたため、徳川光成が斡旋を行うことは少なかった。
精々、ピクル戦くらいだ。
逆に捉えれば格闘家が自立して戦うようになったとも言える。
その影響か、ムエタイと言った噛ませ格闘技が犠牲になることが少なくなったけど。

「儂に任せいッッ」

「え!!?」


徳川光成がいきなり任せろと叫んだ。
お前に何を任せるんだ?
出来れば、任せたくない。
大人しく養生していろ。
徳川光成が頑張ればロクなことが起きないのは言うまでもない。

徳川光成は一体何を企んでいるのだろうか。
多数の格闘家と格闘家を戦わせるイベントでも開こうとしているのだろうか。
やはり、第2回最大トーナメントか?
徳川光成の生涯を閉じるにはこれ以上ないくらいに相応しいイベントだ。
今までに出てきた格闘家が揃い揃ってトーナメントを開けば豪華なトーナメントになろう。
ピクルのアフターフォローだって出来ることだろう。
同時にムエタイとボクシングが無理に出てヒドイ目に遭う。

さて、神心会ビルの一室で刃牙と克巳が談話している。
この二人がこうして話し合う姿も珍しいな。
克巳はちゃんと飲み物を刃牙に差し出している。
ペットボトルでだけど。
力んだ飲み物だな。

克巳は烈がボクシングを始めたことを話す。
これには刃牙も大驚き…って、刃牙が驚くの!?
リアルシャドーして地震を起こす男ですら驚愕するほどのインパクトがあったのだった。

「何故ボクサーに」

「ボクサーではない」
「烈 海王は烈 海王のまま 烈 海王の流儀でリングへ上がる」

「ボクシング技術(テクニック)は使わない 中国武術だけでノシ上がる」


克巳は烈がどんな決意でボクシングに挑むのかを語る。
って、結局ボクシングやる気ねーじゃんかよ!
OKOK…
烈がボクシングと戦うのはいい。そこまでは良しとしよう。
じゃあ、何でボクシングジムに入ったんだ。
ここでこそ徳川光成が口を聞かせれば良かったのに…

「そんな甘い世界かな」

「甘いハズがない」


意外にも二人ともボクシングを評価していた。
烈海王といえど、ボクシングの技術に立ち向かうのは厳しい…
二人の見解は一致していた。
意外だ。意外だよ。本当に意外だよ。
アイアン・マイケルが過去一番のボクサーになれるのがボクシングなのに…

克巳が語るにボクシング150年の成長のスピードは中国四千年の比ではないらしい。
だが、その成長が作中ではまったく描写されていない。
精々挙げるのならばJr.くらいだ。
そのJr.も自らの金的とアイアン・マイケルによって、ボクシングの株を下げた。
まだ、ボクシングに期待しているのか?

「烈 海王の現在(いま)を試せる」
「そして未来(あす)を…」


ともあれ、拳のみの戦いにおいてはボクシングは一流(らしい)。
そのボクシングを相手に義足で戦い抜ければ自分の真価がわかる。
ボクシング程度に負けていれば格闘家としての未来はない。
そんな決意かもしれない。

烈の体重は106kg。ボクシングにおいてはもっとも過酷な階級であるヘビー級だ。
そして、もっとも噛まれている階級だ。
そこで負けるまで戦う気らしい。
…負けないと思いますが…
刃牙はため息と共に「バカだよ」と呟いた。
こればかりは刃牙に同意せざるを得ない。

そんな烈は今日もジムで練習をしている。
中国拳法の。
…いや、それは神心会でやれよ。
神心会でやるのも間違っているけど、神心会でやれよ。
まぁ、ジムの片隅でやっているのがせめてもの良心か。
いやあ、いいクレーマーですね。

そんな烈に深町コーチはグローブを嵌めるように言う。
スパーリングだ。
スパーリングという名の復讐だ。
烈はリングに上がる。
用意された相手は深町が言うには「全力を出せて」「武術が通用しねェ相手」だ。
相当な実力者…Jr.か?
片脚を失った烈が相手ならJr.相手でも互角のはず。
カードとしてはぴったり!

「正真正銘ヘヴィ級だ」

そいつは雑魚じゃねえか!
驚くほどのノープランだ。
ヘヴィ級を連れてきたから烈を倒せるとでも思ったのか?
ヘヴィ級ボクサーほど噛まれやすいモノは存在しない。
チャンピオンでさえパンピー3人揃えば倒せるんですよOK?

現れたヘヴィ級ボクサーは黒人+ドレッドヘアーだ。
負けるための形相だ。
今から負けてくる!という壮絶な覚悟が伝わってくる。
一体、どんな弄り方を烈はするのだろうか。

それにしても外人ボクサーを連れてくるなんて深町コーチは本気で烈を追い出そうとしている
まぁ、出て行って欲しいよな。
ジム内に烈派閥が生まれようものなら、ジムの秩序は滅茶苦茶になってしまう。
これは烈とボクシングの戦いであるだけではなく、ボクシングジムの経営を賭けた戦いでもあるのだ
次回へ続く。


徳川光成の夢は数多の格闘家同士を戦わせることらしい。
これが今後の展開の要となることは疑いようもない。
克巳と烈もこの戦いに身を置くのかもしれない。
克巳VS範海王の似た者同士対決なんかどうよ。

しかし、紅葉が候補に挙げられたのは不思議だ。
この人、まだ戦えるんだ。
意外と言うより他ない。
そして、本当に独歩と戦っちゃうのか?
二人の戦いは見たいような見たくないような…
いざ決戦が始まった時に紅葉がハブられていたら悲しいにもほどがあるな。

この戦線にストライダムが割り込めば盛り上がるかも。
今度こそ勇次郎を倒す!
火薬に頼る性根が自らの拳に歯止めをかけていたのだ。
うん、無理。

烈はボクサー相手に中国武術で戦うという目的があったことが語られる。
何も考えていないわけではなかった。
何故、ボクシング?という気がしなくもないが、烈は片脚のハンデを自分なりに感じているのかもしれない。
片脚ならばボクシングを相手にするのが妥当…そう考えていたらボクサー全員に怒られるな。

烈はヘヴィ級ボクサーと対峙しようとしている。
だが、ヘヴィ級ボクサーの信頼性はアイアン・マイケル並みに低い。
今回もまた相手にならないだろう。
烈がヘヴィ級ボクサー程度に苦戦したら、今まで積み重ねてきたものは何だったんだと頭を抱えざるを得ない。

いろいろと気になる来週は200話突破記念ということで、バキ特集が組まれる。
200話を祝うのではなく200話突破を祝うのだ。
100話の時もそうだったな。

そんな記念すべき時にかませ犬と戦う…
正気なのか?
いや、実はドレッドヘアーのヘヴィ級ボクサーは強いのかもしれない。
アイアン・マイケルの弟、ブロンズ・マイケルなのだ。
アイアン・マイケルの再来と言われる現役チャンピオンだ。
無論、瞬殺される。

だが、それで終わりではなくシルバー・マイケルも出る。
シルバー・マイケルが負けたら、ゴールド・マイケルだ。
ゴールド・マイケルは光速のジャブを打ち込むぜ。
代わりに普通の骨どころではなくなるという。
…うん、マイケルシリーズはダメだな。

じょじょにこれから先の展開が見えてきた。
見えてきたが烈という劇薬が存在するおかげでやっぱり先が読めない。
困ったら烈を出しておけばどうとでもなるな。
あと梢江を出してもいい。
正直、出して欲しくはないけど、ネタとしては弄りやすい。

とりあえず、ボクサーは蹴りに気を付けろ。
烈は刃牙派閥だ。反則だろうと、蹴りを打ち込む!
大地を蹴る以上、蹴りもまたボクシング!と豪語すれば通るかもしれない。
烈のクレーマー技術が試される。



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