範馬刃牙 第232話 千春流 



今回は刃牙のターンだ!
まだやるのかよ!?
テーマできたなら勘弁してやれよ!
千春ハードは続くよ、どこまでも。
いい加減悔しいでも感じちゃう(ビクッビクッ)と言っている場合じゃなくなってきたぞ。


「見せてやるよ」
「柴 千春を」


不意打ちで殴られ、倒れ果てる千春に対し刃牙は言い放つ。
千春が言っているんじゃなく、刃牙が言っている。
勝ったのは俺だ並みに珍妙な宣言だ。
でも、闘争とセックスはそっくりだよりはおかしくはない。
いや、あれは弩級のHENTAI発言だから無視しておこう。

この唐突かつ意味のわからない発言に千春はきょとんとする。
刃牙の発言は理解に困るものが多い。
何せ殺るか殺られるかではないと言いながら殺す気の攻撃を連発する男だ。(第158話
結局、あの真意も明らかにならないままだった。
今回の発言だって投げ出したまま、普通に千春を撲殺するかもしれない。

千春が刃牙の立場なら、刃牙のように戦うと言う。
刃牙もそれには同意だった。
まぁ、刃牙のように戦えば千春を一瞬で倒せる。
降りかかる火の粉を払うには理想だ。

「けど それじゃあ決着にならない 何度倒そうがね」
「殺されるまで――」
「否――――― 殺されたってアンタは止めない」


殺すという選択肢が普通に存在する辺りが、さすが文化としての闘争の男だ。
人類史は争いに溢れている。
そういう意味で刃牙は人類の負の側面を一手に引き受けた存在なのかもしれない。
こう書くとダークヒーローみたいだけど、刃牙はただ単に性格が悪いだけなんだよな。

負けても決着ではない。
それはピクルとジャックとの戦いで描かれた要素だ。
あの時はジャックの心を粉砕したことで決着した。
今回も刃牙は千春の心を砕くことで勝利を得るのか?
千春を抱えてビルによじ登れば、それだけで心を壊せるかもしれないぞ。

「オメエに俺の真似ができんのかよッッッ」

並みならぬ根性で戦うのが千春のやり方だ。
それを真似されたら本人としてはたまったもんじゃない。
が、あれを真似することなら多分誰にもできる
素人があの無謀とも言える戦いをするということに特異性があるのだ。
ピクルが千春の真似をしても違和感がないというか、上位互換みたいなものだ。

己の矜持を穢されたのか、千春は刃牙に向かって走る。
そして、撃つのは砕かれた右拳によるアッパーだ。
また、アッパーかよ!?当たっても砕かれるぞ!

学習能力がまるでないな。
ピクルだって烈にパンチを防がれたら、パンチを打ち込む方向を変えたぞ。(第98話
原始人以下だ!

まぁ、傷付いた拳であえて殴る。
これが千春流の覚悟なのだろう。
効率的ではない正解とは言えない選択肢をあえて選ぶ…
不良らしいと言えば不良らしいか?

(出来るさ……………千春さん)
(出来るに決まってる)
(なんでかって………?)
(千春さん……………)
(俺…………アンタに憧れてンもの…………)


刃牙がまた唐突なことを言った!
憧れてんの!?本当に憧れてんの!?
刃牙が千春に見せてきた態度はとても憧れている人間に見せるものではない。
養豚場の豚でも見るかのように冷たい目で残酷な目だ。
かわいそうだけど明日の朝にはお肉屋さんの店先に並ぶ運命なのねって感じである。

でも、刃牙が言うのなら本当に憧れているのかもしれない。
否!憧れている!
アイアン・マイケルに勝った時から好きでした!(好きになるのに実績が必要です)
…多分。
そして、憧れていることと真似をできるのかは、まったくの無関係だ。

刃牙は千春のように顔面ごと拳にぶつける。
相違点は千春以上に力んでぶつけていることだ。
これにより千春の拳は一度ならず二度までも砕けた。
千春だってアイアン・マイケルの拳を砕けるのだから、刃牙が千春の拳を砕けない道理はない。

「ね」

刃牙は満面の笑みを浮かべた。
せ、性格悪〜…
相手の十八番を真似て、それでダメージを与え、そして…笑う。
実に性格が悪い。
憧れているって絶対に嘘だろ。絶対に嘘だろ!

今まで刃牙に屈しなかった千春だったが、ここで初めて精神的なダメージを負い、動きが止まる。
ただ殴られるよりもずっと痛いダメージだった。
大切に取っておいた同人誌を全て処分されたような痛みなのだろう。

それに対して刃牙は微笑んだままだ。
さあ来い。私はまだたぎっておるぞと言わんばかりである。
それにつられるように千春は蹴りを出した。
テクニックのないケンカキックだ。

これに対しても刃牙は顔面を打ち込む。
それもインパクトの瞬間を狙ったもっとも負荷のかかる瞬間を狙ったものである。
当然、刃牙のダメージは大きくなるが、同時に千春のダメージも大きくなる。
無駄に徹底しているのが範馬刃牙であった。
カップラーメンを作ってやると言いながら、具に松茸などの高級食材をぶちこむよううな行為である。

千春の脚の骨は綺麗に折れた。
千春の骨は負荷に耐えられなかったのだ。
まぁ、ただアッパーを当てただけで拳を砕けるほどだ。
刃牙が本気で千春を壊しに来たら、こうなるのが運命であろう。

[フツウの体力(フィジカル)に―― 鋼鉄(はがね)の精神力(メンタル)……]
[千春の鋼鉄(はがね)が 大きく揺らぎ始めた]


これには千春の心も折られそうになる。
やはり、刃牙のテーマは心を徹底的に折る戦い方らしい。
さすがにここまでやられると折られても仕方がない。
主人公とは思えない陰惨さだけど。
何か華と修羅の新便器みたいだ。
見習って刃牙便器でも名乗っておくか?

そこはもはや蟻地獄。あがけばさらに沈むだけ。
千春は逃げ場がないくらいに追い詰められている。
心を折ることに加えて、ダメージが残る攻撃を行っているのも憎たらしい。
バキ世界における骨折のダメージは大きい。
骨折したファイターの敗北率は70%と言われるほどだ。
そして、刃牙だけが骨折しても何とかなったりする。

千春は年貢の納め時だろうか。
土下座して許してもらうか?
そう、命恋(いのちごい)だ!
でも、刃牙は土下座程度じゃ許してくれそうにないんだよなー。
憧れが憧れでなくなるまで殴り続けることも辞さなそうだ。
次回へ続く。


刃牙は千春の心を折る方向性に切り替えた。
負けても諦めない奴は心を砕け。
それが花山からの課題なのだろうか。

でも、刃牙は相手の心を折ることに関しては本当に一流だ。
それは花山も知っている。
というか、目の前でやられた。
落ち目死刑囚二人を投げ捨てて遁走とか、ピクルに対して妖術を行うとか。
見ていないところではジャックにトドメを刺した。
刃牙は対峙した相手を徹底的に叩き潰している。
多分、勇次郎が見れば笑う。

ここ最近の刃牙がその暴虐イズムを忘れていたとは思えない。
ピクルとの戦いで徹底的にプライドを突き崩した辺りにそれが垣間見える。
いや、花山が刃牙に感じさせたかったのはこんなことじゃないのかもしれんが。
戦いには闘争心が大事ということを教えたかっただけで、闘争心を砕く戦い方を教えたかったわけじゃないのかも
ボロクソにされた千春を見て、花山が刃牙に失望しても何もおかしくはない。

この戦い方は勇次郎との戦いでも活かされるのだろうか。
勇次郎の心を折る戦い方…
…心を折るというか、怒らせるのが精一杯だな。
そして、憤怒の鬼を止める術はない。
ダメだ、何の参考にもなりゃしねえ。

ライバルの技を体得するのは主人公らしい行為だ。
刃牙も千春の戦い方を体得すれば主人公らしさアップかも。
まぁ、勇次郎に顔面頭突きをやった暁には、脳味噌が粉々になるかもしれないが。
ダメだ、何の参考にもなりゃしねえ。

このまま千春がボロ雑巾になってもただ悲しいだけだ。
奮起に期待したい。
ここで花山の立ち振る舞いを見習ってみるか?
刃牙の憧れが千春なら、千春の憧れは花山なのだ!

花山と言えば人気があり実力もある。
そのわりにはあまり戦わない。
最後に行った本格的なバトルはスペック戦だ。
もう10年前の話である。

だから、そこを見習うのはどうだ?
花山を見習って鍛えない!さらに戦わない!
家に引き篭もってしまえ!
当然、刃牙の憧れは千春なので、その真似をして刃牙も引き篭もる。
…あれ?けっこうハッピーエンドなんじゃ…



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