範馬刃牙 第236話 煙払い



やっと烈のターンだ!
長いチャージ期間だった。
3週間ぶりの烈フィーバーが来るぞ。
至福の期間を過ごす原因となった刃牙の目を潰したくなっても誰が責められようか。


烈の連撃を受け、ついにクレーザーがダウンした。
観客は沸き上がる。
いまいちパッとしない戦果のクレーザーだが、客の人気はそこそこらしい。
クレーザーの実力を知っていたからか、カイザーの驚きはなおさら大きい。
もしかして、烈を封殺できるとでも思っていたのか?
狸というか何というか。

「マジかよァ〜〜〜ッッ」
「俺の選手が… ジョーをひざまずかせている…」


深町コーチだって開いた口が塞がらない。
烈はお前の選手じゃないと言いたいところだが、アドバイスしたし細かいことは気にしなくてもいいか。
解説のひとつやふたつくらいしてもらいたいところだが、立ち位置的に完全な驚き役なのでどうしようもなかった。

クレーザーは8カウントで起き上がる。
流れる冷や汗がダメージを物語っているが、その中でクレーザーは笑う
ダメージを受けてなお笑う闘争心を持つ男がクレーザーだった。
ワーレフだったらダウンした時点で心が折れてもおかしくはない。
まぁ、心が折れる折れない以前に意識が吹っ飛んだけど。

(ジョーが…ダウンから起き上がるということ…)
(ボクシングは スポーツの範疇を超える)
(競技(ゲーム)とは… 呼べなくなる…………………)


アライ父は一人静かにクレーザーの恐ろしさを語る。
どうやらダウンしてからが本番のボクサーのようだ。
逆に言えばダウンしないと本気になれないから、今までタイトルを逃してきたのかもしれない。
ダウンする前はアイアン・マイケルに毛が生えた実力だが、ダウンすればそれを凌駕する!

本気になったクレーザーはダーティなファイターになるのだろうか。
ボクシングに存在するありとあらゆる反則を使うようになるとか。
エルボーするし頭突きもするしレフェリーの言うことは聞かない。
…それ、いつも烈がやっている試合だな。
ルール無用の展開になると逆に不利になるような。

後ろに下がらない男、クレーザーは烈に向かっていく。
それに対して烈も前に出る。
勢いを殺したくないのか、積極的だ。
ボコボコに殴られてダウンした男の動きじゃない。

クレーザーに近寄ると同時に烈は必殺の目隠しをする。
いきなりなにするんですか烈さんっ!(CV:豊崎愛生)と言ってしまいそうだ。
ワーレフは目隠しを何とかしようと足掻いた結果、無寸勁を受けてしまった。
馬鹿でした。

それに対してワーレフは即座にアッパーで暴れる。
視界が塞がれても目の前に相手がいることには違いない。
防御よりも攻撃を優先した選択だ。
やはり、ワーレフとは闘争心の品質が違う。

それを烈は素早くステップでかわし、再び視界を塞ぐ。
そして、コンビネーションの形で真横から右の直突きを放つ。
視角を塞ぐと同時に死角からの見事な攻撃だ。
烈は完全にリズムを取り戻している。

だが、クレーザーの後ろには下がらない男だ。
奇策を前に怯むことなく拳を振るう。
それを烈は飛翔してかわして、さらに空中でパンチを打ち込む。
空中殺法か!
ボクシングの教科書にはない防御に攻撃だ。
ボクシングらしくなってきたとアライ父は言ったが、早速ボクシングではなくなりつつある。

クレーザーは着地した烈にロシアンフックのような形のパンチを打つ。
が、途中で烈に受け止められ勢いを失う。
ピクル戦で見せた攻撃の加速の瞬間を潰す高度な防御法だ。第97話
今の烈はクレーザーを数ランク上の技術で対処している。
最初からこうあるべきなんだよな。

さらに烈は跳躍する。
すかさず空中からパンチの連打だ。
ボクシングの教科書にない攻撃にクレーザーは為す術もなく打たれる。
試合中にジャンプする変態は普通はいない。
だが、烈は普通じゃないし変態だ。
アライ父の言動とは裏腹にクレーザーはボクシングの常識に縛られてしまい、いいようにやられている。

ここで烈は再び回想する。
何か末期のバトル漫画かと思うくらいに回想するな。
そんなに昔のことを掘り出したいのか。

それを思い出すのかと期待したら普通に百林寺の修業時代だった。
修業時代の烈は老人の師父に一打も当てることがかなわなかった。

その理由は師父の戦い方にあった。
烈の身長以上に高く飛び上がり、そこから攻撃を放つ。
これに烈は対処することができなかった。

「頭上から襲いくるものは 防御(ふせ)ぐことしかかなわぬ」

それは10年以上も前に通過しているぞ!
非常に今更だ。今更にもほどがある。
そして、一度しか通用しなかった外れ戦法でもある。
せいぜいバランスのいい山本選手しか倒せないんだってば。
逆に言えばクレーザーはバランスのいい山本選手レベルってことか?

これは独歩には廻し受け一発で対処された。
空中殺法は当たれば効くが飛んでいる間は方向を変えられない…
つまり、相手の攻撃もかわすことができないということだ。
ボンボンの漫画でも突っ込んでいたくらいですよ。
その漫画を引き合いにだすのは間違っている気がしなくもないが。

ともあれ、師の教えに従う烈であった。
今度はロープの弾力を利用して飛んだ。
ただ飛ぶだけではない。高速回転だ。
ボクシングというかこれじゃプロレスだ。

「気を付けろ……………」
「手負いのジョーにとり…」
「ボクシングとは殺し合いだ!!!」


だが、ここでアライ父が不穏な発言を行う。
試合ではなく死合。
それが本気のクレーザーらしい。
勝つか食われるかのギリギリの勝負を経験した烈にとって、ある種今更とも言える。
でも、危険な領域に踏み込んだのは間違いないようだ。
このジャンプも潰されてしまうのか?

グッチャ

何て思ったらクレーザーは普通に殴られてダウンした。
アライ父の前振りは何だったんだ?
でも、壮大な前振りの果てに金的を食らって一瞬で果てたJr.がいた。
ボクサーなんてそんなものということだろうか。
アイアン・マイケルだって多大な期待を受けながら、特に何もできずマウス三兄弟やられた。

クレーザーは先人ボクサーたちと同じように受けた期待を無にして斃れるのか?
あるいは本当に殺し合いに発展させるのか?
次回へ続く。


今現在、試合のペースは烈が握っている。
ボクシングの土俵で苦戦するなら、ボクシングをしなければいいという発想で盛り返した。
一体何のためにリングの上に立っているのかわからないが、圧倒しているからそれでいいか。

奇策だけでなく防御と言った基本も烈はできている。
グローブで殴られるのが痛いのなら、打つ前に止めれば良かったのだ。
無論、それを実行するのは至難を極めるのだが。
これくらいの実力差を見せつけてこその烈だ。
そして、見せつけられてこそのボクシングだ。

空中からの攻撃にクレーザーは為す術もない。
やっぱり、慣れていないのがでかいんだろうな。
独歩は天内悠の立ち回りを廻し受け一発で無力化した。
落ち着けばあっさりと防がれちゃいそうで怖いな。

ボクシングの基本技術でこれに対処できるのだろうか。
いや、案外バックステップすれば着地の隙を攻められそうだ。
何かグダグダになりそうだな。
烈もさすがにバッタみたいには飛ばないだろうけど。

気になるのはクレーザーの本気だ。
殺し合いレベルになるらしいが、どうなるのだろうか。
今まで出てきたボクシングはどれもその領域に踏み込んでいない。
Jr.なんて殺し合い発言をした瞬間に金玉を蹴り潰された。
…不吉の前触れとしか思えないな。

刃牙のエピソードを挟んだせいもあって、長く続いている烈とクレーザーの試合だ。
だが、クレーザー側がどうにも掘り下げられていない。
今ひとつ個性があるようにも見受けられない。
煙も消化不良気味だ。
本気のクレーザーが見られた時、その辺が一気に解き明かされるのだろうか。

しかし、クレーザーは天井が低い場所で戦えなくて惜しいな。
天井が低い場所…例えばトイレだったら良かったのに。
飛び上がる烈をスプリンクラーに捕まって迎撃すると言ったアクロバチックな戦いが期待できる。
面白いぞ!
面白すぎてまともな試合には見えないけど。



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