範馬刃牙 第269話 溶け合い 



勇次郎が象形拳の理想を見せつける!
模倣を越える模倣か?
海原雄山だって究極側のメニューとまったく同じモノを出して、素材の差ではるかに上回るものを仕上げた。
あんな感じだろうか。
あれはものすごい後出しジャンケンであったのだが。


弱肉強食の自然界。
それから生き残るために動物たちはそれぞれの戦い方を身に付けた。
その歴史は人類のそれとは比べものにならない。
ある種、生物の進化そのものとも言える。
そんな解答を学ぶのが象形拳であった。

なるほど、そう言われると象形拳のランクがアップだ。
生物の歴史を模倣しているんですよ。
人類が及ばぬ領域である。
すごいではないか。格好良いではないか。
ゴキブリを学ぶのはどうかと思うけど。

[先人から受け継がれた英知]
[父は揶揄する]
[模倣と]


しかし、それさえも勇次郎にとっては模倣に過ぎないのだ。
事実、模倣だから仕方がないと言えば仕方がない。
トリケラトプス拳は模倣を越えて創造の域に達している気がするのだが。
だからこそ、勇次郎も評価したのかもしれない。
創造というか妖術だけど。

勇次郎は両腕を前に突きだしてから高く上げる。
意味有りげな構えだ。
これが勇次郎が行おうとしている象形拳の対象なのだろうか。
刃牙も冷や汗を流しながら勇次郎の挙動ひとつひとつに注目している。
象形拳マニアの刃牙としては気になるところなんだろうな。

「バ〜〜カ」
「こんな動作」
「テキトーにキマってんじゃん」


ポージングはフェイクかよ!?
くっ、何とお茶目な……
この三十路あるいは四十路に素で萌えてしまったではないか。
ゴウランガ!

まぁ、刃牙だって呆れます。
素で呆れます。
お茶目だなぁと顔を赤らめればいいのに。
もったいのない男だ。

勇次郎は高く上げた両腕を振り下ろす。
同時に上着が爆発四散!
オリバの筋肉パフォーマンスと酷似している。
衣服が原型を留めていないのは勇次郎の筋力が勝っているからか?
それとも筋肉芸の経験値の違いか?

もしやオリバ拳なのか……?
そう思った瞬間、勇次郎から出た衝撃波めいたもの刃牙は感じる。
それは刃牙のみならずギャラリーたちも感じられる現象であった。
近場の観客だけではない。
ビルから観戦している観客にも伝わるほどの広範囲だった。

OL水原理香(27)は語る。
どうやら勇次郎の上着が破れた瞬間、窓が音を立てたようだ。
まさかの威圧力などのそうしたものではなく、物理的な衝撃力も伴っていた。
そりゃ誰だって驚くよ。
勇次郎の進化は留まるところを知らないな。後光が見えるわけだ。

水原理香はさらに音や衝撃だけではなく光が見えたと述懐する。
「衝撃の持つ意志」と電波めいたことを口走る。
水原理香のオフィスを襲うその光は鬼の形だった。
衝撃波まで鬼!
何と言うこだわりの演出だろうか。

これは水原理香だけではなく、多くの目撃者が口を揃えて光を見たと語る。
本当に光を放ったんだろうな……
刃牙が妖術を操るのなら、勇次郎はとことん物理だ。

「より“強き者”の戦闘法から学ぶ象形拳」
「だから行き着く」
「範馬勇次郎…………の型!!!」

こうして勇次郎が見せたのは勇次郎拳だ!
……な、何だこれは!
勇次郎が象形拳を見せたと思ったら鬼の貌を解放していたぞ!
意味がわからない。
えーと、強者を真似る象形拳の理想を見せようとして、出てきたのが鬼の貌。いわば勇次郎拳。
象形拳じゃねえ! 騙された!

「すまねェな………」
「これより強えのは知らんもので……………」

「ケッ」
(間違っちゃいねェよッッ)


勇次郎的に一番強いのは自分であった。
(幻想の)恐竜と相対してもこの不敵な態度!
実に勇次郎である。
このとんでもないハッタリイズムも勇次郎そのものだ。

刃牙的にはこのハッタリもありらしい。
まぁ、あり判定してもらわないと自分の行いを見返せとなる。
こういうところを見ると勇次郎は刃牙の父親なんだなと思ってしまう。
刃牙が勇次郎の子供、という言い回しではないところに私の表現意図を感じてください。

そんなわけで象形拳を見せると思ったら鬼の貌を解放した勇次郎であった。
ややこしい!
最初から普通に鬼の貌を見せろ!
最近のバキらしいもったいぶった展開だ。
多分、来週は鬼の貌の解説がされることだろう。
パンチはその後だ。
もしかしたら、パンチさえもせずに鬼の貌を引っ込めるかもしれないが。
次回へ続く。


強き者を真似るのが象形拳ならば、もっとも強いものを忠実に再現するのが理想!
そんなわけで範馬勇次郎さんは一番強い自分自身を真似てみました。
それは象形拳ではない。

でも、刃牙的にはその発想はなかった状態だ。
私もなかった。誰もなかった。
妖術をやるかと思ったら妖術でも何でもなかった。
刃牙も覚えておけば株を上げられるかもしれない。

ともあれ、鬼の貌の解放ですよ。
勇次郎の鬼の貌は実に6年ぶりとなる。
ある程度、追い詰められてから出していたのに、今回はわりとあっさりと出した。
ちょっともったいない。
もったいないからと勇次郎も引っ込めたりして。

直前に刃牙はトリケラトプスを見せている。
その迫力に負けないモノを演出するのは難しい。
もっとも勇次郎はその難題を実現したわけだが。
恐竜を見せたのなら、それ以上の何やら神がかったものを見せる!
これを越えるのは難しいだろう。
巨大ゴキブリを召還して阿鼻叫喚に包むしかない。

刃牙は勇次郎に押されっぱなしだ。
既に青息吐息の刃牙なのに、鬼の貌なんてひどいな。
初回で5点取られた状態でさらに満塁ホームランですよ。
どないせえと。

刃牙も鬼の貌を出せる。
鬼の貌VS.鬼の貌が始まるのだろうか。
刃牙の鬼の貌はちょっと胡散臭い。
オリバと互角くらいだが、勇次郎はオリバを素の状態で圧倒した。
ダメなんじゃないだろうか。

まぁ、刃牙のことだから素直に鬼の貌は出さないだろう。
マゾだし何回か殴られるかもしれない。
刃牙の耐久力が試される。
ピクルの打撃も受け止めた刃牙ならば……!
正面から殴り合ったらあっさりと気絶してました。さーせん。

何にせよ鬼の貌を出すのなら刃牙も勇次郎並みの演出をしないとキツそうだ。
……光、出せるか? ビル越しに威圧できるか?
トリケラトプスは見せられるから……それを利用していろいろな恐竜に変身してから、鬼の貌を見せればうまく演出できるかも。
恐竜より迫力なくね!? と観客に言われて、刃牙は普通に傷付く。
それを気遣う勇次郎なんて見られたら、もう戦わなくていいんじゃないかなと思えてくるハートフルな展開にちょっと期待。



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