範馬刃牙 第276話 上へ上へ



刃牙が0.5秒の隙を突かれダウンした!
目線が危ういぞ。気絶しちゃったんじゃないか?
でも、刃牙さん。それいつものことでした。
虚ろな目線が似合う主人公、No1。


勇次郎は攻撃しようとした自分を迎撃しようとした刃牙を感じ取り迎撃した。
何を書いているんだ、私は。
ゴチャゴチャでよくわからん。
そんな複雑な駆け引きが行われたことはたしかだ。

「Aが攻撃を決断する」
「その決断の――――――」
「0.5秒前にBが知覚し迎え打つ」
「その迎撃をAは直ちに感じ取り」
「Bの迎撃を迎撃………」
「そのAの迎撃をさらにBは」
「さらにAはさらにBは」
「さらに――」


勇次郎は身振り手振りを交えながら、駆け引きを説明する。
その表情は珍しくと言うべきか、やや崩れている。妙に嬉しそうで楽しそうだ。
0.5秒打撃は武神愚地独歩でさえ唸らせるものだった。
このレベルの駆け引きを行えることは勇次郎とて滅多にないのだろう。
不肖の息子、刃牙がここまで成長した。
勇次郎からしたら嬉しいに決まっている。

「やれやれ」
「どこまで続く」
「迎撃の輪廻」


勇次郎の言う通り、この駆け引きは堂々巡りにしかならない。
駆け引きの果てがなくなってしまう。
もちろん、察知できる意識の隙には限界もあるのだろうが……
思わず勇次郎も困り顔だ。
こんな勇次郎を見られる観客は運がいいかも。

0.5秒前に遡れるなら、本来打ち込むはずの2秒前に打撃が行われるなんてこともありそうだ。
すると何だかタイムスリップめいた駆け引きのような。
因果律に干渉しそうな気がする。
最終的には戦う前に勝負ありになっちゃうか?

気絶した刃牙に勇次郎は容赦なく追い打ちを放つ。
ダウンした相手に放つ蹴りの王道、軽く飛んでからの打ち下ろしの蹴りだ。
地面を抉る。
が、刃牙は状態を持ち上げてかわしていた。
意識がある?
いや、視線がおぼろげだぞ。

そこに廻し蹴りでさらなる追い打ちだ。
周囲に砂煙?が舞い上がるほどの風圧である。
決まったか?
が、舞い上がった砂煙の中から直立不動の刃牙が現れる。
何故か白目で。
いやいや、範馬一族めいた演出はいらんから。

「“よーいドン”で勝てるなら」
「初めからそうしてるさ」
「それができない以上―――」
「こうする他ない」


そんなわけでハンドポケットの刃牙だ。
刃牙の身体能力は勇次郎やピクルの最強クラス相手には一歩劣る。
刃牙にはその自覚がある。自分のことを弱者と言っているし。
オリバと正面から殴り倒した以上、弱者とか今ひとつ納得がいかないが。

刃牙はピクルとの戦いで格闘技の可能性を見せつけた。
同時に格闘技では何ともならない自分のフィジカルの弱点を感じたことだろう。
いや、白亜紀闘法に理由もなく追いついたから、弱点もクソもないけど。
うーむ、この男を擁護するのは極めて難しいな。

あくまでも刃牙は0.5秒の隙を突く気でいる。
0.5秒の隙は勇次郎としても生まれる弱点だ。
刃牙が対等に立てる貴重な要素である。
そこをとことん狙い撃つ気だ。

それに対抗して勇次郎もハンドポケットの姿勢を取る。
居合いVS居合いだ!
オリバと龍書文の戦いが思い出される光景だ。
実は龍書文も0.5秒の隙をついて、オリバに先んじていたのかも。
あの時はどうしたっけ。
オリバが龍書文の攻撃に耐えて……居合い関係ないな、あれ。

あの時、勇次郎は刃牙に「学べ」と言っていた。
刃牙は「自分に向けられる技であってもかい」と返し、「美味けりゃ喰ってやる」とまとめた。
かつてのやり取りが今になってやっと意味が出てきた。
しかも、意識の引き金という味付けつきでだ!
遠大な伏線だったなー。これは今までの伏線が回収される時が来るかもしれない。
世界中にばらまいた種とか。
……どうなんですかね。

これは独歩でさえ把握できない駆け引きだ。
独歩にわからぬのならば、本部にわかる道理がない。
本部がここにいない理由がわかった!
あの人、スモトリの小指知らんからなー。

[古の剣豪同士がそうしたようにッッ]
[かつてのガンマン同士そうしたようにッッ]
[“抜く”と決断する0.5秒前!!!]

「俺がこのアホ勝負(ゲーム)を終わらせるッッ」


勇次郎はあえて刃牙に意識の引き金を察知させる気だ。
その上でマックスの居合いにカウンターを決められるか否か。
拳を抜かせてしまえば刃牙に勝機はない。
基本的な身体能力で負けている以上、それを上回ることは不可能だ。

刃牙は失敗すれば大ダメージとなる。
だが、成功すれば……どうなるんだろう。
勇次郎、あんまりダメージ受けなさそうだなー。
そんな刃牙の心境やいかに。

「や………やってみろよ」

めっちゃビビってる!
こ、こいつ! ビビってる! ビビってるよ!
まぁ、勇次郎が相手だから仕方ないか。
でも、刃牙だな。実に刃牙だ。
こいつにはこんな表情がよく似合う。

刃牙に秘策はあるのだろうか。
いや、秘策がハンドポケットなのかもしれない。
居合いにすることで初動を見切られにくくするとか何とか。
既に姿勢は完成しているのだ。
でも、勇次郎に真似されてしまった。
本当に喰われちまうか?

あるいはこの居合いは罠だったりして。
親父、あのさ……居合いやっても速度が速くなるワケねえよな。
そんなことを言って構えて、殴る!
鞘の中で刀身が加速するなんてファンタジーはないのだ。
ある意味では化かし合いもありだと思うんだよなぁ。
案外、そこなら刃牙にも勝機があるかも。
次回へ続く。


勝負は心理戦を越えた意識戦になった。
ハイレベルというか何というか。
ゴキブリダッシュが速度しか取り柄がないように思えてくる。
いかに速かろうと意識の隙間をかいくぐられては意味がない。

そんな勇次郎は速度だけで打ち破る気でいる。
勇次郎の全速力が見られるかもしれない。
全ての要素が優れているだけにスピードもスゴイ級だろうか。
マッハ出しちゃうか?
骨が壊れるから多用は禁物だ。

0.5秒打撃を持ち込めばマッハ突きも破れるかも。
いかに速くても発動さえ潰せばいいのだ。
同じ理屈で案外勇次郎の全速力もあっさりと破られるのか?
あるいは高度な意識戦が繰り広げられるんだろうか。

それこそ堂々巡りの意識を巡る勝負が繰り広げられるかも。
勇次郎が動く! 刃牙が迎撃! 勇次郎が迎撃を迎撃! 刃牙が迎撃の迎撃を迎撃! 勇次郎が迎撃の迎撃の迎撃を迎撃!
そんなことを繰り返して積み重なっていくうちに意識だけ過去に戻りそうで怖い。
あ、勇次郎が出生直後の刃牙をコンクリートに叩きつけたのはその結果なのかも。

それを活かせば刃牙は言い訳できるかもしれない。
最初に意識の隙を突いたのはこの打撃が来ることを予想して前もって殴っておいたとか言う。
まぁ、ダメージが足りなかったから、防ぎきれなかったけどね。
はにかむ刃牙。呆れる勇次郎。
……わりと平和的な終わり方かな。

しかし、これを見ると速度だけで勝負しているボクサーがちょっと可哀想だ。
放置されているボルトの株が始まる前から下がったような。
それともボルトも意識の隙を突けるのか?
スポーツマン出のボクサーと脚を失ったとはいえ本格的な武道家の戦い。
けっこう楽しみにしていたんだけどなぁ。
意識の隙を突こうと巡り巡った結果、烈とボルトの戦いまで時が戻るとかありませんかね?



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