範馬刃牙 第92話 成就



シベリアトラ餌作戦は何者かの手によってあっさりと報道された。
そんなわけでまずは事後処理だ。
TV番組ではピクルのシベリアトラ食事事件のことが特集されている。
シベリアトラは500頭しかいないらしい。
それを食料にするのはさすがにまずい。
むしろ、報道されていることがまずい
誰だ。バラしたヤツ。
あの闘技場に集まる人間にモラリストなんていないと思ったのに。

批判の嵐が吹き荒れる中、ペイン博士が反論を行う。
一応の常識人だ。
どうやって言いくるめるのだろうか。
いざとなったら目覚めさせたアレン君が悪いということにすればいい!
…アレン君どうなったんだろうなぁ…
軍人に紛れてピクルに喧嘩売って死んじゃったのだろうか。

「シベリアトラの数500頭……」
「ありがたいッッ」
「500頭しかではないッッ 500頭いるのですッッ」
「最後の一頭までも喰わせたらいいッ たった一種の絶滅がなんだと言うのだッッ」
「ピクル一人の価値は――――― 他の動物一種に勝るのですッッ」


この人ダメだぁ!
火に油を注ぐような物言いだ。
というか、目がヤバい
明らかに狂気の世界に踏み込んでいる。
カメラも口をアップにして臨場感アップだ。
まるで映画のワンシーンのような演出である。
これじゃ視聴者はペイン博士をマッドサイエンティストとしか見ない よ。

まぁ、ピクルは人類史上例を見ない超生物だ。
超生物と絶滅寸前生物を選ぶとなれば、超生物を選んでしまうのが専門家のサガか。
こういう人に限って超生物に殺されたりするんだけど。

それでなくても、ピクルの研究することにより、人類の進化の謎が明らかになるのは間違いない。
ただ絶滅させないようにするだけのシベリアトラよりも価値はあるだろう。
まぁ、ピクルがおとなしく研究される人間じゃないことも間違いないが。
ただ、それもピクルが地球人だった場合の話だ。
もし、ピクル星人 だったとしたら、話が変わってくるが。

そんなペイン博士の熱弁に対し、番組出演者たちは普通に意見をかわす。
ペイン博士、一世一代の大演技があっさりと流されてしまった。
本当にこんな熱弁を震えば場の空気が凍る事は確実だ
外山恒一みたいに。
もはや地下闘技場転覆しかない。

で、この不毛な番組を烈先生は目を細めてじっと見ている。
ワイドTVで薄型だ。最新型のTVだろうか。
烈先生にしてはいいものを持っている。
無地の部屋の床に置いているのはかなり間違っているけど。
最先端の電子機器だから、もうちょっと飾ってやればいいのに。


場面は徳川邸に移る。
徳川のじっちゃんは警察に事情聴取を受けたことをやたら楽しそうに烈先生に話す
ペイン博士は狂った感じを出していたが、こっちもこっちもでナチュラルハイだ。
さすが巨凶徳川だ。
こいつがバラしたっぽいなぁ…

そんな徳川のじっちゃんもいちいち保護動物を捧げるというのには乗り気ではないようだ。
金もかかるし、いちいちバレたら周囲からの弾圧も強くなる。
ティラノサウルスの肉は普通に食べていたが、それを調達するわけにも行かない。
そんな困った現実に烈先生は助け船を出す!

「わたしが餌となっては如何かッ」

烈!総!受け!
そりゃあ、餌になりますよ。
遠慮なく掘ってもらいますよ。
だって、総受けだから。
烈=受けはバキホモ業界では基本である。
ボクシングで言えばジャブであり、ムエタイで言えばサムワン海王だ。
受けるのが基本だ!

「いや〜〜…………… 人間を食料にというのは……………ねェ」

徳川のじっちゃんだったら「ほっほっほっそれも面白そうじゃのう」と言いそうだったが、ここで一応の一般人らしいところを見せた。
ホモプレイはお気に召さないらしい。
でも、刃牙世界の女性キャラはみんな萌えませんよ。
特にヒロイン。

でも、ピクルは人間を食べるのかなぁ。
少なくとも軍人たちを食べることはなかった。
同種で食い合ったらジュラ紀人が絶滅してしまう。
…もしかして、それで絶滅したのか。ジュラ紀人。

「この烈海王が――――― おめおめと食べられてしまうとお思いか…?」
「たしかにわたしは 餌として彼の前に立ちはしますが」
「食われる気などさらさらありませんッ」


しかし、烈海王。
受けるだけではない。
受けるだけではただの肉奴隷だ。
だが、烈海王はツンデレである。
受けながら責めるのがツンデレの総受けなのだ。

ピクルは勇次郎をパワーで押し切った。
そして、中国拳法の象徴である郭海皇がパワーだけで敗北した姿を目の前で見た以上、勇次郎のパワーを烈先生は嫌と言うほど知っている。
烈以上の中国拳法が実力者が勇次郎に力だけで負け、その勇次郎をさらに力で打ち負かす相手と戦うのだ。
戦う前からかなり苦しい。
克己なんかが名乗りを上げればネタとしか思えないくらいだ。
しかし、烈先生は負ける気なしだ。負ければ喰われるのに負ける気がない。
さすがは蛮勇だ。
あとみんな勇次郎には挑もうとしないけど、ピクルには積極的に挑もうとすることから、
ピクルには戦いたくなるようなフェロモンがあるのかもしれない。
あるいはこいつなら勝てる という空気か。


そんなわけで烈海王VSピクルのカードが組まれた。
地下闘技場にペイン博士・徳川のじっちゃん・ストライダムの3名が集まる。
せっかくだから観客を呼べばいいのに。
ここの物好き観客なら保護動物とか何とか関係なくあじるはずだ。
まぁ、食人騒ぎになりかねないからこの辺は自重したのだろう。
徳川のじっちゃんとストライダムは妙にニコニコしているけど。
結局、戦う姿が見たいだけらしい。
そんなわけで次の話に続く


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