第246話 空手と拳闘(ボクシング)



今回の刃牙の出番は表紙だけだ。
やる気ない・人望ない・人気ないのないないない主人公の出番が久しぶりに表紙だけなのだ。
表紙だけでも出張るあたりが気に食わないのだが。
なんにせよこれは板垣先生の数少ない良心であり、達人を噛ませ犬にしてしまったお詫びなのだッ。(たぶん違う)


「M・アライ VS ドッポ オロチ」
「犯罪だぜこいつァ…」
「日本全国…どこの会場で打っても満員札止めだ」

独歩の言う通りの超ビックカードだ。
現実世界で例えるとモハメド・アリVSマス・オーヤマに匹敵する。
名もなき公園でやる戦いにしては惜しい組み合わせだ。
…まぁ、本部VS柳は公園でやるに相応しい勝負だったと思うけど。
シコルスキーVSジャックも便所と電話ボックスで戦うに相応しい戦いです。
思い直してみれば電話ボックスで戦うなんて、めちゃくちゃ狂っていますね。
あの時のシコルスキーは役者的にがけっぷちだから、必死こいてネタにならなきゃいけなかったんだけど。

とにかく、Jrが仕掛けた。
自慢の拳を小細工抜き・手加減なしで、だ。
達人ですら反応できなかった拳は、独歩の顔面にまともに入ってしまう。

(マイッたなこりゃ)
(受け技使おうにも)
(反応が間に合わねェ……)

武神があっさり諦めた。あまりにあっさりすぎる。
だが、Jrの拳はそれほどのモノだということの証明なのだろう。
いまさらながらJrはとてつもない実力の持ち主だ。
今までの相手は噛ませ犬ばかりだったので実力を発揮できていませんでしたが。

何にせよ独歩は受け技からの反撃を狙っていたようだ。
前回は奇襲を仕掛けたが失敗している。
この状況で無闇に攻めるよりも相手の出方を見た方が賢い選択だ。
独歩の選択は間違っていなかったが、今回ばかりは相手が悪かったようだ。

だが、殴られてばかりの独歩ではなかった。
のけぞりつつも、廻し蹴りを放つ。
1日1000本の修練から放たれる廻し蹴りだ。
変則的な体勢からの攻撃のため、並の格闘家ならかわすのは難しいはずだ。
だが、Jrはよけた。
足と顔はわずか数センチしか離れていないように見える。
おそるべき動体視力。神がかり的な見切りだ。

しかし、独歩の反撃はこれだけではなかった。
廻し蹴りの後にすばやく次の攻撃へ移ろうとする。
後ろ蹴りだ。
ひとつの反撃から攻勢へ移ろうとする。
さすが、武神。見事な手際だ。
だが、カウンターを食らう。
しかも、コークスクリューパンチで、だ。
タイミングがドンピシャの見事にして強力な一撃だ。
これにはさすがの独歩もダウンだ。
ま、まさか、これで沈んでしまうのかッ!?
その後は梢江ショーになるのだけは勘弁してくれッ!!

Jrは見切りからのコークスクリューパンチのカウンターと、さりげなく高等技術を披露した。
さすが、ボクシングマイスターだ。
ボクシングの技術なら何でも扱えるのかもしれない。

「やめやめ」
「やっぱり」
「スポーツじゃ勝てねェやな」

読者の不安をよそに独歩はなんなく立ち上がる。
逆立ちから美しく立ち上がる。
もし試合場でやったら、観客は間違いなく沸くパフォーマンスだ。
さすが手首で殴り、背広を脱ぐのにも無駄な動きを加える男だ。
案外、派手好きです。
範馬一族に匹敵するかもしれない。

思えば独歩は勇次郎の攻撃を幾度も受け、爆破でも死ななかった男だ。
タフネスさは尋常ではない。
Jrの攻撃で簡単に沈んでもらっては困る。読者的にも本当に困る。

「勝テヌナラ………」
「ドウスルト言ウンダイ」


対するJrはかなりのタメ口だった。
渋川先生を撃砕して、「オレは噛ませ犬ハンターじゃ、ねェ」という自信でもついたのだろうか?
勝利は蚊トンボを獅子に変えた。
まぁ、梢江との刺殺戦で肝が太くなったのかもしれないが

「続けろよ」

独歩がハンドポケットに移行した。
大擂台賽で龍書文が見せた技だ。
だが、Jrが見せた回答は相変わらず自慢の拳による最速の一撃だった。
いくら抜拳したところで根本的な攻撃速度ではJrの方が勝っている。
ゆえに小細工無用、真っ向勝負という考えか。

だが、Jrのパンチは当たらなかった。
ちょうど独歩の顔面の手前で止まっている。
独歩のハンドポケットは抜拳術ではなかったのだ。
これにはさすがのJrも動揺した。
ならもう一度と言わんばかりに、ワンツーを仕掛ける。
しかし、これも当たらなかった。
相変わらず顔面の手前で止まっている。
独歩は目前で止まっている拳にキスをするほどの余裕を見せた。
これは記念すべきグラップラー刃牙第1話で、独歩が刃牙にやられた行為だ。
あれ以来、誰かの拳にキスをして挑発してみたかったのかもしれない。

「どうでェ…」
「少しは見直してくれたかい」

独歩は余裕を見せる。
逆にJrは動揺してばかりだ。
この辺りは年季の違いか。
Jrは焦って前に踏み込む。
そこに独歩の抜拳術が炸裂した。
Jrの顔が苦痛に歪む。どうやらダメージ十分のようだ。
独歩の意外な技で勝負の先がわからなくなったところで次回へ続く。


独歩がハンドポケットからの技を披露した。
さすが武神と称されるだけあって、技の抽斗(ひきだし)が豊富だ。
この調子であと最低3週間は頑張ってください。
まぁ、このままJrを倒すのも面白いのかもしれない。
敗北によってアライ流はさらに進化するのだ。
刃牙は敗北によってヘタれましたが。

これから勝負がどう動くのかも注目だ。
独歩の拳にはドリアンの胸骨を破壊し尽くすだけの威力がある。
破壊力満点の拳が当たれば勝利は近い。
そう考えればJrのパンチはスピード、独歩のパンチはパワー型だ。
さりげなくスピードVSパワーの勝負になっている。
独歩は年季の入った技術でいかにスピードに劣る拳を当てるのか。
Jrはどれだけスピードで押し切れるのか。
どちらが勝つにせよ、アライ流は新たな進化を遂げそうだ。
範馬刃牙流格闘技も進化してください。
…まぁ、梢江との闘争が範馬刃牙流格闘技の到達地点なのかもしれないけど。



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