第267話 テキトー


試合開始前に波乱が起こるのがバキ世界だ。
順当に戦いが起こるのであろうか?
――起こるわけがない。

とりあえず、復活したJr.にかませ犬が捧げられそうだ。
噛まれる人はシコルスキーあたりがいいだろう。
「あッ…あのシコルスキーの攻撃が…当たらないッッ!!」こんな感じに誰かが驚く。
…ん?でも、シコルスキーの攻撃は元々あまり当たってないような…



「治ったの……?」
「………………ケガ………」


そんなわけでJr.の元に波乱が起きていた。
波乱の根源は松本梢江だ。
ひぃぃぃぃぃッッ、怪我が治ったならこんな女に構うなァァッッ!!

松本梢江の面構えは相変わらず可愛くとも何ともない。
バキの次に連載されている舞-乙HiMEとはエライ違いだ。
豚肉とコカコーラくらい次元が違う。
なお、バキに舞-乙HiMEみたいなのを求めているわけではありません。
松本梢江があんなことをやったら、読者一同は嘔吐しそうです。

Jr.と梢江のデートの場所は今までのファミレスオーガストとは異なり、湖が見える公園だった。
今までの数倍雰囲気がいい。
むしろ、デートにはこういう場所を選ぶべきだ。
デートの選択肢がファミレスだけってのはどうよ?

「治ッタモ同ジ………」
「君ノオ陰ダ……」
「ソシテ君ノ彼ノ…」

Jr.は怪我が治った理由のひとつに松本梢江のおかげだと言う。
いや、それは違うだろう。
怪我が治った理由は人体の可能性とアライの血筋。
そして、無茶を貫き通す板垣ISMだ。

「わたしのお陰なハズないじゃん」

当然、ツンデレ属性の梢江は反論する
しかも、語尾に「じゃん」を付けている。
梢江が「〜じゃん」と連呼しながらヤクザのすねを蹴ったのは有名なエピソードだ。
Jr.もすねを蹴られてしまうのか?
せっかく治った怪我がまた再発してしまう。
そして、刃牙との戦いは延期。刃牙の出番も延期してしまう。

「君コソガ」
「テキトーナコトヲ言ッテル」


だが、復活したJr.は梢江にひるまない。
真っ向から勝負している。
肉体の回復と共に精神も鍛えられたようだ。
でも、こんなことをしている暇があったら、親父にでもトレーニングを受けた方がいい。

「わたしのどこがテキトーなのよ」

失礼ですが、顔が適当な気がします
コミックスの話になるが、最新の28巻では梢江の顔のいくつかに修正が加えられていた。
修正の方向性は「可愛くするため」だ。
つまり、連載時の梢江の顔は可愛くないのだッ。
あ、修正後もあまり可愛くありません。

でも、梢江は存在そのものがテキトーな気がするのは自分だけだろうか?
屈強な雄どもの中に花咲く一輪の花という感じだ。
だから、浮いてしまう。
なお、花のイメージはラフレシアでお願いします。

Jr.は「人は目的のためなら頑張れる」と一般論をそれっぽく梢江に諭す
そりゃあ、トイレの数メートルが面倒でも、リゾートまでの一万数千キロは我慢しますよ。
だって、トイレに行っても娯楽はありませんから
リゾートは娯楽の山のため、トイレが面倒な人でも頑張って行こうとする。

そんな当たり前のことに梢江は(……………確かにその通り)を動揺する。
いや、アンタには自分とセックスするためにバスも列車も使わずに走りまくった恋人がいるだろうがッ!!
それに毒に身体を犯された中、勇次郎と戦うために吐血しながらトレーニングする恋人の姿も見たはずだ。
松本梢江もヤキが回ってきたのか?

そして、その目的があったからこそ、Jr.は回復したと言う。
嘘だ。デタラメだ。誤魔化しだ。
いくら目的があったからって、サンドバッグを殴って骨折が治る霊長類なぞ存在しない
なんというか、毒に犯された身体にさらなる毒を与えることで、解毒するくらい無茶な療法だ。

「戦うの……?」

「憎イカラネ彼ガ」


刃牙と戦うのか聞いた梢江に対する答えがこれだ。
ものすごく感情移入できる言葉だと思うのは自分だけか?
そりゃあ、同じ格闘家として、セックスするだけで強くなったり、砂糖水飲んだだけで快復したり、その間実に2秒で終わらせる人間は理不尽だろう。憎いだろう。
でも、サンドバッグ殴って骨折が治る人も同じくらい理不尽な気がする。
傍らにロシア人がいたら迷わず殴りかかって返り打ちにあっているはずだ。

「バキ・ハンマハ君ヲ手ニ入レ」
「地上最強ノ称号ヲ手ニ入レテイル」
「2ツトモ僕ガ欲シイモノダ」
「ソノ2ツヲ手ニスルタメニハ」
「彼ハ避ケテ通レヌ障害ダ」


Jr.は梢江も地上最強も欲しいらしい。
でも、地上最強はともかく、梢江はいらないと思う。
強いんだ星人はやっぱり違う。



場面は変わって徳川邸だ。
ご老公は久し振りに登場したアントニオ猪狩と刃牙とJr.のどちらが勝つのか話している。

「1976年のあの時…………」
「彼の拳法ボクシングは既に骨格が出来つつあった……」


アライ父と一戦を交えた段階で十分なレベルまでアライ流は完成していたらしい。
だが、その試合では猪狩が寝っぱなし、それに対してアライ父はまったく仕掛けられなかった戦いだ。

間合いに入るや否や
どんなタックルを試みようが――――
たちどころに撃ち落とされる!!

猪狩はアライ父に攻撃を仕掛けると即座にカウンターを食らってしまうイメージがあったと告白する。
アライ父も仕掛けられなかったが、猪狩もまた仕掛けられなかった戦いだったのだ。
打たれることを前提とするプロレスラーですら、殴られることを恐れるパンチ力をアライ父は持っていた。
恐るべし実力だ。
一時期プルプルしていた姿がブラフに感じてしまう。

「アライJr.が勝利します」
「必ずッ」

アントニオ猪狩は刃牙が負けると大胆予想した。
そりゃあ、今回もまた出て来ない主人公よりはJr.の方が勝つと思えるだろう。
でも、範馬の壁は高い。
簡単には越えられないだろう。
でも、本当に勝ってしまったらどうなるのだろう?
梢江を奪われてしまうのか?



またまた場面が変わって今度は料亭だ。
そこにいるのは武神と達人だった。
双方ともにJr.に痛手を負わせているのが共通点だ。
ご老公同様に刃牙とJr.の勝敗予想をしている。
そして、Jr.の勝利を予想しているのも同様だ。

ところでテーブルの上には何枚もの皿が重ねられている。
こいつら、どれくらい食べたんだ?
そして、これくらい食べてやっと本題に移るのか?

「我々のせいです」
「おそらくは試合の当日………」
「まさに試合のさ中にッッ」
「アライJr.が完成するッ」

「一致しましたな……」


刃牙に対する風当たりは非常に強いようだ。
武神、達人、両者ともに刃牙が負けると大胆予想だ。
むしろ、予想というよりも願望だろう。
要するに刃牙負けろだ。
つくづく人気のないご様子で…



「君の眼ノ前デ…」
「バキ・ハンマヲ…………」
「倒ス」


そして、最後を締めくくるのはJr.の熱い抱擁だ。
勘弁してください。相手が梢江だと萎えます。
そんなわけで今回は終了だ。
刃牙に対する恨みがここぞとばかりに炸裂している。
この恨みが発揮されるのは…次号が休載なので、再来週になるようだ。



みんな、示し合わせたように刃牙の敗北を予想している。
そりゃあ、もう数ヶ月も出てきていない主人公を応援する気にはなれないのだろう。
でも、表紙にだけは出てきているのが最後の意地だ。
そんな意地、いりません。

次回からやっと戦いが始まるのだろうか?
その前に刃牙になにかしら頑張ってもらいたいところでもある。
さすがに4ヶ月あまり出てきていないのは主人公としてまずいだろう。
でも、梢江とのトレーニングという名のセックスだけは勘弁な。


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