バキ道感想 第16話「最筋量姿勢(モーストマスキュラーポーズ)」



オリバの拳が粉砕された!
それだけでなく肋骨を捕まれた。
お願い、死なないでオリバ!
あなたが死んだらアイアン・マイケルの生死はどうなっちゃうの!


「肋骨かい!!!」

拳が砕かれたオリバは宿禰に肋骨を捕まれた。
格闘技観戦経験豊富なみっちゃんでさえ、宿禰が掴んでいる場所の理解が遅れる。 いや、この人、毎回理解が遅れてるな。
ピクルの時の金的も理解できてなかったし。

怪力無双のオリバが細く小さく見えるほどに宿禰はデカい。
いや、オリバが絶体絶命だから迫力がなくなってちいさく見えているのかも。
ともあれ、オリバはまたも浮いている。
しかも、肉越しに肋骨を捕まれている。 踏ん張りが利かない以上は力が入らないし絶望的な状況だ。

オリバの凄まじい筋量だろうと関係なしに宿禰は肋骨を掴んでいる。
ただパワーがあるだけではなかなかできそうにない。
石炭をダイヤモンドにできるのだから、握ることに関して何らかの特殊能力があるのかも。 ほんの僅かなでっぱりがあればそれを掴めるとか。
そんな奴がいたな。シコルスキーです。

「「力」が…………入ラネェ…」

この大ピンチにオリバは……何もできなかった。
身体が浮いているから踏ん張りが利かない。
さらにこんなことをされれば想像を絶する激痛だろう。
あのオリバが力ではどうすることもできなくなっている。 喋ることができているだけでもかなりの胆力だ。

「これは…「命」を掴んだも同然です」
「ねぇ…」
「決着としましょ」


宿禰はやや慇懃に降伏を促す。
礼儀正しいのか正しくないのかよくわからんな。
負けを認めるよう布告することは本来は負けフラグだが、今回はそうはならないだろう。
今、宿禰はオリバの命を握っているのだ。
宿禰の相撲は命のやり取りを前提としている。 初代宿禰と蹶速の壮絶な死闘を現代に受け継いでいる。

「「力」……入レナオサネェトナ……」

対してオリバは両腕を掲げる。
これは最筋量姿勢モーストマスキュラーポーズ
初出単語だよ!
当たり前のように言うなよ、みっちゃん!
加藤にそっくりになった加納秀明は何ソレって顔してるぞ! そういえば、加藤って兄弟がいるみたいですね。
加藤と加納で名字が似ているし、あるいは……

両腕を大きく掲げ、それを振り下ろすことで力む。
過去、オリバは筋肉を誇示する時にこのポーズを取っている。
そして、タキシードを粉砕している。
オリバにとってもっとも力めるポーズが最筋量姿勢モーストマスキュラーポーズなのだ!

これで肋骨に絡んだ宿禰の指を振り払うつもりなのだろうか。
上手く行っても勝ちには繋がらない。
絶望的な状況での足掻きに他ならない。

だが、宿禰の反応は冷ややかだ。
これ以上の抵抗をすれば遠慮なく肋骨を粉砕する気だ。 それでも構わずにオリバは最筋量姿勢モーストマスキュラーポーズを取る!
筋肉に愛を注いだ男の意地と矜持であった。

その結果、肋骨を掴んでいた宿禰の腕がオリバの肩付近まで上がった。
つまり、肋骨を下から上まで粉砕したことになる。
えげつないにもほどがある大ダメージだ。
下手しなくても死ぬ。

さらにオリバは床へと叩き付けられる。
肋骨を根元から折るだけでも致命傷なのにさらに投げで追撃だ。
ホント、容赦ねえ!
宿禰は大人しそうでやる時は容赦なく殺るファイターだった。 蹶速を遠慮なく殺した初代の精神を受け継いでいる。
ピクルや武蔵といい最近のファイターは危険度が高い。
……ピクルがデビューしたのは10年前だから全然最近じゃないんですけどね。

肉へのダメージは優しいが骨へのダメージは厳しいのがバキ世界である。 なので、この試合はオリバの敗北で決定だろう。
これで立ち上がったらコイツはタコだ。
問題はここから再起、というか生存できるかどうかですね。
普通なら死ぬけどバキ世界の住民なら……何とか生き延びて欲しいところだ。
ドクター紅葉には頑張ってもらいたい。

宿禰の相撲は初代宿禰の、かつての相撲の技そのものを受け継いでいるというよりも、現代の相撲の技をかつての相撲の危険度まで引き上げたもののようだ。
ただの鯖折り、というか寄り切りも宿禰の手にかかれば殺人技だ。

ともなれば気になるのはこうした殺人相撲を磨き上げた土壌だ。 宿禰が生まれ育った秘境ではこうした血生臭い光景が繰り広げられているのか。
それともリアルシャドーで鍛え上げたのか。
宿禰の相撲には謎が多い。
オリバの安否も気になる。
にしても、オリバ、悲しいけどもう噛ませ犬なんですな……
自分と対等以上のパワーに加えて技術を持つ宿禰との相性が最悪とはいえ、いいところが何もなかったのは悲しい……
次回へ続く。