戦姫絶唱シンフォギアXV EPISODE05 かばんの隠し事



S.O.N.G.本部制圧! おのれ、訃堂!
XVの敵は力と力の真っ向勝負を仕掛けてこず、ノーブルレッドも訃堂も搦め手で翻弄してくる。
今後、搦め手なしの圧倒的な力を持つ存在、カストディアンが立ちはだかる伏線……?




「預けるでアリマス、シンフォギアッ!」

「離脱するゼ、ヴァネッサッ!」

本部制圧により勝負なし。
ノーブルレッドは動きが止まった装者たちを攻撃……することはなく、尻尾を巻いて逃げていくのだった。
まぁ、殴って反撃されたら死にますからな。
パナケイア流体の濁りが今まで以上にハッキリと見えているから、コンディションも絶望的なのだろう。
なお、エルザだけ飛行能力がないのでヴァネッサに担がれている。
そ、走行能力はあるでアリマス……




「ヴァネッサさん……」

二人の表情は暗い。
ヴァネッサとしても響の手を繋ごうとする響はただの戯言とは思えないようだ。
意外と話がわかりそうだが既にやらかしているのも事実。引けないのも事実。訃堂が引かせてくれないのが実情。
対話というのはいつだって困難な道なのであった。




「護国災害派遣法第6条『日本政府は日本国内におけるあらゆる特異災害に対して優先的に介入することができる』……だったな」

「そうだ、我々が日本政府の代表としてS.O.N.G.の査察に申し込んでいる」
「威力による制圧と同じに扱ってもらっては困る」
「世論がざわっとするから本当に困るッ!」


さて、本部。
装者たちが戻る頃には制圧が完了しているようだった。
そうなったのも護国災害派遣法によるものだった。
で、護国災害派遣法を施行したのは訃堂。
つまりは訃堂の差し金である。
このバルベルデ生まれのおっさんも訃堂の刺客なのだろう。

訃堂を抜きにしてもS.O.N.G.の持つ強大な武力を手の内に収めようとする日本政府の思惑が垣間見える。 そういった動きは無印の頃から匂わされていた。
そのため、粗を何とか見つけて突っ込みたいのだろう。
二課もS.O.N.G.も正義の味方なれどその活動は周辺も諸手を挙げて賞賛しているわけではなく、OTONAたちが外圧を押さえ込んでいるからこそ装者たちは自身の務めに専念できるのであった。



「どうみても同じなんだけど」

「あの手合いを刺激しないの……」

藤尭はツッコミを入れる。
まぁ、実際に威力で強引に制圧した。
強引に制圧したからノーブルレッドを逃がすことになった。



だが、藤尭、お前、こんな醜態を晒した後によく堂々とこんなこと言えるな。
お前、こういうところがそういうことなんだぞ。
しかし、友里さんのツッコミも容赦ないデスね。
素でビビっていた藤尭とは違って毅然と憮然としていただけの胆力の持ち主である。






「国連直轄の特殊部隊が野放図に威力行使できるのはあらかじめその詳細を開示し日本政府に認可されている部分が大きい」
「違うかな?」


「違わいでかッ!」
「故に我々は前年に正式な手続きの元――」


「先ほど見させてもらった武装、開示資料にて見かけた覚えがないのだが、さて?」

「そんなッ!?」
「アマルガムを口実にッ!?」


さて、今回の制圧の口実はアマルガムであった。
報告にない武装をいきなり使われた。どんな危険があるのかわからないから作戦行動を中止しろ、という建前だろうか。
この辺、けっこう細かいのがシンフォギア世界。
いつもノリと勢いで使っているように思えるみんなの必殺技も一つ一つ申請していそうだ。 実際、野放図に必殺技を使った結果、深海の竜宮は崩壊しているし、そうした前例が不明武装に制限を課す口実の一つになっているのだろう。




「この口振り、最初から難癖付けるつもりだろ……」

「く……ッ!!」

難癖そのものだが正論は正論。
これには弦十郎でさえ反論はできなかった。
しかし、余計な一言が本当に好きな藤尭だな。
うるさいなぁ、ぶっころすよ?




「風鳴司令、ここは政府からの要求を受け入れるべきかと」

「そうデスとも」
「って、え……え~……」


「切ちゃん、今難しい話をしているから……」

ここで翼は意外にもバルベルデのおっさんの肩を持った。 自分にも関わる問題のため、軽々と受け入れられる問題ではないはずなのだが……
これには切ちゃんも意表を突かれる。
何かただ可愛いだけの生物になりましたね、切ちゃん。元からだった。






「後ろ暗さを抱えてなければ素直に査察を受け入れてもらいましょうか」

「いいだろう……だが、条件があるッ!」
「装者の自由とギアコンバーターの携行許可」
「今は戦時故不測の事態の備えくらいはさせてもらう」


「折り合いの付け所か……」
「ただしッ! あの不明武装については認可が下りるまでは使用を禁止させてもらおうッ!!」


「………………ッ!」
「勝手にしろッ!!」


日本には戦時のレベルの危機が訪れているのだった。
まぁ、10万人が死にましたからな。
そして、バルベルデのおっさん、エラそうに「お前の事情を最大限汲んで譲歩してますよ」と言いたいような口振りだが、装者が動けなくなれば困るのは日本そのものだぞ。
役人は誰かの足を引っ張ってまで何の益にもならん自分の権勢を主張するのが好きだな!
実に金子的な描写かつキャラクターだ。 安心しろ、お前は長生きできない。

というわけで、新技、アマルガムは早速封印されてしまう。 せっかくサンジェルマンたちの意志を継いだのに……
サンジェルマンも抗議してやれよ。
あ、ダメだ。あの人、支配絶対NOの人だった。
こんな相手と対峙すればふざけるな73812で殴りかかってもおかしくないし交渉役としては最悪だった。




「あれは、不明武装なんかじゃない……」
「拳を開く勇気なのに……」


サンジェルマンの意志が宿っているかどうかそのものが不明ではある。
用語集でも明言されていないし。
だが、響としてはたしかに実感として感じただけに悔しさを隠せない。
アマルガムは響にとっては拳を開く勇気の表れであった。
GXで拳を握る勇気を学び、AXZでは逆に拳を開く勇気を学んだワケダ。




「灯台もと暗しでアリマス……」

「まさか、ここを宛がわれるとか思ってもみなかったゼ……」

「護災法の適用以来、国内における特異災害の後処理は全て儂の管理下にある」
「裏を返せばここは誰も簡単に手を出せぬ聖域に他ならぬ」


「つまり、アジトとするには打って付けのわけですわね」

さて、ノーブルレッドは車中泊から無事に次のアジトを提供されたようだ。
お爺ちゃんも出向いてくれる。
行動力の塊だな、このジジイ。普通、代理人を立てると思うのだけど。
いや、代理人に任せた結果が昼の埠頭のど真ん中で取り引きという大失態だった。
そりゃ自分で出向くわ!

護国災害派遣法は特異災害の後始末も担当しているようだ。
つまり、特異災害の全てに訃堂は目を通していることになる。
フィーネのルナアタックから異端技術が関わる事件がやたらと増えたわけだし、それらに干渉するために護国災害派遣法を施行したのだろう。
AXZから訃堂の出番が増えたのは護国災害派遣法という大義名分を手にしたからだが、GXまで訃堂の出番が少なかったのはそもそも干渉するための大義名分がなかったからである。
現在進行形でS.O.N.G.は法の枷に縛られているが、訃堂もそれは例外ではなかったのだろう。 しがらみに縛られるのはけっこうお互い様なのであった。
まぁ、今の訃堂は好き勝手しているわけデスけどね……




「計画の最終段階に着手してもらおう」
「神の力を防人が振るう一振りに仕立て上げるのだ」
「ここにはそのための環境を整えてある」


もう最終段階かよ! 第5話だぞ!
お爺ちゃん、いざ動き出すと本当に早い。
というわけで、訃堂の見立てではあとちょっとで神の力ゲットのようだ。
かばんの隠し事、シェム・ハの腕輪を渡す。
……とんとん拍子過ぎてコケそうだな。

防人が振るう一振りに仕立て上げるということから、国産神の力、ウルトラマン響とはまた違った運用をするのだろうか。
あれは制御不能かつ出力にも劣るという失敗だったワケダ。
狙いとしてはディバインウェポンの方が近いのかも。
でも、防人とか言い出しているからそれともまた違うものかも……





「設備稼働に必要なエネルギーも事前に説明してある通り」
「手筈は既に進めておる」


さらに下準備だけでなくノーブルレッドの命、Rhソイル式の全血製剤もしっかり用意済み。
お爺ちゃん、行動力が凄いし派遣社員を動かすために十分な報酬も用意していると有能だ。
さすが大物界の大物、風鳴訃堂。
大物界の無能のアダムと違って至れり尽くせりだ。






「だが……果敢無きかな」

「………………ッ!?」

「ロクに役目をこなせぬ者がいると聞く」
「おかげで儂の周辺で犬が嗅ぎ回るようになっているとも」


「それは……」

しかし、だからとホワイトな上司ではなくノーブルレッドの命である全血製剤を踏み躙って威圧することも忘れない。
その気になればRhソイル式全血製剤を全て防人の血涙として消費してもいいと言わんばかりだ。
さらにノーブルレッドもなじる追い打ち付き。
さすがは外道。有能かもしれないけど部下は大変の極みだな……




「私たちノーブルレッドは蔑まれモノ同然に扱われてきた」
「パヴァリア光明結社においてファウストローブの研究者であった私は不慮の事故にて瀕死の重傷を負ってしまう」


さて、ここでヴァネッサは回想開始。
かつて結社の研究者であったが事故で重傷を負ってしまうのだった。
そこは用語集で解説された通りの過去だ。
こうした過去もあるしシェム・ハの腕輪を起動させていたしでヴァネッサは優秀であることがわかる。




「失われた生体部分を自身の研究対象であるファウストローブに換装され命を取り留めたものの……」

その後、ロボット化。
ロボットボディとはいえ胴体が切り離されているのがけっこうエグい。
ヴァネッサは首から下は全部ロボットのようだ。
そりゃ人間に戻りたくなるワケダ。




「完全なる命を至上とする結社において、この事実は私の位階を下げるばかりか」
「データ採取用の臨床検体というさらなる辱めを受ける結果となってしまった」


そして、そこから非道の実験でアヘ顔。
身体をファウストローブに換装して生き残ったのはある意味大きな成果だと思うが、なかなかそうは認められなかったようだ。
この辺、サンジェルマンは何か言ってましたか?
支配が嫌いだからこういうのはあかんよと諭してくれたと思いますヨ。
でも、あの人、わりと自分のことに精一杯なところがあるから組織の下部には目が届いていなさそうだ。




「屈辱と苦痛の地獄」
「それでも耐えてこられたのは、同じ献体として出逢ったミラアルク、エルザの存在に他ならない」


そして、育まれるレズの絆……
悲惨な境遇を共に過ごしたからノーブルレッドたちの絆は固く結ばれたようだ。
組織の中でも高い位置にしていたヴァネッサはミラアルクやエルザを見下していたかもしれないが、そんな二人は笑って迎えてくれた。
そりゃコロっといきますわ!

ノーブルレッドはF.I.S.に似た境遇である。
とはいえ、F.I.S.は人体実験レベルの処置は行われていない。
上司もウェル博士は身体には優しかったし、ナスターシャ教授は本物の愛情を注いでいた。
それが悪に染まろうとして全然ちっとも染まれなかったF.I.S.と悪にガチで染まったノーブルレッドの分岐点か。




「やがて地獄にも終焉が訪れる」
「結社の崩壊は衡からの解放でもあった」
「だが、この身は特別な血液なくしてままならぬ不自由を抱えている」


そんな中でアダムが斃れたことで結社は崩壊、ノーブルレッドたちも解放されるのだった。
でも、黒服に追われて幸せな身とは言い難かった。
力を使えばパナケイア流体が濁って命が危うくなるので抗戦は不可能。
かといって捕まえればRhソイル式の全血製剤が途絶えて死ぬ。
結果、常人相手に逃げ回るしかないのがノーブルレッドの境遇の過酷さを物語っている。



「その時、現れたのが風鳴訃堂」
「私兵を持たないこの男は血液の提供と願いの成就を条件に私たちに計画の参加を呼びかけてきたのだ」


行動力の塊だな、このジジイ!?
あの、そこ、外国ですよね……?
風鳴訃堂、恐るべし。やると決めたら自分の足で現地へ赴く。

しかし、ノーブルレッドをどこで知ったのかは風鳴脅威の諜報力で何とかするとかして、何故ノーブルレッドを選んだのか。幹部の次くらいの実力者でも良かったのでは。
弱点ありだが力がある、ノーブルレッドたちは結社に義理がなく思うように動かせる、Rhソイル式の全血製剤さえ絶てばいつでも殺せるという事情が絡み合っているからか。




「怪物ならば怪物なりに務めを果たしてもらうぞ、ノーブルレッド」

「チッ……」

シェム・ハの腕輪は丁寧に手渡ししたのに対し、Rhソイル式の全血製剤は投げて渡す。
この違いに訃堂はノーブルレッドを道具程度にしか考えていないことがわかる。
まぁ、このお爺ちゃんがノーブルレッド可哀想!儂が真の防人として守護らねば!となったら不気味の一言に尽きるけど。
その扱いが不服なのか、ミラアルクは舌打ちをする。
策略も行動力もとんでもないけど部下からの人望は最悪の訃堂であった。



「計画は走り出したのだ」
「もはや何人たりとも止めさせぬ」


というわけで、新たなアジトはチフォージュ・シャトーだった。
すっかり背景にしてカ・ディンギルと並んで東京の新たな名物となった感のあるチフォージュ・シャトーだったがここに来て再び出番がやってきた。
訃堂の口振りから察するに計画の実行に当たってチフォージュ・シャトーを用いるようだ。

チフォージュ・シャトーは地球上のレイラインを利用して万象黙示録を完成させようとした。
神の力の顕現にはレイラインを利用することになるのは発覚済み。
なるほど、訃堂はチフォージュ・シャトーを利用して神の力を手に入れようと……
地のレイラインを用いた神の力の顕現はAXZでレイラインを遮断することで妨害されているが、あれはレイライン遮断によって生じる損失を関係者との協議によって納得させギリギリ実行できた苦肉の策でもあった。
こうした舞台裏にいくらでも干渉できる訃堂を止めることのできる人間は存在しない。 レイラインを利用する策は既に二度行われたことではあるが今回は防ぐ手立てがなさそうである。
つまり、訃堂の計画が最終段階に達すればどうしようもない……




さて、S.O.N.G.の査察が行われている。
藤尭は生意気そうだ。
うるせえ! 銃向けるぞ!





「そろそろだと思っていたが盗聴は大丈夫か」

「御用牙時分からの昵懇の情報屋回線を使わせてもらっている」
「もちろん、念の入れようは十重に二十重だ」


そんな中で弦十郎と八紘は電話越しに密会を行う。
御用牙時分、つまりは二課以前の公安警察官時代の人脈を使っている。
XVは最終作だけあって過去作のネタを引っ張ってきますな。
いや、御用牙時分のネタを使ったのは初めてって勢いだけど。
なお、裏切りが心配された緒川さんはごく普通に周囲を警戒している。
XVの緒川さんは心配させておいて全然普通に平気が持ちネタになっている。 忍者らしいと言えば忍者らしいか……?




「お前の読み通りだ」
「今回の一件、正式な手続きの査察ではあるが担当職員の中に不明瞭な経歴の者が含まれているようだ」


「そうか……」

「そして、巧妙に秘匿されてはいるが鎌倉の思惑と思しき痕跡が見受けられるな」

「………………ッ!!」

昼の埠頭のど真ん中で取り引きさせている以外でも訃堂は本人でもメチャクチャ行動している。
そりゃ証拠残るわ! 巧妙どころか取り引きだけに限ればガバガバだわ!
ただ逆に考えればあそこまで動いて未だに決定的な証拠を掴めていないのはさすがと言ったところか。
そして、経歴不詳職員……間違いなくバルベルデ生まれのおっさんだな。
あそこまでバルベルデしていれば日本人だと誤魔化せませんよ……






「兄貴……結社残党のノーブルレッドを擁しているのはやっぱり――」

「――早まるな、弦」
「全てがつまびらかとなるまでは疑うな」
「私とて、信じたいのだ」
「風鳴訃堂は曲がりなりにもこの国の防人」
「何より私たちの父親ではないか」


「ああ……だが、しかし……」

「私は人を信じている」
「最終的に信じ抜く覚悟だからこそ、如何なる手段の行使すら厭わない」


「八紘兄貴……」

訃堂、息子たちにメチャクチャ疑われていた。
部下に嫌われるだけならまだしも息子から疑われるとは……
ちょっと悲し……あ、八紘は嫁を寝取られていた。
弦十郎の訃堂のイチイバル紛失の尻拭い的に二課を引き継いでいた。
そりゃ疑るわ! 自業自得!

ただ恨みを抱いてもおかしくない八紘でさえ訃堂が防人であることは認めていた。 やっていることは外道そのものだがたしかな実績があるのはたしかなのだろう。
でも、曲がりなりにも呼ばわりだしな……
何か本当一応防人って扱いなんですね、訃堂……
どんだけ素行不良なんだよ……




「だから私は政治を自らの戦場としているのだ」
「今は関係悪化している米国とも協力態勢を必ず実現してみせる」
「月遺跡共同調査の提案もその膳立てに過ぎん」
「なおもこじれるなら我が国への反応兵器発射事実を切り札に国際社会からの孤立を恫喝させてもらうさ」


そして、八紘は政治家としての覚悟も語る。
月の共同調査は八紘の提案によるもののようだ。
無理矢理でも米国との協力態勢を結ぶことが国の今後に繋がると考えているのだった。
そこは実際のところはどうなのかわからないが……ともあれ、同じ目標を持てば関係もマシになるのではないかと言うのは間違っていないか。



「そいつは堪える」
「やっぱスゲェな、八紘兄貴は」
「兄貴の中でも一番おっかない」


そして、ここで弦十郎がとんでもないことを言っている。
「兄貴の中でも」って他にも風鳴兄弟が居るのかよ!?
思えば「八」紘に弦「十」郎……名前の中に数字が象られている。
つまり、最低でも10人、翼を足せば11人の訃堂の子がいる……?



それを裏付けるように月遺跡共同開発の責任者は風鳴一族だ。
「戦略的対外政策管理総~」の「管理総長 風鳴二~」らしい。
あれで汁気たっぷりの絶倫エロジジイであった。
日本政府のあらゆるところに風鳴一族が混ざっていそうだな……
ならば、日本が日本として存在するためには風鳴一族の力は不可欠とさえ言ってもおかしくない。
そりゃたしかに曲がりなりにでも防人と言われるでアリマス。
訃堂は息子に数字にちなんだ名前を付けているのだろう。
それが風鳴の慣習のようだ。
子をたくさん作ったから名前を付けるのが面倒になって数字にちなんだ名前を付けたという話を思い出す。あ、サガフロ2です。
そんな慣習に逆らって自由を意味する翼という名前を八紘は娘に授けた。
ただただ娘への愛を感じさせる。
訃堂は動き出してから存在感が増してきたが、八紘も年々その存在感が増していくのだった。
それだけに娘が危うい現状、伴って八紘が危うくなりそうで不安ががが……




「前線は託すぞ、弦」
「計画が綻びを見せるのはいつだって走り始めてからだ」
「この先にちらつく尻尾を逃さず掴めば必ず真実は明らかとなる」
「疑うのはそれからでも遅くはない」


ともあれ、確定するまでは静観しろと弦十郎に言葉を残す。
逆に確定したら好きにしろということか。
弦十郎VS訃堂のステゴロガチバトルはXVでの見せ場だ。期待しよう。
……やってくれるよね、ステゴロガチバトル。



さて、情報屋のおばあちゃん、メッチャ手強そう。
用語集で無駄に濃い経歴が書かれるな!
……多分。





「せっかくお休みをもらったのにしょんぼりな感じね」

「うん……いろいろありすぎてさ……」

さて、シンフォギアはこれでも一応美少女アニメ。
美少女アニメには欠かせない風呂シーン抜剣!
1クールに1回はあるんデスよね、風呂シーン。
そんなわけで久々の響と未来とのTAIMAN BATH。
S.O.N.G.が査察によって機能不全となったのか、休みが装者には与えられるのだった。
あったんだ、休日……
最近は装者が順番に出撃しているけど休暇とかシフトとかそういうのもあったり?



「一部を除く関係者に特別警戒待機って……」

「物は言いようってヤツだッ!」
「とどのつまりは査察の邪魔をするなってことだろッ!」


「ますます以て気に入らないッ!!」

さて、時間はやや巻き戻りおそらくは査察直後。
装者たちは憤慨するのだった。
せっかくの新武装で掴みかけた勝利を投げ捨てられた上に使うなとまで言われたら不貞腐れる。
そこから発展してエクスドライブを使っても水を差されるかもしれないと思うと穏やかではない。
この前例は今後の活動に大きな支障をきたす可能性があるのだ。



「だが、それが正式な申し入れであるならば私たちに拒否権がないのも文民統制の原則だ」
「致し方あるまい」


「翼……」

防人は自身の今後の活動に大きな支障をきたす事態をあっさりと受け止めている。
先ほどの弦十郎に査察を受け入れるように打診したようにあっさりしすぎている。
その様子を友であるマリアは怪訝に感じるのだった。
不浄なる視線ステインドグランスの影響……?





「休息を取るのは悪いことじゃないと思うけど……」

「だからってはしゃぐようなお気楽者は誰一人いないのデスッ!!」
「違うのデスッ!?」
「この本はたまたまそこにあっただけで全く以て無関係デスッ!!」


【速報】今回の切ちゃん、可愛いだけ
第2話第3話で大活躍した反動か、今回は可愛い生物に専念する!
まぁ、エピソードはAXZまでに消化し終えちゃったからね。仕方ないね。
いや、暁(仮名)一族の秘密はあるかも……ないかも……




「エルフナインちゃんってお休みはいつも何してるの?」

「お休みの日は気晴らししてます」
「ダイレクトフィードバックシステムを応用して脳領域の想い出を記録された電気信号と見立てることで――」


「今はヤメテトメテヤメテトメテぇッ!」
「それは気晴らしじゃなくてわりとしっかり目のお仕事か何かだよ、多分ッ!!」


「何とッ!? だったらボクはお休みの日に何をしていいのかわからないガッカリ目の錬金術士か何かです、多分」

現在のシンフォギアを手がけているのはエルフナインなので、エルフナインにも待機が命じられたようだ。
相変わらずキャロルの想い出を探しているようだ。
そして、エビフライマグカップがしないフォギアから輸入! 止めろ、笑うから。
しないフォギアからのネタの輸入はけっこうあるので、円盤は必須アイテム。




「だったらボクは――じゃないだろ、まったく」
「そういうことなら暇潰ししてくれる打って付けにくっついて過ごしな」


「「「ジー……」」」

「打って付けって、わたしィッ!?」

貴重なクリスの声真似。
シンフォギアRADIOかな?
さらに調の得意技をマリアと切歌が模倣である。
コイツら、ノリがいいな。特にマリアさん。
まったくというレベルで話さない響とマリアだがこういう反応はする辺り、仲そのものは良好なことが窺える。
そう、きっかけがないだけなのです……きっかけがないからDiscordの通話に誘えないだけなのです……
なお、このやり取りに翼は一人だけ参加していない。 受けたダメージの根深さが窺える。



「――ちょせぇッ!!」
「ちょせぇッ! ちょせぇッ!!」


「どうしたぁッ!? 無体なぁッ!!」

「クリスの真似」

そうして落ち込む響に未来はクリスの物真似をする。
シンフォギアRADIOかな?
あの……何で風呂場に水鉄砲があるんですか? プレイの一環?
こいつらの深層心理にはジャリガキが蠢いている。



「ちょせぇッ! ちょせぇッ! 群雀共がぁッ!!」

響もクリスの物真似で対抗。
シンフォギアRADIOかな?
クリスのイメージ、そんなんなのか……
金子節で会話するとネタにされる。気を付けよう。





「で、せっかくのお休み、どうする?」

「どうって……どうしよう……」

「久し振りのお休み、響は何がしたいの?」

「わたしがしたいことかぁ……」

ひえっ、この人妻、美しすぎ……
全力の小日向未来。
今後、災厄に巻き込まれる女の顔である。
というわけで、わりとこういう時に響の意志を押すのが未来であった。
あまり自分を押し出さない。
故にかばんの隠し事……





というわけでデート! 防人とエルフナインを交えてデート!
第1期第9話を思い起こさせるデートである。
勝ったな! 防人の心も癒えるな!



が、ダメ! この人、剣!
いや、まぁ、無理デスよね……
いくら何でも無理筋であったか。




「また逢う日まで――逢える時まで――」
エルフナインが演歌を唄うという驚愕の事態にも防人、ガン無視。
前回のCMという巧妙なネタ振りも防人には刺さらず。
これだけならオモシロシーンなのだが曲名が「また逢う日まで」なので、ちゃんと聞けば感動できる系なのは間違いない。 これ、キャロルとの想い出を絶唱していそう……
ただ感動させるだけだと恥ずかしいからか、照れ隠し的にギャグを挟んでくるところあるんですよね、シンフォギア。
車椅子生還をやってのけたマムとかな。






「響……何がどうなってるの……?」

「おかしいなぁ、最近しょげてる翼さんを一緒に盛り上げるつもりだったのに……」

「すまない、突然予定が空いたが故、立花の申し出を受けてはみたが……」
「私に余裕がないのだろうな」
「今は歌を楽しむよりも防人の業前を磨くべきだろうと心が逸る、焦るのだ」


「翼さん……」

そりゃそうなるわい!
洸の後だから印象がやや薄くなっていたけど響は地雷を全力で踏み込む傾向がある。 父親に似た浅慮だ。前回もおかげで地雷を全力で踏み抜いた。
というわけで、見事に空振りをしている。



激唱インフィニティするエルフナインもガン無視。
お前ら、少しは構ってあげろ。
こういう部分はノリノリで歌ったキャロルに似ているのであった。



「あの日以来、震えが止まらない」
「弱き人を守れなかった自分の無力さに」
「全ては自分のせいなのだと」


風鳴翼、全力で防人っている。
……しかし、弱き人とか言う人だったのだろうか。
どうにも翼らしくない言葉であった。
そのファンに支えられる自分も知っているから弱いと言い切ることはできないはずだが。
この辺もミラアルクのやらかしか?




「話すだろう――」 「楽しいですッ! これもまた休日の過ごし方ッ! たまにはいいですね、こういうのもッ!!」

そんな中で空気を読まずに絶唱完了するエルフナインであった。
アゲアゲのエルフナインとサゲサゲの翼の落差に心が痛む。
マジ卍……
翼は本来けっこうノリがいい。 「恋の桶狭間」を唄った時はそれはもうノリノリだった。響の誕生会でも後片付けを張り切って死んだ。
それがこれである。防人っている……





「――響は勝手すぎるよッ!!」

「何もそんな言い方しなくても……」

「ちょっと待て、どうして二人が……」

「翼さんのこと、わたしにも相談くらいしてくれても良かったじゃないッ!」
「それにもっと別の方法だってッ!!」


そんな中、未来が唐突に怒り始めた。
で、出た! 唐突にキレる未来さん!
この人、わりと唐突に怒るんですよね。本編はもちろんしないフォギアでもかき氷を頼まなかっただけでキレた。
いや、今回は義憤とも言えるものだが……ともあれ、久し振りに怒ったのだった。
すっかり二人共安定状態だっただけにサプライズアンガーである。




「わたしだってわたしなりに考えて……」

「わたしなりにじゃなくて、翼さんのことも考えたのッ!!」

こいつ、Rh洸式の全血製剤で動いているからなー。
人の気持ちをあまり考えないのが響。
考えないからこそどんな相手でも真っ正面からぶつかるし、だからこそ気持ちを届けることもあるのだが……
その性情は今回は悪い方向に働いたのだった。






「じゃあ未来は翼さんの気持ちがわかるのッ!?」

「わかるよ……」
「だってわたし、ずっと自分がライブに誘ったせいで大好きな人を危険な目に遭わせたと後悔してきた」
「それからずっと危険な目に遭わせ続けている自分を許せずにいるんだよ」


しかし、未来さんも未来さんも些か苛烈ではないか。
そうなったのは理由があった。
同じくライブの惨劇が残した傷跡を未来は知っていたのだった。
そりゃ軽々しく触れて欲しいとは思わないだろう。
というわけで、響は第二の地雷、未来の過去のわだかまりを踏んでしまう。

未来が思い出す苦い過去は響の重傷を負ったことだけではなく、ライブが原因で疎まれたこともだった。
ライブが原因で響は肉体的にも精神的にも大きなダメージを負った。
その後悔を未来は背負い続けていた。
今までは抑えていたのだがライブの惨劇を再び目の当たりにしたことで浮上してしまったのだろう。




「『ゴメン』って言葉、ずっと隠してきた」
「それがきっとその人を困らせてしまうとわかってたから」


「未来……何で……」

響は言葉を失う。
まさにかばんの隠し事……「ゴメンって言葉は鞄に隠しておくんだ」という歌詞がある。
Gを乗り越えた響と未来の関係を表すような明るさに満ちた曲であったが、その実、明るさの中に未来の後悔を隠していた歌でもあった。
そんな曲をGの時点で作っておくとか……本当にシンフォギアの原作、金子彰史と上松範康は恐ろしい。結婚しろ。金子のおっさんは寝取れ。

ただ……未来は響にゴメンだけでなくありがとうという感情を持っているのも事実。
けれど、浄罪されたはずの二人でもすれ違ってしまう。
これがバラルの咒詛であろうか……
そして、未来さんがキレ始めると事件が起こるのが伝統である。
……未来が渦中に身を置くのはほど近いか……





「響です、翼さんとエルフナインちゃんも一緒です」

「現在、査察継続中につき査察官代行である私から通達します」

「えッ!? どちら様ですかッ!?」

そんな中、知らないおばさんから電話がかかってくる。
S.O.N.G.の査察は継続中であり、伴って事件が起きても本来にして万全の態勢で事態に臨めない。
命を賭けて戦う戦場に憂いを残して向かわなければならないのであった。
今までのシリーズ以上に万全で始まったXVだが、生まれた不和がS.O.N.G.を蝕んでいく。


「第32区域にアルカ・ノイズの反応を検知」
「現在、当該箇所よりもっとも近くに位置するSG-r01とSG-r03’はただちに現場へと急行し対象を駆逐せよ」


代理おばさんは響と翼を型式番号で呼ぶ。
何か兵器扱いしているようでイラッとさせる。
S.O.N.G.メンバーの人情味を改めて感じさせるのだった。
あの人たちはガングニールと天羽々斬って呼んでくれるしな!
……あれ? あまり変わらない?
ちゃんと名前呼びもしてくれるけど。





「二人は安全な所へッ!!」

「未来ッ!」
「……また、後で」


「うん……響も気を付けてね」

響は未来とエルフナインを安全なところまで連れて行く……ということはしないで逃げるように諭す。
この辺、響は意外にドライ、シビアというよりも仕事に徹している。
AXZ第6話でも不本意ながらもリディアンを見捨てる選択をしようとした。
響は自分と未来なら未来を選ぶが、未来と大義なら後者に寄ってしまうのだ。 この辺の選択は今まで匂わせてはいたが明確な答えは出されなかった。
だが、XVは未来さんの未来が暗い。
……選択の答えが描かれるのかも。




「行くぞ、立花ッ!」
「刃の曇りは戦場にて払わせてもらうッ!!」


「はいッ!!」

「Imyuteus amenohabakiri tron――」

今まで曇っているのは翼だけだったが、響も曇ってしまった。
ならば戦うより他ないのが防人流。
それにしても翼は曇ってる自覚あったようだ。 そこは客観視できているようだ。ちょっと笑う。
……面倒臭くなっていた時の自分を知るだけにさすがに今の自分は面倒臭い自覚はあるか。




変身バンク最後の一人、天羽々斬!
キャラソンの発売延期と合わせて大分後回しにされるかと思ったが、意外にも変身バンク開始!!
というわけで、まずは恒例のXV基本セット。




そして、地面を突くと同時に燃える!
青キャラだが熱い炎を身に纏うのも風鳴翼。
まぁ、わりと熱い怒りを纏って戦う人だしな……
多分、激怒具合は全キャラの中でも一番スゴい。 短気そうなクリスでも我を見失うほどにキレたことはない。防人はそれくらいキレる。



誰だ、この美人!?
この人、一応美しい系の人……のような気がする。
防人ムーブに押されすぎてそんなイメージが喉笛掻っ捌かれていた。




イグニッションしながら大量の剣を形成、それをギアへと変化させる。
風鳴翼=剣を象徴する演出だ。 今回の翼は剣成分が第1期並みに高めなのでピッタシでアリマス。





剣! 剣! 剣! XVのバンクはとにかく剣推し!
本当に剣を纏っているんだなって……
今ならファラのソードブレイカーで心身をバラバラに砕かれそうですね。






さらにカットインの時のような背景の芸コマを見せながら、恒例のコンバーターまで。
NORMAL OPERATIONというかSAKIMORI OPERATIONデスけどね。






そして、キメ!
今まで以上に剣な演出が詰め込まれていた。
本当に剣である。心身共に剣である。
それはささくれた防人の心を表現しているようでもあるのが……






防人が唄うのは「Defender’Z Brand!」!
延期でどうなるかと思ったが意外とあっさりと唄った。
それはつまり、カップリング曲の「風のあなたに」がシナリオ的に重要な意味を持つ……?




「ブッ飛べェッ!!」

響もLAST∞METEORチックな技でアルカ・ノイズをなぎ払っていく。
ガングニールの絶唱特性は「放たれたエネルギーがドリル状に渦を巻く、突破力・貫通力に秀でた性能」という性質があるので、そうした一面が表れたものだろう(用語集)。
まぁ、響のガングニールはドリル状どころかドリルそのものになっている感はあるけどな!



「SG-r01並びSG-03’に通告」
「不明武装の認可はまだ下りていません」
「くれぐれも使用は控えたし」


「わかってますッ!」
「アルカ・ノイズを相手にサンジェルマンさんたちの力を借りなくても――」


うるさいなぁ、ぶっころすよ?
とことん水を差してくる代理おばさんであった。
一応、サンジェルマンさん「たち」の力なんですな。
良かったな! カリオストロ! プレラーティ! 忘れられていないぞ!
カリオストロは時間を戻してライブを救ってみよう!(中の人)




「まさか……ッ!?」
「本部ッ! 付近一帯の調査をお願いしますッ!」
「アルカ・ノイズがただ暴れているだけなんてこと、おかしいですッ! きっと――」


「現在、装者周辺にアルカ・ノイズ以外の敵性反応は見られません」
「SG-03’はこちらの指示に従ってアルカ・ノイズの掃討に専念されたし」


アルカ・ノイズは災害であるオリジナルのノイズとは異なり兵器なので、何らかの意図を持って動いている。
響はその違いを知っているからか、素早くアルカ・ノイズがただ暴れていることの異常に気付く。
さ、聡い!? 響らしくない!
アルカ・ノイズはいずれも目的を持って運用が行われていたし、幹部に至ってはシンフォギア打倒の戦術に組み込んでいた。 こうした経験が響にこの判断をもたらしたのだろう。
まして手練手管の限りを尽くすノーブルレッドならば警戒するのも必然か。

が、代理おばさんは無視。いいから倒せと言うだけ。
ダメ! このおばさん、全然ダメ!
いなくなってわかるS.O.N.G.のメンバーのバックアップの偉大さである。
そういえば、藤尭とかけっこう相手の狙いについて打診することがあったね……
ビビっているだけじゃなかったよ……



「立花ッ! 避難誘導が完了するまでは本部からの管制に従うのだッ!」

「でもッ!?」

「行くぞッ!!」

ダメ! この防人、全然ダメ!
ただ防人っているだけなら懐かしいで済んだが、ポンコツになっているのは未曾有だ。 防人はプロ防人なので防人っている時でも無茶はすれど判断ミスはしていなかったのだが……
問題なく唄えているようで存外致命的なダメージを負っているのかもしれない。



「SG-r03’、これ以上指示に従わない場合は行動権を凍結し拘束されることに――」

「査察は中止だッ!」
「礼状はここにあるッ!!」


礼状で動きを封じられたのならば、それを打開するのもまた礼状。
謀略にも慣れている弦十郎は素早く礼状を用意するのだった。
緒川さんだけでなくマリアさんも控えていることから、マリアさんも頑張ったようだ。 さすがはエージェントだけあって、こういう裏方仕事も得意だ。
前線に出て戦っても強い、後方で陰謀に立ち向かうのも得意……
あれ? 強キャラ? これはテロリストとして活動したらヤベえことになるデスよ!




「該当査察官、見当たりませんッ!」

「鼻が利く……ッ!」

緒川さんがマークしている査察官は当然バルベルデ生まれと思しきあのおっさんだろう。
あの人、前に出すぎというか挑発しすぎというか存在感出し過ぎというか……
そりゃ疑われるよ! 自爆だよ!
享楽に生きるばかりで冷静かつ大局的な判断のできない人だ。
くっ、金子のおっさんのネガティブな部分だけで作られたような人だゼ……




「剣足る者には使命があるッ!」
「弱き人を守るべき強い力を備えているッ!」
「もう二度とあのような惨劇をッ!!」


鼻血娘、防人の手によって3度目の死を迎える。
お前はガンダムSEEDのニコルかよぉ!
というわけで、防人らしい逆羅刹で一掃しながら翼らしくない言動をする。
弱き人に強い力を備えているとは何事ぞ……翼はそんなこと言わない……

翼が防人として戦うのはこういった使命感ではない。
無印の前半はそれだけで戦っていた時期があったが見事に折れた。
その後、無印第9話では自分が守ってきた人々や街を知ったことで、自分の戦う意味と唄う意味を知った。 倒すための剣ではなく守るための剣にこそ防人の真髄があるのだ。

だが、今の翼はあの日と同じデートをしながらも、あの日に見つけたモノを完全に見失っている……
実に残酷な対比が行われているのであった。
これは防人が負った心の傷によるものか、あるいは不浄なる視線ステインドグランスの影響か……






「そこにいたか……ッ!!」
「貴様ァァアアァアアッ!!」


そんな中でミラアルクを見る。
見つけると同時に蒼ノ一閃! 響と違って対話する気ゼロ!
致し方ないのだが……純然足る殺意が込められている。喉笛掻っ捌く気120%。
結果、ミラアルクを切り裂くが背後にある車を破壊してしまう。これでは二次被害になりかねない。

そして、翼の瞳には不浄なる視線ステインドグランスの影響が出ている。 やっぱり、しっかりと効果が出ているようだ。
最低7万人の被害者を出してまで使った技だけあって利き目は抜群のようだ。
防人の精神状態が平常ではないだけならまだしも、判断力がポンコツになってるし……




目の前のミラアルクをFATAL KOしても今度は別のところにミラアルクちゃんがこんにちはだゼ。
すかさず斬る。
それによって背後のビルを破壊してしまう。
防人れよ、防人!
あの日見つけた守るための剣はどこへやら、倒すための剣を振り回すのみだった。




さらにミラアルクが翼を囲むというご褒美にして悪夢のような光景が繰り広げられる。
翼は斬り払っていくが正常な判断ができているとは言い難い。
何せこの状況がおかしいと疑ってさえいない。



「翼さんッ!?」
「――翼さんッ!!」


そのミラアルクは当然本物ではなく幻覚。
翼が斬り伏せていたのはアルカ・ノイズだった。
アルカ・ノイズ一匹を倒すために車やビルという二次被害を出してしまっている。 装者たちはけっこう好き勝手暴れているようでこうしたことにはうるさいのはGX第10話でクリスが弦十郎に叱られたことから明らかだ。
力の使い方を考えろと叫んだ弦十郎の気持ちが今ならわかる。
そんな翼に響の声が届くわけもなく独断専行するのだった……





絶対殺す形相で翼は大型飛行ノイズを撃破する。
この人、久し振りに全力の防人だ。
最近は綺麗で頼れる先輩キャラだっただけに落差が激しい。
でも、この人、昔はこんな感じだったからなー。ホント防人。
絶刀・天羽々斬を唄いながら後輩に全力で天ノ逆鱗を放ったことは絶対忘れねーからな(ボソッ)







そんな中でまたミラアルクが見える。
全力全開! いっちゃえ、激怒の全部で!
お前は何を考えてこんな名前を付けたんだよ、「炎乱逆鱗斬」!
炎に狂って逆さ鱗で斬るですよ。
ここまでロクでもない技名もなかなかない。
握るべき剣を放り投げるというのも象徴的だ。 大技であると同時に何とも苦しさが出ているのであった。





結果、ビルは崩れ炎は街を焦がす。
楽しい冬の休日を象徴していたかのような雪だるまも溶けていく。
雪だるまが溶けていく様はまるで涙を流しているようだ。
それは防人の兇刃によって日常を壊された涙に思える……




ここまでやって仕留めたのは自分の分身、武士ノイズ一匹。
翼は心身共に疲弊するより他なかった。
防人の務めを果たそうとした結果、防人が守るべき日常を壊してしまった。
アルカ・ノイズを放った敵の思惑を見通すことができず、ただただ翼がダメージを負って戦いは終わったのだった……正直、しんどい……






「翼……何を、一体……」

実はマリアは翼の強さしか知らない人間だ。
何せF.I.S.時代、それも実際に刃を交える前、ライブの前の挨拶の時点で強さを知っていたし恐れていた(しないフォギアG後編)。
仲間になった後はその恐れは心強さへと変わり、同時に意外と可愛い部分を知った。
だが、マリアは翼の脆い部分だけはまったく知らない。 何せ無印の防人な翼とは付き合いがないからだ。

そんなマリアにとって翼はこの凶行には絶句するより他ない。
第2話のように焦るのならまだしも、街を破壊してしまうのはさすがに想定外で想定外。
それは友のまったく知らなかった顔であり脆さであった……




「何で……何で繋がらないの……?」

その頃、響は未来に電話をするのだが通じない。
いや、もうちょっと火のないところで電話をした方が……
こ、こういう時は通信機の方で連絡を取ろう。
未来さんだって通信機は持っているゾ。Gの時に壊されたけど持っているゾ。
……平常心を保てていないのは翼だけでなく響もということか。





「手間をかけさせやがるゼ」

通話に応じない理由は単純。
バイブレーションにして走っていたからでした。
そりゃ気付かない。未来は着信音じゃなくてバイブレーション派のようだ。
で、そんな二人を追いかけるミラアルク……
性根の悪い作戦は全部ミラアルクの担当のようだ。
意外と策を弄するのはエルザの仕事。





「いけない……」

「エルフナインちゃんッ!? 大丈夫ッ!?」

「エルフナインってのはそっちのどんくさい方だろ? それでもちょこまかと逃げ回ってくれたもんだゼ」

しないフォギアで何度も笑いを誘ったエルフナインの得意技いけないズッコケだが、今回はシリアスなのでちょっと笑えない。
そんな中でミラアルクが追いつく。
追いつくだけなら簡単だったろうが、監視カメラを破壊していたし誰の目にも付かないように動く必要があったようでそこそこ苦心したようだ。
あるいは単純に未来さんの脚力に追いつけなかったとか。
無印第8話で僅かな時間で響が追いつくのに苦心するほどに異常なレベルの逃走をしてたし。 未来さん、身体能力の描写がいちいちおかしい。たまにおかしい。




「友達には手を出させないッ!!」

「ダメですッ! 未来さんッ!!」

これがシンフォギアXDならメイドギアでも纏って物理攻撃を無効化しながら撲殺しているところだが、生憎本編の世界線は純金子製。
そんなことをできるわけもなく、生身で盾になることしかできない。
そして、未来にとって友情の大事さがわかる。
未来にとって友情は命を賭けて守り抜く価値のあるものなのだ。 響もそういうことだろう。友情に命を賭けるのだから熱くなるし怒る。
友情ガチ勢が小日向未来。決してレズではない。レズじゃねえ!



「こうも簡単にお前を本部の外に連れ出せるとはなッ!」

「何であなたがッ!?」

「確保を命じられたのはエルフナインただ一人」
「さあて、あんたの扱いはウチ一人じゃ決めあぐねるゼ」


出た、バルベルデ生まれのおっさん!
君、間違いなくこの現場にいなくていいよね!? こうやって出張るから尻尾掴まれるんだよね!?
おっさん、訃堂の配下だった。
なので、こうして干渉してくる。
ミラアルクはおっさんをガン無視。扱いはそういうことらしい。
そんなミラアルクの狙いはエルフナイン。
訃堂の計画にはチフォージュ・シャトーを使う……
チフォージュ・シャトーの建造にエルフナインは携わっている……
なるほど、身柄を求めるわけである。
そして、査察も休日まで働き詰めで本部から一向に離れようとしないエルフナインをいぶり出すためだったのだろう。
休日でも仕事するのがエルフナインだが、S.O.N.G.
うーん、ノーブルレッドを助けるためという狙いを兼ねていることもわかるが大掛かりだな!



「ピンポンパンポン♪」

「ヴァネッサ」

「ミラアルクちゃんに連絡です」

そんな中でちょうどミラアルクに連絡が入る。
おっさん、本当に無視。マジ無視。
レズの絆に割り込めると思うなよ、テメエ。
まんがタイムきららなら存在することさえ許されないんだから面白いことを言えただけ感謝しろよな!






「逃げてッ! エルフナインちゃんッ!!」

「未来さんッ!? いけませんッ!」

「ああ、了解したゼ」
「悪く思わないで欲しいゼ」


「エルフナインちゃんッ!」

「未来さんッ! 逃げてくださいッ!!」

友情に命を賭ける未来。涙を流しながら逃げろと叫ぶエルフナイン。されど情を移さず処断しようとするミラアルク。
シンフォギアXDなら振り袖ギアを纏って技属性のダメージをブロックしながら撲殺していたところだが、生憎リアル世界はそうもいかない。
相手は最低7万人を殺し弱者であっても躊躇なく殺した上に何度でも回想させるシンフォギア界屈指の外道。
死ぬノダ……




「テレビではすっかりお目にかかれなくなったシーンにわたくし、あちこちの昂ぶりを抑えきれないッ!!」

だから、お前は面白いことを言うのを止めろ! いや、止めるな! 言え!
よもやおっさんの赤面を見ることになるとは思わなんだ。
何すか、これ、金子のおっさんのモーションキャプチャーですか?
……悪いことを遠慮なくやれるけどそれ以外はガバガバの人材っスね。




「未来さん逃げてッ!!」

そして、エルフナインの叫びも空しく、噴水のような大量の血が飛び散った……
お願い、死なないで未来!
あんたが今ここで倒れたら、響や級友との約束はどうなっちゃうの?
話数はまだ残ってる。
ここを耐えれば、アヌンナキに勝てるんだから!


次回「おっさん死す」

シンフォギアスタンバイ!

……まぁ、死んだな、バルベルデ生まれのおっさん。
死ぬ星の下に生まれているよ。
きっと訃堂が言っていた「ロクに役目をこなせぬ者」っておっさんのことじゃないか?
実際、目立つことをしまくった結果、嗅ぎ回られているし。
ミラアルクも全然意に介していない。
悪く思うなとかこれから波乱に巻き込むことになる未来さんに向けて行ってるよ。
おっさんとかわりとどうでもいいと思ってるよ。
それに未来さんは死ぬ死ぬ詐欺の大偉人だ。特に引きで死にそうな時は死なない。


あと美少女の血は美しい。
あんなどす黒い色の血を出すのはおっさんくらいデスよ。



うるせー! お前は防人ってろー!

だが……安心はできない。
S.O.N.G.に査察が入ったということは未来さんが神の力を宿せる浄罪された人間だと発覚したかもしれない。 響が神の力を宿したが失敗とも言える結果だったが、未来さんなら……
訃堂の計画に当たって真に必要な存在、浄罪された例外である未来さんを手中に収めたのかもしれないのだ。
折り返しの第6話で大事件を起こすのが昨今のシンフォギアのお約束。
ここでおっさん共々殺された方が良かったというくらいの過酷な運命がこれから始まるのだろうか……
次回へ続く。







One thought to “戦姫絶唱シンフォギアXV EPISODE05 かばんの隠し事”

  1. 十中八九無いと思うけどエルフナインに言う事を聞かせる為に未来さんブシャーして「コイツを助けたいんならウチ等にどういう態度を取ればいいか…分かるよな?」ルートもあり得る気がして安心しきれないのがノーブルレッドの良い所

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