刃牙道感想 第79話「責務」



本部が勇次郎を翻弄している!?
もはや奇跡そのものである。
本部は存在が奇跡に昇格したらしい。
これはいよいよもって殺戮せねば……
オレが本部を殺すと言っている!


さて、煙幕から回り込んでの短刀が刃牙を地に着けたコンビネーションである。
勇次郎にもそれをやるのか。
恐怖と期待をしたが残念というか、妥当というか、本部は普通に逃げ出した。
すぐさま部屋の外に出て追いかけた勇次郎だが、本部を捕捉することはできなかった。

本部は煙幕を出してから本部は猛ダッシュで逃げたのだろう。
実に迷いのない行動であった。
そして、これっぽっちも闘争たたかう気を見せない。
まぁ、アンタは守護者ですからな。闘争者ではありませんからな。
ついでに「とうそうしゃ」を変換したら一番に「逃走者」が出てきた。

何にせよ本部は勇次郎を完全に手玉に取ったのだった。
これはもう今すぐ死んでも後悔のない人生と言い切れるだろう。
それにしてもかつて仇敵として追いかけた勇次郎を守護ると言い放つ本部の度量の深さよ……
小生、感動を隠せません。
笑いも。

「混乱していた」
守護まもられたことがなかった…」
出産うまれてから今日この瞬間ときまで」「一瞬たりとも他人ひとに”守護まもらせた”ことがなかった」


と、ここで勇次郎が落涙するほどにキレた理由が語られた。
勇次郎は守られた経験がなく、だからこそ本部の言葉がクリティカルヒットしたらしい。
何せ出産も授乳さえ命令したのが勇次郎だ。 本当に己一人の力で生きてきたのだろう。

「”守護まもられる”という――――」「圧倒的不慣れ」
「”守護まもられ”への免疫がない」


そんな勇次郎が守護ると言われた。
勇次郎をして今まで体験したことのない未知の事象であった。
同時にそのプライドを根底から傷付けられたに違いない。
勇次郎の涙にはたしかな理由があったのだった。
まぁ、本部は守護ると言っただけで実際には何も守護れていないのだがな!

怒狂おこっていた…」

当然、勇次郎はブチギレるのであった。
勇次郎は最上級の怒りを表現する地団駄を踏む。
ホテルが震え強化ガラスにヒビが入るほどの激怒であった。
勇次郎にここまで怒ってもらえただけでも本部は光栄だ。 こりゃもう2度と勇次郎とは顔合わせできんな……
守護者ではなく逃走者に鞍替えする必要があるのであった。

さて、勇次郎を手玉に取った本部はどうしているか。
冷や汗ダラダラで歯を鳴らしながらメチャクチャ震えていた!
勇次郎を手玉に取るというのは相当に命がけの行為なのであった。
だが、これは責められまい。誰だってそうなる。
勇次郎に2度敗北しその強さと恐怖を刻み込んだ本部ならなおさらだ。
その上であえて守護するという気概を見せた本部の決意は本物だ。
(ふふ……やるじゃないか……)
(怒髪天を衝くあの勇次郎に…)
(意志を貫いた……!!!)


そんな本部だが達成感に満ち溢れていた。
我が行動に一片の悔いも曇りもなし!
だから、お前は言うだけじゃなく行動しろ! 前口上だけで満足するな!
勇次郎を相手に啖呵を切るほどの決意なのだから、守護ることにはもう何も突っ込まん。
烈が殺された以上、本部の手でも借りたいくらいだ。
なので、さっさと守護ってください……

「範馬刃牙――」「渋川先生――」「ジャック――」「愚地克巳――」
現代いまを生きる闘士たちには決して見えぬもの 本部以蔵だから見えるもの」
「古流武術に生きてきた」
「見えてる者が前に立つ あまりにも当然の責務だ」


現代を生きるって、それアンタもでしょうが……
まるで自分が太古の人間のような言い様だ。
現代格闘技を学ぶとかにしてください。
あと渋川先輩から渋川先生にランクアップしましたね。
さすがに先輩は不躾だったらしい。
なら守護ってくれ! 死にはしなかったが痛い目を見たぞ!

そんなツッコミはさておき、武蔵と同じ古流武術だから一番に矢面に立つという責務があるようだ。
その責務はどこから出ているのか、怪しいが本部がやる気を出しているのはいいことかもしれない。
いいことにしておこう。

しかし、古流武術を体得しているのは事実かもしれない。
それで刃牙から一本取り、勇次郎を翻弄したから十分な実力は備わっている。
が、果たして武蔵のそれと違って本物かどうかは怪しい。 本部が本物か否か……
それを試す日はいつの日か。
前に立つのが当然の責務と言いながら全然前に立っていない。
でも、本部って銃後で解説しているのが似合うよね……

バキ世界で最高峰の技術を持つ渋川先生でさえ武蔵には敵わなかった。
まぁ、あれは武蔵の土俵で戦ったのも悪かった気もする。
武器なし幻影なしの完全素手で戦っていればまた話は違ったかもしれない。
素手でも烈を圧倒した武蔵だから、渋川先生が勝てるかは厳しいが試合にはなっただろう。
だが、武蔵の土俵で戦わなければ真の勝利とは言えないのがジレンマでもある。

そんな気難しい世情の中で本部は守護るために戦っている。
いや、戦ってないけど。
煽っているだけだけど。
とりあえず、日本刀を持って金竜山に復讐してみるか? ナマス斬りにされた金竜山を見せれば本部の決意が伝わるかも……

本部がコメントしたこの4人が刃牙道の中心人物なのだろうか。
片腕となった克巳と身長が超伸びたジャックの戦いはたしかに気になる。
一方で昂昇や紅葉にも期待をしたいところなのですが。
紅葉なんて烈VS武蔵の観戦に来たのに見事にフェードアウトしている。
烈の危機を救うことに期待したのだが。

さて、渦中の人物である武蔵は徳川邸でみっちゃんと一緒に酒を飲んでいた。
渋川先生及び警視総監の取り引きはあれで幕引きだった。
ううむ、渋川先生はあれでいいのだが、警視総監の取り引きは一体何だったのか……
三輪をイジめたいだけだったのか?

武蔵は現代の酒を味わっている。
その評価が気になるところだ。
酒造技術の進化で当時以上の美味だとは思うが特にコメントなし。
現代の食に関する感想は気になるし、何か言っていただいても……

「凄いな…」

武蔵はふと呟く。
唐突なその呟きにみっちゃんは混乱する。
しかし、烈が亡くなった翌日に酒か……
こいつ、本当に反省しているのか?
弔い酒というのもあるが、アンタは発端なのだからちと反省しろ。

と、言われて障子を見やると影が歪むほど闘気を発している男がいた。
これは勇次郎か!
本部の言葉をガン無視でいきなり武蔵に逢いに行った!?
本部が何の役にも立っていない!
いや、それはいつものことだった。
刃牙道の本部は存在をアピールすれどこれっぽっちも役に立っていない。

「礼を言う」

勇次郎らしき人物を前に武蔵は笑い、みっちゃんへ礼を述べる。
待ち望んだ超弩級の強敵が目の前に現れた。
その正体は本当に勇次郎なのか、それとも別人なのか……

武蔵は独歩・烈・渋川先生の強者を倒した。
いずれもバキ世界のスター選手である。
そうなると次に出てくるのが勇次郎なのは妥当だ。
本部は知らん!
それともここでこそ本部が武器を纏って乱入するか?

本部の力によって物語は再び大きく動き出した。
刃牙道における本部の影響力がよくわかる。
そして、これっぽっちも守護れていないこともわかる。
次回へ続く。


本部、いっぱいいっぱいだった!
本部は本部らしさをアピールし、勇次郎は勇次郎らしい涙の理由を語り、互いに株を高めた。
そう、本部はヒーローよりこういう立ち位置の方が似合っているのだ。

そんな本部の張り切りは何だったのか、勇次郎がやってきちゃったよ。
刃牙道が始まって1年半ほどだが、大分強者が片付いて終盤感もある。
ある種の節目に勇次郎は何をするのか……

実は勇次郎じゃなかったりするかもしれない。
胴着と髪型だけなら昂昇もギリギリ入る。
また、髪型なら本部だって頑張ればイケるだろう。
もしや、本部なのか!
となると本部は武蔵が認める本物?

でも、バキ世界において自分勝手度は強さに正比例する。
本部のような誰かを守護るという自分勝手とはあまり関係のない行為では……
だけど本部の守護って何か守護の押し売りな気がする。
つまり、自分勝手な行為?
つまり、本部は自分勝手?
つまり、本部は強い……?


刃牙道(8): 少年チャンピオン・コミックス