刃牙道感想 第91話「実戦屋」



2016年も本部年だ!
年始から本部である。
去年の今頃は本部が烈に機関銃を使わせろと言っていた。
もはや年始の悪魔と化している本部であった。


さて、時は本部とガイアの立ち合いが始まる少し前に遡る。
決着条件はやりながら決める!
試合はルールがあって成り立つが、こんなものではルール無用同然だ。
そして、お互いにルール無用の超実戦派、本部流の使い手だ!
ルール無用の超実戦派、本部流の使い手だ!
ルール無用の超実戦派、本部流の使い手だ!
……ダメだ、連呼しても凄みがこれっぽっちも伝わってこない。

道場にはルールがある。
これは本部自身の言葉だ。
だが、このような曖昧な取り決めではルールなどない。
道場とて、危険!
そして、本部が危険!
逃げろ、本部ェ! 後退のネジを付けろぉ!

いやいや、NONONO。
相手はガイアですよ。
刃牙を殺しましたよ。シコルスキーもキャラクター的に殺しましたよ。
それに対して本部は何だ?
刃牙道以前の戦果なんて金竜山以下の一言に尽きるぞ。
刃牙道からの強化っぷりは不気味としか言いようがないが。
何だ? クスリでもやったか?

まずはガイアの初手は硫酸入りカプセル。
懐かしのノムラの技だ!
幼年期の刃牙にあっさりと防御されたショボい技ではあるが、初動が極めて小さく見切りにくい技である。
牽制としては最高と言えるだろう。

「カプセルに仕込んだ硫酸……」
「わたしが教えたのだったな」


だが、この技、本部直伝だった!
それ故にガイアのこの奇襲も見切り手の平で受け止める。
まったく動じない。
力士の小指の強さに動じたくせに硫酸入りカプセルには動じない!
ガイアとしては当たれば良し、当たらなくともそれで良しな攻撃だったが、こうまで見事に見切られると気圧されてもおかしくはない。

そして、本部の台詞から本部流柔術は現代の戦法も開拓していることがわかる。
カプセルに硫酸を入れるなんてクラシックなだけの古流柔術にはありえない発想だ。
無論、口に何かを含みそれを吐き付けるという戦法はいくらでもあっただろう。
だが、それをカプセル入り硫酸にすることでより小さくより軽くし、より見切られにくい戦法へと進化させた。
本部流柔術は現代に対応しているのだ。

本部はただクラシックな古流柔術家ではない。
この硫酸入りカプセルは伝統を守るだけでなく、日々新たな研究と努力をしている証拠である。 何でもそうだが慣例を守ることは簡単だが、開拓していくことは難しい。
本部の飽くなき武への探究心がわかる。
まぁ、相撲には対応できなかったがな!

本部はハンカチを取り出し硫酸を拭う。
硫酸入りカプセルをぶつけてくる横綱より危険度の高い相手を前にこの余裕!
オリバも認めるエレガントさであろう。
というか、ハンカチとか持っていたんだ、このおっさん。
トイレの後は拭かないかズボンで拭うとばかり思っていた。

それに対してガイアは左に持った針状の暗器で襲いかかる。
これで軽い一撃も致命打となる。
武器を取り出す必要がないのでその隙がないのも強みか。
ガイアはダメージより如何に不意を突くかに重点を置いて攻撃を仕掛けている。
これは本部を隙のない強者と認めているからこそか。

この一撃を本部は硫酸を拭ったハンカチで受ける。
ハンカチが暗器を絡め取りガイアの自由を奪う。
そして、そのハンカチを用いてガイアを投げて、その関節を極める。
武器(とは言い難いものだが)を使って相手を投げるのは武蔵も用いた技術だ。
武蔵に使える技は本部にも使える! 多分!
ガイアは関節を極められているのでタップする。
練習における敗北中の敗北だ。
だが、この勝負の決着は双方が決める。
タップしたからと極め技を解くとその隙を突いてくるかもしれない。
なので、タップに構わずベルトを使って両腕を捕縛してトドメだ。
完全に無力化することが本部流の決着の条件! これは武蔵を殺しかねない。
刃牙相手には不意を突くだけで精神を破壊できると踏んだのだろう。
事実、十分だった。読者的にも十分だった。

ガイアは武器を取り出す動きさえ省いた素早い奇襲で本部に襲いかかった。
本部流の道場に飾られている武器を格好いいと言いながらも、実戦となると格好良さにこだわらないえげつなさを見せた。
実に戦場的だ。
だが、本部は常に身に付けているものでガイアの動きに対応しきった。 ガイアより本部の方が一枚上手であり、より実戦的だ。
ガイアより本部の方が。
うーむ……本当に認めざるをえないのか、この人を……

今の本部は強い。
実戦となれば確実に強い。
もはや認めざるをえない。
いい加減認めよう。認めたくないし、一生金竜山のことは引っ張っていくが認めよう。
本部は強い! 金竜山に惨敗したけど強い! 金竜山に惨敗したくせに強い!
つまり、金竜山は刃牙よりガイアより強い……?

ズル…

本部は圧倒的であり理不尽な強さを見せた。
だが、本部の攻勢はこれに留まらない。
さらなる追撃としてズボンがズリ落ちパンモロ! トラブった!
これには本部も思わず赤面。
本部を萌えキャラとすることでさらなる追撃である。
これはバキ世界屈指の人気キャラ、烈と同じ戦術――いや戦略である。
本部は強者であると同時に萌えキャラでもあるのだ!
正直、キモい。

一方、徳川邸にはある巨漢が訪れみっちゃんと向かい合っていた。
もう除海王とかアンドレアス・リーガンが強いとかでも驚かないぞ。
驚くけど。

「2メートル43センチ201キロ」
「運動能力ヲ キープ出来ルギリギリノサイズデス」


みっちゃんの前に立つ男はジャック!
というか、敬語!? ジャックが!?
アンタ、強くなる方法だけじゃなくキャラもブレていないか?

大きい者が小さい者より強い。
それがジャックがさらなる骨延長を行った理由らしい。
だが、バキ世界は大きい者が小さい者に駆逐されていく歴史の繰り返しなのは言うまでもない。
2m越えの巨漢で文句なしに強かったのはピクルくらいだ。
他は強そうでも噛ませ犬が関の山である。
ジャック、噛ませ犬臭が……
敬語になって変に礼儀正しいのも噛ませ犬臭い。
運動能力をキープできるギリギリのサイズが2m43cmとのことだ。
だが、アンタに必要なのは運動能力をキープさせることではなくアップさせることだ!
ジャックはピクルに大敗した。
得意分野のパワーでも敵わず、噛み付きという個性でも負け、スピードでは圧倒的な差を見せつけられた。
テクニックもピクルの学習力を考慮すれば大きな差はないかもしれない。
いや、ピクルを仮想敵とすれば唯一勝てる可能性があるのは身長ではあるが……

ジャックは背を伸ばして強くなったのだろうか。
身長を伸ばした後に戦って勝ったのはシコルスキーとJr.だが、身長が勝因ではない気がする。
紅葉の言葉によると運動能力も正比例するように伸ばしていたらしいが……
やっぱり、強者に勝っていないのがあかんな。
本部でもすり潰しておくか?

ジャックの標的は当然武蔵だ。
烈が殺されたのを見ても萎えぬ闘争心はまさに明日を見ぬ男だけある。
だが、みっちゃん曰く、そんなジャックを止める男がいる。
やはり、本部か!
これはジャックVS本部の開幕か?
それともここでファイターとして終わり烙印を押した刃牙が口プレイでトドメを刺しに来たりして。
……そんな主人公は嫌だなぁ。
次回へ続く。


本部が出てきただけで混乱するのに、さらにジャックという大物が出てきて混乱は深まる。
一体どうなるんだ。
でも、最近のジャックは落ち目気味だ。
強さはもちろん明日などいらない決死の覚悟は十分以上の個性だと思うのだが……
やっぱり、ピクルに大敗したのが良くないか。

そんなジャックがかつての権威を取り戻すには武蔵を相手に十分以上の戦いをする必要があるだろう。
崖っぷちなのだ。
だが、それを守護る男、本部相手に負けでもすれば悲惨そのもの以上だ。
自殺してもおかしくはない。
刃牙だってショックでここ数ヶ月出番ないし。
まぁ、刃牙の出番がないのはいつものことですが。

逆に本部がジャックに勝ちでもすれば完璧だ。
強さを完全に疑えなくなる。
疑うけど。メッチャ疑うけど。
何よりも困るけど。

いや、本部が守護ると決めつけるのは尚早というものか。
武蔵と戦おうとしている人間はたくさんいる。
忘れられ気味だが昂昇と紅葉だってトレーニングしていたのだ。
オリバもだ。
だから、ジャックと争って見るか?
今のジャックなら紅葉でも意外と良い勝負になりそうなのがちょっと悲しい。

いや、何よりも忘れられているのは花田かもしれない。
何せ本部にさえ忘れられていそうだ。
本部ではなく俺が守護る。
花田、緊急参戦!
武器は地面だ! ……地面だ。