刃牙道感想 第115話「逸話」



武蔵VSピクルは周りの人たちが期待ばかりしていて誰も止める気がない。
武蔵が食われるかピクルが斬殺されるかの二択ですぜ、お前ら。
みっちゃんの結果がどうなろうが強い奴と強い奴を戦わせたい病が、周囲をも巻き込むようになっている。
みっちゃんも昔は公開殺人はできないと千春の試合を止めようとしたのになぁ……
あれってどうせ千春だから見る価値もないということか?
……否定できまい。


そんなみっちゃんは徳川邸の庭で武蔵と食事をしていた。
何か最近、食ってばかりだな、このジジイ。
病も治らず点滴を刺されて病室で大人しくしてもらった方が良かったかもしれない。

武蔵に出されている料理は魚におそらくは野菜の組み合わせだ。
どうやら肉は出していないらしい。
まぁ、武蔵の時代では基本的には肉を食べていなかったし、武蔵視点からすればそこまで食べたいものでもないのだろう。

肉の栄養価がなくて大丈夫かとも思うし、グラップラーと言えば基本的に大食いである。
だが、最近はベジタリアンの格闘家も多く、またそうした格闘家が結果を残すことも多いようだ。
そのため、バキ世界でも低タンパク質な食事でも十分強くなれるということかも。

食べている最中に蝿が周りを飛ぶ。
それを武蔵が箸で掴む! それも蝿の身体ではなく羽を!
武蔵が蝿を箸で掴む。
その逸話は事実であるどころか、さらに凄まじいものだった!
……なお、この逸話、実際には創作かつ他の剣豪の逸話を持ってきたもののようだ。
まぁ、細かいことを気にしたらあかんな。
何せ原人が蘇るご時世だし、蝿を掴むくらいはよくあることですよ。

如何に羽とはいえ蝿を箸で掴むのはばっちい。
なので、武蔵はちゃんと布巾で箸を拭くのだった。
あ、そういうところは気にするんだ。
さすがは高名な役職を得ただけあって、作法にはそれなりに気を遣うということか。

ここでみっちゃん、今更になって――後の描写からするとピクルとの死合いが明日に迫ってから、ピクルが対戦相手を食うことを伝える。
遅ェよ! せめて最初に出逢った時には伝えておけ!
その時に武蔵は「俺は美味いぞ」と言っていた。
あれはピクルのことを知っていたからこその言葉かと思ったら、どうやら比喩的な意味だったようだ。

みっちゃん、そういうことはもっと早く言いましょうや。
ガソリンを周囲にぶちまけておいてから、火が付くから危険だと警告するようなものだ。
アンタがいろいろとぶちまけたいのは仕方ないから、せめてぶちまける前に警告してくれ。
せめてご飯を食べ終わってから言ったのが良心か。

それにしてもこのみっちゃん、烈の時からまるで成長していない。
は本気で

武蔵はそのことを笑う。
笑ってからふと食うということを考える。
食うのが目的で殺す人間は戦国時代にもいない。
精々、飢餓に耐えられなくなった時くらいだろう。

「倒すでなし」
「勝つでなし」
「食う」
「美味いのか?」


武蔵は空を見上げる。
武蔵の時代は基本的に肉食しなかったし、食文化の違いが闘争の文化に違いに繋がっている。
よって、ピクルの存在はまるでわからないものになっているのだろう。 まぁ、現代人でさえピクルの存在はさっぱりだ。
存在することさえさっぱりだ。
決戦を前にしてひとつの疑問を武蔵は抱くことになってしまった。

さて、その日の夜、東京ドームの前にある男が立っていた。
ジャックに勝った男、本部以蔵である。
いや、守護れよ!
そこで大物ぶっている場合じゃないだろ!
せめて金重を強奪め! あと國虎も強盗め!

そんな大物ぶっている本部だが、煙草を吸っていたら警備員に注意された。
本部は平謝りせざるをえないのであった。
最近の本部は強いのはもちろんとして、ちょっと抜けているお茶目なキャラを見せているところも何かムカつく。
何かヒロインのくせに人気投票で6位くらいだったから、急にパンツを見せ始めた感じですね。
そういえば、パンツ見せたな、このおっさん。

だが、この警備員も本部も幸運だったと言わざるをえない。
身体検査をしていれば喫煙どころじゃない事実が発覚するし、本部も証拠隠滅のために武芸百般を見せていただろう。 そして、本部は追われる身になるのだ。
何か死刑囚よりも死刑囚らしいな、本部。
今からでも遅くないから柳と境遇を取り替えてみるか?

「明日……………」

注意された矢先に本部は喫煙を再開する。
日和らないおっさんめ。
ともあれ、明日が血戦である。
そして、本部は明日までに守護らねばならぬ。
ピクルに挑むにしても武蔵に挑むにしても地獄だ。
死を覚悟せねばなるまい。
だが、ここで守護ることに成功すれば本部は世界のヒーローになれる。
今こそ英雄になるのだ、本部!
ここで守護らなかったのなら本部刃牙を名乗る不名誉を与えよう。

さて、地下闘技場のピクルは餓えに餓えているようだ。
ちょっとやつれているように見えるし涎も垂れ流している。
現代に来た直後は1ヶ月くらい餓えたけど、こんなにはなっていなかったのに……
よっぽど武蔵をご馳走として評価しているのだろうか。
最近は下水道で定期的に餌にありつけていたから、その反動も大きいのかもしれない。

「6日目……」
「飲まず」「食わず」「眠らず」
「野性のコンディション作り………」
「明日がベストだ」


いや、眠らせておこうよ! 夜には消灯しておこうよ!
食わずだけでなく、飲まずに加えて眠らずが加わっていたのかよ。
何か徹底的に自分を追い込んでいますな。
野性というにはあまりにも不自然主義だ。
そりゃ涎を流してちょっとヤバいことにもなる。

そんなピクルのベストは明日に迎えるようだ。
武蔵といつ戦うのかは報されていないだろうし、伝える術もない。
それでも野性の嗅覚でこの日をベストと見たのだろうか。
下水道生活でズボンを履くくらいには野性が鈍ったかと思ったが、全然野性のようだ。
ところで偉そうに語っている小坊主は一体何者なんだ?

今の武蔵は金重を持って危険だが、ピクルも餓えに餓えてさらには眠気不足で危険だ。
ピクルの境遇は食事を取っていた武蔵とは対称的である。
餓えに餓えた野性が爆発するのか?
それともちゃんと栄養を取って武器を使った方が強いという当たり前の結果になるのか?
あと本部はちゃんと守護れよ?
バキシリーズ25周年にして本部の活躍が待たれるという異常事態を迎えつつ、次回へ続く。


周囲の人たちが武蔵VSピクルに期待するだけでなく、本人たちもテンションを上げている。
片や愛刀を手にしてご満悦だし、片や餓えまくって食う気満々だ。
本部がさっさと守護らないからとんでもないことになってきた。
お前も死んじまうぞ、本部。
それはそれでいいか、本部だし。

武蔵は肉を食べていない。
少なくとも肉を食べている描写はない。
刃牙を見て想像した光景にも肉はない。
つまり、肉食という文化をほとんど知らないということだ。
まぁ、魚を食べているので完全な非肉食というわけでもないのだけど。

なので、肉食をするピクルのことをわからない。
肉が美味いという感覚そのものを理解できないのだろう。
それを理解するために切り身にしたピクルを食べてみる……とかはグロいので簡便願いたい。
ピクルだって何だかんだで食人は2人しかやっていないんだぞ。
……2人もやれば十分か。

前回、野菜多めの餃子が出てきた。
あの餃子の下りに何の意味もないかと思ったが、実はこうしたnot肉食への伏線だったりして。
本部が強いのも肉を食べるのを止めたからだったり……?

バキ世界において強い人間はみんな高タンパク質大好きで肉食大好きだ。
勇次郎然りピクル然り刃牙然りオリバ然りジャック然り。
だが、子豚の丸焼きを数秒で食しTボーンステーキを骨ごと食うTHE・肉食のジャックが本部に敗れたのだから、肉食万歳に歯止めがかかっているのだろうか。
肉食で鍛え上げられた筋肉よりも、菜食で磨き上げられた軽い身体の時代、なのか?

なので、武蔵VSピクルは刀VS牙ではなく、実は菜食主義VS肉食主義だったりして。
もしそうならお互いに最高の野菜料理と肉料理を出し合えば平和でいいかもしれない。
料理描写がとても上手い板垣先生だから、料理勝負は持ち味を最大限に活かせることになるか……?
この勝負に本部が乱入してきてフレンチとか作り始めたらどうしよう。
本部は意外と料理をできそうなのもムカつく。
料理を作れても作れなくてもヒロイン属性を得られる点でもムカつく。
つまり、本部は何かムカつく……