刃牙道感想 第134話「時代の『宝』」



本部は武蔵に勝利した。
本人から認めてもらったお墨付きの勝利である。
となると、問題はこれから本部がどうなるかである。
死刑囚に狙われないようにしておけよ。
死刑囚なら本部でも何とかなるかもしれないが。


本部VS武蔵は武蔵にとっては試闘なれど本部にとっては間違いなく死闘だった。
命こそ落とさなかったものの全身はボロボロだ。
というわけで、病院に入院していたのだった。 左手、両脚はギブスを巻かれている。
でも、斬られた右肩は平気そうだ。
裂傷よりも骨折の方が痛いのがバキ世界ですからな。

そんな本部の病室を訪れる男がいた。
範馬刃牙である。
って、刃牙一人だけなのか?
もうちょっと来てあげてもいいのに……
いや、渋川先生とかは早めに来たかもしれないけど。
刃牙がやたら遅かっただけかもしれないけど。

ベッドの上にいる本部はやたらデカい。
いや、刃牙が小さいのか。
その刃牙の小ささを示すようにその態度は珍しく小さい。
そして、守護りたいと言った本部の言葉を受け止められなかった過去を詫びるのだった。

刃牙はこのことに関して「俺たち」と言っている。
本部の言葉を聞かなかったのは刃牙だけではないらしい。 烈は聞かなかった。ジャックも聞かなかった。
多分、他にも聞かなかった格闘家はいるだろう。
だって、本部だもん。
横綱の小指を捕った男の言うことを聞く奴はそうそういない。

「間違っちゃいない」
「本部以蔵にゃムリ!」「正常な判断だ」


認めたぁ! この人自身が認めたぁ!!
本部曰く、素手だとグラップラーたちに10回戦って10回負けるようだ。
そりゃそうだ。だって、金竜山に負けている。 だからこそ、何を言っているんだと突っ込まれることになった。
実にピエロであった。

「俺たちは」「武術家本部以蔵を見誤っていました」
「そんなことだから」「宮本武蔵の力量も見誤る」


だが、武器を持てば本部は強い。
素手の弱さの本物だが武器を持った時の強さも本物であった。
いや、今の本部は素手も十分強いのが何か納得いかないのだが……
ともあれ、グラップラーたちは本部の真価を知らなかったのだった。

武蔵の真価も知らなかったようだが……
こちらに関しては皆がそれなりの評価をしていたのではなかろうか。
烈は素手でも上を行くと予感していたわけだし。
でも、ジャック兄さんは特攻しそうになっていたけど。
ピクルに無茶振りをしたくらいだし、たしかにどこかで見誤っていたかもしれない。
とりあえず、日本刀は怖いだな。

刃牙は本部に頭を下げて尊敬と謝罪を表す。
刃牙道の刃牙はこの辺が謙虚で好感が持てる。
同時に出番が失われたのだが、まぁ、いつものことだから問題なかろう。

ここで本部は格闘家たちを語り出す。
刃牙は地上最強のガキ、この時代の象徴。
勇次郎は神、この世界の秩序。
渋川先生、独歩、花山、克巳、ピクル、ガイア、加藤、紅葉、昂昇、郭海皇……
それぞれの持つ個性を本部は語っていく。

「一人残らずが時代の「宝」だ」

本部は素手では今並べた格闘家たちに勝てない。
ギリギリ加藤くらいだ。
だからこそ、こうした飛び抜けた逸材たちを宝と称し尊敬しているのだった。
だからこそ、守護りたかったのだ。

グラップラーと言えば今まで競い争う相手だったのだが、それらを尊敬し守護る。
本部の考え方は実に新しい。
50歳を越え金竜山に負けた。自分の限界を知った。
だからこそ、他の格闘家への畏敬の念が募り守護りたくなった。
それこそが本部の「道」なのだろう。
この本部の考え方は正直格好良いと思う。
格闘家たちへのリスペクトが本部を支えていたのだ。
烈やジャックに無礼な面を見せたのもあくまでも守護るためだったのだろう。
……烈の死後にもうちょっと何か言っていれば、刃牙も怒らなかったと思うのだが。
でも、あの時の刃牙は何を言っても無駄だっただろうし、実力行使が一番か?

この本部は格好良い。
格好良い故にコメントしてもらえなかった花田は泣いていい。
現代人じゃないピクルも触れてもらったのに……
ちゃんと仲間って言ってもらえたのに……
いや、コメントしてもらえなかった格闘家はいるけど、やっぱり愛弟子なら第一にだね……
加藤だって触れてもらえたのに……

「それぞれがそれぞれに」
「繋がりを持つ」
武蔵かれはどうだ……?」


お互いに競い争う強いんだ星人たちだが、その中で互いを認め合っている。
言葉が通じないピクルだって肉体の一部を食われた烈や克巳は友と言っている。
ピクル自身もライバルたちに友情を感じていた。
本部の言う通りに繋がりがあるのだった。

だが、武蔵はその繋がりがない。
戦った相手を斬り殺しているのだから、友情が芽生えようはずもない。
やはり、素手で戦わないと繋がりは生まれないのだろうか。
勇次郎と飲んだのは素手で戦ったからか?
これが本部の言う武蔵の抱えた孤独なのだろう。

そこに紅葉がやってくる。
負傷したグラップラー御用達と言った感じだ。
久し振りに紅葉の戦いを見てみたい気持ちはあるけど、やっぱりドクターとしての立ち位置が不動のようだ。
すっかりいい人になっただけにちょっともったいないような……

その紅葉が言うには武蔵がTVに出ているらしい。
有名になるためか?
売名行為ならインターネットが発達した現代においてもTVが一番だ。
武蔵編はまだまだ波乱がありそうである。
次回へ続く。


本部は格闘家たちをリスペクトしていた!
勇次郎を秩序というのはどうかと思うが、こうした視点でいる人間は珍しい。
本来、そういう立ち位置のはずのみっちゃんはただの邪悪になってしまっている。 故に何の尊敬もされない。

武蔵はTVに出て何をするのだろうか。
TVの前で斬殺すれば名声がた落ちだ。
なので、素手による武蔵杯の開催を告げておくか?
ピクルを八つ裂きにする武蔵は完全に悪役だったけど、素手で戦えばリスペクトを集めるぞ。

武蔵編の始まりに当たって様々な格闘家が鍛錬していた。
なので、そろそろそこにスポットを当てて欲しいのだが……
本部が強くなったのも山籠りのおかげなんだ、多分。
……ホント山で何があったことやら。
魔界のデーモンに乗り移られた説は根強く推していきたい所存。