EPISODE10 繋いだ手だけが紡ぐもの



響回、翼回と来たのでクリス回だ!
クリスはシンフォギアにおける一番の人気キャラだ。
胸か? やっぱり、胸か?
泣けよ、風鳴剣。

いまだ見通せぬ暗闇は、容易く銃火に切り裂かれる。
広がる血溜まりに死にゆくモノ、誕生するモノ。
流転、急転する事態。やがて不安から焦燥へ。
それでも彼女が握る、「アームドギア」がある限り――

ガレキの只中で拾い上げた夢の欠片。
傷だらけでも、このてのひらに決して消えない星がある。


相変わらず意味もワケもわからん次回予告だ。
見終わった後に読み直せば、その意味がわかるようになるのが渋い味を出しているが。
なお、「不安から焦燥へ」は同名の曲がWAシリーズに出ている。
しかも、WA1からWAXFまでの全てのシリーズに同じ曲名が存在する伝統の一曲だ。
やっぱり、出たよ「不安から焦燥へ」。
この調子ならシンフォギアのサントラにもありそうだ。いや、絶対ある。




奇怪な外見がウリのフィーネハウスをかつて広木防衛大臣を襲った傭兵軍団が取り囲む。
フィーネはソロモンの杖の情報を秘匿してきたし、ノイズを使って世間を混乱させすぎた。
定期的なノイズ被害からソロモンの杖が起動済みであることがバレたのだろうか。
そこから傭兵部隊が動き出してもおかしくはない。
クリスは逃げ出しておいて良かったのかも。



フィーネハウスにいたのは響について調べていたフィー……思いっきり了子だ!
隠す気、まったくなし!
一息で同一人物と確定させた。
引っ張っていくのかと思ったら、引っ張らずにネタバレしやがった。
押し引きに定評のあるシンフォギアである。
了子……終わりの名を持つ者……



襲撃を受け有無を言わせず撃たれる了子だ。
襲撃には普通に驚いていたし、基本的には研究者で非戦闘要因のようだ。
戦場(いくさば)度や剣度が足りない。



傭兵部隊の目的は当然ながら聖遺物だった。
了子の行動には独断が多かったのに違いない。
聖遺物のデータは確認できただろうし、始末ついでに聖遺物を強奪という流れか。
流血が了子の生命の危険を物語っている。



が、ここで了子は不思議パワーで傷の治癒を行おうとする。
その光景はネフシュタンがクリスの身体を侵食しようとしてた光景に酷似している。
肉体に負荷がかかるのか、了子は吐血している。
シンフォギアは肉体に負担がかかるようだし、この不思議パワーも肉体の負担は避けられぬものなのだろうか。
用語解説を見るにノイズを呼び出すのは聖遺物の力ではなく、了子自身の力らしい。
了子はエルゥか何かか?



もはや本性を隠さない了子だ。
陰謀論程度に臭わされていた米国政府の関与も確定した。
その米国政府と了子の間には軋轢があるようだし、事件の裏側の構図はシンプルではない。



了子に息があると悟った傭兵部隊は再び射撃を撃ち込む。
字幕でついに「ッ!」が使われた。
「ッ!」は金子彰史の記号とも言える。
まぁ、WAシリーズでは表記揺れか、他の人がテキストを書いた部分もあるからなのか、案外使っていない場面もあったりするのですが。
ともあれ、鮮血が飛び散る。
それは了子のものなのか、あるいは……



「リディアンの校歌を聴いてるとまったりするっていうか、すごく落ち着くっていうか、
 みんながいるところって思うと安心する」
「自分の場所っていう気がするんだ」
「入学してまだ2ヶ月ちょっとなのにね」


一方で響はリディアンの校歌を聴いて鼻歌を歌う。
鼻歌は誰かに聴かせるものじゃないから……
そして、作中時間が2ヶ月目であることが判明する。
そのうちの1ヶ月は3話の時点で消化している。
3話から10話までの怒濤の流れが1ヶ月ちょっとだったのか。
ものすごい濃密な時間を過ごしている。



さて、フィーネハウスもとい了子ハウスに場面は戻る。
駆けつけたクリスを待っていたのは殺害された傭兵部隊だ。
了子に何らかの用事があったのか、傭兵部隊の襲撃を察知したのか。
クリスの目的はどちらなのかはわからないが、ともあれビックリだ。
しかし、山奥だからクリスが立ち寄るのは大変そうなんだけど……
イチイバルか?
案外、クリスはイチイバルを気軽に使っているし。



「違うッ! あたしじゃないッ! やったのは――」

クリスの到着とほぼ同時に二課も駆けつける。
了子ハウスの情報を掴んだのか、クリスの足取りを追ったのか。
人員が導入されていることから鑑みると後者か。

で、焦るクリスちゃんだ。
そりゃ16歳だから焦っても仕方はない。
根の部分は普通だ。
翼ならここで剣ですとか言って人を困らせる。



「誰もお前がやったなどと疑ってはいない」
「全ては君や俺たちの側にいた彼女の仕業だ」


当然と言うべきか、二課はクリスを無視して証拠を集めにかかる。
弦十郎の口ぶりからフィーネの尻尾を掴んでいたと見えるし、了子の尻尾も掴んでいるように思える。
見えないところでちゃんと仕事をしている二課だ。



調査の中で「I LOVE YOU SAYONARA」と書かれている紙を見つける。
これと同名の歌がある。
1987年の歌だから……やっぱり、了子は相当な歳のようだ。
できる女といい科学者といい、WAシリーズの前例の前例を見るに30代以上は確定か。
なお、WA3には「Have you told your beloved 'SAYONARA'」という「I LOVE YOU SAYONARA」を元ネタとしたであろう曲名が存在する。
金子彰史……よっぽど好きなんだろうな……




「どうなってんだよ、こいつは……ッ!」

「衝撃は発勁でかき消した」


その紙にはブービートラップが仕込まれており、爆発を起こす。
だが、弦十郎が発勁でかき消したことで、二課の被害は抑えられた。
弦十郎とクリスのみならず、その他下っ端の人たちも無事だ。
って、爆発って発勁でかき消せるものなのか?
その発勁をノイズに打ち込めば打倒を果たせるのかもしれない。
ワザマエ!



「そうじゃねえよッ!!」
「何でギアを纏えない奴があたしを守ってんだよッ!!」

「俺がお前を守るのはギアのあるなしじゃなくて、お前よか少しばかり大人だからだ」

弦十郎がいなかったらクリスは間違いなく大怪我を負っていた。
クリスに戦闘の心得がないわけではないだろうが、爆発を発勁でかき消すというトンデモは不可能だろう。
何故守ったという問いに大人だからと返す弦十郎であった。
子供と大人のキーワードはWA4で語られたものだが、シンフォギアでも再び語られている。
金子彰史としては消化し切れていないキーワードなのだろうか。



「大人?」
「あたしは大人が嫌いだッ!」
「死んだパパとママも大嫌いだッ!」
「とんだ夢想家で臆病者ッ!」
「あたしはあいつらと違うッ!」
「被戦地で難民救済? 歌で世界を救う?」
「いい大人が夢なんかを見てるんじゃねえよッ!」

クリスは大人という言葉に反応する。
クリスは大人嫌いだ。
なのだが、嫌いであるはずの両親をパパとママと言ったり、本音ではそうじゃないようなニュアンスが取れる。
まぁ、建前と本音の乖離が激しいのが雪音クリスですから……

クリスの両親は歌による戦地での活動を行っていたようだ。
その中で命を落としてしまったのか。
クリスは壊すことしかできない自分の歌を嫌いと言った。
ならば、壊さないために歌われたであろう両親の歌は?




「大人が夢を、ね」

「本当に戦争をなくしたいのなら戦う意志と力を持つ奴らを
 片っ端からぶっ潰していけばいいッ!」
「それが一番合理的で現実的だッ!!」

「そいつがお前の流儀か」
「なら聞くがそのやり方でお前は戦いをなくせたのか?」

「それは……」


だから、ガンダム00的な紛争根絶を心がけたクリスではあったが、それによって戦いをなくせないことは身を以て知っている。
というか、号泣した。
戦争をなくしたいという点でクリスは両親の意志を受け継いでいると言える。
クリスが戦争を憎むのは苛烈な運命を強いられたからだけでなく、大好きな両親を失わせた原因であることも影響していそうだ。



「いい大人は夢を見ないって言ったな」
「そうじゃない」
「大人だからこそ夢を見るんだ」
「大人になったら背も伸びるし力も強くなる 財布の中の小遣いだってちったぁ増える」
「子供の頃はただ見るだけだった夢も大人になったら叶えるチャンスが大きくなる」
「夢を見る意味が大きくなる」
「お前の親はただ夢を見に戦場に行ったのか?」
「違うな 歌で世界を平和にするって夢を叶えるため、
 自ら望んでこの世の地獄に踏み込んだんじゃないか」

大人が見る夢について弦十郎が語る。
大人になると夢を叶えられる可能性が増える。
大人だからこそ夢を見る。
自分の夢のために会社を立ち上げた金子彰史が言うのだから説得力がある。
おかげで怪獣がたくさん出てくる珍妙なアニメができました。
シンフォギアが適合者の心を掴んで離さないのは金子彰史の夢が現れているからなのかもしれない。



「何で……そんなこと……」

「お前に見せたかったんじゃないか」
「夢は叶えられるという揺るがない現実をな」
「お前は嫌いと吐き捨てたがお前の両親はきっとお前のことを大切に想ってたんだろうな」

弦十郎に語って聞かせられ両親の本心を悟ることができたのか、クリスは号泣する。
クリスの両親は結果としては最悪だったが、行為そのものは間違っていない。
そんな両親のことを内心では大好きだったろうし、その行為も肯定したかったに違いない。
何度も語られたようにクリスの根はいい子だ。
それは誰かのために必死に頑張ってきた両親の姿を見てきたからではないだろうか。



「お前はお前が思っているほど独りぼっちじゃない」
「お前が独り道を往くとしてもその道は遠からず俺たちの道と交わる」

「今まで戦ってきた者同士が一緒になれると言うのか?」
「世慣れた大人だ そんな綺麗事を言えるのかよ」

弦十郎とのわだかまりのなくなったクリスであったが、二課に同行する気はないらしい。
戦場(いくさば)で剣を交えたからか。
いい子だけど意固地な部分もあるクリスだ。
それでもクリスと共に戦う時が来ると信じる弦十郎だった。
弦十郎も夢を見てそれを叶えようとする男なのだろうか。



「通信機……?」

同行は断ったクリスだったが、通信機を受け取る。
通信のみならず限度額までなら各種公共機関や自動販売機を使用できるようだ。
キャッシュカード機能付きで高性能だ。
自動販売機で缶詰おでんを買い放題か?
あ、缶詰おでんはもう自動販売機で売られていないんだったかな……

さて、通信機はWA2に出てきたアイテムだ。
システム面のみならず、持っている者同士の心を繋げるアイテムとしてシナリオにおけるキーワードにもなった。
同じようにクリスと二課の心を繋げるアイテムになるのだろうか。



「カ・ディンギル……ッ!」
「フィーネが言ってたんだ、カ・ディンギルって……」
「それが何なのかわからないけど、そいつはもう完成しているみたいなことを……」

「後手に回るのは終いだ」
「こちらから打って出てやるッ!」

クリスはカ・ディンギルのことを弦十郎に伝える。
重要ワードだったが誰にも教えていなかった。
それを伝えたということは、クリスが二課もとい弦十郎に対するある種の信頼が現れていることがわかる。
しかし、クリスと弦十郎が絡むとはわからぬものよ。
(戦場(いくさば)的な意味で)気の合いそうな翼との絡みは少ないのに。



「うぇ? 師匠とか了子さんって人間離れした特技とか持ってるんじゃないんですか?」

カ・ディンギルのことは響や翼にも伝えられる。
了子はまたも遅刻だ。
無論、フィーネと同一人物だと発覚した以上は遅刻していて当然なのだが。

で、響は人間離れした弦十郎や了子は人間離れした特技を持っていて当然なんて思っていた。
いや、たしかに弦十郎は人間離れしているが、それを了子のバリアなどと一緒にしてもらっては……
響がバカだったのか、あるいは弦十郎が人間離れしすぎていたのか、了子の持つ特異性についての報告を行っていないようだ。
しかし、妙に説得力のある言葉だ。
それほど弦十郎がおかしいということではあるが。
普通なら発勁で爆風をかき消せません。



了子は通信機の調子が悪いからと画像がない。
訝しむ弦十郎である。
了子ハウスでの会話から、了子の尻尾については既に掴んでいるのだろう。
だが、あえていつも通りに会話している。
騙したところを捕まえるためか?



「カ・ディンギルとは古代シュメールの言葉で高みの存在」
「転じて天を仰ぐほどの塔を意味しているわね」

その了子は人知れぬビルで横たわっていた。
傷の治癒は行えたようだがダメージは大きかったようだ。
この力で頬の傷も治癒したのだろうか。

了子はカ・ディンギルについての一般的な知識を語る。
要するにはバベルの塔だ。
WA1の攻略本に書かれていたので間違いない。
同じバベルの塔のエ・テメン・アン・キもWAには登場していたし、金子彰史のバベル好きが伺える。
こりゃバベル2世も好きだな。間違いない。



「何者かがそんな塔を建造していたとして、何故俺たちは見過ごしてきたのだ?」

弦十郎はカ・ディンギルに対して当然の疑問を口にする。
だが、WA1のカ・ディンギルは海の底に眠っていたし、目に見える建造物とは限らない。
背塔螺旋なのかもしれない。
ABYSSが決戦の舞台になるかも知れないし、そうなるとラギュ・オ・ラギュラが出てきて……
1000000000000℃来ちゃう?



「カ・ディンギル……誰も知らない秘密の塔……」

「検索しても引っかかるのはゲームの攻略サイトばかり……」


JK成り立ての二人がカ・ディンギルについて知らないのも道理だ。
検索しても引っかかるのがゲームの攻略サイトってそれはWA1のことですよね?
露骨なWAネタを控え、渋いところを突いてくるWAネタを使った。
いや、カ・ディンギルを出した時点で露骨もクソもないけど。
さすがの金子彰史作品である。



「飛行タイプの超大型ノイズが一度に3体……」
「いえッ! もう一体出現ッ!」

それと時を同じくしてノイズが出現した。
超大型4体だ。
了子も自身が追い詰められつつあることを悟っているのか、大勢力を動かしてきた。



超大型を歌うだけあり、そのサイズは歴代最大だ。
飛行機型もあってノイズの生態は多彩だ。
あのブドウさんだってクリスが頑張って調教したのかも。
あら、可愛い。
ブドウさんがノイズ屈指の可愛さを秘めていたのは、クリスが影に隠れていたからか。



「わたしがリディアンに戻るのは響がどんな遠くに行ったとしても
 ちゃんと戻ってこられるように響の居場所、帰る場所を守ってあげることでもあるんだから」

「わたしの、帰る場所」

「そう、だから行って」
「わたしも響のように大切なものを守れるくらいに強くなるから」


響は戦いに赴き、未来には生徒の避難を手伝うように依頼する。
響は前線で戦い、未来は銃後を守る。
守る方も守られる方も一生懸命。
その心は未来にも伝わっていた。
一時は険悪な中になったが、今では以前よりも濃い友情を育んでいる。
ユウジョウ!



「小日向未来はわたしにとっての日だまりなの」
「未来の側が一番あったかいところでわたしが絶対帰ってくるところ」
「これまでのそうだし、これからもそうッ!」
「だから、わたしは絶対に帰ってくるッ!」

響は第2話で言った台詞を改めて未来に伝える。
かつては未来に甘えるようなニュアンスが感じ取れたが、今は必ず戻ってくるという響の決意が伝わってくる。
同じ台詞だからこそ、響の成長がわかる。



翼はバイクで、響はヘリで現場に向かう。
大型ノイズ4体は東京スカイタワーに集まっている。
塔ということで東京スカイタワーでは? というが至極単純な二課の推理だった。
弦十郎は罠の可能性を懸念していた。
だが、東京スカイタワーには二課の情報を集積していた。
罠だと知っても敵の誘いに乗らなければならない状態だ。
そして、二課の急所を的確に突いてくると言うことは、やはり了子の差し金なのだろうか。



一方で一人不穏な動きを見せる緒川だった。
通信機に訝しげな表情を浮かべ眼鏡を外した。
傭兵部隊のアジトらしき場所から謎のリュックを回収していたし、緒川の動きには謎が多い。
いい人だけどそれだけに裏が見えない。
了子以上のトリックスターになりかねない。



大型ノイズはノイズ爆撃だ。
何かグミか何かを垂れ流しているようだ。
緊張感があまりないが、それこそがノイズの人徳の為せる技だろう。
自由落下で死なないかちょっと真面目に不安になってしまった。





響はヘリから飛び降りながらの変身からの前回の決め技全力全開ワイルドバンチ(仮称)でノイズをいきなり撃破だ。
絶唱に匹敵すると云われているだけのことはあり、もはや倒せないノイズはいないくらいだ。
しかし、ヘリから容易く飛び降りるとはとんでもない精神力だ。
適合者としての実力以外にも、その精神力がめざましい成長を遂げている。
師匠とんでもねえな。




翼もバイクから飛び降りながら変身、蒼ノ一閃でノイズを薙ぎ払う。
(結局、バイクは投げ捨てるもの)
だが、射程が足りないのか、大型ノイズにダメージを与えるまでに至らない。
雑魚ノイズの掃討が限界であった。
了子もノイズの研究を進めているのか、じょじょに手強くなっている。



「相手に頭上を取られることがこうも立ち回りにくいとはッ!」

頭上を取られることの不利を感じる翼だ。
ヘリで即後ろを取った二課のパイロットは凄いな。
必殺できる響にヘリを使わせたのも戦術として正解だ。
でも、翼さん。
アンタ、一度流れ星に間違われるほどの飛翔を見せたような……
あれもヘリのおかげなのか?

ともあれ、ついに響と翼が肩を並べて心を一つにして戦いに望んでいる。
二人の間には摩擦があったし、それが拭い去られてからも共に戦うシチュエーションはなかった。
OPテーマくらいだった。
それだけにこの光景は感無量というか、感動的な場面だ。
最終決戦に向けて話が進み始めただけに、その象徴とも言える絵だ。



ならば、ヘリで空に登って戦う。
響の提案はヘリがノイズに撃墜されて敵わない。
ノイズさんにしては狙いが的確だ。
今日のノイズは棒立ちするだけじゃないぞ。




「空飛ぶノイズ……どうすればッ!?」

「臆するな立花ッ!」
「防人が後ずさればそれだけ戦線が後退するということだッ!」


ボスとなる大型ノイズには射程外だから手を出せない。
結果、各個撃破しかできず戦局は膠着したままだ。
ここで翼は強い言葉で響を支えようとする。
響を完全に防人-SAKIMORI-だと認め信頼している。
もうわかってはいることだが、こうして見せられると来るものがある。




「こいつがピーチクパーチクやかましいからちょっと出張ってみただけ」
「それに勘違いするなよッ!」
「お前たちの助っ人になったつもりはねえッ!」

「助っ人だ」
「少々到着が遅くなったかもしれないがな」


ここでクリスの登場だ!
長射程型シンフォギアのイチイバルはこの戦いに適切だ。
そして、頬を赤らめてデレ全開のクリスである。
くそう、可愛いなぁ。



「第2号聖遺物『イチイバル』のシンフォギアを纏う戦士」
「雪音クリスだッ!」


響と翼だけではなくクリスも肩を並べた!
10話にしてついにクリスもパーティインッ!
ついに3人の適合者が集った。
いつかこんな日が来ると思ってた。
前振りが長かっただけに感動もひとしおだ。



で、抱きついて変な顔をする響だ。
口調で面白くするのが翼、見た目で面白くするのが響、境遇で面白くするのがクリス……
面白さでもバランスの取れた3人だ。




そして、3人の適合者が戦闘開始だ!
実に壮観である。
クリスも心なしか楽しそうだ。
後顧の憂いなく戦いに赴けるのもこれが初めてだ。
不安や疑問を抱えたまま、戦うのは終わったのだ。




「何しやがるッ! すっこんでなッ!」

「あなたこそいい加減にして」
「一人で戦っているつもりッ!?」

「あたしはいつだって一人だッ!」
「こちとら仲間と馴れ合ったつもりはこれっぽっちもねえよッ!」
「たしかにあたしたちが争う理由なんてないのかもな」
「だからって争わない理由もあるものかよッ!」
「こないだまでやり合ってたんだぞ」
「そんなに簡単に人と人がッ!」

だが、連携が取れず身体も意見も衝突し合うのだった。
しかし、翼さん……それ、ちょっと前のアンタに言ってあげたいよ……
最近は先輩としての風格を漂わせているが、前までは最年長者が一番大人げなかった。
今はいい先輩ですが。
防人とか言って勇気づけてくれる。

クリスの論調はWAシリーズで度々行われた「敵の敵は味方ではない」という表現にそっくりだ。
人と人の争いを見てきて、さらに自分がその火種となっただけにこうした問題には敏感なのだろう。
いい子だけに罪の意識に苛まれやすいのは今までの様子からもわかる。



「――できるよ」
「誰とだって仲良くなれる」


そこで響がクリスと翼の手を繋ぎ、二人を繋ぐ。
クリスと翼は「戦場で何を莫迦なことを」など気の合うところは合うのだが、合わない部分は合いそうにない。
お互いに中に中に溜め込むタイプだし、だからこそ軋轢を引きずったままだ。
そこで開放型の響が間に入り、二人を繋いだ。



「どうしてわたしにはアームドギアがないんだろうってずっと考えてた」
「いつまでも半人前はやだなーって」
「でも、今は思わない」
「何もこの手に握ってないから二人と手を握り合える」
「仲良くなれるからね」


ここで自分が持たないアームドギアを語る。
響にとってアームドギアの欠如は弱点ではない。
アームドギアを持たずとも繋げられるものがある。
負い目から生きることを止めたのだ。
アームドギアを持たないのは個性!



響の言葉に翼はアームドギアを手放し、クリスに手を伸ばす。
アームドギアを持たない響を完全に肯定した。
響と翼はお互いにすごい成長をしている。




「この馬鹿に当てられたのかッ!?」

「そうだと思う」
「そして、あなたもきっと」


クリスは手を恐る恐る伸ばして、翼に捕まれたところでハッとして手放す。
けれど、響と翼の想いは伝わっている。
伝わったからこそ、クリスが手を伸ばしたのだろう。
これでチームシンフォギアが完成だ!
ユウジョウ! ユウジョウ! ユウジョウ!



「イチイバルの特性は長射程広域攻撃」
「派手にぶっ放してやるッ!」


戦士として一流の翼でさえ手間取る飛行型ノイズをどうするか。
ここで長射程型のクリスの出番だ。
自らこういう提案をする以上、二人に心を許していることが伺える。




「ギアの出力を引き上げつつも放出を抑える」
「行き場のなくなったエネルギーを臨界まで溜め込み、一気に解き放ってやるッ!」

「だが、チャージ中は丸裸も同然」
「これだけの数を相手にする状況では危険すぎる」

「そうですね」
「わたしたちがクリスちゃんを守ればいいだけのことッ!」


ここで金子彰史名物、差し合わせたかのような流れる台詞回しだ!
シンクロ率が半端ないぞ。
クリスを守る。
この言葉だけで意思疎通が取れたのか、響と翼は動き出す。
何というか恐ろしいまでの信頼度だ。剣を交えたからこそ、信頼できるのか。
そして、適合者たちの弱い部分も脆い部分も知っているからこそ、こうした強い一面が映える。




(頼まれてもいないことを……)
(あたしも引き下がれないじゃねえかッ!!)


ここで新曲「繋いだ手だけが紡ぐもの」だ!
攻撃的な「魔弓・イチイバル」とは打って変わって非常に明るい曲調だ。
クリスの心の暗雲が晴れたかのような歌である。
適合者の迷いが払われた時に新曲は訪れる。
響と翼との出逢いによって、クリスの迷いも払われたのだろう。
あ、恋の桶狭間もいろいろな迷いを払ったと思いますよ。



(誰も繋ぎ繋がる手を持っている)
(私の戦いは誰かと手を繋ぐことッ!)

(砕いて壊すも束ねて繋ぐも力ッ!)
(立花らしいアームドギアだッ!!)

響は新たな想いを背負って戦う。
それを響のアームドギアだと翼も認める。
常在戦場の意志の体現がアームドギアだ。
ならば、その意志を体現していれば武器という形を取らずともアームドギアとして数えるのが翼の流儀か。
トンデモ発言だと思いきや、それが今になって大きな意味を為してきた。
翼語はただのギャグではなかったのだ。いや、笑えますが。



「「託したッ!!」」

クリスは武装を展開する。
ものすごい重武装だ。ヘビーアームズ越えてデンドロビウムだな。
そんなクリスに二人は託す。
「任せた」ではなく「託した」なのが実にシンフォギアだ。
翼はまだしも、響がこんなことを言い出すなんて。
「逃げろ」ではなく「駆け出せ」と言った奏のDNAを継いでいる。
さすが奏の後継者だ。





そして、イチイバルの全武装を総動員させた必殺技「MEGA DETH QUARTET」だ!
エネルギーを臨界まで溜め込んだと言いながらも、思いっきり実弾属性だ! 騙された!
ともあれ、ガンダムでも見られないフルバーストだ。
この必殺技の前に小型ノイズも大型ノイズもまとめて掃討される。
これは格好良い。
クリスの新曲と相まってキンボシオオキイ!



一人だけ今回は歌なしで大型ノイズ未撃破の翼さんは雑魚退治をしていました。
……風鳴翼は吹っ切れて成長した。
今の翼は純粋に格好良いキャラだと思う。
でも、何でこんなオチを付けるんだ?



「やった、のか」

「たりめえだッ!」

「わぁっ……」

こうして全てのノイズは灰となり、東京スカイタワー防衛作戦大成功を迎えた。
3人の力が集まったからこそ勝てた戦いだった。
いや、風鳴翼は雑魚退治しかしていませんが。
でも、雑魚退治も大事だよね。無双シリーズで言えば拠点兵長を倒す係。
武将撃破は響とクリスがやりました。



「いいかッ! お前たちの仲間になった覚えはないッ!!」
「あたしはただフィーネと決着をつけて、やっと見つけた本当の夢を果たしたいだけだッ!!」


戦いが終わり次第、早速抱きつかれるクリスである。
あそこまでやっておいて、仲間でないと言っちゃう辺りが雪音クリスである。
そして、夢について語る。
それは両親が見た夢と同じものか?
これで響と翼とクリスの3人それぞれに戦う理由ができた。
WAシリーズ例えると終盤の展開を一通り終えてラスダンを残す状況である。



「夢? クリスちゃん?」
「どんな夢ッ!? 聞かせてよぉッ!」

「うるさいばかぁッ!」
「お前本当のばかッ!」

で、抱きつく響だ。
二人とも早速仲良くなっている。
翼にも抱きついてやれよ。
案外、喜ぶかもしれないぞ。
というか、絶対喜ぶ。
風鳴翼はこの身を剣と鍛えた戦士ですから……



「響ッ! 学校が……リディアンがノイズに襲われ――」

クリスと心が通じ順風満帆……
そう思ったら未来からの悲報が耳に入る。
東京スカイタワー襲撃は囮だった。
真の狙いはリディアンもといABYSSにあるデュランダルか?
適合者3人の心はひとつとなったと同時に急展開を迎えた。
次回へ続く。


ついにクリスも仲間入りだ!
クリスの心を弦十郎が溶かし、響が繋いだ。
これが風鳴流か。

同時に未来に危機が訪れた。
縁のある響と翼は奮戦せざるを得ないだろうし、繋がりのあるクリスも全力で戦わなければいけない。
話もまとまったしここから最終回まで休みなしの猛展開が繰り広げられそうだ。

二課のピンチとなると弦十郎無双を見られるのだろうか。
頑張りすぎてガウンみたいにミサイルパンチしなければいいけど……
ものすごく盛り上がる場面なのに普通に吹き出してしまうことになりそうだよ。
あ、わりといつものことか……
それが金子彰史の流儀。


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