風鳴翼語録

もう何も、失うものかと、決めたのだ。


「呆けない 死ぬわよ」
「あなたはここでその子を守ってなさいッ!」
(第2話)
死の危険性を臭わせることで相手の気を引き締める。
翼の剣としての心構えと常在戦場の覚悟が見える台詞。
また、無力な一般人の気遣いを忘れないことで、防人としての意志を証明している。

「愛想は無用よ」
「これから向かう所に微笑みなど必要ないから」
(第2話)
相手を戒めると同時に剣に微笑みなど不必要と自己に言い聞かせるようだ。
風鳴翼の一端が強く表れている。
そして、直後に空振りに終わる辺りが風鳴翼の天性のボケ体質を感じさせる。

「だからとてッ!」
「どんな歌、誰の歌にも聖遺物を起動させる力が備わっているわけではないッ!」
(第2話)
「だからとて」は翼語において非常に重要な役割を担うのはこの用例を見ても明らかである。
先ほどまでの言葉遣いが決して偶然の類ではないことを思い知らされる。
その強い言葉はまさに剣のそれである。

「私があなたと戦いたいからよ」
「私はあなたを受け入れられない」
「力を合わせあなたと共に戦うことなど風鳴翼が許せるはずがない」
 (第3話)
後輩だろうが新人だろうが構わずに敵意を剥き出しにする。
その姿はまさに研ぎ澄まされた剣そのものである。
また、自分を風鳴翼とフルネームで名乗ることも剣度を高めるのに欠かせない。

「あなたもアームドギアを構えなさい」
「それは常在戦場の意志の体現」
「あなたが何物を貫き徹す無双の一振り」
「ガングニールのシンフォギアを纏うのであれば胸の覚悟を構えてごらんなさいッ!」
 (第3話)
翼語に欠かせない最重要キーワード、常在戦場である。
翼の常在戦場の意志が伝わってくる至言だ。
常在戦場が私にもっと輝けと囁いている。
また、ここで不自然なまでにアームドギアにこだわった態度があったからこそ、第6話と第7話での響との和解が際立つというものである。

「覚悟を持たずにのこのこと遊び半分で戦場(いくさば)に立つあなたは」
「奏の……奏の何を受け継いでいると言うのッ!!」
 (第3話)
IKUSABA!
常在戦場や剣に並ぶ翼語を象徴する言葉だ。
クリスも言うことから、シンフォギア世界においては比較的メジャーな言い方であることが伺える。

「泣いてなんかいませんッ!」
「涙なんて流していません……」
「風鳴翼はその身を剣と鍛えた戦士ですッ! だから……」
 (第3話)
TSURUGI!
泣いているのに泣いていないと強がる。
この面倒臭さが風鳴翼である。
また、ここから(やたらと)剣だと自称するようになる。
ここから始まる剣連呼があるからこそ、第7話の台詞が映えるのだ。
その場限りのギャグに収まらないのが翼語の魅力である。

「私は剣 戦うために歌を歌っているに過ぎないのですから」
「怒ってなんていませんッ!」
「剣にそんな感情など備わっていません」
 (第3話)
剣であるべしと自分を強く律する風鳴翼の生き様が端的に示されてる。
そのくせ、怒ったり嫉妬したりと感情剥き出しなのがたまらない。
風鳴翼は強い剣であると同時に折れやすい剣でもあるのだ。

「2年前、私の不始末で奪われた物を忘れるものか」
「何より私の不手際で奪われた命を忘れるものかッ!!」
 (第4話)
韻を踏んでいるスピード感とリズム感に溢れた台詞だ。
風鳴翼の鋭敏かつ繊細なセンスを感じ取れる。
こうした言葉としての美しさも翼語の魅力なのだ。

「奏を失った事件の原因と奏が残したガングニールのシンフォギア……」
「時を経て再び揃って現れるという巡り合わせ……」
「だが、この残酷は私にとって心地いいッ!」
 (第4話)
残酷を心地いいと言える風鳴翼の剣としての心境がわかる。
本人の無自覚なところで残酷と言われた響の心境はわからぬ。

「戦場(いくさば)で何を莫迦なことをッ!!」 (第4話)
クリスとの合わせ技である。
第4話はクリスとの息の合わせ方が素晴らしく、濃密な翼語ワールドが形成されている。
この二人が肩を並べて戦場(いくさば)に立つ日が楽しみである。

「繰り返すものかと私は誓った……ッ!」 (第4話)
誓い決めたことを貫く。
風鳴翼の性格が現れている。
いや、台詞の全てに性格が出ているけど。
面倒臭さも。

「この身を一振りの剣と鍛えてきたはずなのに、あの日無様に生き残ってしまった」
「出来損ないの剣として恥を晒してきた」
「だが、それも今日までのこと」
「奪われたネフシュタンを取り戻すことでこの身の汚名をそそがせてもらうッ!」
 (第4話)
生き恥は風鳴翼には欠かせないキーワードだ。
剣と合わせることでその深みを生み出している。
自分を必要以上に追い詰めるその姿に風鳴翼の剣としての生き様を感じ取って欲しい。

「月が覗いているうちに決着を付けましょう」 (第4話)
自分の心境のみならず、環境までも言霊とする。
風鳴翼の世界の広さを感じさせる。

「防人の生き様、覚悟を見せてあげるッ!」
「貴女の胸に焼き付けなさいッ!」
 (第4話)
風鳴翼は散々と響を拒絶した身であるのだが、それと同時に伝えたいモノも胸に隠している。
こうした胸に秘めた想いが風鳴翼をただの面倒臭い女で終わらせないのだ。

「私とて人類守護の務めを果たす防人……」
「こんなところで折れる剣じゃありません」
 (第4話)
シンフォギア屈指のインパクトを誇る血涙シーンでの台詞だ。
ボロボロに折れているのにこの強がり!
風鳴翼とはこのような女である。

「片翼だけでも飛んでみせるッ!」
「どこまでも飛んでみせるッ!」
 (第4話)
飛べていないのにこんなことを言う。

「一人になって私は一層の研鑽を重ねてきた」
「数え切れないノイズを倒し、死線を越え、そこに意味など求めず、ただひたすら戦い続けてきた」
「そして、気付いたんだ」
「私の命に意味や価値がないってこと」
 (第5話)
こんなことをさらりと言えるのが風鳴翼である。
実に中二病。

「心配しないで奏」
「私、あなたが言うほど真面目じゃないから」
「ぽっきり折れたりしない」
「だから、こうして今日も無様に生き恥を晒している」
 (第5話)
思い詰めまくって折れかけただけに、こうして吹っ切れた心境に翼の変化を感じ取れる。
ここから風鳴翼は加速度的に漂白されていき、その姿にまた魅せられるのだ。

「奏……私も見てみたい……ッ!」
「見なければ奏と同じところに立てない……」
「戦いの裏側……向こう側に何があるのか……確かめたいんだ……ッ!」
 (第6話)
脳内奏と会話しただけなのに、この異常なテンション!
風鳴翼の精神力(と妄想力)は異常だ。
100kgくらいのカマキリを呼び出せるんじゃないだろうか。

「私は戦うことしか知らないのよ」 (第6話)
部屋が汚いことに対する言い訳にこれを持って来る。
ある種のズルさというかお茶目さに風鳴翼の愛らしさも見える。

「力の使い方を知るということは即ち戦士になること」
「それだけ人としての生き方から遠ざかることなのよ」
「あなたにその覚悟はあるのかしら」
 (第6話)
響の覚悟を否定した身から問う身へと変化した。
先輩として正しき姿を見せ、風鳴翼の格好良さも改めて見せつけられる。

「今あなたの胸にあるモノをできるだけ強くはっきりと思い描きなさい」
「それがあなたの戦う力、立花響のアームドギアに他ならないわ」
 (第6話)
アームドギアを持つからではなく覚悟を持つからこそ、響を戦士として認めた翼であった。
かつての姿と合わせることでその成長がわかる。
また、あの時に抱えていた懊悩も響を認めることができない己の狭量さによるものではないだろうか。
風鳴翼の根の部分が垣間見える名言だ。

「――剣だッ!」 (第7話)
クリスの「盾……?」と対を為す言葉である。
この一連の流れはとんでもないスピード感を持つ。
自分を事あるごとに剣と称してきたことがこの台詞の破壊力を上昇させている。
また、その剣である翼が響の盾となった。盾となれる人物となった。
そうした成長も感じ取れる名シーンだ。

「もう何も失うものかと決めたのだ」 (第7話)
翼の新たな決意が表れている。
また、さりげなく五七五である。
まさかの川柳。
詩的でさえあるからこそ、翼語は美しい。

「だが、私も十全ではない」
「力を貸して欲しい」
(第7話)
翼の成長と変化を感じさせながらも、十全という言葉を持ち出す辺りに「この人はどこまでも風鳴翼なんだな」と思わせる。
変わりつつも変わらない。
風鳴翼の生き様だ。

「フィーネ? 終わりの名を持つ者……?」 (第7話)
フィーネと聞いて終わりと普通は思い浮かべない。

「人の身ならざる私に受け入れられるのだろうか」 (第7話)
心境の変化がいくつも垣間見える翼であるが、剣としての自負心は未だ健在である。

「防人であるこの身は常に戦場(いくさば)にあったからな」 (第9話)
風鳴翼を語る上で防人と戦場は欠かせず、何だか防人と戦場を言い訳にしているように思えてくるのがチャーミング。

「臆するな立花ッ!」
「防人が後ずさればそれだけ戦線が後退するということだッ!」
(第10話)
格好良いことを言っているが、第10話における翼の戦果は雑魚ノイズの掃討のみであった。

「その嗤いが答えなのかッ! 櫻井女史ッ!」 (第11話)
わざわざ婉曲的表現を行うのが風鳴翼であり、それは終盤を迎えても変わらない。

「まるで過去から蘇る亡霊ッ!」 (第11話)
間違ってはいないがどこか笑いを誘う。
翼語は卑怯。

「嘲笑(わら)ったか」
「命を燃やして大切なものを守り抜くことを、お前は無駄とせせら笑ったかッ!」
(第12話)
防人らしさに満ちた憤怒である。
使命感のみならず、自負心にも溢れている。

「今日に、折れて死んでも、明日に人として歌うために」
「風鳴翼が歌うのは戦場(いくさば)ばかりでないと知れッ!!」
(第12話)
まさに翼語の完成形である。

「本当の剣(けん)になれた」 (第13話)
「FIRST LOVE SONG」の歌詞である。
場の雰囲気をブチ壊し。
風鳴翼はやはり剣である。


シンフォギア感想トップに戻る TOPに戻る