刃牙道 第21話 七対0



まさかの佐部京一郎の出番だ。
外伝からの意外な人選である。
拳刃は勇一郎が出たり佐部京一郎を本編に出してもらったり、大分本編とリンクしていますな。
疵面は一時期チャンピオンで本編と同時に掲載していたのにちっともリンクしない。
アレは正史にしにくいのだろうか。


さて、闘技場に踏み込む佐部である。
相変わらずの笑顔だ。
笑いながら人を殺せる人間であることの証明でもある。
相変わらずの危険度MAXだな。コワイ!

そんな佐部だが唐突に足を止める。
次の瞬間、顔面に謎のラインが走った。
そして、滝のような汗を流す。
佐部の身に何かが起きたのだった。

が、そんなことなど知らぬと武蔵に佐部を紹介するみっちゃんでした。
こいつ、ラブコメの主人公並みに鈍感だな。
メッチャ汗流しているんだから心配してやりなよ。

ともあれ、まずは佐部が九段であることを説明する。
まずは表の肩書きが入る。
現代は斬るだけでは生活できませんからな。
人斬りも世知辛い。

「またの名を「人斬りのサブ」」
「無論あなたとは比べるべくもないが」
「裏で噂されている数だけでも」「20名以上」
「現在の日本―――」「どころかおそらくは世界でも」
「この人ほど“人を斬った”男は存在しない」

だが、九段ではピンと来ない武蔵だった。
剣道の段位制は明治時代から始まっている。
ピンと来ないのも道理だ。
なので人斬りの裏稼業について説明するわけだ。
うーむ、実にぶっちゃけですな。

拳刃の時点では14名だったが、今は20名以上と増量されている。
独歩に敗北しても人斬り稼業を捨てなかったようだ。
とはいえ、そのペースは落ちているようだ。
時代の流れで人斬り需要が減ったのだろうか、それとも独歩に負けた傷が残ったのだろうか。
いずれにせよ人斬りであることを捨てられなかった呪われた性を感じられる。

しかし、世界と言ってもピンと来ないと思うぞ。
そりゃ武蔵が生きていた時代の日本にも外人は来ただろうがごく少数だ。
国外を意識して生きることなんてほとんどない。
親切なんだか不親切なんだか。
まぁ、全部を説明しようとすると切りがないのも事実か。

ここでやっと佐部の様子がおかしいことに徳川光成は気付く。
遅ェ!
佐部は武蔵が何者なのかを尋ねる。
――って、人を斬ってもらうのに説明していなかったのかよ、このジジイ!
立ち会った後に説明する予定だったようだし、佐部もそれを承諾していたようだ。
人を斬るのに理由はいらぬということか。
丸くなったようでこの人斬り、やはりイカれている。

もっとも相手が宮本武蔵となると説明していると刀が鈍りかねない。
そりゃ人類の宝ですからな。
鈍った刀で半端な死合いをやられるくらいなら、本気で武蔵を殺してもらった方がマシと。
このジジイもほどほどにイカれている。

「歳を重ねた身とはいえ」「命を捨てる無駄は受け入れ難い」

佐部は頭を下げてこの死合いを断った。
人斬りが死を覚悟し恐怖するほどの何かがあったのだ。
独歩にはなかった迫力を武蔵は持っていたということか。

そんな間にまた佐部の身に謎のラインが走る。
その衝撃に眼鏡が宙を舞う。
物理的な事象を引き起こすほどの何かがあったのか。

「都合七度…………」「この方に斬られてます」

佐部は7回斬られていると語る。
イメージによる斬殺だった。
剣豪にはよくあるイメージ上での戦いが繰り広げられていたのだった。

だが、壮絶なのはその内容だった。
一の太刀は八文字、二の太刀は喉、三の太刀は大袈裟、四の太刀は面割り面頬、五の太刀は本胴、六の太刀は敷き袈裟、七の太刀は太々(たいたい)。
全て違う太刀で仕留めている。
いずれも真っ二つになる凄惨なダメージである。
そのような斬殺をイメージ上のこととはいえ気負いもせずにやってのける武蔵もイカれている。
現代人とは倫理観が違うのだ。
それが立ち合いに表れるのも道理か。

「かたじけない」「無抵抗をいいことに………………つい」

(無抵抗だと?)
(バ……ッ バカな わたしは精一杯………ッッ)
(意識上のこととはいえ……ッッ やれる限りの全てを………!!!)


世界一の人斬りを無抵抗同然に斬れるほどの力を武蔵は持っていた。
さすが伝説の剣豪である。
九段なのだから真剣ではないとはいえ剣による対戦は幾度もしているだろう。
そんな佐部を瞬殺しことから武蔵の力量がわかる。

「決着はついています」
「七対0で」


ほんの僅かな間に7回も殺された。
33-4である。
そりゃ佐部も冷や汗流して辞退しますわな。
餓狼伝でも神山徹が姫川にイメージ上の連撃で敗北している。
達人同士の戦いはイメージでも十分に完結するのか。

「剣がなくては人は斬れんか」
「剣とはそんな不便なものか」


剣なくして人を斬る。
武蔵はその術を持っていた。
でも、それはイメージ上のことだから素手でも戦えるということにはならんな。
素手でも戦えるのか。格闘家たちと渡り合えるのか。

ともあれ、これでわかることは刃牙との相性が良いということだ。
刃牙が妖術を出してもイメージ上の斬殺で対処できる。
ピクルはフィジカルで刃牙を圧倒していたが妖術に翻弄されてしまった。
だが、武蔵ならば妖術に対抗できる!
まぁ、斬っても死なないエイリアンを出してきたらどうなるかわかりませんがね……
次回へ続く。


佐部京一郎惨敗!
せっかくのゲスト出演だったんですけどね。
板垣先生は相変わらずキャラの使い捨て方に躊躇がない。

400年の間に剣術は進化した。
その進化を上回るほどの秘剣を武蔵は持っているのだろうか。
あるいは現代人とは異なる倫理観から、人を斬ることへの精神性がまったく異なるのか。
とりあえず、武蔵は人を斬ることにまったく躊躇がない。
斬らねば殺される時代に生きてきたのだ。
斬らねば生きられない稼業の佐部とはまったく異なるか。

バキ世界随一の剣豪、佐部が敗北した。
武蔵に剣で敵う人間はいない。
剣よりも危険な拳を持つ格闘家たちの出番か。
それとも佐部は我々の中で一番の小物と剣豪四天王が動き出すか。
ボスは本部で頼むぜ。
あいつ、一番に刀投げ捨てたけどさ……




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