刃牙道 第29話 ジャブ
武蔵に近代格闘技の基本、ジャブが放たれた!
バキシリーズではジャブは幾度かジャブについては触れられた。
ただし、破られるか上回られるための存在であった。
近代格闘技の基本は古代の反射神経を凌駕できるのか、あるいは。
さて、ここでジャブについて語られる。
語るのは範馬勇次郎だ。
ここで本部とかが語っていたら説得力半減でしたな。
面白さ倍増で失った分は補えるか。
勇次郎は飛燕(の前蹴り)、閃光(の肘打ち)、音速(のストレート)と修飾される技について語るが、
これらはどれも来るとわかっていれば当たらない技だと言う。
それらが当たるのはフェイントやその他の削りによって、意識に隙が生まれた時のみである。
とはいえ、刃牙ではけっこう大技がぽんぽん当たっているのですが。
そんな大技を何度受けても立ち上がる花山やピクルのタフネスは異常とも言えるか。
だが、来るとわかっていても当たる技術がある。
世界チャンピオンでさえ喰らうこと前提で戦いに赴く技がある。
それを聞いて刃牙は「ギャラクティカファントムウルトラスーパー44マグナムアルティメット……」と何らかの必殺技を想像するのだった。
うーむ、この頃の刃牙さんは無邪気ですな。
今の刃牙さんは……大分クソ野郎(直喩)になりましたな。
しかし、ギャラクティカファントムですか、リンかけですか、さいですか。
まぁ、あれは当たること前提というか、出された必殺技を受けないのは無礼というか。
喰らった相手が回転して吹っ飛ぶ必殺パンチの対処法がかわすとか防ぐじゃなく、
自分から回転して受けてカウンターするというのは狂っていたと思う。
閑話休題。
そこで勇次郎が語った当たること前提の技術がジャブであった。
かつて同じ言葉をボクシング部の高山が言った。
高山の言葉は勇次郎の言葉でもあったのだ。
これで高山の株が鰻登りだ。さすがですわ、お兄様。
あるいは勇次郎の株が駄々下がりか? よさないか、高山。
「速度のみが旨」
「その意味では骨っぽく」「漢(おとこ)らしい技とも云える」
ともあれ、ジャブは勇次郎も認める技術であった。
それこそ本命を当てるための隙を生み出すための技ではあるのだが、漢らしいとまで言わしめている。
ジャブより速い技はたくさんあるのがバキ世界だが、ジャブだけで決着が着くことがあるバキ世界でもある。
勇次郎の技術へのスタンスは一筋縄ではいかない。
郭海皇戦で主張したが技術とは弱者のためのものであり、強者である自身には不要と結論づけている。
最大の強者である刃牙との戦いでも最終的には技術が介入しない殴り合いになっている。
一方で勇次郎は技術の強さそのものは認めており、だからこそ極めて高い技術を身に付けている。
ジャブを評価しているのもそういうことなのだろう。
「近大武術格闘技における最速の技術(わざ)だ!!!」
(何度も悲惨な目に遭っているが)その最速が伝説の剣豪に放たれた!
かつては不完全と揶揄されたボクシングの技術である。
いや、不完全と揶揄したのは当の本人ですが。
ボクシングはその地位を地に落としては持ち上げられるを繰り返している。
今は烈がボクシング相手に頑張っているから持ち上げられている区間ですな。
ところで烈ボクシング編は?
さて、烈は置いておいてジャブの成否である。
武蔵のアゴに命中! 膝を地面に付いた!
速いとわかっていても信頼性に乏しかったジャブが見事に命中し効果を発揮したのであった。
如何にジャブと言えど刃牙が使えば一味違うということか。
これが本部がやっていたら当たるどころか斬られていたな。
本部は斬られたことに気付かなさそうで困る。
(ほう………)
(お…?)
(ほう………)
(……………………………………………………………!)
その速さに武蔵は感心しつつも膝を地に着けたことに驚く。
意識までは失っていないし完全なダウンではないことから軽い脳震盪だろうか。
ピクルといい古代人は脳震盪への耐性が低い。
殺るか殺られるかの世界で生きてきただけに、生死に直接関わらない技術には疎いのだろうか。
みっちゃんもダウンだと何か喜んでいる。
やはり、近大格闘技が一矢を報いたのは嬉しいようだ。
しかし、死刑囚の時といいピクルの時といい、格闘家に無理難題をふっかけては落ち込んだり喜んだりする爺さんだ。
格闘家に最大限の危険を与えつつも乗り越えて欲しいというワガママである。
「過去 10秒間」
「「幾度も」…ってのはムリでも」
「3回ぐらいなら殺せてたぜ」
武蔵の流儀に直球で返した刃牙であった。
うーむ、この心強いまでの生意気さが刃牙だな。
その刃牙が凹まされた時にこそ盛り上がるのだが。
やはり、こやつはヒールよ……
ともあれ、近代格闘技が、武ではないスポーツの技術で一矢報いた。
一撃で生死が決まらないからこそ発展する技術もある。
それこそがジャブなのだろう。
これは一本取られた武蔵であった。
まぁ、ダメージ的には気絶した刃牙の方が何倍もデカいけど。
古代の武と近代の格闘技。
どちらが上なのかはこれでわからなくなった。
武蔵はこの最速の洗礼をどう返すのか、刃牙はどう煽るのか。
この中に本部はどう割り込むのか。
なお、次号は作者負傷のため、休載だ。
骨折で正拳が握れないらしい。
板垣先生に一体何があったんだ?
急病で休載は主にハンターハンターでよくあることだが、負傷で休載はなかなかないぞ?
次回へ続く。
武蔵ダウン!
とはいえ、膝を着いただけだ。
ダウンはダウンだが失点は少ない。
互いに技を見せたからここからが本番か。
意外と刃牙と武蔵の邂逅が長引いている。
ここまでやられれば武蔵も外出どころではないか?
もっとも、次回いきなり刃牙がゲバルオチに至っていてもおかしくはない。
3回殺せたと刃牙は強がる。
……殺せるのか?
ジャブで機先を制した程度で殺せたら苦労はしないような。
むしろ、妖術を見せてみてはどうか。
そっちの方が武蔵は驚くぞ。
当時はまじないが信じられていた時代だろうし翻弄されるやもしれぬ。
刃牙は火付きが極めて悪い。
が、武蔵に関してはけっこう最初からヒートしている。
ここまで闘争心剥き出しの刃牙なんて久し振りだ。
花山に挑んだ時以来か? 何年前だよ!
やはり1年間の沈黙が大きかったか。
1年間も出番がなければそりゃ出張りたくなるわな。
でも、刃牙が戦うのってもはや数年に1度のペースなんだよなー。
1年くらいの沈黙どうってことないかもしれぬ。
その事実に気付けばいつも通りにサボり出すかもしれない……
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