刃牙道 第35話 終結
ついにあの刃牙がやる気を出した。
ついにと言うわりには序盤ですが、ともあれ刃牙をやる気にさせるのは難しい。
友とも言える男が片足や片腕を食われても明日からやるとか言い出す男だからな。
そんな刃牙が武蔵相手には2敗で本気になった!
2敗必要なのかよ。あと自分のことで本気かよ。
さて、武蔵さんであるが早速その暴挙が報道され
た。
監視カメラで録画された5人の警官を一瞬で制圧するシーンが映し出される。
しかも、宮本武蔵の実名付きで。
これっぽっちも情報統制を行えていない徳川財閥である。総理に頼んだのは何だったの
か。
ピクルにシベリアトラをプレゼントした時も報道されたし、企業秘密にガバガバすぎないだろうか。(範
馬刃牙第91話)
武蔵は両腕を掲げて警官を処理している。
うーむ、本気の構えをあっさりと見せおったな。
あるいは稽古台としてしか見ていないのか。
佐部の時のように幻影刀で安く済ませる気はないのか。
相手が雑魚と見て完全な稽古台として扱ったのだろうか。
警官の1人目は飛びかかったのをかわすと同時に金的で倒す。
監視カメラでは攻撃の瞬間が見えない手際である。
2人目も背後から掴んだところを見えない金的だ。
3人目は警棒を使われたが奪い返して、その警棒でKOする。
4人目と5人目は警棒で同時に襲いかかるのだが、刃牙を倒したであろう袈裟斬りで同時に倒す。
ナレーターは時代劇の殺陣と表現するほどの華麗な瞬殺劇だった。
……待て、どうしてここまで詳細に報道する。
むしろ、報道には徳川財閥の力が関与しているのではないか?
あのジジイならやりかねん。いい機会だとも思っていそうだ。
とりあえず、これからわかることはまず武蔵は金的を躊躇しないことだ。
5人中2人を金的で倒している。
しかも、見えない金的である。
バキ世界における金的の重要性は今更強く主張するものでもあるまい。
喧嘩商売(喧嘩稼業)でも金的は持てはやされているし、格闘漫画における金的は常套手段にして必殺手段なのだ。
次に奪い返した警棒を使っていることから、武器の使用を躊躇わないことがわかる。
これは刀で人を斬った男だけのことはある。
刀を使ったのだから躊躇うような武器もないか。
武蔵の危険性を認めた警視庁は対策本部を作ることとなる。
……待て、大事になりすぎだ。
みっちゃんが早々に手を打たないから犯罪者になってしまったぞ。
反省せい。
その報道を格闘家たちも見る。
まずは格闘家と言えば神心会。
克巳と独歩が見る。前回ハブられたジャックだって見る。
「ツ……強イ………ッッ」
「何処ノ誰(どいつ)ダ!!?」
ジャックは武蔵に戦慄する。
誰なのかを疑っているのは外人だから宮本武蔵を知らないのか、あるいは本物の宮本武蔵だとは思っていないのか。
というか、この人、ニュースとか見る人だったんだ。
トレーニング中(つまりはドーピング中)だったので、退屈を紛らわせるためにTVを付けていたのか?
地下で一人っきりな刃牙ほどストイックじゃないと評してもいいのだろうか。
ジャックは恐怖の(もうあまり意味のなさそうな)骨延長手術を終え娑婆に戻ってきていることがわかる。
そして、相変わらずのドーピング生活だ。
今回だって3本同時に注射しているし手加減がない。
骨延長の効果があったのか、天井に頭が届くほど身長が伸びている。
現在の日本の住宅の天井高の平均は2.4mと言われている。
ジャックの骨延長が無事に成功していれば身長は2.43mとなりちゃんと届く計算だ。
地味に計算されている描写ですな。
あと細かいところではピクルに食われた頬だ。
以前は食われた部分とそうでない部分でハッキリと色の違いがあったが、
今では馴染んだのか、傷はあるものの薄くなっているし色の違いも減っている。
うーむ、わりと真面目に腐り気味だが、腐っても範馬であったか。
ダメージに対する耐性が高い。
ジャックはバキ世界の最強格である。
最近は(身長に対する盲目的なこだわりによって)やや格が下がった感もするが、ジャックに並ぶ格闘家は数少ないのは間違いない。
ドーピングと超身長いう戦国時代には存在しない未知の武器を持っている。
挑む資格は十分か。
「えれぇものを見ちまった」
「はい」
「本物だぜ……………」
「本物です」
愚地親子は30分の沈黙の後に武蔵を本物と認める。
武蔵を一目見て武蔵と言った刃牙は相当な電波かと思ったのだが、実力者から見れば武蔵判定できるものらしい。
理屈なのか直感なのか、武蔵だと判断できる要因はわからない。
何にせよ武蔵の復活を知ったのだった。
独歩はクラシックな技術を用いる武人だ。
戦国の技術との対比が期待できる。
対する克巳は50年先を行く最新のマッハ突きの使い手である。
また、片腕だけの空手という新境地を切り拓いている。
どちらも武蔵と戦う資格十分だ。
「何ってこったい………………」
「今さら…」
「俺らが偽者だって言うのかい……?」
「あの動き…………」
「あれは…そう言われたも同然だぜ」
渋川先生は武蔵の体捌きに焦りのような感情を覚えていた。
稽古を行っているのもだからなのか。
武蔵は渋川先生を以てしても自分が色褪せるほどの技術の持ち主らしい。
実戦で殺陣のような立ち回りをしたのだ。
渋川先生としても驚くに値するか。
渋川先生も殺気を読むことができる。
武蔵に近い水域に住んでいる。
現代の達人と戦国の剣豪の違いというのは大きなテーマになりそうだ。
こちらもどういった戦いになるのか期待がかかる。
愚地親子が武蔵を見た。
ジャックが武蔵を見た。
渋川先生が武蔵を見た。
いずれも勝るとも劣らぬ強者である。
だが、強者は彼らだけではない。もう一人の核弾頭とも言える男が武蔵を見たのだった。
「昨年からの稽古への衝動………」
「回答(こたえ)は出た しかし――」
「よもやあれ程とは………ッッ」
場所は本部流柔術の道場! 人物は本部!
って、お前かよ、本部ェエエエエエエエエエエエエ!
この人は本気で戦場に立つ気でいるらしい。
何かの間違いで済ませる気はなかった。
このまま出てこないかもと思ったんですけどね。
板垣先生が度々アピールしたように逃がす気がなかった。
あと稽古の衝動って衝動がないと稽古せんのか、アンタは。
いや、そりゃあ読者はアンタに期待していますよ。
その期待は解説とかいかに無様にやられるかとか、そういう類のものだからね?
変に勘違いしないでね?
武蔵をあれ程と評価する本部だった。
あれ程もクソもありませんよ。
本部が倒せる格闘家と倒せない格闘家では後者の方
が圧倒的に多い。
どれ程なら倒せる気でいたんだ。
金竜山みたいなこれ程レベルの格闘家さえも倒せていない。
アンタが倒した格闘家っていたか? 柳くらいだ。
……柳を倒せればけっこう倒せるかもしれんな。
ただし、帯刀は必須。
「刃牙も……独歩も……渋川先輩も…」
「否―――勇次郎(オーガ)でさえも――」
「俺が守護(まも)らねばならぬ」
武蔵を前には刃牙も、独歩も、渋川先輩も(さりげなく先輩呼ばわり)、
あるいは勇次郎さえも色褪せるかもしれない。
だから、守る!
本部が守る!
このおっさんは急に奇妙な使命感に燃えてどうしたのだろうか。
アンタに何が守れるんだ。日々の生活を守ることさえ精一杯そうなのによ。
アンタ、ドラクエの職業で言えばあれじゃん。解説役じゃん。町案内程度のものじゃん。町が崩壊するイベントがあれば一番に殺されるじゃん。
ともあれ、一番に臨戦態勢に移ったのはあろうこと
か本部だった。
本部が武蔵に挑む意味は何なのか。
あの本部が敗れたと格闘家たちは武蔵の強さを知るのだろうか。
そう、ピクル編の烈が敗れたように……
無理だ。本部と烈では格が違いすぎる。
本部が敗れてもやっぱりとか無茶しやがってで済まされる以外に道はない。
負けて当然の奴が負けてどう盛り上がれと。
まぁ、本部はあまりの分不相応さ故に戦うだけで盛り上がってしまう男なのだが。
格闘家の中でもっとも戦場(いくさば)に近い男が本部である。
何せ刀を実戦で運用した男である。
しかも、ただ振るのではない。投げて飛び道具として使うという応用を見せた。
武器を持てば本部は強者となれるのだ。
……なれるのだよね?
刃牙は武蔵に戦いに対する精神性の違いを説かれた。
それが負けが繋がっていた感は否めない。
だが、本部ならばどうか。
無遠慮に武器を使う男である。
刃牙以上の実戦に即した精神性を持っているのではないか。
でも、本部だからな。本部なんだよな。
ともあれ、夢か現かと思われた本部参戦であったが確定的になった。
記念すべき刃牙道初試合は武蔵VS本部で開幕か?
うむ、当感想の名前も今週の本部道にして良かった。
これで本部が戦わなかったらピエロだったよ。
まぁ、本部がピエロになる可能性が高いのですが。
多大な期待を背負いつつ次回へ続く。
雑コラは置いておいてついに本部が戦う時が来た。
この人、やる気出している時って大抵勘違いしている。
独歩を1分で殺せると言った時、勇次郎が独歩に分が悪いと言った時、
勇次郎の攻撃が全て見えると言った時、横綱との試合が美味しいと言った時、刀を持った時……
全てが勘違いによるものだ。
今回もまた勘違いしていそうだ。つーか、してるな。
何が守るだよ。意味がわからんよ。
そうなると柳の時は何を勘違いして挑んだのだろうか。
刃牙と柳の戦いを見て、柳の毒手は失敗作だと勘違いして挑んだのか。
あるいは渋川先輩に今の柳は危機感を覚えるほど強くないと聞かされて
挑んだのか。
何か命のやりとりを潜り抜けてきた実戦派というよりも、命知らずの綱渡り野郎としか思えんな、この人。
今回、本部は渋川先生を先輩呼ばわりしている。
先輩ですよ、先輩。
いつからこの人はこんなに慇懃になったのか。
そう思ったがロジャー・ハーロン戦の時に「結果がどうなるにせよ見て絶対に損はな
い」と言っていた。
渋川先生がロジャー・ハーロンに負ける可能性があると思ってい
たのだ。
昔から渋川先生に対してけっこう無礼だったのだ。昂昇戦の時はジジイ呼ばわりもしている。
準決勝進出を果たした頃には完全におもねっていた辺り、結果を残したから渋川先生側に就いた感がぷんぷんする。
この小物が!
小物なので渋川先生が勝てなかった柳に勝ったことでちと思い上がっているのかもしれぬ。
10年以上前の出来事を今も引きずっておるな。
Jr.も儂なら(日本刀で)1分以内に殺せると豪語してるかもよ。
この小物が!
さて、本部と言えば武器である。
アオリにも超実戦派柔術と言われるほどであるように、ここまで武器の使用を躊躇わない地下闘技場系の格闘家もいない。
(烈? 本部を守護らねばならぬので忘れておきましょう)
というか、武器の人になってしまった。
柳に勝利したことはそれほどのインパクトがあった。
そして、今回意味有りげに刀を映し出すカットがあった。
よもや武蔵に刀による勝負を挑む気だろうか。
刀なら武蔵に勝てると勘違いしているかもしれない。
武蔵も刀を使えますがね。
武器使用前提の戦場にいたからむしろ逆効果でしょうがね。
というか、警棒を奪い返して警官を倒していたから、武器使用に強いことがわかりますがね。
そこまで愚かではないかもしれないが、横綱の小指を取ってドヤ顔する人だからわからんよ……
ある意味では本部は人間らしいキャラである。
凄い身体能力があるわけでもなければ、技術があるわけでもない。
精神性も渋川先生に対する態度を見るに実に小物……もとい一般人的だ。
武器を持てば素手よりも強くなるのも、バキ世界では異質であるがごく当たり前のことだ。
解説をしている時はいい気になっているのも一般人らしい。いわゆる動画勢。
THE・普通人こそが本部の個性かもしれない。
そんな普通が武蔵という異常に挑む!
そこにこのマッチメークの本質があるかもしれない。
いや、ないかもしれない。ないな。ない。(断言)
結果はどう見ても絶望的である。
だが、我々は本部に期待せずにはいられない。
それほどのカリスマ性を本部は持っている。
まぁ、絶望をどう打開するかよりどれだけの絶望を見せてくれるかが楽しみなのですが。
負けても解説役として登板できそうなのがポイントでもあるか。
そう、負けても解説できる! 本部の未来の明るいは始まったばかりだ!
最近、解説ばっかりで展開が遅いのも本部が簡潔な解説をしてくれないからに違いない。
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