餓狼伝 Vol.207
歌を唄ってくれ
童謡がいいな――
今回の扉絵を飾るアオリだ。無論、扉絵は扉絵にだけ出てくる丹波だ。
何言ってるんだお前。
前回休んだ反動か、言っていることが錯乱している。
藤巻と姫川はにらみ合う。
ダメージと緊張からか、姫川は汗だらけだ。
地被のダメージに加え、地被に耐えるために舌を破壊してしまった。
汗を流すのに十分である。
でも、特にダメージを負っていない藤巻の方が明らかに濃度が高い汗を流しているのはどういうことだ。
本当に汗の欠かせない男だ。
なんでそこまで汗を流そうとするんだ。
追い詰めているはずなのに劣勢に見える。
この汗が藤巻の悲惨な未来を暗示しているかのようで不安だ。
(姫川のダメージが消えてない あのヘンテコな投げのせいで)
(やれるとすりゃあと一つか2つ)
ヘンテコな投げってそれでいいのか主人公。
一時期、泉宗一郎の元で技を学んでいただろ。
地被そのものを知らなくても「あの技のかけ方は竹宮流独特のものか…」くらいは言って欲しい。
戦わないけど何だかわかっているようなキャラになるのだ。
それ何て本部?
地被のダメージもあるが舌が切れた状態では姫川は長く戦えないだろう。
両者の腕が折れていることもあり、短期決戦と見られたこの勝負だったが、その傾向がさらに強くなった。
先に仕掛けるのはやはり姫川か。
藤巻とすれば待ちに徹すれば姫川の消耗を誘発できる。
が、それをする男ではないだろう。
藤巻は待つツンデレではなく攻めるツンデレなのだ。
(とり澄ました 外見を装いながら――)
(なにもかも手にした外見を装いながら――)
(その実 能無しの俺と同様勝ちたくて勝ちたくて)
(身悶えするほど勝ちたくってしょうがないッッ)
姫川の勝利への執念に藤巻は歓喜する。
でも、いくら何でも姫川に劣等感持ちすぎだろう。
自分を能無し呼ばわりかよ。
そりゃあ逃亡生活でまともな生活は出来てなかっただろうし、生活水準を比べれば雲泥の差だろうけど。
姫川には地位もあれば女もいるし生活も安定している。
対して藤巻は逃亡生活中で地位も女も生活の安定も何もない。
別に姫川が藤巻をどん底に突き落としたわけじゃないが、この辺りになぜか藤巻は恨みを持っている。
特に女。いや、泉冴子は藤巻の女じゃないけど。
あまりに大きな差があった二人だったが、闘争においてはまったく同じ土俵に立てる。
そして、お互いに闘争に対するベクトルも同じだ。
それが藤巻に取って嬉しくてたまらないのだろう。
強敵の資格ありだ。
(抱きしめたいよ… 姫川……)
ひゃあ!わたし知りません〜!!
ホモじゃありません〜!!
「ッ」を2つくらい使って強調するのではなく、囁くように言っているから余計タチが悪い。
憎しみが裏返って愛情になっちゃったか?
裏返ったァ!裏返るなァ!
ピクル編といい、最近の板垣先生はホモネタ多い。
ここらでひとつ百合ネタを組み込んでみてはどうだろうか。
…そういえば、板垣先生の漫画は女性キャラが同時に二人以上出てくる場面がない気がする。
(かろうじて立ってはいるが………… あとできることは――――…)
(残り少ない)
姫川は自分が崖っぷちであることを認識している。
本来ならば地被の時点で倒れていたところを、舌を噛み切って無理矢理立っているのだ。
姫川の闘争人生の中でも最大のピンチに属するだろう。
倒してきた数多の噛ませ犬たちと藤巻は違う。
藤巻はお前を抱きしめたいくらいなんだ。
熱い想いは並大抵のものじゃない…
(勝ちたい…………)
(美しくなくてもいい)
(もう……っ わたしらしくなくてもいい)
(勝てるなら……ッッ)
覚悟を完了し、姫川は右腕を上げ構えた!
ついに明らかな攻撃の意志を見せた。
だらりと両腕を下げた状態から魔法的な体捌きを見せる今までの戦い方とは一線を画す。
あの体捌きは普通にズルい。
姫川が見せた構えに藤巻の笑いはより深いものとなる。
姫川は追い詰められてなお真っ向勝負を選択した。
その覚悟と気迫は驚愕に値する。
この期に及んで姫川はさらに(格闘家的に)いい女になった。
泉宗一郎は姫川が仕掛けてくると見る。
松尾象山は舌を噛み切った時と同様に視線を下げる。
丹波文七はただ驚く。
だから、それでいいのか主人公。
「応ッッ」
藤巻は姫川の挑戦を受ける。
逃げるわけにはいかないし、そもそも逃げる人間ではない。
姫川が全てを賭けて挑むなら、全てを賭けて受け止める気だ。
攻めるツンデレにして不器用なツンデレである。
ツンデレなんて不器用なものだけど。
[やろうッッ 根限りッッッ]
[やろう…][根限り…ッ]
根限りって虎眼流の作法か何かか?
そう思ってyahoo辞書を見てみたら根気の続く限りなどそういう意味合いのようだ。
要するには気力の続く限り戦う決意なのだ。
二人とも同じ言葉を思い浮かべ、同じ構えを取る。
そして、お互いの右手と右手を接触させる。
ここから合気で姫川を回転させたら藤巻は外道だ。
そして、二人の根限りが始まる。
藤巻の喉に平拳ッッ。姫川の顔面に正拳ッッ。
姫川が土壇場で選んだのは正面からの殴り合いだった。
いや、舌切れてるじゃん。そんな状態で殴り合いなんて不利じゃん。勝てないじゃん。
理屈も戦術も飛び越えた位置にある気力勝負が姫川の最後のカードであった。
姫川の平拳を喉に受けてなお藤巻は笑顔だ。歯を剥き出しだ。
ちょっとキモい。
藤巻の正拳を真っ正面から顔面に受けた姫川は鼻が歪む。
舌大丈夫か?
噛み切れたらその時点で勝負ありだぞ。
根限りは既に初撃必殺の域に入っているだ。
だが、これで終わる二人ではない。
次は藤巻の頬に手刀が、姫川のアゴにフックが入る。
藤巻の攻撃はさりげなく舌を狙っているように見える。
密かに勝ち狙いか?
二人の壮絶な激突に会場外のカラスたちは一斉にざわめき飛び立つ。
決戦の時は近い。
次回へ続く。
口中に爆弾を入れたまま、姫川は殴り合いを挑んだ。
普通なら姫川の方が不利だ。
藤巻は打撃も出来るし、露骨な打撃戦が姫川の有利に働くわけでもない。
気力なら負けないということだろうか。
姫川の勝利への執念を感じ取れる。
前回、カラスが並んだところで刃牙VSオリバっぽいと思ってみたら、本当に刃牙VSオリバっぽい展開になってきた。
これで見開きで殴り合ったら完璧に刃牙VSオリバだ(範馬刃牙75話)。
そうすると今回の抱きしめたいという台詞は伏線なのかもしれない。
藤巻が姫川を包み込んでダメージを与える必殺技、藤巻ボールが炸裂する!
…ないか。
それにしても試合が佳境に入ると同時に丹波の立ち位置が世紀末になってる。
そのうちモブに紛れ込みそうで怖い。
何故か出番のない長田よりも扱いがひどい。
…いや、出番があるだけ長田よりもマシか?
とりあえず、童謡でも唄ってあげましょう。
本当意味不明なアオリだなぁ…
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