餓狼伝 Vol.213



1ヶ月半ぶりの餓狼伝だ。
やっと続きである。
今回も休みだったら隔月餓狼伝になるところだった。
危ない危ない。


さて、表彰式が行われる。
記者が集まり写真を撮影している。
何だかんだでいろいろとあったが無事終結だ。

だが、1位の台は無人だった。
そこに立つはずの姫川は藤巻との戦いで重傷だ。
舌を切ったのだ。しょうがない。

3位の台にも畑幸吉しか立っていない。
鞍馬はいなかった。
鞍馬も重傷…って、何で鞍馬はいないんだ?
反則負けで3位である以上、表彰式に出るのは気まずいのかもしれないが、それだけでもないだろう。
グレート巽の見えざる意志が働いているのだろうか。

「32名いたハズの強者達は」
「今や僅か15名ッッ」


表彰される選手だけでなく、当然トーナメント出場選手も壇上に登っていた。
その数、実に総出場者の50%だ。
病院送りの大怪我を負った選手が何人もいる。
そして、今立っている選手も大きなダメージを負っているものが何人もいる。
このトーナメントがどれだけ壮絶なものだったのかを物語る。

「彼らは美しいッッ」
「勇者はすべからく美しいッッ」


ストロングイズビューティフルがこの世界の共通認識だった。
強いということは美しいのだ。
そう言うに値する試合内容ばかりであった。
ムエタイだって無残に食われた。板垣的ムエタイファンは歓喜する。

さて、問題の丹波は表彰式に登った2名の強者を見て、満足気な笑みを浮かべ会場を後にする。
…何で笑っているんだ、この人。
トーナメントが終わり、俺の時代が来たと猛っているのか?
時代というか出番だけど。
何にせよ丹波にとっても満足に値するトーナメントだったようだ。


北辰館トーナメントは無事終わった。
さて、問題は藤巻の事後処理だ
藤巻を追っていたエリート警部(推測)は逮捕状を突き付ける。
その傍らには松尾象山も泉宗一郎もいる。
…藤巻は逮捕をされることを覚悟しているのだろう。
それを覚悟しての姫川との戦いだったからしょうがない。
しょうがないが、ちょっと寂しい。

「罪に服するという お二人のご提案――」
「一点の曇りもなく 正しいッッ」


藤巻の自首は松尾象山と泉宗一郎からの提案だったようだ。
不慮の事故とはいえ、犯罪者には変わりない。
強さに生きる世界の男といえど一介の指導者である以上、罪を償わせるべきと判断したのか。

   _,,....,,_  _人人人人人人人人人人人人人人人_
-''":::::::::::::`''>   ゆっくりしていってね!!!   <
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_,.!イ_  _,.ヘーァ'二ハ二ヽ、へ,_7   'r ´          ヽ、ン、
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r-'ァ'"´/  /! ハ  ハ  !  iヾ_ノ i イ iゝ、イ人レ/_ルヽイ i |
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,'  ノ   !'"    ,___,  "' i .レ'    L.',.   ヽ _ン    L」 ノ| .|
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また、こんな感じに(どんな感じだ)松尾象山が計らったおかげで、藤巻は姫川と戦うことが出来た。
いわば恩人だ。
恩人の提案ならば、なおさら聞かざるを得ない。

とはいえ、松尾象山は藤巻の実力を高く評価していた。
逃亡生活という心身共に不安定になる状況下でも、藤巻は鍛錬を惜しまなかった。
そして、姫川と互角以上の勝負をした。
心技体の全てが整った逸材と呼ぶに相応しい格闘家だ。
獄中へと送り込んでその実力を僅かにでも曇らせるのは忍びないことだろう。

エリート警部は藤巻の言葉を一笑に付し、手錠をかけようとする。
藤巻の試合に感動して拍手をしたのをまったく忘れている。
感動よりも手柄が優先されるらしい。
しかし、獲物が目の前にいるからといってこういう態度はいけないと思う。
死亡フラグってやつだろう。
エリートとして生きてきただけに敗北がなく、同時に詰めが甘いのだろうか。

藤巻が汗を流す。

「しかしそれでは――」
「藤巻重三ではないのです」


警部の喉を突いたァ!
人差し指と親指の付け根の境目でエリート警部の喉を突いた。
強さの世界に生きていないエリート警部は反応できるはずもなく一発で気絶する。

さらにはその側にいた3名の警官も一瞬で倒し退ける
って、3人しかいないのかよ。
エリート警部は10人以下では話しにならないと、藤巻の戦闘力の高さを認めていた。
認めていたのにこれだ。
10人どころか指5本にも満たない数でどうするんだ。
詰めが甘いにもほどがある。

エリート警官の失態に、

   _,,....,,_  _人人人人人人人人人人人人人人人_
-''":::::::::::::`''> ゆっくりした結果がこれだよ!!!<
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松尾象山と泉宗一郎はこんな顔をする。
エリート警官はゆっくりしすぎた。
敗因は、ゆっくりだ。
(無茶なネタ振りだろ)

[泉先生……松尾さん…… どうかお許し下さい]
[お二方の御提案――疑問の余地はございません
 しかし――もしも仮に――もし我が身に藤巻性なるものがあるとしたなら――]
[お二人の意に沿うことすなわち――― 自身への裏切りとなるのです]


藤巻性ってなんぞや。
刑に服することは正しい。正しいが、嫌だ。断るッッッ。
それが藤巻性だ。
故に逃げる。
ついでに藤巻SAGAになると長田と…いや、言うまい…

藤巻はあっという間に警官たちを倒しのけ、あっという間に会場の外に飛び出した。
警官も機動隊も追ってはいるものの藤巻が相手だ。
追いつくことはできないだろう。

「逃げちまったんじゃしょうがねェわなァ」

「ハイッ しょうがありません」


刑に服すことを提案した二人はどこか満足気に呟く。
何だかんだで藤巻には捕まって欲しくなかったようだ。
松尾象山にとっては評価するに値する強者、泉宗一郎にとっては誇るべき弟子…
自首は大人としての判断だが、感情は格闘家として動いていたようだ。

こうして、藤巻の逃亡は完了した。
でも、公務執行妨害で時効が伸びることは間違いない
藤巻の戦いは始まったばかりだ!
次回へ続く。


ついに北辰館トーナメントが終了した。
掲載誌休載というトラブルを経ながらついに完結だ。
トーナメントが開始されたのが2002年12月である。
実に6年もの歳月を費やされたのだ。

そして、その6年の間、丹波のまともな出番は1度たりともない。
というか、戦っていない。刃牙よりひでえ。
傍から見るとどうみても主人公は長田だ。
丹波は胡散臭いヒゲのおっさんと見られていそうだ。
…実際見られていてもおかしくない。

しかし、トーナメントが終われば丹波にだってスポットライトが当たるに違いない。
ここからが主人公の見せ場なのだ。
丹波の戦いは始まったばかりだ!
次回へ続いてください。


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