餓狼伝 Vol.223
3人目の男、犬飼(長身)の登場により、丹波のピンチはさらに深刻なものとなった。
働いた罪はコブラ・ツイストよりも重いのだ。
働いたら負けなんです。丹波は肝に銘じておくべきなんです。
丹波はコブラ・ツイストを仕掛けられた。
ここに来て典型的なプロレス技が使われた。
実戦向きの技ではない。だが、丹波の四肢のほとんどを封じることが出来る。
丹波を動けなくすることだけを考慮すれば十分な効力を持つのだ。
動けなくなった丹波に麻田(ハゲ)と須黒(チビ)は殴りかかる。
シンプルにしてディープ。圧倒的な優勢であることに甘えない無駄のない攻めだ。
だが、丹波とて空手家だ。
プロレスの技は見かけ倒しだと独歩は語っていた。
ならば、丹波だって関節の柔軟性を活かせば!
(外れねェッッ)
無理だった!
外道なれど本物のプロレスラーだけあり、普通のコブラ・ツイストに見えて関節をうまく締め上げているのだろうか。
丹波は状況の打開をまったく図れていない。
そんな時に丹波に金的が決まった。
餓狼伝では久しぶりの金的だ。梶原が蹴られた時以来であろうか。
シンプルにしてディープ。必殺級の破壊力を持つと同時に、板垣作品ではジャブ同然の技だ。
蹴られた丹波は股間に手を当て身悶える。
金的を食らった者が見せる様式美である。
同時にコブラ・ツイストを解かれる。
解かれなければ手を当てることすら許される金的の痛みと戦うことになっていた。
外道レスラーのせめてもの情けであろうか。
と思ったら違った。
身悶える丹波を須黒が逆さ羽交い締めにする。
ダブルアーム・スープレックスの体勢に入ったのだ。
コブラ・ツイストによる拘束…金的による攻撃…そして、ダブルアーム・スープレックス…
丹波をして無駄がないと言わしめるコンビネーションだった。
丹波はけっこう無駄があるからなおさらだ。前回の口プレイとかな!
地面はマットではない。コンクリートだ。
そして、ダブルアーム・スープレックスならば、受け身が取れない。
丹波のダメージは想像するだけでも恐ろしいものがある。
だからといって外道レスラーは躊躇なんてしない。
須黒は躊躇わず丹波をコンクリートに投げつけた。
受け身を取れずコンクリートに叩きつけられた丹波は大ダメージを負う。
それを見ても外道レスラーは微笑を浮かべたままだ。
まさに外道!
丹波も外道なので因果応報です。
さらに丹波にまだ動きがあると知るやいなや、3人がかりで踏みつける。
まったく容赦がない。勝つためにまったく躊躇していない。
この3人なら匕首を渡されれば、容赦なく丹波に突き付けるだろう。
鞍馬のようなヘタな躊躇いは覚えないに違いない。
…外道レスラー3人は長田や片岡よりも格上になっちゃうんだよな。3人がかりだけど。
蹴られまくった丹波は身動きひとつしなくなる。
この様子を傍らで見ていたピザ配達のバイトの兄ちゃんはまずいと思い、110番を打ち込む。
だが、発信直前になって麻田がそれを制止する。
恐るべき視野の広さだ。戦闘に関わるであろう要因を見逃していない。
卑劣なだけではなくクレバーなのが外道レスラーであった。
そりゃあ丹波もボコられるよ!
だって、丹波は二人目がいることにすら気付かなかったんだし!
麻田は1万円を渡し、ピザをひとつ手に取る。
そのピザを口に頬張る。
なるほど、食べるためにピザを買ったのか。
まさに外道!…いや、それは関係ない。
無論、食べるために買ったのでなかった。
一口頬張った後、麻田はピザを丹波の顔面に叩きつける。
火傷…じゃなくて、屈辱的なフィニッシュだ。
例えるならブラフをかまされて金的を寸止めされるとか、空手道と言われながらトンファーを使った立ち回りで圧倒されるとか、
グレート巽の後継者として天狗になっていたら匕首を渡されて正拳一発で決着とか、それくらいに屈辱的だ。
因果応報だ。今のピザで済んで良かったな。
バイトが配達していたのがラーメンだったらもっとひどくなっていたぞ。
これで決着だった。
外道レスラーたちはこの場を立ち去ろうとする。
そんな折に丹波の顔面に乗っているピザの生地が歪んでいく。
やがて、丹波の顔面の形に変わった。
丹波はまだ生きていた。顔面の筋肉でピザの形を変えて見せた。
何という執念。何というチーズの粘着性だ。
チーズの気合いが足りなかったら、顔面が滑っていたところだよ。
いや、それはどうでもいい。
ともあれ、丹波は復活した。
ピザが剥がれれば少年時代に見せた凶悪な形相を見れるのだろうか。
顔が怖くなった程度じゃいかんせんどうにもならんが、そこは丹波だ。
何とか餓狼に目覚めてください。トンファーや匕首とかを持ち出すのは止めておこう。
次回へ続く。
ピンチ続きの丹波であったが、やっと逆転の目が見えてきた。
殴られ屋ですら殴り返すほどの迫力でにらみつけろ!
殴れば骨折するぜ。ダメじゃん、それ。
しかし、丹波のやられっぷりを見て何かが頭をよぎる。
それが何かと言えば邪気眼のテンプレだ。
成年の頃カッコいいと思って
定職にも就かずに作業員のバイトして、突然顔を押さえて
「っぐわ!・・・くそ!・・・また暴れだしやがった・・・」とか言いながら息をを荒げて
「奴等がまた近づいて来たみたいだな・・・」なんて言ってた
涼二に「何してんの?」と聞かれると
「っふ・・・・餓狼(自分で作った設定で俺の持ってる餓狼の力)を持たぬ物にはわからんだろう・・・」
と言いながら人気の無いところに消えていく
試合中、静まり返ったリングの中で「うっ・・・こんな時にまで・・・しつこい奴等だ」
と言ってリング飛び出した時のこと思い返すと死にたくなる
北辰館で松尾象山を待っていたら顔を痛そうに押さえ相手に
「が・・・あ・・・離れろ・・・死にたくなかったら早く俺から離れろ!!」
とかもやった松尾象山も俺がどういう格闘家が知ってたらしくその試合はノーコンテストで終了
毎日こんな感じだった
でもやっぱりそんな痛いキャラだとプロレスラーグループに
「餓狼見せろよ!餓狼!」とか言われても
「・・・ふん・・・小うるさい奴等だ・・・失せな」とか言ってプロレスラー逆上させて
コブラ・ツイストくらったりしてた、そういう時は何時も顔を痛がる動作で
「貴様ら・・・許さん・・・」って一瞬何かが取り付いたふりして
「っは・・・し、静まれ・・・俺の顔よ・・・怒りを静めろ!!」と言って顔を思いっきり押さえてた
そうやって時間稼ぎして警察が終わるのを待った
人の多い昼頃ならともかく、未明に絡まれると悪夢だった
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