餓狼伝 Vol.224



ピザが歪んだ!
鬼の貌ならぬピザの貌だ。丹波もメタボってしまうのだろうか。
メタボった格闘家に未来はにい。
今すぐ痩せろ!だが、働くな!


ピザを顔にくっつけたまま丹波は起き上がる。
表情は見えない。都市伝説になりかねない妖怪ピザ男だな。
顔がピザのまま、追ってくるとけっこう怖いのかもしれない。
その妖怪は昼間に働いていることが稀に良くあるらしい。

ピザは歪む。
何と丹波はピザを食べていた。
いや、食べるのかよ。エコロジー?だな。
力みながらも一気に丸呑みに成功する丹波であった。
格好付けのつもりかもしれないが、顔中にへばりついたチーズと左頬に付いたサラミで台無しだ
いや、そもそもピザを食べても格好良くならない。
メタボの意地を見せつけられれば格好良く思えるが。(断言)

丹波はピザをもぐもぐと頬張る。
まさか食べる気か!?
戦っている最中に変な動きを見せる格闘家は危険だ。
試合前にワイクーを踊るムエタイ戦士並みに危険である。
ごめん、危険の方向性を間違えた。

ピザを食べたと思ったら一気に吐き出した
丹波ゲロフラッシュだ!
ゲロとは違うか。でも、ばっちい。
かみ砕いたピザは外道レスラーを汚す。
嫌がらせとして十分以上の効果を発揮した。
無論、ダメージにはならない。

「てめェら…………」
「戦争だ…」


丹波は凄む。
言っていること自体は重い。迫力がある。
でも、丹波ゲロフラッシュ直後なんだよね、これ
…ゲロフラッシュをしなければ…
そもそも、食べなければ…
根本的な問題としては働かなければ…


さて、場面はグレート巽が宿泊しているホテルに移る。
そこでグレート巽と川辺が話していた。
内容は当然外道レスラーと丹波についてだ。

川辺はよりにもよって外道レスラー3人を丹波に仕向けたことが疑問らしい。
アマレス、ボクシング、空手、柔道…いくらでもトップアマがいるようだ。
それらと比べると外道レスラーは特に実績もないので、対丹波としては不足に感じているのだろう。
丹波の実力を川辺はよく知っているのだ。

グレート巽は外道レスラーはプロレスだけを20年以上やってきたと言う。
20年以上の嘘…その負い目は馬鹿に出来ない。
それを言われて思わず視線を逸らす川辺であった。何か思うところがあるのであろうか。
おそらく、川辺はあの3人を汚れ役として起用していたのかもしれない
華のある大型レスラーを盛り上げるための噛ませ犬などに…
川辺もあの3人に負い目があるだろうか。
しかし、こんなことをおそらく年下のグレート巽に言われるなんて年長者としてどうなんだろう。

「もし――――正直者になり変われるチャンスがあったなら――」
「もし――――嘘つきではなかったと認めてもらえるなら」
「アイツらは針の先ほどのキッカケにだって喰らいつくさ」


ただ、外道なだけではない。
己を本物にするための執念に溢れているのが外道レスラーだった。
そのためなら何でもやるぜ。ただ金で動いているわけではないのだ。
やりすぎて結局嘘になっている気がしないでもないが、結果さえ伴えば過程など関係ないということだろうか。

外道レスラーは自らの人生を賭けて戦っていた。
ならば、丹波がやられてしまうのか。
グレート巽はそれを満面の笑みで否定した。
ひ、ひでえ、この人ひでえ。
グレート巽クオリティが炸裂した。
外道レスラー3人はあくまでも小手試しというわけか?
グレート巽の考えていることは難しすぎてよくわかりません。


さて、駐車場に場面は戻る。麻田(ハゲ)が吹っ飛んでいた。
右目が血まみれになり、あらぬ方向に眼球が向いている。そして、丹波の人差し指は血に濡れていた。
目潰しを行ったのだ。
目潰しは金的以上に危険度の高いベストオブデンジャラス攻撃だ。
今の丹波は本気だ。戦争の言葉に偽りはない。

しかし、外道レスラーたちも動揺した様子は見られない。
外道は外道なりに覚悟しているのだった。
一筋縄では崩せそうにない。

「何をするのかワカらねェ………… 何人いるのかさえワカらねェ…………」
「警戒レベル5(ファイブ)」
「一生に渡る重大な傷害 つまり――」
「戦争レベルの 技術解除だ」


勝つためなら何でもやる。
今の丹波は外道レスラーたちと同じ土俵に立っている。
金的だって平気でやるぜ。相手を壊す技術となるとプロレスよりも豊富だろう。
口先だけではない本気の丹波が久しぶりに見られそうだ。
次回へ続く。なお、次号は休みです。


目潰しという試合では使えない危険な技術が炸裂した。
何でもありが武道の本質だ。
今こそ、武道とプロレスの本格的な対決が始まろうとしている。

その一方でグレート巽の思惑も気に掛かる。
外道レスラーたちもグレート巽にとっては前哨戦のようなものらしい。
真打ちが待ち構えているのだろうか。
反省した鞍馬とか!…鞍馬はもう再起不能か。

外道レスラーなど我々の中では番犬のような存在と、新たなレスラーが沸いて出てくるかもしれない。
さらにプロレス四天王もやってくる。
最後に待ち構えるのは最強のレスラー、ハワイ帰りの梶原だ!
…梶原は丹波撃破要員としてまったく挙げられていないんだろうな。


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