餓狼伝 Vol.229



伊達が流れるように敗北した!
見事なまでの約束された敗北の伊達(カマセカリバー)であった。
一部も隙のない華麗な噛まれっぷりである。
敗北するためだけに用意された。それが伊達の生涯であった。


膝を砕かれ、腕を折られ、胸骨も粉砕された。
命に関わる大ダメージだ。
これには松尾象山も止めの声を発する。
伊達はこのまま無視されなくて本当に良かったと思う。
梶原だったらいなかったことにされてもおかしくはない。

松尾象山は折れた肋骨が肺に刺さっていると見立てる。
このまま放っておいたら死ぬ。
繰り返すようだが、梶原ならこのまま放っておいても何も問題はないが、一応は真剣ならグレート巽よりも強いと言われた伊達だ。
そんな伊達を放っておいて戦うわけにもいかない。

そんなわけで謎の坊主と松尾象山の戦いは流れた。
だが、このまま、お流れで済ます松尾象山ではない。
謎の坊主とのまた逢うことを告げる。

「ひょっとして兄ちゃん アンタ泉さんと…………」

「……………はい… 自分がやりました」


松尾象山が言うには泉宗一郎に何かがあったようだ。
そして、それは謎の坊主がやった…
松尾象山は男の本質を見たのか、念を入れてまた逢おうと言った。

泉宗一郎はあの竹宮流の主だ。
伊達を倒すならともかく、泉宗一郎を倒すなど…
と、思ったけど泉宗一郎は丹波にも負けていた
実は本部くらいの強さなのか?

さて、当の泉宗一郎は病院で包帯を巻いて入院していた。
目に包帯、腕にギプス。
目を潰され、腕を折られたことが伺える。
大ダメージだ。ただの敗北ではなくこっぴどくやられたことが伺える。

そんな泉宗一郎を見舞いに来ていたのは丹波だ。
あまりにもさりげなく見舞いに来ているので、丹波が出てきたことを忘れてしまった。
ところで神山さんはどうしたんですか?

「こんなことになって言うのもおかしいが」
「なかなかいい漢(おとこ)だったよ」
「清々しかった」


ひどいダメージを負った泉宗一郎であるが、謎の坊主に対する印象は決して悪いものではなかった。
あまりに完敗したから満足したのか?
そういえば、泉宗一郎って完敗しかしていないな。
まるで本部みたいだ。

さて、泉宗一郎が語るに謎の坊主との戦いは庭先で行われたようだ。
気付いた時には開始(はじ)まっていたと述懐するほど静かな立ち上がりだったようだ。
夜の庭先に武道家二人…勝負でしょう。
うむ、本当に本部らしい。
それは非常に悪いことだが。

知り尽くした自宅の庭、背後には家の明かり…
泉宗一郎は地の利が自分にあると踏んだ。
それに対し、謎の坊主は敵意を消して泉宗一郎に近づく。
そして、握手を持ちかける。
呆気に取られた泉宗一郎は思わず、握手をしようと手を伸ばしてしまう。
何だかどぢっ娘っぽいぞ、泉宗一郎。

だが、それは謎の坊主の罠だった。
握手のために伸ばされたと思った右手だったが、その親指を泉宗一郎の左目に突っ込んだ
さらに目に指を突っ込んだまま、泉宗一郎を投げて、地面にある岩に叩きつける。
この連携は泉宗一郎をして迷いのないと言わしめた。

泉宗一郎の目を潰し、岩に叩きつける。
後者は地の利を活かした技だ。泉宗一郎の予想は外れた。
謎の坊主は人を壊すということにまるで躊躇を覚えない。
まさに実戦で力を発揮する武道家だ。
そして、間違いなくスポーツの場ではその本領を発揮しきれないだろう。
闇の中でこそ力を発揮する裏の武道家か?

さらに謎の坊主は迷うことなく泉宗一郎の腕を折った。
戦闘不能になった相手にさらなる追撃…
まるで容赦がない。
金玉を潰した上に解説役にするくらいに容赦がない。
…泉宗一郎は第二の本部になっておくか?
あ、第二の本部は梶原がなったから、第三の本部か。

そして、謎の坊主は戦闘不能になった泉宗一郎に頭を垂れる。
容赦のない壊し方だったが、礼を尽くす男のようだ。
暴虐と礼節、相反する二つを持っている男だった。

そして、謎の坊主は丹波にも逢いたいのだと泉宗一郎の口から告げられる。
予期せぬ挑戦状だ。
忘れられてなくて良かったね、丹波。
神山さんは何か忘れられている気がしなくもないが。
次回へ続く。


謎の坊主は丹波のライバル候補だった!
名だたる格闘家を屠っていることからその実力は本物だ。
伊達を瓦の数に数えるのはどうかと思うが。

丹波は謎の坊主と戦うのだろうか。
実力を証明した謎の坊主だが、ピザの力を借りると強い丹波とそもそもヤバい松尾象山に囲まれるのは辛いな。
丹波はともかく、松尾象山は相手としてデカすぎる。

しかし、神山さんはどうなったんだろう。
すっかり忘れられていますよ。
やはり、リア充がいけなかったのか…
携帯も酒も煙草も覚えたのなら、今すぐPCも覚えてネットに繋げ!今すぐにだ!
さすればリア充から離れられるであろう。
そして、餓狼からも離れられる。


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