範馬刃牙 第10話 その先



カマキリと格闘しています。大マジで。
なんというか、たったこれだけでどれだけバキという漫画が常軌を逸脱しているのかがわかる
熊と戦う格闘漫画?OK、そんなの山ほどある。
ライオンと戦う格闘漫画?OK、あまり見たことないけどきっとあるだろう。
でかい猿と戦う格闘漫画?んー…バキくらい?
体重100キロのカマキリと戦う格闘漫画?過去にも、今この瞬間にも、そしてこれから先にもバキしかない。

そういえばなんでカマキリとマジで戦っているんだろう?
いや、数週間前のチャンピオン見ればいいんだけど、それ以前の問題で気になってしまう。
世界一強い父親と戦うためのウォームアップとしてカマキリと戦う?
恐ろしいまでに何かがズレている。
どうでもいいけど、同誌掲載の「ドリル園児」で100キロのカマキリネタがあった。
別の漫画においても、このカマキリの存在は異常らしい。


[薄暗い部屋の中…………]
[バキさんが動いている]
[何もない空中を攻撃し―――――――]
[何もない空中からくる攻撃を―――――――――]
[防御(ふせ)いでいる]


これだけだとアブないお兄さんだ。
だが、刃牙の妄想レベルはランクSだ。
自分の妄想は他者へ伝播し、やがて他者もその妄想が見えてくる。
そんなワケでルミナにもハッキリとした形で体重100キロのカマキリが見えました
…ヤバい。
数週間前から警告しているけど、逃げろルミナ。
範馬ワールドに囚われると危険だぞ。

刃牙はカマキリの攻撃をガードしている体勢を見せているが、基本的にはスウェーなどでかわしている。
体重100キロのカマキリはアフリカ象を捕食するほどの力を持っているのだ。
ガードではダメージを防ぎきれないのだろう。
この奇妙な構図を疑るな。

刃牙はパンチをカマキリの顔面に当てているが、大した効果はないらしく即反撃されている。
戦闘力は本当に高いらしい。
もう、カマキリだからってあまり強くないんじゃね?という思いこみは捨てた方がいいらしい。
体重100キロのカマキリはアフリカ象を倒すくらいの強さを持つんだ。
そうなんだ。絶対そうなんだ。
コンクリートを破壊できる力があるかは疑わしいけど。

[そんなものとバキさんは堂々と向き合っている]

たしかに自分の背丈を圧倒的に上回るカマキリに臆せず戦う姿は凛々しい。
並み大抵の人間では絶対に不可能だろう。
でも、相手は妄想だからなぁ。
刃牙には妄想の中のカマキリと向き合うよりも、現実と向き合って欲しいと思うのは自分だけか?

ルミナのトンデモ思考はどんどん加速していく。
アフリカ象が強いのは大きいからであり、昆虫界の大きさになると芋虫ほどの強さしか持たないと言い出す。
いや、それ、何か違うから。
ミニ四駆が実車サイズになれば、時速300キロクラスのスピードを出せるとか言っているようなものだぞ。

[それは突然きた]
[バキさんが得意(?)のハイキック]
[スピードタイミング 文句なしのジャストヒット]
[K.O.(ナックアウト)の予感―――――――――――――――]


刃牙のハイキックがカマキリの頭部にヒットした。
春成を瞬殺し、アイアン・マイケルを屠った必殺のハイキックだ。
…なんかしょっぱいな、ハイキック。
これにはさすがのカマキリも大ダメージか?

ドカッ

だが、刃牙は次の瞬間またも壁まで吹っ飛ぶ。当然、クレーターができる。
こいつは一体どうやって吹っ飛んでいるのだろう?
壁にぶつかった時の体勢を見るに、壁に向かってジャンプしたとかそんな生易しいものじゃないぞ、コレ。
でも、誰もが抱く疑問だけど、気にしちゃいけない。
気にしちゃやっていけない。

[ナルホドねェ…………]
[ワルい予感が当たった………]
[蟷螂の頭部(アタマ)には脳がないに等しい]
[だから人間には必ず起こる]
[脳震盪がない]
[頭部への攻撃が効かないッッ]


そうなのか?
そうなんだよ!!

刃牙のイメージはカマキリの内部にはまで達している。
素直にすごい。
でも、自分から「ワルい予感が当たった」と述懐するのはどういうことだ。
体重100キロのカマキリのイメージを作ったのは他ならぬ刃牙本人だ。
なのに、なんでカマキリに脳震盪が起こらないことを知っていなかったようなことを言うんだろう。
なんか刃牙本人の妄想だけでなく、+αの要素までもが混ざっている。
もうこれはただの妄想じゃない。
第2の現実だ。
まぁ、妄想には変わりないけど。

カマキリは自慢の鎌を振り上げる。
それを刃牙は素早くかわし、背後に回り込む。
そして、チョークゥッッッ!!!
昆虫に締め技をかける人類は刃牙が初めてだろう。
なんかすごい。
というより、締め技が昆虫に有効なのかどうかはさっぱりだが、とりあえずは刃牙優勢かッッ。

[なんだこりゃ………ッッ]

だが、優勢であるはずの刃牙は思わず冷や汗を流し動揺する
刃牙が冷や汗を流すことは少ない。
目の前に勇次郎がいる時くらいだ。
それだけの異常事態が起きているのだろう。
チョークスリーパーが効かなかったのだろうか。
まぁ、カマキリにチョークスリーパーはどうみても効きそうにないのだが。
根拠はない。根拠はないけど、格闘技全般通用しなさそう。
あと、この体勢は何かを掴まないと無理だと思うのは無視しておこう。

何だかワケのわからないまま、ワケのわからないテンションで、カマキリとの死闘は白熱していく。
なんかもう、すごい。
すごいとしか言いようがない。
カマキリの次はカブトムシとか持ってきそうで怖いなぁ。
角を活かした立ちまわりは一流の格闘技だ、とかのたうちそう。
昆虫を格闘家と例える時点で刃牙の脳みそは随分かわいそうなことになっているなぁと思う。


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