範馬刃牙 第101話 闘う意味



ピクルの超野生力に烈が敗北した。
力と力の正面衝突ではさすがに分が悪かった。
前回、ツッコミ忘れたけど、ピクルに噛みちぎられている左腕で殴ったのも悪かったかもしれない。
何で無傷の右腕を使わなかったんだろう。
烈、天然ボケか?

ピクルの驚異的身体能力にスリージジイも驚きを隠せない。
特に格闘技関係者の徳川のじっちゃんとストライダムの驚愕は特筆に値する。
烈は地下闘技場戦士の中でも問答無用の最強格だ。
その烈の技術が通用しなかったことはショックに決まっている。

決着が着くと同時に止まっていたピクルの涙が再び噴き出す
しかも、95話の時とは量が全然違う。滝のような涙だ。
思わず鼻水とよだれだって噴出される
けっこうよく泣く男だ。泣き虫ピクル。

そんなピクルは顔をあげる。
視線の先は烈が吹っ飛んだ場所だ。
「ズチャ」と範馬っぽい厄い音を立てて、烈の元へ向かうっておいおい喰う気かよ!
いい加減、容赦してやれよ。

烈が喰われると悟った徳川のじっちゃんは慌てる。
今更危機感が芽生えたようだ。
遅ェよ。
最初に噛まれた時に捕獲用網+麻酔銃連発くらいやれよ。
慌てながら徳川のじっちゃんはペイン博士に話しかける。
ピクル専門家のペイン博士なら解決してくれる!

「なにを慌てているのですかミスター徳川」
「当たり前のことが起きようとしてる」
「ディナータイム……」


テメェ、ちょっと待てェエエ!!!
ディナータイムとかOSRな単語を使って食人を傍観しようとしていやがる!
それに食人で殺人が起きそうだから慌てるのが普通だ!
なんだ、この人。
実はスリージジイで一番ヤバい人じゃないか?

ペイン博士の暴言に徳川のじっちゃんは驚愕しまくる。
いや、さっきまで常識人だと思っていた人が食人を見過ごすことを言い出したのだ。
しかし、ペイン博士は動じずに狂った瞳で徳川のじっちゃんを凝視する
やっべ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!この人絶対やっべ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!

「あなた ピクルとの約束 破る気ですか」

「アンタは喰わせる気かいッッ」

「わたしではない 食べさせると言ったのは他ならぬアナタだ」


おじいちゃん止まって!おじいちゃん止まって!
これ以上はヤバすぎるっておじいちゃん!
この博士、ボケたか?
そう思ってしまうくらいに狂った言葉を連発する。
言質あろうがなかろうが食人を看過するのは道徳的にどうかと思います。
ノーベル生物学賞には人の心がないのか!

今確信した!
徳川のじっちゃんもストライダムもペイン博士とは狂気レベルが違いすぎる!
バキ世界でどんなに凄惨だとしても戦いが見たいのは普通の精神だ!リアル世界じゃクズだけど普通だ!
しかし、人間を喰わせようとするなんてバキ世界でも常軌を逸している!
例えるなら可愛い幼なじみがいるのと19人の姉妹がいるくらい違う!
二人がただ格闘を見たいだけなら、ペイン博士はピクルのためなら何でも捧げる!
横文字で言うならマッドサイエンティスト!
英語で言うならMad Scientist!
日本語で言うなら狂科学者!
海軍式に言うならキ○ガイチン○コ野郎!
平松式ならばド外道だ!


試合開始前は乗り気でなかったペイン博士だったが、あれは始まってしまえば何も文句は言わせないという合図だったのだろうか。
もうマジレベルが大いに違った。冗談を真に受けやがる。
自慢のピクルが人間風情に殴る蹴るされたのがそんなに立腹だったのだろうか
野生最強理論がちょっと打ち崩されかけたし、喰っておかないと借りを返せない。
でも、ピクルはアンタの手柄じゃない!
アレン君の手柄だ!
…アレン君、何やってんのかなぁ…

徳川のじっちゃんはさすがにこの狂人に付き合うのはヤバいと感じたらしく、ダッシュでピクルの元へと向かう。
ピクルはもう烈の目の前だ。
ちょうどディナーが皿に乗って出された距離である。
烈ピンチだ!

「何勘違いしてやがる!ピクルのディナータイムは終わっちゃいないぜ!」

「もう止めてピクル!烈のHPはゼロよ!」

「HA☆RU☆RU!」


必死に日本語で説得する徳川のじっちゃんだったが、ピクルに張り手で吹き飛ばされる
多分、軽い張り手だ。
でも、威力十分どころか二十分くらいはあるらしく、徳川のじっちゃんは吹っ飛んで気を失う。
…死んだ?
もう、ピクルを止める人間は誰もいない。
ストライダムも、止めようよ。せめて、止める気概だけは見せようよ。
あと同じネタをまた使うことになると思わなかったというか、そのまんまの展開じゃねえか
実現するなよ。

理解できない日本語を喋る邪魔者は消えた。
同時にピクルは叫ぶ。
地下闘技場を飛び越え、東京ドーム外にまで伝わるほどの大音量だ。
この音量はガイア以上か?

[喰らうことは――]
[別離(わか)れること]
[呪わしき運命(さだめ)]

ミギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!
見開きで烈の脚に噛みついたァ!
噛むな!喰うな!
この人でなし!いや、ド畜生!
そんな読者の叫びも空しく、骨を噛み潰しながら烈の右脚を飲み込んでいく
ほ、本気で喰いやがった…
本気で喰わせやがった板垣イイイイイイイイイイイイイイ!

烈はバキ屈指の人気キャラですよ。
普通、喰わせませんよ。
でも、やる。遠慮なく喰わせる。
もうダメです。常識とか本気で通用しません。
多分、今の板垣先生は何言っても止まらない。
遠慮なくムエタイを噛ませにする。いや、それはいつものことだ。

[凶暴なる食欲 沈静の内―――]
[原始の心はただ苦痛(いたみ)ばかりが………]


豪快に烈の右脚を飲み込んだピクルだったが、相当に悲しんでいるようだった。
思えば前回涙を流したのも、烈に噛みついた時だった。
強敵を喰い殺すのは辛いらしい。
凶暴で巨凶指数が高いピクルだったが、原始人なりの友情があるらしい。
ちょっとだけピクルの好感度アップだ。
でも、それなら喰うの止めておこうよ。
スーパーに並んでいる生肉喰おうよ。
オージービーフで我慢しようよ。
現代は狩猟に躍起にならずとも肉喰えるんだから適応しておこうよ。
あと、シベリアトラは妙に嬉しそうに喰ったけど、あれは何だったんだろう。
1ヶ月の絶食を免れたのがそんなに嬉しかったのか?

ピクルはこのまま烈を喰らい尽くすのか。
いや、もう、右脚の時点で大損害で大盤振る舞いですよ。
勘弁してやってください。
そう思っていたらペイン博士が注射器で麻酔を打ち込みピクルを眠らせた。
って、麻酔効くならさっさと使いやがれ!
人命よりもピクルの一食を優先しやがった…!
狂人ペインの誕生であった。
運動能力のピクルとブレインのペインの狂獣&狂人の最狂コンビ完成だ。
倫理ってものが1ミクロンもないのかこいつ。
人間を餌に捧げるなんて、バキ世界全体で見てもヤバい精神の持ち主だ。

あと食事中とは言えピクルに気付かれずに麻酔を打てるなんて実はかなりの使い手か?
これが徳川のじっちゃんだったら、
獲物を食べる時はね。誰にも邪魔されず自由でなんというか救われてなきゃあダメなんだ。独り静かで豊かで…で吹き飛ばされている。
いや、吹き飛ばされたよ。


ペイン博士の麻酔アタックで何とか烈は一命を取り留め、病院へ搬送される。
しかし、右脚の関節から下が失われていた。
義足を使えば日常生活は可能そうだが、間違いなく格闘技は無理だ
15mの水上疾走に耐えられる義足もないだろう。
失うことから全てが始まるとレツグルイする可能性もなきしもあらずだけど、四肢の全てをフル活用するのが格闘技だから復帰できそうにない。
死闘の果てに一命は取り留めた。
取り留めたが武術家烈海王は死んでしまった
そして、グルグルパンチャー烈永周が残った。

これからは中国武術の指導者として生きるのか、それとも14リットルの砂糖水中華料理人として生きるのか。
あるいはつよきす2学期に薄幸ツンデレヒロインとして登場するのか(しねえよ)。
終盤イベントでグルグルパンチをするんですよ。
萌えろッッッ。
烈の未来に陰りが見えながら、次回へ続く。
こういう時くらいには刃牙がお見舞いに来て、本気レベルを上げてもらいたいところだ。
ここまで厄い展開になるとさすがに範馬に頼りたくなる。


実に読者が望まないことをやってのけた呪100話突破記念だった。
いや、ホント、スゲエよ、板垣先生。
人気キャラを本当に喰うなんてありえねえよ。
しかも、再起不能だ。
喰うなら喰うで、骨喰うなよ。肉だけ喰おうよ。
左右の肩の肉食べて、あと腕と脚の肉を食べて、再起可能なダメージにしておこうよ。
骨は失えばどうしようもないけど肉なら失ってもどうにかなるのがバキ世界だってのに…
烈も中国らしく農薬を身体に塗っておけばよかったのに(不謹慎)。

烈は勝つか負けるかの戦いをピクルに挑んだが、ピクルは喰うか喰われるかの戦いを烈に挑んでいた。
何せ野生だ。負ければ喰われるのは自然の摂理だ。
烈だって死ぬか生きるかの戦いを何度も経験してきたが、
戦い全てが死合いのピクルとは闘争に賭ける意気込みに大きな差があったのかもしれない。
きっと常時エンドルフィン出しっぱなしで死に際の集中力を発揮しっぱなしだ。
堂々と寝ていたのは…まぁ、忘れておこう。

他のピクルに心奪われた格闘家たちもこうして喰われる運命なのだろうか。
さすがにそれは胃に悪いから、ここらでピクル争奪トーナメントをやってみたらどうだろうか。リーグ戦でもいい。
烈を省いた7人に刃牙を加えて争え。
徳川のじっちゃんも今回で軽々しく餌にするとか言えば大変なことになると懲りただろうし、ピクルとのマッチングは慎重に行って欲しいものだ。
まぁ、ジャック兄さん辺りはピクル争奪杯無視して喧嘩売りそうだが。
ジャックの肉はステロイド漬けでまずそうだから安心度は高いか?

また、烈海王捕食事件によって、格闘家たちはどう動くのだろうか。
実力足らずの格闘家は離脱するチャンスだ。
克己と鎬昂昇辺りは止めておいた方がいい。
寂海王とガイアは難しいところだ。二人とも格闘技そのものの実力以上の強さがある。
この二人が戦えばなんか面白いかもしれない。
姿を消すガイアと護身開眼する寂。
…見た目が面白いな。

中国武術繋がりで郭海皇来日となるのも面白そうだ。
ピクルとはまったく正反対の強さを持つだけに面白い組み合わせになるかもしれない。
郭海皇の攻撃力・防御力共に勇次郎に次ぐものがある。妖怪VS非人で種族としても互角だ。
また、肉が薄いし、不味そうだし、いざ喰われる羽目になっても安心だ。
擬態だってある!
あ、意識を失った烈を喰ってたよ…

しかし、肝心要のピクルの食糧問題がこれっぽっちも解決していない
一体どうするんだ。
このままじゃ格闘家を喰い漁るしか生存の道が残されていないし、それじゃ少しでも時が経てばピクルは食糧危機に困る。
ここでピクルと戦った烈が料理を作ってやるのはどうだ。
ピクルだってちょっとくらいなら烈に友情を抱いているだろうし食べてくれる…かなぁ…
右脚の件は…まぁ、我慢してもらうということで。
あ。ピクルは水は飲んでいるらしいから、14リットルの砂糖水を飲ませれば食糧問題は解決するんじゃないか?

また、あまり予想したくなかったことだけど、こうして旧キャラの整理に移っているということはバキシリーズの終焉が近いのかもしれない。
これからも続ける気なら軽々しく烈を喰わせませんよ。今後の展開に彩りを加えるために再起可能にしておく。
だが、喰わせた。屈指の人気キャラを再起不能にした。
「範馬刃牙」がバキシリーズ最終章というのは伊達じゃなかったのだ。
ピクルは勇次郎前の壁としては最適の人材だ。
ピクル編はVS勇次郎編への足がかりなのだろうか?
バキは餓狼伝みたいに延々と続く方がらしいと思うけどなぁ。
作品を描くんじゃなくて作者の生涯を描くノリで。


ついでに烈の右脚が喰われるというメチャクチャな大事件が起きたはずなのに、自分はわりと冷静である。
というのも、チャンピオン発売数日前に四肢欠損した烈のネタバレコラージュを見せられたからだったりする。
あの悪趣味なコラージュと比べれば右脚一本くらい軽いものだ。
単なる比較の問題で、根本的な部分は解決していないが。
…思い出したらなかなかにキレそうです。どうしてくれる。


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