範馬刃牙 第105話 徘徊



ピクルが剣持武志を踏み台にして街中に出た。
このまま問題行動を起こす可能性は90%!
残るはムエタイに絡まれる可能性5%!蘇った末堂に絡まれる可能性5%!
それにしてもペイン博士の管理はザルすぎる。
ニュースで話題になったらたった一人くらい食わせてやればいいと開き直るんだろうな…


[男(雄)は困惑していた……………]
[彼が知るものが何一つない]


未知の世界に踏み出したピクルは目覚めた時と同じように困惑していた。
自然物はまったくない。主食であり友であった恐竜もいない。
代わりに溢れんばかりの人間の群れが歩いている。
ピクルは姿形は同種である人間の群れを餌と認識している辺り、自分以外の生物は全て餌という思想がありそうだ。
同族という概念がまったくない。
強者ならではの考えであり、勇次郎と似ている。
言葉が通じれば仲良く…いや、言葉が通じても殺し合うか…

しかし、街灯を火だと思ったりする辺りは、推測が外れてはいるもののやっぱり頭がいい。
人類が火を利用したと思われる最古の記録でも150万年らしい。
だというのに、ピクルは2億年前の生まれにして火を知っているのだ。
ああ、火を知っていたからこそ、アレン君のティラノサウルスステーキを躊躇わず食べたのか。
でも、シベリアトラは烈は生で食べたよな。食えるなら加熱済みでも構わないけど、生が一番ということか?

[あの白亜紀(じだい)…………]
[襲いかかる者だけを食べて生きられた]
[闘い………]
[勝利し……]
[食す……]
[誇らしかった…]


かつて自分がいた時代を思い出すピクルであった。
白亜紀なのかジュラ紀なのか、どうもハッキリしないピクルである。
最初にジュラ紀で後々白亜紀になったから、白亜紀が正しいか?
ついでにティラノサウルスがいた時代は白亜紀だ。

ともあれ、2億年前(だと白亜紀じゃなくジュラ紀になるが無視)はティラノサウルスという強者がピクルに戦いを挑み、
それを捕食することでピクルは生きることができた。
襲ってくる相手に恵まれていたし、捕食するに値する強敵もいた。
でも、現代は剣持武志ですら喧嘩無敗になれるほど、強さのレベルが下がっている。
ピクルが満足するに値する世界ではないのかもしれない。
じゃあ、襲い掛かってこない相手も食おうよ。動物限定で。

ついでに「誇らしかった…」のコマはほぼ正面からのカットなので股間にぼかしが入っている。
チャンスなので全裸が誇らしいようなニュアンスだと積極的に勘違いしておこう。

[今の自分はなんだ……?]
[こんな衣類(もの)で身を包み…]
[偽装している]
[そうしなければ順応(いき)られない それは理解(わか)る]


闘争に生きる戦士のピクルは現状に歯がゆさを感じていた
本能赴くままに生きてきた2億年前とは異なり、頭使って変装しなければイロモノ扱いされる世界だ。
窮屈だし、戦いに生きてきたピクルとしては何やってんだ俺みたいな感情なのだろう。
強敵と書いてともを食らうことに悲しみを覚えたように、ピクルの内面は繊細な一面が存在するのだ

でも、サイズがあってなかったはずの剣持武志の上着がいつの間にかジャストサイズになっているあたり、けっこう順応している。
いや、順応って問題じゃねえよ。

なお、モノローグでピクルの身長が2m、体重が130キロ超だと判明する。
待て、小さくて軽くないか。
86話では斗羽さんよりも大きいと評されたジャックと同じ程度の身長だった。
烈との身長差も並みじゃないほどあったんだし、2m20cmほどはあると思っていたのに。
それとも慣れない現代の単位を使ったから勘違いしたか?

怪しさ爆発のピクルに人々は目を合わせようとすらしない。
そりゃあ、合わせたくないよ。
男性だったら食われる。女性だったら犯される。
そもそもでかくて、猛獣のような爪で、何もかもが怪しい。無視するのが最善だ。
ピクルにとって人々の群れは餌だが餌たり得ていない。

[腹が減っている……]
[あれ以来食べていない]
[アイツの一部を]
[ほんの数キロ…]


ピクルは腹を空かす。
そりゃあ、烈の右脚一本くらいじゃ満足できな…満足しろよ!
ほんの数キロってどれだけ食べる気なんだ、こいつ。

成人が1日に消費するカロリーは2200Kcalらしい。
白米100gが145Kcalだから、白米の重さに換算すると約1500g、1.5kgだ。
人外(グラップラー含む)だから3倍は食うとして4.5kg。
ピクルは一食で数キロ食えたんだから満足しようよ。
ああ、でも、オリバクラスに食うとしたら1日10万カロリーで…約69000g、69kgだ。
…ほんの数キロと言う気持ちがちょっとわかった。

[アイツを好いていた……]
[恵まれない身体をいっぱいに使用(つか)い]
[小さな武器(わざ)で][小さな力で]
[怖気づきながらも逃げだそうともせず]
[挑んで]


烈がピクルに恋慕の情を抱いていたように、ピクルも烈のことを気に入っていた。
相思相愛である。
今ならピクルを抱けるぞ、烈。
言い方をちょっと間違えたが、私は一向に謝らないッッッ。

烈海王の驚愕の肉体を持ってしてもピクルにとっては恵まれない身体であり
中国4000年の技術は小さな武器鍛えられた筋肉も小さな力であった。
格闘家が子供扱いだ。生物としての立ち位置がまるで違う。
烈海王ですらピクルにとっては数ランク下の生物だった。

だが、それでもピクルに精一杯立ち向かった烈のことをピクルは好いている。
何だか自分より弱いアライ父のことを尊敬した勇次郎に似ている。
強いかどうかだけではなく精神性が大事らしい
勇次郎と仲良くなれるかも…でも、強さ第一だろうから殺し合うよな。

弱者ながら立ち向かった烈の堂々とした生き方はピクルを揺さぶるものがあったようだ。
目下食われそうな克己はどうだろう。
ガソリンを平気でかけたり、瀕死のドイルを殴る蹴るをやったり、加勢を期待するような精神の持ち主だからその…
…何だか餌として不適っぽい。

ピクルは繁華街を出て、横断歩道まで来る。
赤信号だ。通行人は止まる。
ピクルだって高い知能がある以上、それに習って止まるだろう。
でも、烈のことを想っていたから止まらない
恋したピクルは止まらない。
まさに恋のピクル伝説だ!

恋のピクル伝説 朝比奈ぴくる(後藤邑子) 参考

ピ・ピ・ピクルス☆ ピクルンルン☆
ピ・ピ・ピクルス☆ ピクルンルン☆

素直に「好き」と言えないキミも
○○○を出して (Hey Mosaic!)
恋のまじない ピクルビーム
食べてあげるわ

ジュラ紀からやってきた おしゃまなカニバリスト
いつもみんなの肉を食うの
夜は剣持武志の服を盗む
明日もあの人を食えますように

Come On! Let's eat!
Come On! Let's eat! Meat!
涙を流して食べ出したら
Come On! Let's eat!
Come On! Let's eat! Meat!
肉の彼方へSpecial Cannibaration

「いつになったら、肉を食べれるのかなぁ?」



ドンッ

色に頭を染めている無防備なピクルはトラックに轢かれた。
“事故”って“不運(ハードラック)”と“踊(ダンス)”ったァ!
ピクルは身体を1回転させながら、数メートル吹き飛ぶ。ナナハンなんて目じゃない威力だ。
普通なら死ぬ。遠慮なく死ぬ。「!?」が各コマに連発されるくらいだ。
きっと“魍魎”の“武丸クン”くらいじゃないと“助からない”。
ピクルの“耐久力”は特攻の拓の“不良たち”に追いつけるのか?

だが、トラックもただでは済まず人型に凹む。
どれだけ力んでぶつかったんだ。
勇次郎同様、力み世界の住人だ。

ピクルはダウンしていた。
10トン以上の物質と正面衝突したのだ。倒れて当然だ。
だが、冷や汗も流血もない
トラック程度ではダメージすら与えられないようだ。
魍魎の武丸クンに勝った。

そして、ピクルは笑う
強敵を見つけた時の笑みだ。
あと食料を確保できた時にも笑う。
あんまり強くない食料は心底嬉しそうに笑いながら食べるぞ。

トラックの破壊力はピクルをも満足させるらしい。
ピクルの次の標的はトラックとなるのだろうか。
トラック相手にリアルファイトを開始だ!
でも、トラックは食えないよ。
天然っぷりを炸裂させるのだろうか。
次回へ続く。


ピクルはトラックに勝負を挑むのか。
当然、勝負着に着替える。着替えるというか、脱ぐ。
でも、運転手がいないとトラックは動かないぞ。
別のトラックを狙うのだろうか。
爆走するトラック相手にティラノサウルスを(中略)あの日の全力をぶつけるのだ。
…馬鹿だ。

でも、トラックを涙しながら食っても金属の味に満足しそうにない。
金属くらい楽々と噛みちぎります。当然です。
実はこのトラックは食品輸送トラックなのかもしれない。
一通り破壊し終えたら、荷台の中にある食べ物を食してお腹いっぱいになるのだろうか。

あるいはトラックを食べることで、金属製ピクルになるのかもしれない。
野生の本能に金属の身体を手に入れた最強の生物の誕生だ。
メタルピクル――通称メタルだ!
…何だか逃げ出しそうな名前だなぁ…


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