範馬刃牙 第106話 発見



ピクルがトラックに轢かれた。
どんどん扱いが悪くなっていく文化遺産であった。
そのうち、本部に完敗しかねない。
いや、それは死んでもない。

文化遺産の交通事故という大事故が起きた中で、刃牙は扉絵で「オレの出番はまだかッッ!!!」と猛っている。
…うん…出番、いつなんだろうね…
せっかくだから街中にいるピクルとファーストコンタクトを取ってみればいいのに。
このままじゃ、ピクルと逢わないうちに勇次郎がピクルを喰いかねない


ピクルはアスファルトの上に倒れていた。
町人によると20メートルは飛んでいるようだ。
普通なら即死だ。でも、ピクルだから死なない。
これで死んでいたらただのギャグだ。漫画太郎かよとなる。

予想通り、何事もなかったかのようにピクルは起き上がる。
汗も出血も何もない。
トラックの一撃ですらピクルにとってはダメージの内に入らないようだ。
さすがド級サイズの恐竜と戦ってきた男だけあり、タフネスのケタが違う。
烈ですら目立ったダメージを与えられなかっただけのことはある。

突然の襲撃に驚いたように目を見開いたピクルだったが、次第に目を細めていく。
強敵を見つけた時の目だ。
ピクルには強敵を喰い殺すことを惜しむ繊細な一面だけでなく、目の前の相手を叩き潰す凶悪な一面があるのだ。
ここで巨凶ピクルを炸裂させるのか?

でも、相手はトラックなんだよな。
バキ世界においてでかいものや硬いものは壊すためだけの存在だ。
トラックはでかいし金属製だから硬い。
破壊するのには絶好の逸材である。
そして、壊せたからと自慢にはならないものである。
というか、でかくて硬いものはイジメテ君をすでに壊している(ピクル最終話)。
つい数週間前に金庫も壊している。
どこまで壊せば気が済むんだこいつ。

ピクルはトラックに向かって奔り出す。
最初は軽い踏み出しだったが、後半になるとまるで振りかぶるようにダイナミックに走り出す。
烈を屠り去ったピクルタックルをトラックに敢行か!?
四足歩行のポーズを取っていないことから、簡易版ピクルタックルであろうか。
服を脱いでいないし、本気ではないのか。
そういえば、ピクルが二足歩行になった理由は明らかになっていないままだった。
多分、これからも。

グドッ

ピクルがトラックと正面衝突した。
普通なら人間が吹っ飛ぶ。
しかし、あまりにすさまじいピクルの突進力によってトラックの後輪が浮き上がった
普通なら丸ごとトラックが後ろに吹き飛ぶところだが、サイドブレーキしているのでかろうじて踏ん張った。
さすが、タックルで数多の恐竜を屠ってきた生物だけあり、恐ろしい破壊力だ。
でも、相手はあくまでトラックなんだよなぁ…

タックルをぶちかましても、トラックは悲鳴をあげなければ出血もしない。
当然だ。当たり前だ。
悲鳴あげるトラックとか出血するトラックとか、怖ェよ。

しかして、ピクルにとってはトラックは未知の生物として見ているかもしれないわけで。
効果なし、と見たのか。
今度は前車体を掴み投げようとする
本人としては大真面目の闘争なんだろうけど、瓦割りと同じなんだよなぁ、これ。

そして、ピクルの超筋力の前にトラックが持ち上がる。
これで持ち上がらなかったらバキ外伝の戸倉竜士以下になっていたところだ。
グラップラーだったらトラックくらい持ち上げられて当然だ。スペックだってできる。シコルスキーならちょっと怪しい。
ピクルはグラップラーじゃないけど、超生物だからこれくらいやらずとも出来る子なんですよ。

トラックを持ち上げて、叩きつけようとしたのか。
さらに力む。
でも、トラックのボディが耐えきれずシャーシから離れてしまう
ピクルはずっこける。
な、なんて萌えを把握している奴なんだ!

これはアレですよ。
休日寝ていたらいきなり強気お嬢様(クーデレ)がやってくる。
すぐに行くと服を着ようとするがなかなかいい服が見あたらない。
パンツ一丁のまま考え込んでいると、なかなかやって来ないからと心配になったお嬢様がドアを開けようとノブに手をかける。
パンツを見られるわけに行かないとこっちもドアノブを掴んで何とかドアを開けないようにする。
お嬢様も意地になってドアノブを引っ張ろうとしていると、やがてドアノブが壊れて外れてしまい勢いのまま、お嬢様はすってんころりんと倒れる。
その際に「ぎゃうんっ」とか「どべぇっ」などの可愛くないことで逆に萌える声をあげるといい。
で、ドアを開けてみるとちょっと涙目で尻もちをついているお嬢様がいる。
もちろん、スカートなので丸見え。
ピクルのやったことはこれと同じだッッ!
同じなんだよッッッ!!

お嬢様のごとく、倒れたピクルはすかさず起き上がる。
ピクルにとっては相手の首を引っこ抜いたと同義なんだろうな。
そう考えると萌え行為に見えたものが、けっこうな残虐行為に見えてくる。
2億年前はこうして恐竜の首を討ち取っていったのかもしれない。
現代の格闘家も同じように…いくら何でも発禁するので勘弁してください。

ボディをはぎ取った先にあったのはトラックの荷台だ。
ピクルは何か感じ入るものがあったのか。
迷わず荷台に跳び蹴りをする。
お前、キックできたのか。
ピクルは今まで一度もキックせずパンチしていたから、キックという技術がないかと思ったら違った。
ちゃんとキックも知っている。武器は拳だけでなく足も使えるのだ。
そのうち、恋仲の烈の真似をして相手の髪などを掴むかもしれない。
ピクルなら修練不要でできそうだ。

ピクルの蹴りによって荷台は鉄板は凹む。
ピクルほどの筋力だったらそのまま鉄板が吹き飛びそうなものだけど、まぁ多分蹴りに慣れていなかったのかもしれない。
烈の蹴りを思い出してやってみたとか。
ともあれ、ピクルは凹んだ鉄板を掴みむしり取る。
ワイルドだ。野生だから当然だ。

剥き出しになった荷台にあった匂いにピクルは反応する。
中にあったのはいくつもの生肉だ。
トラックは肉輸送車だったのだ。
戦いの相手としては不足だったトラックだったが、膨大な量の食料にピクルの目は輝く。
腹が減ったところにジャストタイミングでの補給だ。
早速食い始める。もちろん、生で生食いだ!

でも、その肉は冷蔵されていて冷たいだろうし、ヘタすれば冷凍されていると思うんですが。
直前まで生きていた生暖かい生肉ばかりを食べてきたピクルが満足するにはちょっと物足りなそうだ。
加熱されたティラノサウルスステーキを食べたり、今回の冷たい肉を食べたりと、ピクルには味に対するこだわりはないらしい
ピクルの腹が膨れたところで次回へ続く。


やっとピクルに食料を補給させる方法が明らかになった。
生肉を積んだトラックをピクルにぶつければいいのだ。
ドライバーはぶつけたら即避難だ。避難しないと死ぬ。
そのうち、ピクルも満足しなくなるだろうから、どんどんトラックのサイズを大きくしていく。
体重80トンのブラキオサウルスと戦ったピクルなら大型トラック程度なんてことない。
なんか食べさせるたびに(ドライバーの)寿命が縮みそうだし、文化遺産にやるようなことではないが。

しかし、こういう方法があるなら、わざわざ猛牛やライオンなどを取り揃えた徳川のじっちゃんやペイン博士が道化に見えてしょうがない
なんか正解を知っているがゆえに方法を選んでしまい遠回りしたみたいだ。
正解を知らないからこその閃きを見せたトラックの運ちゃんは偉い。
運ちゃんは推理漫画では主人公の位地に属するだろう。

とりあえず、この事実が明らかになればペイン博士はトラックをぶつけるようになるのだろうか。
前代未聞の交通事故で餌を摂取する動物だ。
それはそれで人間のやることかとニュースで怒られそうだよなぁ…

ピクルはトラック破壊によって一躍有名人だろう。
同時に目立ったピクルに勝負を挑む人間が現れそうだ。
危ないのは克己と独歩の神心会コンビだ。
腹が膨れているから食うのを見逃すくらいはピクルにやってもらいたい。

そういえば、シベリアトラはどうなったんだろう?
あれだけの肉量なら1日や2日では消火しきれないと思うが…
もしかしたら、ピクルは内蔵の味が苦手なのかもしれない。
烈も今回の肉も内臓じゃなかった。
もし、内臓の味を覚えれば…いや、普通に発禁だよ。


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