範馬刃牙 第108話 強き父を持つ事
超人ノープランが動き出した。
勝てる算段ありません。勝てる見込みありません。勝てる可能性ありません。
でも、挑んでしまえッッ。
いや、無茶だろ…
克己には現状を打破しようという気持ちはあるが焦りすぎだ。
別に今すぐ歴史と伝説とカリスマを手に入れなくても神心会が潰れるわけでもあるまい。
克己ほどの実力があれば空手の世界大会で優勝は余裕だろうし、ゆっくりと公式戦無敗伝説を打ち立てればいい気がする。
永久解説刑の本部をちょっとは見習おう。
[計りかねていた]
[初めて見るタイプの雄]
[必死にアプローチしてくる]
[親し気に近付いてくる なのにこの雄は―――――]
[まるで俺を好きではない]
ピクルは風俗店の誘い込みを受ける。
さりげなく問題発言もしている。
相手となる雄が自分のことを好きでないとダメらしい。
ええい、このガチホモがッ。
くそみそテクニックの阿部高和なんかはピクルにとって理想の男に違いない。
手前から全裸になってくれるし、ピクルとの相性抜群だ。
繁華街じゃなくハッテン場を歩けば良かったのに…
ピクルにとっては恋愛=闘争のようだ。
烈はピクルのことを大好きだった。その想いをピクルは野生の嗅覚で直に受け止めたのだろう。
そして、泣く。
恋人を食い殺すことは辛い。
友情以上の愛情がピクルの心に存在しているのだ。
同時にシベリアトラやトラック相手に泣かなかったのは、彼ら?がピクルに恋していなかったからだろうか。
多分、烈の蹴りはピクルにとって告白と同義で、私はあなたが好きだ私もですみたいなやり取りが行われたようなものか。
ピクルは愛情を暴力と食事という手段でしか表現できない不器用な生き物なのかもしれない。
この辺も気に入った相手ほど暴力を持って叩き潰す勇次郎と似ている。
地上最強と史上最強はどこまでも似た者同士なのか?
それにしても、こういう設定があるとホモネタに走りたくてどうしようもない。
…もしかして、生来同性愛の気質があるからジュラ紀原人は滅んだのかもしれない。
でも、雌は愛情なしでレイプしたから闘争と繁殖は別腹か?
あるいはレイプがピクルにとって、異性に対する告白とか…
とにかく、愛を持って接しない呼び込みにピクルは強い興味を抱けない。
寂海王が現れれば愛の爆発するのだろうか?
愛の伝道師寂海王は米軍基地に現れた8人の中でも特に浮いていたが、愛の力を使えることからピクル相手に渡り合えるかもしれない。
寂海王が愛のキャラだったかどうかは知らない。
自分には理解しがたい状況がピクルを包み込む。
こういう時に呆然とするのがピクルだ。
萌えキャラだったら「ふにゃぁ?」とか言ってる。
言ってる。間違いない。問題ない。そうに違いない。疑るなァ!
好きな相手としか寝ないからピクルは純愛エロゲー向きのキャラだ。
呼び込みは店の中に連れ込もうとする。
後日開店休業の幕開けになるかと思いきや、間一髪のところで呼び込みを制止する神心会門下生Aが現れた。
こういう時くらい登場してやろうよ末堂。
こんな場面でしか出番を稼げないことくらいわかってもらいたいところだ。
末堂生死不明ネタでどこまで持たせる気なんだ、ホント。
でも、ちょっと待とう。
この門下生Aはなんとなく末堂と似ている気がする。
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門下生A |
末堂 |
髪型が非常によく似ている。
顔の太さが違うが誤差だと思えば誤解できるレベルだ。
もしかして密かに再登場か?
門下生Aには追悼の意を表して未堂と名付けよう。
なんてことを思っていたら、この人は「バキ」15巻に出てきた克己とドイルの戦いを見届けた人だった。
非常に懐かしい顔が出てきた。
末堂かよーと強引に一喜一憂した自分が馬鹿みたいだ。
さよなら。末堂。頼むから生きていてくれ…
克己とドイルの戦いを間近で見届けた人間ということは、克己の直属の部下なのかもしれない。
克己の信頼もあるだろうし、克己を信頼しているのだろう。
だから、この無茶無謀計画に従事しているのか。
暴走する上司に歯止めをかけるのも部下の仕事の一つです。
とりあえず、呼び名がないと不便なので、偽末堂ということで未堂としておこう。
一方で神心会本部では克己が道場で正座をしていた。空手着だ。
おそらく未堂にピクルを連れてこさせる予定なのだろう。
いや、無理だろそれ。
相手はピクルですよ。初めて服を着ても服に着られず、そしていざとなったら脱ぎ捨ててレイプする男だ。
アンチェインよりアンチェインな存在である。
都内神心会門下生55000人総動員しても連行するのは不可能だろう。
それに相手は人間じゃなくジュラ紀原人だから、空手の常識が通用しない。
何らかの餌がないと無理だ。
門下生一人くらい死ぬかもしれないというのに、さすがはMr.ノープランである。
そして、克己は奇襲ではなく正面からピクルとやり合うつもりらしい。
もっと無理だろそれ。
いや、恐竜盛りだくさんの地で堂々と仰向けで王者の睡眠を行うピクルに、そもそも奇襲が通用するわけがないけど。
打つ手がないのなら無策で戦った方が手っ取り早いという話か?
どうせ負けるなら技術を使わずにグルグルパンチだけで相手をしろと?
でも、いくら何でもノープランすぎます。
見ようによれば克己の正座は割腹前の武士に見えるから不思議だ。
神聖なる道場が克己の鮮血とか内蔵とか白骨で汚されかねない。
その時、独歩が道場にやってきた。
当然のごとく、克己を止めるためだ。
神心会の館長が、そして克己が義理の息子堂々と無計画に自殺しようというのだ。
独歩としては見過ごせないだろう。
普通止めるよ。誰か止めろよ。お前なんか烈に一撃だっただろうって言ってやれよ。
加藤とか、末堂とかが言ってやれよ。
「克己よ… 武道家にとってイチバン大切なことはなんだ」
「生き延びるってことよ」
「勝てる相手としか喧嘩しねェ……………って」
武道はそもそも戦いに勝つための技術や心構えではなく、生き残るためのものだ。
本部流柔術なんて夜の公園だと遠慮なく刀を使う。
バキ世界でも有名な宮本武蔵だって、勝つためなら不意打ちすらありとしていたのだ。
武道家は特攻隊じゃないから勝てない喧嘩はしないのだ。
生粋の空手家であり武道家である独歩らしい言葉であった。
勝つためなら満身創痍のJr.に挑んでも、武道的にはノープロブレムである。
克己の決意と行いは武道家の本質とはかけ離れている。
ただの特攻隊だ。
むしろ、必ず勝てると諭吉様を握って賭博場に特攻するギャンブラーか?
「おめェじゃ無理なんだよォッッ」
ギャーーーーー!言っちゃったァ!
なんかもう克己が館長を辞任しそうなほどの駄目出しだ。
克己の実力を低く見ているのか、それとも克己の実力を知った上での言葉なのか。
烈に負けた克己が、烈に勝ったピクルに勝てる道理はない。
相性の差で負けたとかじゃなく、圧倒的な力の差で負けたからなおさらだ。
しかも、練習試合ではなく負ければ食われる。ヘタすれば死ぬ。
組織の長が器不足なのもちょっと問題だが、死ぬのはもっと問題だ。
普通止めるよ。誰だって止めるよ。お前なんか烈に一撃だっただろう。
独歩は克己に館長としての技量は十分だと思っていたのだろう。
僅か二十歳にして神心会随一の空手家となったのだ。やがては独歩をも凌ぐかもしれない。
だが、全然武道のことをわかっていなかった。
身体は大丈夫でも精神がダメだった。
そんな奴に神心会は任せ続けられない、と。
独歩から厳しい言葉を克己は受ける。
でも、Mr.ノープランはめげない。
いや、めげてください。諦めてください。
克己は独歩が館長を務めていた時の支部会議を思い出す。
全国100万人の組織だ。当然、各支部の人間は一筋縄でいかないし、当然のように意見が対立する。
そんな時、独歩は組み手で解決していた。
って、絶対長持ちしねえ組織じゃねえか…
いちいち内部で衝突していたらキリがないぞ。
むしろ、組み手で解決できる問題なのか?
あそこに支部を建てよう。反対だ、割ける人員が少ない。組み手でカタつけよう。
…絶対解決しねえ…
実際問題、独歩と組み手をするのは自殺行為だろうから、独歩が組み手を持ち出した時点で相手側が折れたと考えられる。
それはそれで独裁政権だ。
でも、神心会は立派に育った。最大規模の空手団体だ。
組み手で諸問題を解決してもなお成長する。外国に行けばKUMITEになる。
独歩のカリスマって偉大だ。
克己がこんな破天荒な経営を見てきたとしたら、そりゃあ自分の器を問いたくなってしまう。
もしかしたら、早速支部会議で問題が起きて、独歩のように解決できなかったのかもしれない。
これじゃダメだと真似して組み手をしてみたら次回の会議から出席する支部長が減ったとか。
そんなわけで館長と元館長の意見がぶつかる…組み手でしょう。
出来の悪い子にはリアルに鉄拳制裁だと言わんばかりに独歩は上着を脱ぎ捨てる。
無計画反抗期真っ直中の克己は独歩とやり合う気満々だ。
ついに愚地家族が戦うのか?
天才と武神の激突は待ち望まれていたシチュエーションだ。
だが、かつては独歩をも凌ぐ実力の持ち主と思われた克己だったが、死刑囚編以降株を落としすぎた。
今では独歩に遠く及ばない印象の方が強い。
でも、克己だって真面目に戦えばJr.くらいの実力はあるかもしれない。
Jr.くらいの実力さえあれば試合形式なら独歩と互角だ。
ここは道場だ。道場なら不意を突く奇策を使われにくいだろう。
ピクルとの戦いのために選んだ舞台が、期せずして独歩との戦いにも向いている場所となっている。
審判もいないノールールな環境では独歩の空手家としての面子も問われるだろう。
空手家としての独歩に勝つことで勝利の価値を上げつつ、それでいて克己にも分のある勝負だ。
ある意味、理想的な展開である。
独歩に挑むこともノープランだとかそういうツッコミはなしで。
闘争は、計画的に。
一方、呼び込みと悶着を起こしていた未堂だったが、
木材を断ち切る空手家としての技と圧倒的な人数で囲む組織としての戦術で呼び込みを押し切る。
やはり、神心会には数でもの言わせて囲む姿が似合う。
立派な暴力集団って感じだ。
やっぱり、神心会はこうじゃなければいけない。
いいぞ!
そんな連中に囲まれたことで逆にピクルの顔が生き生きとする。
どいつもこいつもティラノサウルスのように一騎当千ではなくとも、小型の恐竜くらいの戦力を備えている連中だ。
自分と同じ暴力世界に生きる群れなのだ。
うまく行けば食い放題だ。餌の群れだ。
100キロの肉じゃ我慢できないっぽいなぁ…
未堂はピクルを神心会本部へと連れて行こうとする。
人類の英知がこもった集団による狩猟を行うかと思ったら違った。
ピクルは何か嬉しそうだし、すんなりと克己の元まで連行できるかもしれない。
ついて行けば自分を好いてくれる相手と戦えると野生で察知している可能性もある。
克己のピクルへの感情は愛情というより憎悪だが、憎悪も裏返せば愛情だ。
ピクルにとって萌え狂うには十分だろう。
しかし、その時、予想外というか想像外の人物が現れる。
白のスーツ。高そうな革靴。顔に刻まれた傷跡…
花山薫だ。
えええええええええええええええええ?
花山が出てきた?マジですか?
バキ外伝がチャンピオン本誌で連載再開とかってオチじゃないよな?
花山は外伝で頭を撃たれ、その手術の際に頭の毛を剃られた。
が、すっかり元通りだ。
ついに外伝がなかったことにされたか?
こうして本編に登場できたのも、ひとえに外伝の連載終了のおかげだろう。
君の連載終了に――謝々(アリガトウ)?
突如の花山の登場に神心会は凍り付く。
強さに生きる彼らにとって花山は伝説的な存在なのだろう。
サメの脳を潰したとかライフルの掃射を受けても生きているとか、都市伝説並みに伝わっているのかもしれない。
でも、外伝の話だからやっぱりなかったことになるのか?
「強ええんだって…………?」
花山がここに来た理由は当然ピクルが目的だ。
お互いになぜ強いかとなると元々強いから強い男である。
技術を使わずに生まれついた資質だけで戦う点も共通している。
両思いになるのに十分な要素が揃いすぎているくらいだ。
花山は雄ではなく漢をピクルに見せるのだろうか。
次回へ続く。
克己のノープラン計画は独歩により泡沫の夢と消えた。
そして、花山の電撃参戦が行われた。
でも、花山も大丈夫か?
ヘタすれば食われるぞ。
米軍基地に顔を出さなかったから、食われるという話は聞いていないだろうし、ちょっと不安だ。
ただ戦うとは限らないよな。
花山ならピクルを酒に連れ出しても不思議ではない。
仲良く飲めそうだから、怖い。
独歩VS克己と花山VSピクルのカードが同時に立った。
どっちも目を離せない。
特に花山は久しぶりの本編登場だ。
外伝とはひと味もふた味も違うところを見せるのだろうか。
花山の強さはピクル同様常識外だし、握撃という武器でピクルにダメージを与えられる可能性もある。
(勇次郎以上のパワーが相手という点から目を背ければ)意外と好カードか?
現代が生み出した異形の握力と原始が生み出した天然自然の握力対決となる。…かも。
また、ピクルにとって花山は最高の相手だろう。
溢れ出す雄っ気ですよ。漢の彷徨とも言える。
技術を以てピクルに立ち向かった烈とは違い、花山は小細工抜きで正面から渡り合うことだろう。
生まれついた力のみで戦うなんて恐竜に近い存在だ。
それに侠気を交えることで、恐竜以上の存在になることは想像に難くない。
もう落涙どころの話じゃなくなりそうだ。
そのままハッテン場へ直行しかねない。しねえよ。
花山が電撃参戦したことから、他のキャラも再登場したりする可能性がちょっとだけ出てきた。
郭海皇やオリバ、ゲバルといった実力者が再登場すれば非常に豪華な顔ぶれになる。
郭海皇は烈の敗北を聞いて参戦、オリバは逃亡中のピクルを捕らえるためなど、理由付けもできる。
ゲバルは…えーと…今更刃牙と戦うため。
それにしても二つの戦いが同時に成立するというのも久しぶりだ。
死刑囚編以来である。
ただ、どうにも両立しがたいため、片方がうやむやになりやすかった。
今回もどちらかのカードが反故にされるのだろうか?
刃牙も誰かと強引に戦えばいいのに…
今、何しているんだろう?
ピクル対策としてハッテン場でSAGAか?
また、全然登場しないモードに入ったなぁ…刃牙…
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