範馬刃牙 第112話 到着
空気を読まずに刃牙が登場だ!
花山がピクルとどう戦うのか、克己がどう化けるのか。
この2点に読者が注視している中、視界の外から割り込んできた。
バキ読者のほぼ全てが刃牙が割り込んでくるなんて想像もしなかったはずだ。
これぞまさに予想を裏切り期待は…裏切ってるかな。
「キレイだ… 美しい…」
出逢うやいなや、いきなり刃牙はピクルを口説きにかかる。
何言ってんだこいつ。
読者は当然そう思う。
梢江が美少女認定されるバキ世界の美的感覚は常人には理解しがたい。
さらには神心会一同だってそう思っている。
梢江が美少女に見えるバキ世界の住民にとっても刃牙の美的感覚は理解しがたいようだ。
要するに刃牙の美的感覚は異次元。
[徹底的に無駄を排除したその姿は 美しく…
目的の善悪にかかわらず人心を惹きつけてやまない]
[機能美…]
[走る][跳ねる][捕らえる][狩る]
[闘い
仕留めるという行為に極度に特化した肉体……
刃牙の眼からはこの上なく美しく映ったことだろう]
刃牙は戦いに特化したピクルの肉体に機能美を感じていたのだった。
戦いだけでピクルの人生は彩られていたのだから、戦いに特化していて当然だ。
そして、それは純粋な闘争のみで鍛え上げられた自然なものであり無駄がない。
ピクルの身長だって相手を威圧するものじゃなく、巨大な恐竜と渡り合うためのものだ。多分。
無駄にでかいだけの巨漢族とは純度が違うのだ。
…いや、恐竜と互角にやり合おうと思っても背は伸びるものじゃないけど。
かつて刃牙が寂海王に美しさを感じたのも、寂海王の姿に機能美を感じたからかもしれない。
笑う…握手する…捕らえる…抱きつく…
誘い受けするために極度に特化した肉体が刃牙の眼からはこの上なく美しく映ったことだろう。
安部さんなんかもホモセックスの機能美の塊かもしれない。
[蹴るのか…!?][打つのか…!?][締めるのか…!?]
[過去に幾度も耳にした伝説の格闘技マスター
地上最強の少年と目される範馬刃牙がいかなる行動に出るのか!!?]
[史上最強とすら噂される恐龍紀の戦士に何を仕掛けるのか!!?]
[闘う集団空手道
神心会の門下生達は固唾を呑んで見守った]
なんでこの人たちは刃牙が何はともあれ不意打ちをすると思っているのだろうか。
刃牙ってこんなヤツなのか?
腐っても主人公。出番がなくても主人公。
戦う時は一人の格闘家として正々堂々と…ギャー!オリバ相手に不意打ちしてる!(18話&64話)
振り返れば御託を並べているJr.に金的をしたし(バキ271話)、神心会関係者を挙げれば独歩相手に金的の不意打ちをした。
神心会門下生にとって刃牙=卑怯卑劣のイメージが染みついていてもしょうがないと言える。
まぁ、バキ世界において不意打ちなんてジャブ当然だけど。
不意打ちされることが前提となるのだ。
むしろ、不意打ちしない方がおかしいほどだ。
そういう意味では不意打ちを注視する神心会は実戦的ともいえる。
キックとパンチだけでなく、絞め技も不意打ちの候補に入ることから刃牙のトータルファイターっぷりは周知の事実のようだ。
烈海王の研ぎ澄まされた打撃はピクルに通用しなかったことから、刃牙の打撃も一筋縄で通用するとは言い難い。
だが、ピクルがジュラ紀には未体験だった絞め技はどうか。
いくら頸椎が人間離れしているからといって、絞め技が効かないわけではないだろう。
でも、範馬一族には絞め技はなぜか通用しない。刃牙が勇次郎やジャックに裸締めをしても全然効いていなかった。
同じようにピクル相手にも通用しないか?
それにしても過去とか伝説とか刃牙がやたら昔の人扱いされているのはどうしてだろうか?
そりゃあ公式戦に出たのは大擂台賽が最後だ。日本国内だと「グラップラー刃牙」1巻の神心会トーナメントが最後である。
大擂台賽は公式戦は公式戦でも国外だしどうにも嘘臭いアングラさが漂うから除外しても問題ないだろう。
というわけで、実質80巻近く刃牙は公式戦に出ていない。
時事系列的には1年も離れていないんだろうけど、リアル時間ではもう伝説になっても大丈夫なくらいだ。
でも、格闘技マスターとか地上最強の少年とか言われているのは何でだ?
刃牙の正体は一般的には知られていないはずだ。
事実、神心会トーナメントの時点では刃牙の正体に勘づく者はいれど知る者はいなかった。
ここはむしろ大統領誘拐犯という汚名を着せるべきだろう(16話)。
さりげなくピクルも史上最強と知らぬ間に噂されているし、神心会の情報網は信用できるのかできないのかファジーすぎる。
「ただ……」
「ただ会いたくて… 会いたくて会いたくて…………」
「会いたかった………… それだけ………で ゴメン」
ホモネタばっかりだな本当によォ!
言うなら女に言え。梢江には言うな。
刃牙はピクルに逢って何かをしようというわけでもなく、ただ逢いたいだけだった。
そんな刃牙の願いを花山は聞いたらしい。
聞いたおかげで木崎の右腕が破壊されたが、それについては刃牙はノールックだ。
刃牙も花山も、ちょっとは木崎のことを気にしようよ。
米軍基地へは行かなかったが、刃牙のピクルに対する想いは相当熱い。
何せ特別掲載してまで告白したくらいだ。
烈先生を食うほどの強さを知り、その想いはさらに肥大化したのだろう。
ここで横道に逸れるけど刃牙がピクルへの想いを明らかにする91.5話はコミックスに収録されていない。
つまり、コミックス派はしばらくの間刃牙にはやる気がないと思っているのだ。
いや、だからどうしたというわけでもないけど。やる気がないことなんていつものことだし。
…いつものことでいいのか?
刃牙の言葉にも行動にも形にもならない。そんな想いだけでピクルの前に現れた。
普通なら軽くあしらわれるだけだろう。ストーカー同然だし。
だが、ピクルは自分に対する好意には敏感である。
刃牙の気持ちを感じ取ったのか。ピクルの顔は純粋な喜びに溢れている。
そして、かつての勇次郎のように拳を刃牙の目の前に差し出す。
何かと受けに回るピクルとしては珍しく、能動的に気持ちを表現している。
刃牙に何か秘められたものを見たのだろうか。
ピクルの行動に刃牙は困惑しながらも拳を合わせる。
史上最強と地上最強の息子が力比べを開始するのか?
ファ……
そう思った瞬間、刃牙の身体は軽やかに宙を舞っていた。
ピクルが合気を駆使(つか)ってる!
刃牙は派手に体勢を崩さず、緩やかに回転する。そして、無事着地する。
さすがは運動神経の塊だけあり、予想もできない自体に陥ってもすぐに対処した。
ただ、それは刃牙は軽く力を入れたからかもしれない。
相手の力を利用するのがバキ世界の合気の真髄だ。
刃牙が本気で押していたら受け身を取れなかったのかもしれない。
恐るべしはピクルだ。
たった一度の経験で合気をものにしていたのだ。
89話で勇次郎の合気を反芻し、いつの間にかにその原理を解明したようだ。
とはいえ、状況に応じて使うのではなく、拳を合わせた状態という限定された場面でしか行えないのかもしれない。
事実、烈相手には技術を使うような気配は少しも見せなかった。
しかし、すさまじいまでの学習能力だ。
合気の力の流れを見切る天性の運動神経とそれを解明する高い頭脳が融合した末に生まれた神業である。
範馬一族は相手の技術をコピーするインチキ臭い能力を持っていた。
それがピクルにも備わっているらしい。
言葉を知らないピクルだが、闘争という分野では天才的な閃きを見せている。
やっぱり範馬一族の祖先じゃないか?
格闘家たちの技術を学んでいくことで驚異的身体能力と技術を両立する勇次郎のようなパーフェクトファイターになるかもしれない。
ますます勇次郎以外には手に負えなくなってきている。特に克己には。
あと野生をどれだけ神格化すれば気が済むんですか?
力を捨て技術に全てを懸けた郭海皇がかわいそうだ…
やっぱり、バキ世界は肉が最優先される世界なのか。
ピクル流合気を炸裂させ、ピクルはさらに笑う。
言葉も思考もないだけにどういった笑いなのかわからない。
言葉や思考があっても何を考えているのかわからない人だらけなのがバキ世界だから余計わからない。
もしかして、うまくいったのが嬉しかったりして。
軽々とやったフリをして実はまぐれだったり。推測通りにいったのがものすごく嬉しかったり。
いずれにせよこの合気は本人にとっては挨拶代わり同然か?
[恋い焦がれた女性(オンナ)の媚態を前に――――
かろうじて制御されていた少年の自制心]
[そして少年の五体に流れる呪われた闘気が]
[たちどころにリミットを振り切った]
オンナじゃねえ!
ついにピクルを完全に女性化しましたよ。
刃牙的にはピクルは長身ナイスバディでもちょっと天然ボケでどぢな癒し系お姉さんに見えるのか?
もう何が何だか…
とりあえず、夏コミではピクル女性化同人が流行するのは確実だな。
克己×烈よりも流行る。女ピクル×烈の女ピクル主導の本が本命になるかな。
そんな魅力的な女(誤字にあらず)に刃牙は強烈なハイキックを当てる。
ピクルの頬が歪む。
アイアン・マイケルを一撃で屠ったハイキックだ。
でも、体重100キロのカマキリは倒せない。だって、脳が小さいから。
ピクルも倒れない。だって、頸椎がおかしいから。
むしろ、魅力的な女なら蹴るのか?範馬なら愛情が暴力になることは十分にありうる。
蹴るなら梢江を蹴ってくれよ。人生から蹴り落とした気はするけど。
だが、いずれにせよ火蓋が切られた。
克己を無視して刃牙とピクルの対決が始まるのか?
刃牙の次の手やいかに!
「ごめん……ッッ」
「ごめんなさい」
EEーーー!謝るの!?
何のために蹴ったんだ。思わず蹴ってしまったのは確かだ。普通なら謝るべきだ。
でも、謝っても言葉が通じる相手ではない。ピクルは闘争=食事だぞ。
いや、そもそもこの世界は蹴った後に謝罪が通用する世界なのか?
いろいろと疑念が巻き起こるが、女性を蹴ったら謝るのは普通だよな。
蹴ること自体が間違っているけど、紳士的な刃牙であった。
でも、紙面に映っているのはどうみても雄なのはこれいかに。
刃牙の心情は何にせよ、立派な宣戦布告だ。
闘争人生を歩み続けたピクルなら挑戦状と受け取り、戦いを始めるところだろう。
ピクルは言葉を知らないし、刃牙の謝罪など理解できないし、しようともしないはずだ。
だが、刃牙に襲い掛からず背中向ける。
そして、敵意のない笑顔を刃牙に見せる。
それはついてこいというメッセージだった。
ピクルは刃牙をただの餌だとは捉えていない。
闘争の相手とも見ていないかもしれない。
明らかに今までとは違う対応だ。
刃牙をどこへ連れて行こうというのだろうか。むしろ、お前は新宿の地理を知っているのか?
行き先に不安が残る。
もしかして、ハッテン場か?
イイ男に弱い僕は誘われるままホイホイとトイレについて行っちゃったのだ(はぁと)
「……ふ…… ふ………ふゥゥゥ……ん」
この男は空手で終わった!!
神心会の切り札(ノープラン)!!愚地克巳だ!!!
…うわ…遅れに遅れて出てきたよ…
克己が到着した頃にはピクルも刃牙も花山もいなかった。
二人ともピクルについて行ったらしい。
刃牙だけじゃなく花山もかよ。
もしかして人目のつかない場所まで行って、二頭同時食いをやる気か?
珍味中の珍味、格闘家を同時に食う。涙が止まらなそうだ。
報告を受けた克己は怒りを覚える。
せっかく独歩を倒したのに完全に置いてけぼりにされた。
だって、ノープランだし。
だから相手にもされんのだ――ピクルにも刃牙にも花山にも!
克己が置いてけぼりにされながら次回へ続く。
克己があまりにかわいそうな展開になってきた。
ちょっといくら何でもかわいそうすぎる。
せめて刃牙とピクルに割り込めれば良かった。でも、置いてけぼりにされた。
そもそも相手にされていない。戦力外通告だ。
この調子だと刃牙と花山にアンタじゃ無理だと同時にダメ出しされかねない。
いや、もういいんだよ…克己…
ここに来て克己がさらに一段階化けた気がする。
何せ独歩を無遠慮に不意打ちする冷酷さを見せた直後にこれだ。
キャラとして相当ダメに化けた。
せっかく新生克己への兆しを見せたのに…
独歩の予想は悪い意味で当たったな。バキという漫画的には悪いとも言い切れないが。
ダメさ極まる克己は放っておこう。
それよりもピクルが合気を使った。
超パワーが最大の持ち味にして唯一の武器だと思われていたピクルだが、思わぬ懐刀を出した。
ピクルは技も使えるのだ。
ただ、闘争に使うかとなれば別だろう。現に烈を相手には使っていなかった。
しかし、いずれ使うかもしれない。ピクルの筋力と多くの格闘家の技がドッキングすればパーフェクト超人の完成だ。
ピクル…恐ろしい子…!
さて、無理矢理克己に話しを戻す。
密かに克己はジャージのようだ。バンダナも装着している。
空手着からジャージに着替えているのに時間を取られてピクルを逃がしてしまったか?
もしかしたら、刃牙にこんなことを電話で言われたのかもしれない。
言葉に従って数週間ゆっくりと着替えていたらひどいことになっていた。
ゆっくりした結果がこれだよ!
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