範馬刃牙 第119話 完全技
最近、刃牙と克巳の出番が交互に続いている。
その法則からすれば今回は刃牙の出番だ。
だが、今回は刃牙が出てこない。
扉絵もピクルだ!
ああ…全然戦わないから唯一の出番である扉絵からも…
ついでに扉絵のピクルはフンドシをはいている。
…野生度下がったなぁ…ブリーフだったらもっと下がっていたところだ。
[かつて一人の日本人が中国へ渡ったそうな]
[数多くの武術家と比武(試合)を繰り返し その全てに勝利したそうな]
[愚地独歩]
[帰国した独歩はサーカスから子供を買ったそうな]
[自分を超える才能に怯えた独歩は 大金を払い味方に引き入れたのです]
「そんなお伽噺が我が母国にはある」
どういうお伽噺だよ!
4502年マッハ突きも完成し、小休止に入った克巳と烈は談笑する。
その中で出てきたのが中国に伝わる独歩の話だった。
百戦錬磨の独歩だけあり、中国拳法を相手しても負けなかったようだ。
独歩の中国拳法を打ち破るほどの強さが噂を呼び、やがて中国でも語り継がれるようになったのだろう。
同時にその強さに妬ましく思い悪評もでっちあげられる、と。
こんな逸話を残されると現館長の克巳はやっぱり肩身が狭いんだろうなぁ…
とはいえ、海王クラスと戦っていないだろうが、まぁ海王と戦っても独歩なら普通に勝てる。
とりあえず、怒李庵海王には勝っている。除海王や陳海王にも容易に勝ってみせるに違いない。
中国国内でも名の知られる独歩が出場した最大トーナメントで、どうして烈はとてつもないハッタリを当たり前のように言えたのだろうか。
あ、やべ、愚地独歩じゃん、自重しなきゃくらいは思うはずなのに…
それとも蛮勇に自重という言葉は無縁なのか?
独歩の強さに加え、克巳の才能を指し示すような烈の話だった。
だが、お伽噺と現実には相違点があり、それが最後の一節である。
独歩は自分を上回る才能を持つであろう克巳を鍛えた。
味方に引き入れるためではなく、克巳の才能を伸ばしたくなり養子に迎えたのだろう。
この話をした烈はすさまじくいい顔で微笑む。
やべえ。超萌ゑる。
「貫手という空手固有の刃に」
「人体で最も重い部分 頭部を乗せた」
「あえて表現するなら―――マサカリの重さを持つサーベル
つまりは――――存在し得ない武器を手にしたのだ」
「そんな完全技を 超音速で発射する」
4502年マッハ突きはナタの重さにカミソリの切れ味を持つナイフぐらいに信憑性のないキャッチコピーであった。
…日本刀が素手で折られる世界だから、そういうものを出しても…
マサカリの重さを持つサーベルも曲がってしまえばお終いですよ。
しかも、完成したのはいいものの実戦におけるテストはまだだ。
机の上に乗った新種の武器に満足している状態である。
何度かテストを重ねないとものにならないだろう。
ちょっと有頂天になって肝心要の部分を見逃している二人であった。
「おわッッ」
そんな時に二人は驚愕の声を同時にあげる。
何と突然郭海皇が立っていた。
霊魂?いや、違う。実体だ!
妖怪爺だけあり神出鬼没だ。
実に3年ぶりの登場とであった。
予想も出来なかった郭海皇が突然現れたことで二人は混乱の彼方へ飛び立つ。
むしろ、飛行機に乗れたのかよ。パスポート見た時点で拒否されそうな風貌なのに。
もしかして、密入国か?ありえなくもない。
というか、そんな妖怪を簡単に入れるなよ、神心会。
郭海皇とは初対面だった克巳だが、烈にその肩書き、年齢、実力を聞き次第、すぐさま脱帽する。
ああ…先週まで何となく男を上げていたのにもうこれだ。
いや、相手が郭海皇ならしょうがないか?
勇次郎、郭海皇、ピクルでバキ世界の三大人外を張れるくらいだからなぁ…
「あの程度の技に“完全”の言葉を冠するとは なんと欲の浅きことか」
ここで4502年マッハ突きにダメ出しだ。
烈と克巳の二人の愛…じゃなく友情の結晶は、郭海皇にとってまだまだ甘いものらしい。
妖怪爺だけあり、4502年マッハ突きは通過済みということであろうか。
この人なら全身の関節とかいう稚拙なレベルで収まりそうにないからなぁ…
何せ脱力で自分の体重を消し去ることもできるし。
郭海皇は二人の特訓を見ていたようだ。
どこで見ていたんだよ。そう思ってしまうが郭海皇だからしょうがない。
そして、二人を冷やかす。二人は赤面する。
何ですか、このバカップルは。
自慢の4502年マッハ突きにダメ出しをされて悔しいのか。
克巳は郭海皇に問いかける。
「あるもんかね この世に“完全”などというものが」
「あるんだな
これが」
即答かよ…
ピクルが肉体的に人外ならば、郭海皇は技術が人間の領域を逸脱してしまった人外だ。
克巳の人間としての切磋琢磨は、郭海皇の人外の技術に劣ってしまうものなのか?
でも、人外のピクルと渡り合うために、同じく人外の郭海皇から学ぶのは正解かもしれない。
郭海皇はハッタリは言わないと烈のお墨付きをもらった人物だ。
そんなわけで完全を証明するべく、烈に紐を付けた卵を持たせデモンストレーションの試し割りが始まる。
外国人嫌いが有り余って100年に1度の大会を潰すほどの郭海皇が日本人+空手家の克巳に技を見せるというのも珍しい。
勇次郎との戦いで心変わりが起きたのか。
中国においても名の知られる愚地独歩の息子に何か感じるものがあるのか。
いずれにせよ、郭海皇はこの卵をいかに破壊せしめるのであろうか。
「よォ…く見とけ」
「これが…」
「完全技……」
そう言いながら烈と郭海皇は1メートル強は離れている。
おじいちゃん、ボケたか?
いや、ボケたように見えてムエタイのパンツを脱がす人だ。あと中身も潰す。
脅威の踏み込みを見せるのだろうか。
でも、郭海皇は特に構えを取らずに棒立ちだ。
この状態から4502年マッハ突き以上の技を繰り出せるのか?
パン
無駄な心配でした。一瞬で卵の目の前まで近付いて音速の壁を突き破りました。
しかも、棒立ちから右腕を突き出すだけで音速を超えた。
大きくスタンスを取って、しかも自分から動くことのできないマッハ突きは何だったんだよ。
烈ですら実戦では使えなかったマッハ突きを軽々とやりやがった。
郭海皇の技術はもう完全に別世界にまで達している。さすが、妖怪爺だ。
人間二人と比べるのも酷であろうか。
郭海皇の驚愕の技に克巳は息を呑む。
自慢のマッハ突きを大きく上回る技を見せられたのだ。
さぞかしショックだろう。
そんな克巳の動揺とは裏腹に卵には一切の動きが見られない。
と思ったら、卵の下方に横一直線に亀裂が入る。
そして、殻が落ちて黄身と白身が飛び出た。
卵の反応が遅れるほどの超高速+鋭さだった。
4502年マッハ突きで同じことが出来たであろうか?
いや、針金切りに驚いているくらいだから無理か…
「計27か所の関節どころではない」
「加速のための関節など いくらでも増やせる」
「百でも千でも なんぼでも……」
さすが妖怪の言うことは違う。
何か軟体動物よりも身体を動かせそうな人だけある。
27ヶ所なんて児戯に等しいのだろう。
4502年マッハ突きは4146年マッハ突きに適わないのか…
ピクル戦へ向けての武器が揃ったと思った時に郭海皇が現れた。
マッハ突きは郭海皇の146年の研鑽を加えさらなる進化を遂げるのだろうか?
それが4502年マッハ突きを超える4648年マッハ突きなのだ!
…語呂悪いな。
次回へ続く。
予想外の郭海皇乱入だった。
ここで出番が来るとは思ってなかった。
勇次郎が地上最強、ピクルが史上最強なら、郭海皇は史上最長寿だ。
スケールなら化け物共に負けていないし、人外レベルも互角だ。
むしろ、ピクル騒動に顔を見せなかったのが不思議なくらいである。
ピクルとの人外対決も行うのだろうか?
…死んだふりしても食われるけど。
それにしてもピクルとの本格的な対決がまだ1度しか行われていないというのに、豪華キャストで話が進んでいく。
最初に烈が戦って食われて、花山が何のために出てきたのかよくわからないけど出てきて、克巳と烈が協力する展開になり、郭海皇が出てきた。
そのうち、オリバやゲバルも出てくるかもしれない。食われ役としてシコルスキーも。
絶対後先考えていない。
昂昇とか寂海王はどうするんだ?
絡む相手がいなそうで可哀想だ。
…特に寂海王。
この調子で懐かしキャラが出る展開になるのだろうか?
本部とかどうだ。俺が喜ぶ。
克巳は烈との協力に加え、中国4000年の真髄を郭海皇から学ぶのだろうか。
ただし、これだと中国武術に寄りすぎてしまうから、空手の真髄も学んでバランスを取ってみてはどうだろうか。
もちろん相手は加藤だ!
克巳は一度加藤に学んだのだ。今回もまた学べ。
テグスを絡ませることで4648年マッハテグスになるのだ!
あれは若気の至りで20代最大の失敗だったと悔いていそうだけど。
それとも順当に独歩から学ぶのか?
当然、マッハ突きに加えるべきものは菩薩の拳だ。
4648年マッハ突きは菩薩の拳でさらなる進化を遂げることになる。
貫手派と菩薩の拳派で衝突が起きるけど。
その一方で刃牙は新聞紙を固める握力で剛体術をピクルに放っていたのだ。
無論通用しない。
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