範馬刃牙 第122話 対野人(ピクル)戦準備
バシャア
水風船が割れたような不吉な音が神心会に鳴り響いた。
音速を超えるような戦闘機は得てして鋭利なフォルムをしている。
空気の壁に機体そのものが耐えられないからだ。
克巳もやっちゃったか?
だから、空気抵抗の少ない貫手にしていれば…
いや、それだとピクルと衝突した時にヤバそうだけど。
さて、この音の正体は何かというと…
道場の窓が全て割れた音だった。
…はい?
道場の真ん中で正拳突きを行う。
たったそれだけの動作で窓が割れた。
音速の壁を破った時に恐るべき衝撃波が発生したのだろうか?
何だか考えても考えてもわからないほどの理解不能の現象が起きたようだ。
超音速だとか、菩薩の拳だとか、もはやそういうレベルの話ではない。
だが、この理解不能レベルは対ピクル用の技として相応しい。
あっちは2億年前から蘇るとかギャグ漫画クラスの生物ですよ。
ならば、窓が全部割れるというギャグ漫画的な表現を行った5222年マッハ突きは対ピクルの資質十分である。
あれ?ギャグ漫画かどうかのレベルなのか?
さて、これだけの異常事態が起きたのだ。
神心会門下生一同は揺れる。
ウェイトトレーニングをしていた加藤も、頭に包帯を巻いているものの無事生きている寺田も、
そして、門下生一同に指導を行っていた末堂も、って末堂オオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
ドリアンとの戦いで落下してから早7年。
その7年間、ずっと生死不明だった末堂がやっと生存を確認できた。
確ッ認ッ。
末堂生存確認ッッ。
末堂生存確認ッッ。
末堂生存確認ッッ。
末堂生存確認ッッ。
末堂生存確認ッッ。
末堂生存確認ッッ。
板垣先生に考えてなかったと言われた男は伊達ではない。
末堂の生存は嬉しすぎてこれだけで夜通し呑み続けられそうだがひとまず置いておく。
寺田は道場へ駆けつけ、言葉を失う。
克巳を心配してきたら道場の窓が全部割れているのだ。
修行の成果が見られず克巳がひとつひとつ丁寧に割ったと勘違いしてしまいそうな構図だ。
いや、ないないそれはない。…普通はそう思うけど。
たった一つの正拳突きで道場の窓全てが割れる。
5222年マッハ突きは超規格外の必殺技だった。
その恐るべき技の完成に寺田は笑みを浮かべる。
克巳が今までとは違う次元に辿り着いたのだ。
克巳の側近としてこれほど嬉しいものもないだろう。
今ならピクルといい勝負ができる!
…いい勝負かよ。
寺田だけではなく加藤、末堂、その他大勢の門下生も集まる。
末堂はこれが最後の出番かもしれないからかやたら必死だ。
加藤も最後の出番の可能性があるぞ。
こいつらに台詞はないけど。
…もうちょっと何か言えよ…神心会驚き役コンビ…
5222年マッハ突きは完成した。
例え未完成だとしても異次元の破壊力を持つことは間違いない。
しかし、克巳には完成なのかと疑問が残っていた。
何か心残りがあるのだろうか。
「不思議だ…… あの感触……」
「右手に残る…… 想像(おも)ってもいなかったあの感触……」
理解不能音速を超えた克巳は何やら不思議な感触を覚えたようだ。
音速をさらに超えたら熱く溶けた泥の海のような感触があったとか。
あるいは筋繊維が断線した感触とか。
生涯に3回までしか撃てないとかの制限がありそうで怖い。
5222年マッハ突きはピクルにも十分以上のダメージを与えられそうな超必殺なのは間違いなさそうだが、
何やら雲行きが怪しい部分も見え隠れしている。
空撃ちしただけで窓が全て割れてしまうほどの衝撃波を発生させるのだ。
それを生身の相手に、さらに常人離れしすぎているタフネスの持ち主であるピクルに撃ち込めばどうなるのか…
いずれにせよ5222年マッハ突きは形になった。
あとはピクルとの戦いに望むだけだろう。
空手の進化形VS史上最強の天秤はどちらに傾くのであろうか。
次回へ続く。
5222年マッハ突きは破壊力はまだわからないにせよ、驚異的な超常現象を引き起こした。
郭海皇+独歩+克巳の加算ではなく、郭海皇×独歩×克巳の乗算だったらしい。
烈は混ざってません。あしからず。
しかし、中国武術と空手の融合技が生まれてしまうと独歩の立つ瀬がなくなる…
独歩はピクルとは戦わないのだろうか?
というか、何だか大多数が戦いそうにないくらいに後先考えない展開が続いているけど。
結果として不発に終わった新生鎬昂昇とSSS級ダークホース寂海王の活躍は見てみたい気がする。
ジャックとの噛みつき対決とかも…格闘漫画史に残りそうだな。
克巳は5222年マッハ突きで一体何を引き起こしたのだろうか。
やっぱり超音速に達した時の衝撃波か?
道場の窓全てを割るほどの衝撃波なら、克巳が一番ただで済まない気がする。
衝撃波が克巳の前方左右にのみ広がっているなら安心だけど。
あとさりげなく通行人の安否が気にかかります。
夕暮れ時だし退勤ラッシュで通行人盛りだくさんじゃないと信じたい…
末堂が復活したことだし、克巳とピクルの戦いでは神心会驚き役コンビが復帰してくれるのだろうか。
「正中線四連突が通じねえのかよッッ」とかしか言うことがなさそうだけど。
だが、それに加えて解説役に烈を抜擢すれば完璧だ。
「彼と戦った私ならわかる…ピクルの頸椎は四足獣に匹敵するッッ」と言ったり。いや、もっと早く言えよ。
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え?何かを忘れていないかって?
ああうん刃牙も出てきてたね。
末堂クラスのレアキャラになればいいのに…
克巳が友人と師から学んだものの全てを発揮させた新しい技術を開花させていた頃、刃牙はルミナと共に堤防にいた。
かつてルミナを本気で殴った堤防か?(4話)
想い出の場所か…それともトラウマか…
刃牙は上はTシャツ1枚で下はトランクス1枚。テーピングをしていることから戦いを始める直前らしい。
屋外にも関わらず変態ルックだ。
さすが刃牙は何かが違う。
刃牙は突如後ろを振り向く。
何かが聞こえたようだ。
だが、ルミナは何も聞こえなかったようだ。
幻聴か?
(たぶんそうだ…………)
(急がなきゃ…………)
刃牙は自分にしか聞こえなかった音に何かを感じたようだ。
ははは、中二病じゃあるまいし。
リアルシャドーとか中二病なんてものじゃないけど。
もっとも5222年マッハ突きの完成を刃牙は感じたのかも知れない。
きっと次元が歪んだりしたのだろう。
それを優秀な格闘家である刃牙は感じ取った、と。
…あれ?何書いているんだ、俺。
たしかに5222年マッハ突きが完成すれば、刃牙は急いでピクルと戦う必要がある。
万が一にでもピクルが克巳に負けたりでもしたらピクルの価値が下がってしまう。
バキ世界における敗北は残酷だ。
柳が刃牙に敗北同然の放置プレイを食らったら本部に負けるほど弱くなってしまった。
史上最強を史上最強であるうちに超えなければ意味はないであろう。
さて、ルミナの言によると刃牙はこれから試合を行うようだ。
ピクルに一蹴されたままではいけない。
そのためには少しでも多く実戦を繰り返して腕を磨くしかない。
うん、珍しく主人公らしい。
だが、誰と戦うのだろうか。
オリバを倒してしまった以上、それに匹敵する強者はなかなかいない。
ましてピクルとの前哨戦に相応しい相手となれば、なおさら少なくなる。
ここでゲバルなんかが出てくれば…
うん。普通に旬を逃しているからダメだな。
刃牙の試合を見るためか、ストライダムもやってくる。
小学生、高校生、軍人…妙な取り合わせが完成した。
むしろ、ルミナをそっちの世界に引き込むな。
それとも、俺と一緒にアメリカに行こう…と言わなかっただけマシか?
一緒に刑務所に入って前科一犯だ。
だが、ストライダムも刃牙の対戦相手を知らなかった。
ルミナは思わずストライダムと戦うのかと勘違いしてしまった。
驚き役とグラップラーの違いがまだわからないらしい。
もしかして、刃牙はルミナの驚き能力を磨くためにこれから始まる変態パーティへ連れてきたのかも。
準備体操を終えた刃牙はTシャツを脱ぎ捨てる。これでパンツ一丁だ。
夕暮れ時の堤防でやる姿ではない。
いっそ全裸になって剣持武志から服を奪えばいいのに。
…剣持武志はどうなったんだろう…
「今あらわれる」
そう言って刃牙は構える。
が、目の前には誰もいない。
…おい、待てコラ。
この期に及んでリアルシャドーをやる気か?
(あれだ……)
アレかよ…
それは勇次郎にダメ出しされたじゃねえか…(15話)
いや、ストライダムが再評価したけど(79話)。
克巳が超常現象と真っ向から向き合ってそれを乗り越えたのに対し、刃牙は相変わらずの妄想バトルに勤しむ…
どうなんだろう、それは。
刃牙の視線は上へ向く。
明らかに自分よりもデカい相手とやるらしい。
ボクシングの歴史を全て知っているワケじゃない。でも――この巨人が本気でやれば史上No.1だと言える時期が絶対にあった。
――とルミナが言ってアンドレアス・リーガンなんかを召還したら俺は笑い死ぬ。
アイアン・マイケルの時も笑い死にそうになりました。
でも、体重200キロのカマキリとか言い出したら笑えない。
なんて思っていたら、100キロカマキリのことを恐竜に負けない相手と刃牙はかつて発言していた(4話)。
もしや…あれは伏線で「200キロのカマキリはティラノサウルスに匹敵する怪物だ」とか言い出してカマキリバトルをまたやるんじゃ…
「2人とも……… 下がってて…ッ」
何を言ってるんだこいつは。
リアルシャドーで何を生み出しても、それはあくまで刃牙自身の妄想だから他人に影響を与えることはないだろう。
そう考えていた時期が俺にもありました。
100キロカマキリの大暴れっぷりを見ると周囲の人間は危険だと思うのが普通である。
刃牙の発言は至極当然に狂っていると言えよう。
100キロカマキリは刃牙とほぼ同サイズだったが、今度のリアルシャドーの相手は違った。
刃牙の身長の3倍はあろうかという超ビッグサイズだった。
…恐竜サイズのアフリカ象じゃないだろうな。
[この時点で―――― 対戦相手を想定し終えているのは]
[まだ刃牙一人だった……]
現れたのは何と史上最強!ティラノサウルスだった!
………
……
…
いくら何でもそれは無理があるだろう。
ムエタイ使いとかアイアン・マイケルを想像するならまだいい。
カマキリの戦闘力を100キロ相応にするのも納得しよう。
でも、見たことも何もないティラノサウルスを生み出すのは想像ではなく創造の領域だ。
刃牙の妄想は現実をなぞるだけではない。
新しい現実を生み出すに至ったのだ。
…すげえ。すげえよ、この変態。
妄想具現化能力が完全に覚醒した感がある。
しかして、観戦者2名いるが刃牙がティラノサウルスと戦っていることに気付きそうにない。
「ストライダムさん…あの動きはッッ」「ウム…ティラノサウルスダナ…」とか言える方がおかしい。
ティラノサウルスに勝っても賞賛されそうにないなぁ…
ここで本部を連れてくるべきかもしれない。
本部ならティラノサウルスの特徴だけでなく、生態や弱点についても事細かに解説してくれるはずだッッッ。
克巳がすごいことをやった一方で、刃牙もすごいことをやろうとしていた。
克巳の特訓も異次元だったが、刃牙の特訓もすごすぎて別次元だ。
こいつら、どこへ向かうのだろう。
次回へ続く。
刃牙がまたやらかした。
この人はどこまで変態を極めれば気が済むんだ。
世界の法則に干渉したと思ったら、今度は生物の創造にまで踏み込みやがった。
ある意味、神に等しい能力だ。
そんな神が一蹴される世界だから、何が強いのかよくわからないけど。
刃牙がティラノサウルスと戦う。
…いいのか、それで。
この前、刃牙が2億年前にタイムスリップして修行するとかアホなこと書いたけど、リアルシャドーを使うなんて身近すぎて予想できなかった。
いや、想像から創造へと別次元の転移を果たしているから身近ではないんだけど。
しかして、刃牙がティラノサウルスを打倒してしまったら、ピクル以上に勇次郎の立つ瀬がない。
ストライダムに「お前は刃牙以下だな」と言われてもしょうがない。言ってみると即殺されるけど。
対抗して勇次郎もリアルシャドーをやってティラノサウルスを瞬殺してみるか?
…それだとピクルはティラノサウルス程度を強者認定していたってことになるな…
ピクルは他者にとって実証できない強さの生物を倒していた。
ティラノサウルスは「強そう」ではあれど「強い」のか判別のつかない相手だった。
そんなある意味タブー的部分に刃牙は突っ込んだ。
ティラノサウルスを倒せばピクルと五分れるとなっても、ピクルの強さがお手軽になっちゃってやだなぁ。
しかし、刃牙が創造したティラノサウルスを倒したとピクルが知ればどうなるんだろうな。
戦うに相応しい強敵と書いて友と認めるのだろうか?
現場を見れば蹴り殺す気がする。
なお、次回のバキは2話同時掲載らしい。
合併号なだけに嬉しい措置だ。
同時掲載する時に限って話が動かないのは目をつぶっておこう。
1日に2話分の感想を書くとどうしてもスカスカになってしまうことがわかってきたので、2日にかけて感想を書こうと思います。
なお、袋とじでは連載終了したはずのスカーフェイスが掲載される。
何だか謎い。
風呂敷を広げすぎたから連載終了でなかったことにしたかったのだろうか?
本編の方も風呂敷を広げすぎてるけど…まぁ、今に始まったことじゃないから強引に畳んでくれるんだろうなぁ。
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