範馬刃牙 第123話 最終兵器(リーサルウェポン)たる所以



今回の範馬刃牙は豪華2本立てだ。
2本立てでティラノサウルスとリアルシャドーを…しない!
…え?しないの?
先週の内容をいきなりなかったことにされた。


リアルシャドーを始めた刃牙を放っておいて克巳はロードウォークをしていた。
どうやらピクルと戦う決心をしたようだ
事前に徳川のじっちゃんとの話はつけている。
ならば、このロードウォークは決戦前の準備体操みたいなものだろう。
リアルに命を賭けた決戦である。烈は脚を喰われた。
出来うる限りの準備をしておいて損はない。

「御老公……」「わたしとピクルをッ」

「ほう それが何を意味するかを知っているのかね克巳くん」

「わたくしを餌にッッ」


おい、止めろよクソジジイ。
実にノリノリである。
もう食われようが何をしようが、史上最強の戦いを見られれば満足だ。
倫理観もクソもねえ。

徳川のじっちゃんは止める気まったくなしで克巳の願いを快諾した。
克巳はピクルと戦いたい。徳川のじっちゃんはピクルの勇姿を見たい。ペイン博士はピクルに物食わせて生かしてやりたい。
三者三様の願いがここに実現した。良識が欠如しているけど。

決戦に当たって徳川のじっちゃんは克巳に二つの条件を出す。
試合開始時刻は早朝6時。
そして、試合は地下闘技場ではなく地上の球場で行うことだった。
おい、隠せよクソジジイ。
食人が地上で行われたら洒落にならん。
地下闘技場ですらシベリアトラ殺人が新聞に載るくらいだから、地上でやろうものなら…
徳川のじっちゃんとペイン博士の社会的寿命が尽きるのも目前か?

今後の人生に重大な損傷を負うかもしれない試合をしようというのに、
あとさりげなく異常な条件を突き付けられても克巳は動じない。
憂いは別の部分にあった。

「いいのか…? 俺で……?」
「いいのか…? この愚地克己で………!?」


自分がピクルと戦うのに相応しいのか。
克巳は自分自答する。
たしかに勇次郎に紐を巻き付けられていた頃の克巳だと微妙すぎたが、今の克巳なら組織の長としての人望も技量もどちらも十分だ。
だが、克巳本人としてはその自覚がないのだろうか。

こうしているうちに克巳は東京ドームへと着く。
そこにいたのは徳川のじっちゃんと克巳の養母夏恵さんだった。
末堂に続いてこの人も生存確認された。
神心会関係者が続々と揃っている。
この調子で柳の生存も確認してもらいたいところだ。
…無理か。

夏恵さんは独歩から克巳に大きな試合があると聞いていた。
だから、夏恵さんはここに来て、克巳にとって一番大切な人を呼んだという。
もしかしたら夏恵さんは克巳が戦おうとしている相手がピクルだと気付いているかもしれない。とにかく有名だし。
普通なら止めそうだ。だが、止めない。
さすがは武神の妻であった。
武に生きようとする息子を止めるような無粋はしない。

克巳は夏恵さんの息子に対する愛を受け止め、抱擁する。
もしかしたらこんなことができるのもこれが最後かもしれない。
何せ戦場に赴くのと同等の意味を持つのだ。ヘタしたら、死ぬ。
もしそうなるとしても克巳は最愛の母に自分の想いをぶつけることができた。
決戦への憂いがひとつ減ったことは間違いないだろう。

そして、夏恵さんは帰る。
応援よりも家でそばを作ってあげるのが彼女の役目だろう。
というか、息子が食われるかもしれないし。一生のトラウマものです。

東京ドーム内に入ると克巳を待っていた女性がいた。
克巳の実母であった。
実の子を養子として独歩に送り出した。
が、克巳に恨みはなく夏恵さんと同じように抱擁する。
自分を憎めと言う実母の言葉を否定し、克巳は自分を産んでくれたことを感謝していた。
それだけで十分な愛を感じられている。
何だか克巳がすさまじく男前に見える。
若いのにいい男だ…
18歳にして混沌としまくってる刃牙とはえらい違いである。

[母親が2人という特殊]
[最愛が2つという特殊]
[2つの心]
[2つなれど偽りなし]

(母親が2人……)
(なんという幸運だ)


二人の母親に祝福され、克巳の心の乱れは収まる。
いつもの空手着ですら頼もしく見える。
今の克巳なら本当にいい背中を見せそうだ。
もう克巳が主人公でいいんじゃないか?

克巳は決戦の舞台へ向かって歩き出す。
その通路が突然血に汚れていた。
誰かが、いる。それも先ほどまで出逢った二人の母親とは明らかに異質な存在が。

「まさかあんたに先んじられるとはな」

刃牙だ。
トラックス一丁で血まみれ、体中に鮮血を飛び散っている。
本気で妄想ティラノサウルスと戦ったらしい。
にしても克巳を軽んじている台詞だな、これ。
神心会を嘗めきったことをやっていたし、克巳=雑魚の認識を持っていそうだ。

刃牙が無事駆けつけたということはとりあえずはティラノサウルスに勝った…と見ていいようだ。
すっげえ認めたくないけどピクルと戦う資格は十分…ということにしておこう。
何だかんだで地上最強の一人に数えられるだけあり、ティラノサウルスに勝てるだけの力はあるらしい。
それが正しいものかはわからないが。

でも、おかしい。
前回、ティラノサウルスと戦おうとした時は夕暮れだった。が、今は早朝6時。
なのに、今しがた戦いを終えたような雰囲気だ。
こいつは何時間戦っていたんだ?
もしかして、ティラノサウルスを想像するのに時間がかかったとか…
バキ最終話では妄想勇次郎を生み出すのに時間がかかっていたし、規格外の生物をシミュレートするのには時間が必要なのかも。
だとしても、時間かかりすぎなことは否めない。
ルミナとか寝てしまうぞ。

刃牙を見た克巳は何とも言い難い口元を見せる。
友と師の協力を得て何とかピクルと戦えるレベルになったのに、このダメ主人公と来たら独力でその領域に…
なんて思うとやるせなくなってくるかもしれない。
克巳が天才なら刃牙は範馬星人だ。ちょっと次元が違う。

「俺でいい」

克巳はただ一言呟き、刃牙を通り過ぎる。
「俺でいい」の意味は何なのだろうか。
ピクルを倒すのは俺でいいという意味か?
食われるのが俺でいいという意味だったら笑えない。

(ああ……)
(アンタでいい)


一言目になかなか失礼なことを言った刃牙だったが、何だかんだで克巳のことを認めているようだった。
5222年マッハ突きの完成に反応したんだし、一目見ただけで克巳に底知れぬものを感じたかもしれない。
…あ。
もしかしたら主人公は俺でいいという意味なのかも。
ああ…主人公はアンタでいい…

二人の母、刃牙…
こうして次に来るのは師である独歩だった。
母親に元ライバル候補と来て、一番慣れ親しんだ人だった。
ちょっとがっかり空気が見える。が、緊張をほぐすのにも一番的確な相手であった。

「父親によォ…………」
「尻(ケツ)拭かせるんじゃねェぞ」


これはいざという時の代打俺宣言か?
克巳が食われそうになったら颯爽と独歩が登場である。
かつて勇次郎と一進一退の攻防を繰り広げた独歩ならば、ピクルに勝つまでいかずとも十分な時間稼ぎは出来そうだ。
…空手着に着替えているし、何かをやりそうな気がする。

克巳は師に、父親に見守られる。
偉大な父を持つという点では刃牙と同じだが、刃牙が父親と視線をぶつけ合う道ならば克巳は父親の視線の先で生きる道を選んだ
ここに克巳の在り方はひとつの完成を迎えた。
あとはピクルと戦って己が生き様を示すだけである。

[矢継ぎ早の祝福 目まぐるしく彩られたおよそ一刻]
[――にしてもこのインパクトは]

ドン

[予想外と言う他はなかった]


球場に入った瞬間、克巳に何かが叩きつけられる
その正体は何なのであろうか?
10ページもしないうちに答えがあるけどさ!
今週内にある次回へ続く。
明日のうちに書き上げます。



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