範馬刃牙 第124話 若きリーダー
[正拳中段突き]
[空手道場に入門したのなら おそらくはその日のうちに習う技術であろう]
[日本空手道に於いては基本中の基本 その存在はもはや技術の範疇さえも超越(こえ)て]
[象徴の趣さえある]
克巳が旅立つドイルへの手向けとして送ったのがセイケンであるように――セイケンとエイケンは似ているが別物である――
空手において正拳とって象徴的なものである。
1日100回、独歩なら1日1000回は基本なほどに空手家といったらとにかく正拳だ。
愚地親子の最高の武器も同じく菩薩拳とマッハ突きで正拳である。
正拳を最大の武器にしなければ空手家として嘘だ。
加藤とか鎬昂昇は…その…まぁ、頑張れ。
[その象徴が今――――]
[5万5千本の束となり――――――克巳を叩いた]
5万5千人の神心会門下生が克巳の応援に来た!
声援による応援ではない。空手の象徴である正拳による応援だ。
並みの応援とは雄度が桁違いに違う。
5万5千の正拳が送られようとは克巳も想像しなかっただろう。
5万5千人は東京ドーム収容人数いっぱいの数である。
東京ドームいっぱいに克巳を敬愛する男たちが集まったのだ。
克巳が門下生一同に信頼されていることがわかる。
かつては組織の長としての資格資質を持っているのかと思い悩んだ克巳だったが、その答えは門下生一同全員で示してくれた。
ついでに空拳道は2万4千人で東京ドームが何とか半分埋まる程度だ。
あまり盛り上がりそうにない。
[負けるな大将!!!]
前回復活した末堂が最前線で号令を行う。
もう二度と行方不明になるものかという決意が伝わってくる。
それは置いておくにしても、門下生一同は心をひとつに克巳を奮い立たせる。
どんな時でも克巳は一人じゃない。門下生一同に心を支えられている。
なら、奇跡だって起こすことはできるッ!…よね?
また、克巳を正拳で応援しているのは門下生だけではない。
克巳の恋人朋友烈海王も、克巳の才能に可能性を見出した郭海皇も正拳で激励する。
母親、父親、小生意気な主人公、門下生、友…克巳に関係する全ての人間が克巳を強く励ましている。
刃牙だったらこんなシチュエーション絶対ない。
もう米軍基地がピークですよ。もう少し伸ばしたとしても遅ェぞチャンプッッくらいだ。
あと末堂はいるけど加藤がいない。
な、何をやっているんだ加藤。
克巳はお前の弟子だろうに!
…なかったことにしてください。
[この巨大すぎる期待を――――]
[今やこの若きリーダーは]
[十分に受け止められるだけの成長を遂げていた]
5万5千人もの門下生たちに克巳は期待を寄せられる。
神心会の長としてピクルに勝ってくれと。
少し前の克巳だったらいきなりキレていたかもしれない。
だが、今の克巳は違う。
烈との逢瀬を経て、心身共に大きく成長した。
門下生一同の信頼から目を背けず、真っ正面から受け止める。
むしろ、5万5千人もの人間が自分を信じてくれるのだ。これほど心強いことはない。
声援に励まされ、克巳は歩を進める。
同時に末堂は正拳突きを止めるよう腕を振る。
ここから先は誰にも介入することのできない克巳とピクルの世界だ。
門下生一同がやれることは解説と驚き役くらいである。
…加藤も早く出てきた方がいいぞ。
もしかしたら、最後かもしれない末堂との驚き役コンビをやるんだ。
解説は烈海王と郭海皇が仕る。
(いるんだろ)
(そこに…………)
(さっさと出てこい!!!)
克巳はピクルが潜んでいるであろう門の前へと歩いていく。
これだけの門下生一同の応援を受けるという状況にありながら、ピクルの存在をしっかりと把握している。
あるいは5万5千人に匹敵するほどの獣臭が漂っているのか?
克巳の顔は汗に包まれる。
ピクルは生物としての立ち位置がまったく違う相手なのだ。恐れは隠せないのだろう。
だが、笑みも浮かんでいる。
恐れ以上の闘争心が克巳の中には芽生えているのだ。
油断がなく、臆してもいない。
理想的ともいえるテンションに持ち込めたのも全ては多くの人々に励ませられたからだろう。
もはやこれは克巳一人の戦いではない。
克巳と克巳を信じる人たちの戦いである。
門が開く。
ピクルは自分と戦おうする相手、それも相当の実力者にしか襲い掛からない。
烈の時は烈が近付いた時点でやっと戦闘態勢に入った。
ならば、今回も克巳の姿を確認するまでピクルは様子見か?
そう考えていた時期が俺にもありました。
門が開くと同時にピクルが克巳に襲い掛かる。
掴みかかるような両腕、噛み殺すように開けられた口…
ピクルは最初から本気だ。
克巳がピクルの存在を感じ取っていたように、ピクルも克巳の存在を感じ取っていた。
そして、餌に相応しい強者だと認めた。
自分よりもデカい生粋の野生が突如襲い掛かってくる。
多分、トラックに轢かれそうになることよりもインパクトが大きい。
こいつは強い。そして、ヤバい。
克巳は汗が浮き上がるほどの戦慄を感じる。
掴んで力に任せて背骨でも折るのか、あるいは肉を噛みちぎるのか。
いずれにせよ致命傷は間違いないが、それを許す克巳ではなかった。
ピクルの奇襲と同時に左腕だけで刹那の5連撃を叩き込む。
107話の冒頭で見せた克巳の新技だ。
ピクルの顔に1発、胸に2発、両太ももに2発入り、あのピクルを僅かながらだが浮き上がらせる。
威力は十分だ。少なくともピクルの奇襲を見事迎撃することが出来た。
さらには片腕で、そして小さいモーションで行う攻撃のため、反撃にも備えられる。
オープニングヒットとしては申し分のない一撃である。
このまま5222年マッハ突きを打ち込むのか?
それともピクルの逆襲が始まるのか?
次回へ続く。
刃牙とティラノサウルスに話が脱線するかと思ったら、克巳とピクルの対決が始まった。
やっぱり、ティラノサウルスと戦うのは無理がありますよね。
刃牙もそう思って200キロのカマキリと戦ったのかもしれない。
見た感じだけではオリバ戦よりは消耗していないので、オリバならティラノサウルスにも勝てたりするのだろうか。
というかバキ世界における大型生物の信憑性は絶無に等しいけど。
克巳とピクルの対決はこれ以上ないくらいに最高のお膳立ての元で行われた。
まだ二人目だと言うのに豪華すぎる。
以降の対戦はこれ以上のインパクトで行えるのだろうか。
…なかったことにされそうで怖い。
それにしてもまさか5万5千人の眼前で食人バトルが行われるなんて予想もできなかった。
信じた館長が食われようものならトラウマなんてレベルじゃない。
ミスター徳川はおかしい。
いや、これ以上のないお膳立てだけど、ヘタしたら食われるんだからやるなよ…
なお、ピクルはなんとフンドシを履いている。
…誰だよ、履かせた奴は。
むしろ、ピクルも何で履いたんだよ。
もしかして、花山のギフトか?
友からの贈り物なら履かざるを得ない…そんなノリであろうか。
まぁ、5万5千人が見ている中で全裸はヤバいよね。
全国放送でチンポおっ立てたけどそれはそれです(80話)。
食人はOKだが全裸はNG!
…ある意味、伝説になりそうな規制だ。
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