範馬刃牙 第142話 最強打撃(ベストパンチ)
ジャックの顔下半分が食われた!!
噛み対決はピクルに軍配が上がった。
椰子の実は恐龍の皮膚に勝てなかった。
でも、こんな悲惨な目に遭ったのにジャックの歯は欠けてすらいない。
ジャックの歯の強度はピクルには負けていないということなのか。
それともピクルは食うことが目的だったから、皮だけを狙ったのだろうか。
でも、筋肉を残して皮だけを食うというのも器用だ。
ジャックの筋繊維は簡単に噛みちぎれるものじゃないのか?
「顔を……………ッッ」
「喰ったッ」
格闘家がまた一人、ピクルの餌となった。
徳川光成は汗流しまくりだ。
もしこれを地下闘技場の試合でやっていたら何でもありといえど、勝負ありだったに違いない。
だが、徳川光成は止めようとはしない。
…やっぱり死ぬ直前になるまでは止めないんだろうなぁ。
ピクルはジャックの後ろに立ったまま、噛みちぎった肉を噛み、飲み込む。
克巳を食わなかったから人間に近付いたと思ったら、全然甘かった。
ピクルはまったく日和っていない。食いますよ。たくさん食いますよ。
やはり、食糧問題は格闘家の躍り食いでしか解決できないのだろうか。
トラックは…毎回やると飽きそうだな。
しかし、ジャックの肉は薬漬けで不味そうだ。
カップラーメンとポテトチップスを与えて育てた豚みたいな感じですよ。不健康の極みだ。
ピクルといえどてっきり吐き出すと思っていたのに。
皮膚の部分だから薬があまりないのだろうか。
薬が浸透しまくっている筋肉を食べた時、サルミアッキのような味がピクルに襲い掛かりそうだ。
対するジャックは笑う。剥き出しの筋繊維で笑う。
紛うことなき鬼の笑みだ。
怒りなんて浮かばない。痛みを感じる暇すらもない。
エンドルフィンをどれだけ出しているんだ。
ここまで悲惨なダメージを受けたのに出血もそれほど多くないし、アドレナリンも大量分泌していそうだ。
ジャックの周囲が歪む。
人類とはスケールの違う強敵に心から喜んでいる。
噛み対決では負けた。
だが、範馬の血族自体はまだ負けていない。諦めていない。心が折れていない。
おそらく顔面の皮全てを喰われても、構わずに戦うことだろう。
巨凶範馬が目覚めるのはこれからか。
闘争心を失わないジャックに対し、ピクルは「ミニャ」と呟く。
ミニャって何だ?
お前の鳴き声は「ハルル」だろう。ミニャって微妙に猫みたいだ。
そういえば、最近「ハルル」と言っていない。
最後に言ったのが烈を威嚇した時、つまりは1年前だ。
もしかして自分の鳴き声を忘れちゃったか?
ミニャの真相も明らかにならないまま、ピクルは再び動く。
大ダメージを負ったジャックにさらに追撃の噛み付きを敢行だ!
強敵だから食う。このピクル、容赦せん。
次はどこを狙うのだろうか。そして、ジャックはどう対処する。
ピクルが一歩踏み出そうとした瞬間、ジャックもまた動き出す。
跳ね上がりながら身体をピクルの方へと向け、拳をピクルへ放った。
伝家の宝刀ジャックアッパーだ。
ジャックの武器は噛み付きだけではないのだ。
全身のありとあらゆる力を収束させたパンチが芸術的なまでに見事に決まった。
ピクルが1歩進む間に一連の動作を行うという超高速モーションである。
スピードも体重も乗りに乗った極上の打撃だ。
このアッパーと比べれば、オープニングヒットを飾ったフックなどジャブ同然か?
インパクトと同時に轟音が鳴り響き、ピクルが縦に飛んだ。
口を開けた瞬間に叩き込んだ一撃だ。
噛みしめていない時はダメージが増加すると、ジャックは自らの身体で味わっている。
これにはピクルも大ダメージか?
(オォオォオオ見てみィッッッ あれがジャックのパンチぢゃッッ)
(200キロに達するピクルの巨体を宙に浮かせるッッ これがジャックのパンチぢゃッッッ)
ジャックの会心打に徳川光成は大丈夫かってくらいに大興奮している。
ちょっと落ち着こう。お前、「〜ぢゃ」って言うキャラじゃないじゃん。
見てみィって誰に言っているんだよ。
誰にジャックのパンチを自慢しているんだよ。
…刃牙か?燻りまくっている刃牙か?
あとピクルって200キロだったのか。
105話の身長2m体重130kg超って本当に何だったんだ?
ジャックと比較するとどうみても身長は210cm超えています。
体重なんて70kg以上も差がついた。誤差の範囲内とかそういうレベルじゃないぞ。
(この感触………………ッッ)
(違う……!!!)
ピクルは吹き飛んだ。徳川光成は浮かれる。
だが、ジャック本人は会心打を当てたというのに冷や汗を流す。
人だけではなく1tの北極熊を殴ってきた男が驚愕したのだ。大きな意味のある驚愕だ。
その驚愕を裏付けるように、ピクルは吹き飛んだもののダウンはしていない。
(まるで………… 顎
その物の重量(おも)さが200キロであるかのような……ッ)
(つまり……ッッ 筋肉…………骨格…………呼吸…………
全機能を全(フル)参加させた 最強打撃(ベストパンチ)を放ちながら………)
(ピクルの頭部を 揺らすことはできなかった…ッッッ)
(奴(ピクル)の脳は微動だにしていない……!!!)
セルフ解説まで行いながらジャックは混乱する。
徳川光成もだけどお前も落ち着こうよ。
つまりと言っているが誰に説明しているんだ。
数多の格闘家を沈めてきた自慢のアッパーが、ピクルには一切通じないというのがよほどショックらしい。
顎そのものが200kgあったようだとジャックは語る。
顎に全体重がかかっているほどだと感じさせるほどだ。
ここまで来ると骨格だけではなく筋力も関わっていそうだ。
殴られる瞬間、ピクルは相当力んだに違いない。
でも、200kgのピクルをパンチだけで吹き飛ばすのは普通に凄い。
脳は揺らせずとも肉そのものにダメージは与えられそうだ。
脳へのダメージに注視しすぎではないだろうか。
克巳は脳へダメージを与えずとも、十分な破壊力を生み出していたし。
ジャックアッパーをモロに食らってなお倒れないタフネスを見せるピクルに徳川光成も驚愕する。
マッハの速度では四肢を犠牲に一時的なダウンが精一杯。
範馬の筋力でさえもダウンにさえ至らない。
ピクルは桁が違う。生物外は伊達じゃない。
範馬一族と言えど生物外には分が悪いのか?
驚愕し続ける徳川光成の背後にペイン博士が現れる。
ペイン博士が指摘するのはピクルタックルの構えを取ったことだ。
早々にピクル本気の証であるピクルタックルの構えだ。
範馬一族ならば鬼の貌を見せたようなものだ。
だが、逆に言えばジャックはパンチ2発でピクルを本気にさせたのだ。
押されてはいるものの、さすが範馬は格が違う。
ピクルが早々に見せた本気に、ジャックはどう対抗する。
「きた」
ジャックの一言と同時に、表情が激変する。
ガーレン戦や刃牙戦の終盤で見せたあの顔だ。
ジャックはマックシングを発動させたのだ。
実に10年ぶりのマックシングである。
しかも、最大トーナメントの時のマックシングではない。身長を伸ばしたことによるネオマックシングだ。
顔半分が筋繊維になっているから怖さも倍増している。
序盤から凄惨なダメージを負い、そしてお互いに切り札を見せた。
克巳戦同様に一切出し惜しみしていない。
ジャックは勇次郎を倒すという人生の目標がある。
ピクルはあくまでもその過程に位置するものなのだろう。
過程だというのにマックシングと飛ばしまくりだ。
ピクルを超えられなければ勇次郎もまた超えられないというのは、ジャックも刃牙も同じ気持ちなのだろうか。
でも、刃牙は随分鈍行運転だな…
噛み付きは破られた。ジャックアッパーも通用しない。
だが、ジャックの本領が発揮されるのはここからだ。
噛み付きだけ、アッパーだけの男ではない。
範馬一族の真骨頂は極限まで高まった筋肉なのだ。
マックシング範馬筋肉ならば、ピクルの骨格と筋肉に対抗しうるか?
野生が生み出した筋力と四足歩行に対して、範馬の筋力とドーピングを組み合わせたマックシング…
今度の軍配はどちらに上がるのだろうか。
いざとなったらジャックをゲロ吐く。そして、ゲロを吐いてからが強い。
なら、ピクルは何を出す。尿か?やっぱり尿か?
来年の次回へ続く。
今回は1話だけでも十分な濃度を持つ話が2話連続で掲載された。
豪華というか、もったいないというか。
今まで2話連続掲載となると試合前のやり取りばかりだったので、バトル2連発は前代未聞だ。
濃度もすごい。濃すぎてやりすぎた。
そして、今日がクリスマスということは完全に忘れている内容だ。
聖夜に彼女と一緒にチャンピオンを読もうとしたら、男同士で口づけをして、そして顔半分が剥き出しだよ。
色気も何もねえ。
チャンピオンを読もうとする時点で色気がない。
ジャックは噛み対決に負けた。
そもそもあれはどうやって競っていたんだろうか。
歯に歯をかぶせる形で噛み合えば、かぶせられる側が不利だ。
不利だというか、何もできない。
歯と歯を当てる形で噛み合っていたのだろうか。
力勝ちした方が噛みしめることが出来る。
って、それだと勝った方が不利だな…
噛みしめた瞬間を噛まれてしまう。
噛み対決は構造はよくわからないが、迫力で説得力をもたらされた気がする。
傍目から見れば男同士のキスだから迫力がありすぎる。
さっきも書いたけどクリスマスにどうなんだ、これは。
ジャックの筋力を持ってしてもピクルの脳にダメージを与えられなかった。
恐るべし頸椎、そして筋肉だ。
刃牙が鬼の貌を出して殴ってもダメージを与えられるのか、怪しい。
それならそれで脳震盪以外のダメージを求めればいい気もするが、克巳は脳以外にダメージを与えても決定打にはならなかった。
ピクルの脳を揺らすのは至難の技だが、その壁を越えなければピクルに勝つことはできないのか。
ピクルの脳が揺れた時、敗北が目の前に見えた時にこそピクルの真の本気が見られるかもしれない。
ジャックのマックシングはピクルの本気を引っぱり出すことが出来るのであろうか。
マックシングは最大トーナメント編の終盤を彩ったジャックの最終兵器である。
さすがにちょっとくらいは通じないと寂しい。
もっともマックシングが破れたらゲロって、ガリガリジャックになれば…
吐いて身長伸ばして吐いてと忙しい人になりそうだが。
薬物によるパワー強化は2億年前にはなかった要素だ。
これにはピクルも少しくらいは惑わされてくれるだろうか。
ピクルの強さには底が見えない。
刃牙なんて勝てるビジョンが思いつかないくらいだ。
マックシングはその底を少しでも照らしてくれるのか。
範馬とピクルがついに真っ向からぶつかったが、現状ではピクルが圧勝している。
勇次郎以上のパワーは伊達ではないということらしい。
でも、ジャック兄さんのパワーは常識外れだけど、範馬一族の中ではまだ常識的な方だ。
ステロイドで筋力がアップするのはセックスでパワーアップするのと比べると実に常識的で良心的だ。
その辺の常識的な部分がピクルに遅れを取っているのだろうか。
範馬一族なのに普通にトレーニングをしているのもマイナスだ。
普通にトレーニングをするのが強くなる近道だけど、範馬一族はおかしいトレーニングで強くなるのが筋だから…
でも、ジャックにも勇次郎や刃牙と比べても非常識な部分だってある。
ゲロってパワーアップとか。
ここで何かおかしいことをやれば優位に立てるかも…
10年ぶりのマックシングを見せたから、今度は10年ぶりの9週間連続回想とか。
…あ。口づけも非常識ってレベルじゃないな…
それにしても2008年を締めくくるのに相応しい激動の内容だった。
2008年になってからというもの、格闘家勢はピクルに喰われ放題だ。
烈が喰われ、克巳も喰われかけた。
格闘家にとっては実に厄年だ。
しかし、2009年になれば範馬一族が動き出して格闘家の被害が減りそうである。
ジャックの次にピクルと戦うのは当然刃牙だろう。
範馬の前に人は立てど、範馬の後ろに人は立たない。
範馬一族は戦いを締めくくる存在なのだ。
ここで空気を読まずに昂昇や寂海王が名乗りを挙げたら…結果は火を見るに明らかだけど逆に面白いかもしれない。
ガイアも大統領の警護をやっている暇があったら、ピクルに戦争を仕掛けてみてはいかがだろうか。
でも、ピクルにかかれば範馬一族ですら餌になってしまうことが判明した。
ジャックがあっさりと食われるなんて予想できない。
規格外ファイターのジャックですらこの惨事だ。
刃牙も主人公だから無事に助かるという甘えは捨てた方がいいだろう。
勇次郎だって油断すればひどい目に遭うかもしれない。
2008年は格闘家にとっての厄年だった。
だが、2009年は範馬一族にとっての厄年になりそうだ。
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