範馬刃牙 第147話 神頼み
あのジャックが神頼みですよ。
もう背後にビッグジャックを召還しなければ再起不能(リタイア)レベルだ。
でも、ジャックにはそういったバックボーンがない。
自分の力だけを頼りに生きてきた男は、自分以外に自分を支えるものがない。
諦めたらそこで試合終了です。
[神さま……… 初めて貴方にお願いいたします どうか……… どうかわたしに]
神に祈りながらもジャックの渾身の右ストレートがピクルの顔面にクリーンヒットする(見開き1回目)。
ピクルが踏み込んだ瞬間を狙いすました見事な打撃だ。
人知を凌駕したスピードにも対応している。
あのスピードについていくことは出来ないのかもしれないが、対応することは十分に可能らしい。
ジャックはただのドーピング力自慢ではなく、勇次郎の血を受け継いだ格闘技の天才なのであった。
[勝
ゴキャ
しかし、神頼みも、渾身のストレートも、いずれも空しくピクルの右アッパーがジャックに決まった(見開き2回目)。
右ストレートが振り抜かれる前に、ピクルのアッパーが入った。
ジャックの身体は浮き上がる。これではせっかくの右ストレートの威力も半減だ。
耳を噛みちぎらなければ…アッパーを食らいながらジャックは後悔したかも。
最初に当てたのはジャックだというのに…ジャックほどのパワーでストレートが入ったというのに…
ピクルのスピードもパワーも何という理不尽だ。
マックシングすら問題にしていない。
この惨劇を目の当たりにすると範馬刃牙(18)ではピクルには絶対勝てないだろうと思うのは当然のことであろうか。
そして、ピクルのアッパーが振り抜かれる。(見開き3回目)
完全にピクルアッパーが入った。文句なしのベストヒットだ。
ジャックは首を折り曲げて、目は白目…勝負ありの形相だ。
首は折れてはいないようだ。
折れてもおかしくない打撃ではあったが、その辺はさすがタフネス自慢のジャックであった。
しかし、これほどの打撃を受けておきながらジャックの歯は砕けていない。
さすが強固な歯を持つだけある。
ジャックの歯を砕けるのはジャックの歯だけだ。ただ、歯は無事だけど表情はもう終わってる。
…このまま終わってしまうのか?
歯は無事だが時既に勝負ありだ。
これ以上、やるのは酷というもんですよ。
しかし、お前は一級原人の俺の足元にも及ばない貧弱現代人。
その現代人が一級原人の俺に対してナメタ噛み付きを使うことで俺の怒りが有頂天になった。
この怒りはしばらく収まることを知らない。
ドビシャッ
浮き上がったジャックに打ち下ろすように左フックを決めた。(見開き4回目)
アッパーで溜めを作って、全身のバネをフル活用して真逆の方向に力を向けて、そして一気に振り下ろした。
ダイナミックな打撃だ。その破壊力は想像を絶するものがあるだろう。
刃牙はモーションが大きいから効かないとか御託を並べている暇はないぞ。
2発目の打撃によりジャックは180度回転する。
ジャックの天地が逆になった。
人を回転させることの達人であるジャックだが、その本人が回されるというのは敗北の象徴のようだ。
ピクルはジャックのお株を奪ったのだ。
ただ負かすだけではない。ガーレンスペシャルを切り返して投げるほどの、力の差を見せつける気だ。
しかし、それでもまだジャックの歯は折れていない。
歯が折れていない限り、闘争の牙も折れていない。
だったら戦えるぜ。
心の牙は粉砕済みだけどな…
歯は未だに無事でも、もう完全に勝負ありだ。
これ以上は無理です。白目剥いています。
だが、白目なのはジャックだけではない。ピクルもだ。
あれ?まだヤル気?
拳を握る。
…え?ちょっと…ねえちょっと…
ガチャッ
天地が逆転したジャックに対し再び顔面にアッパーを決めた。
このピクル、容赦せん。
左フックで生み出した回転を活用した打撃だ。これでアッパーの破壊力はさらに跳ね上がることだろう。
アッパーの狙いは歯よりやや上、鼻の付近だ。
歯が砕ける心配はないが顔面陥没の危機がある嫌な位置に決まった。
壮絶な3連打であると同時にえげつない。
このアッパーで再びジャックは回転する。
-180度の回転…さっきとは逆の方向へと周り、逆転した天地は元に戻る。
回るジャックは完全に無抵抗に回っている。一切の力がない。
見ようによっては消力に見えなくもない。幻想です。
一発目のアッパーの時点で意識が吹っ飛んだな、これ…
ともあれ、ジャックは回転する。地面にほど近かった顔面は、ピクルの頭部付近まで接近する。
ベストヒットを望める打点だ。
それを待ち侘びたかのように、ピクルは再び振りかぶる。
ま、まだやるのかこいつは!
もう止めてピクル!ジャックのHPは0よ!
ガキョッ
トドメの左フックがジャックの顔面に決まった。(見開き5回目)
回転を活かした打撃を決めた次の瞬間、またも回転を活かした打撃を決めた。
しかも、いずれもフルパワー…ムエタイ戦士が食らおうものなら100回死んでも足りないくらいだ。
原始のパワーが生み出したダウンすることすら許さない恐怖の破壊劇だ。
体格のいいジャックですらこれだよ。
刃牙がピクルに殴られた暁には何回転することになるんだ?
12ページに渡る打撃は終わり、ついにジャックは吹き飛ぶことを許された。
本当は正回転逆回転正回転逆回転を繰り返して何度でも殴れるところだけどこの辺で妥協してやるぜ。
まさかジャックがこんな目に遭うなんて…
この原始の連撃によってジャックのアゴの骨は粉々に砕けた。
レントゲン写真まで出して惨劇を強調するほどのグシャグシャのボッキボキだ。
希望の手綱であった歯も完膚無きまでに折れてしまった。
もう左奥歯4本、前歯1本の計5本しか残っていません。
もはや噛み付きどころの話ではない。勝負ありと考えるのが普通だ。
加えることに右目は何だか陥没したように見える。
頭蓋骨を破壊し尽くす凶悪な打撃だ。
人知を超えたスピードとパワーから生み出された桁外れのコンビネーションだった。
ピクルの打撃は戦いになるとクリーンヒットしたことはない。パンチもキックもガードされている。
だが、その破壊力は花山を一撃で吹き飛ばし、刃牙をはるか後方まで蹴り飛ばしたことから証明済みだ。
その打撃をフルに発揮させるとタフネス自慢のジャックですら、抵抗する暇を与えられずに砕かれる…
勇次郎以上のパワーは伊達ではない。
この連撃は鬼の貌を出した勇次郎にすら不可能の領域か?
ジャックは吹き飛んで柵に激突する。
観戦者4名は絶句する。
ピクル…恐ろしい子…
刃牙は今日ジャックが戦いを挑んでくれたことを感謝すべきなのかもしれない。
多分、刃牙も同じ目に遭っていた。
いや、そもそも餌ではなく敵と見なしてくれるのか…
遊び相手のうちに終わりそうで怖い。
ジャックは無意識なのか、それとも自然とそうなったのか。
柵に後ろ手を回してダウンを免れていた。
だが、ぴくりとも動かない。
いや…勝負ありでしょう…
さっさとドクター紅葉に見てもらいましょう。
ここまでやられると食われるよりもこのまま死ぬんじゃないかと不安になってしまう。
動きを止めたジャックをピクルは間近で見下ろす。
そして…勝利を確信したのか、勝利の舞を踊り始めた。
バキ世界での勝利宣言は自殺行為だ。まず逆転されてしまう。
勝つためには踊るよりも食ってトドメを刺すべきだ。
だから、ピクルはジャックの死亡フラグを忠実に実行させたと同時に、自分の死亡フラグも立てたのだが…
ジャックが逆転するビジョンがまったく見えない。
このまま、ジャックは終わってしまうのか?
それとも最後の意地を見せるのか?
範馬一族としての意地を見せないと刃牙の勝率がマイナスになってしまうので一踏ん張り欲しいところではあるが、
ここから再起は難しそうだ。不可能に近いと思う。
アゴを破壊された以上、打撃に対する耐性もだだ下がりだろう。
大人しく病院行きが正解だろうか…
次回へ続く。
何というか、もう無理。ピクルには勝てる気がしない。
マックシングジャック以上のパワー、スピード、タフネスですよ。
単純な馬力が違いすぎる。
そりゃあ刃牙だって明日に回したくなる。
明日に回したって勝てないものは勝てないけどな!
ピクルは勇次郎以上のパワーを持つ。
そのパワーが爆発すればこうなるのか。まともに受ければ勇次郎とて危ないかもしれない。
でも、バキ世界はパワー至上主義なんだよね。
パワーの分野でどうにかしなければ、ピクルには勝てない。
どうする、刃牙。ここは太ってパワーを上げてみるか?
ポテトチップスをたらふく食いやがれ。
ジャックは勝負ありというか、病院送りというか、火葬場直行のダメージを受けた。
ここから再起できるのだろうか。
歯が折れてアゴが砕けた。甚大すぎるほどのダメージだ。
顔面の皮が食われた現実を思わず忘れてしまう。
最大トーナメント決勝戦が決着した瞬間、ジャックの歯が折れた。
ジャックの歯が折れるのは敗北の象徴ともいえる。
Jr.に砕かれたのは忘れておきましょう。
故に今ジャックの歯が折れたのも、敗北の象徴に見える。
重ねるようですが、Jr.に砕かれたのは忘れましょう。
それともジャックなら歯を失っても何とかしてくれるか?
歯の大半を失っても戦った格闘家と言えば刃牙と戦った時の花山だ。
序盤のうちに歯を丸ごと失ったというのに、その後も熱戦を繰り広げた。
あの時はどうやって噛みしめていたのだろうか。
歯茎に歯茎をくっつけて噛みしめていたのか?
痛そうだし普段よりも力も入らなさそうだ。
噛みしめると言えばジャックのアゴは粉砕骨折してしまった。
アゴの骨を外された格闘家は幾人いる。鎬昂昇なんて2回も外されている。
だが、アゴを外したまま、戦う格闘家はいなかった。
アゴを外したまま、戦うことはできないのだ。
いや、当たり前だ。
でも、ジャックはどうするんだ、これ。
粉砕骨折した。外されたからハメる以前の問題だ。
当然、噛みしめるなんて出来るわけがない。力が入らないことだろう。
早急にワイヤー通して固定するべきですよ。
大抵のダメージは自然治癒するグラップラーでも、これにはさすがに手術が必要だろう。
また、顔面に致命的ダメージを負ったことで、例え立ち上がったとしても顔面を狙われるとキツい。
ボクサーはアゴを骨折するとそのダメージが癖になって、以後ウィークポイントとして付きまとうという。
同じようにジャックも…いや、現役骨折中を狙われるわけだからその比ではない。
素の力では勝てなかった。それにさらに不利な条件が加わった。
…ゲロ吐いても勝てそうにないな…
とはいえ、このまま負けたらジャックは本物のかませ犬だ。
烈は海王としての矜持を見せて散った。克巳はピクルに尊敬されて散った。
同じピクルに挑んだ二人は十分な意地を見せて負けている。
が、ジャックはマックシングやって耳を噛みちぎったら本気出されて神頼みして負けた…
何とも格好がつかない。
現代の戦士が自分に全てを引き出し、散る間際の最高の輝きを見せるのがピクル編の醍醐味だ。
烈も克巳もそうして輝いた。特に克巳の輝き方はそれまでの汚れっぷりも含めて感動に値するものだった。
ジャックも輝いて欲しい。身長伸ばしたものの、燻りっぱなしだからなおさら輝いて欲しい。
刃牙に冷や汗かかせるだけではダメだぞ。
これで終わったらピクルに対しての勝機が一切見えないまま、刃牙のターンになる。
刃牙は一度食われてしまえとか言っちゃいそうだが、展開としてそれでは困る。
何かピクルは調整ミスってくらいの強さだ。
バキ世界最高峰の格闘技である中国武術でもダメ。音速で殴っても超音速の衝撃波でもダメ。
さらには範馬一族がマックシングを起こして殴ってもダメで、タフネス自慢の範馬一族すら一気に沈めるほどの攻撃力…
ピクルの強さは留まることを知らない。勇次郎よりもやりすぎている空気が漂っていると言っても過言ではない。
バキゲーの花山と勇次郎かよ。
そろそろ自重なさってみては如何でしょうか。
ジャックに残された既存の手はゲロだ。
ゲロを吐いてビッグガリガリジャックになるのだ。
ガリガリジャックになると最大トーナメントで証明された通りにスピードが増す。
すると白亜紀闘法のスピードにもついていくことが出来るかもしれない。
でも、スピードの問題は解決しても、攻撃力が未解決のままだ。
マックシングの猛攻を持ってしてもピクルには目立ったダメージを与えられなかった。
ゲロれば当然体重を失う。体重を失った状態では攻撃力も下がることだろう。
スピードで補おうにもマッハ突きで倒せなかった以上、スピードでピクルを倒すことが出来ないのは証明済みだ。
とはいえ、範馬一族の強さは体重に左右されない。
100kgの差くらい補って余りあるのが範馬一族の筋肉だ。
何はともあれゲロるのは最善手であろうか。
柵にもたれかかったままの体勢でゲロれば上半身も下半身もとんでもないことになるから、ちゃんと地面に向けて吐きましょう。
ピクルの弱点はどこにあるのだろうか。
肉体面に隙はまったくない。
打撃対策なんて畑中公平よりも完璧だ。対策というか耐性だけど。
技術に翻弄されることはあれど、技術を凌駕する肉体を持っている。
だが、肉体面の完璧さとは裏腹に感情に揺れは大きい。
泣いたり尊敬したり怒ったりとコロコロ変わる。原人らしく感情を生のままに表現している。
感情のレベルが高まると食わないで済ませたり、逆に今回のように殺す気で殴ってくる。
ピクルをギャルゲーにでも出せば露出度が高くて感情を隠さない娘を担当するに違いないな。
そんなわけで弱点とは一概には言い難いのだが、ピクルのもっとも脆い部分は「情」であろうか。
刃牙はこの辺りを揺さぶるといいかもしれない。
とりあえず、ムカつく顔をして挑発しまくるのだ!
お前の得意技じゃないか。
…勝てないな。この線はなしということで。
現代人と比べて圧倒的に劣っているのは知識だ。
何せ匕首を素手で掴もうとしたくらいだ。
ここで刃牙は知識差を活かした戦い方をしてみてはいかがか。
試合開始と同時に手榴弾を投げつけるのだ。
それが何なのかわからないピクルは為す術もなく爆風に包まれるぞ。
でも、野生で危機を察して白亜紀闘法で緊急回避されたら諦めてください。
烈は脚を失い、克巳は失った。ジャックは顔の形を変えられた。
ピクルの戦いには破壊が伴う。これは刃牙も覚悟しておこう。
この期に及んでノーダメージ勝利が許されるのは勇次郎くらいだ。
もっとも刃牙にはまともな作戦もなさそうだが。
全身を毒砂に浸かってその肉を食わせて相打ち狙いとか如何でしょうか。
刃牙の毒ジャムだぜ。地下闘技場に辿り着く前に斃れる。
刃牙は兄の戦いを見て何を学ぶのだろうか。
やっぱり無理くらいしか学べそうにない。
オリバとゲバルが戦った時は茶化したりする余裕があったけど、今はそんな余裕は…
良くも悪くも大擂台賽時代のヘタれた刃牙に戻った気がする。
と、ゲバルで思い出したけど地球の力を借りてみるってどうだ。
ジョジョ第2部に出てきた不死身の究極生物カーズだって地球の力にはかなわなかった。
地球の力を用いれば原始の力にだって勝つる!
「2億年もの間生きてきた(生きてません)ピクルの方が地球という大地を熟知しているッッッ」とペイン博士に言われると終わる。
あ、カーズも溶岩という地球の力は克服していた。
こうしてジャックは考えるのを止めた…ついでに刃牙も考えるのを止めた。
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