範馬刃牙 第149話 蜂の一刺し



蜂を食したピクル少年に何が起きた!
…いや、毒だろ。普通に毒だろう。
ともあれ、回想だ。ピクル初の回想だ。
回想大王ジャックはその権利すら与えられず倒れ伏せた。
復活してくれないものか…


さて、この巨大蜂。ピクルはその尻尾を食す!
せめて針を抜いてから食おうや。
恐竜にとって牙や爪に該当するものだぞ。食っても面白くないと思います。

口に含むと蜜袋からとろけるような甘みが染み出る。
甘味というのは恐竜の肉とは無縁だろうし、ピクルにとって珍味であろう。
その味をピクル少年は楽しむ。
それにしてもこのピクル、ノリノリである。

と、次の瞬間!
衝撃がピクル少年の口の中に走り、激痛を越えた激痛が襲い掛かる。
やっぱり毒であった。
感じた甘味も毒の持つ味だったのだろうか。
他人の不幸は蜜の味って感じで。
いや、それは何か違う。

そして、そこには元気に転がり回るピクルの姿が!
全身で激痛を表現している。地面を跳ね回って、さらには木にも激突する。
そこまで転がり回れば余計痛くなる気もするのだが、別の痛みを以て口中の痛みを消し去る気なのだろうか。
蚊に刺された部分を引っ掻くように!
あ、今はハチか。

まずはピクルを落ち着かせることが第一だと考えました。
そんなわけで雨降る中、ピクルは動けなくなっていた。
転がり回る元気すらない。
これが人生初の挫折であろうか。

自分に襲い掛かったハチを仕留めることには成功した。
だが、相当のダメージを受けてしまった。
もし、この隙を恐竜に狙われていたら…
ピクルが強者であり続けられたのは、多分に運が絡んでいるかもしれない。

倒れているピクル少年はどことなく刃牙に似ている、ように見える。
私はピクルは範馬一族の先祖なのではと深読みするのだった。
いい加減、ピクルと範馬一族の繋がりを明らかにして欲しい気が…

[心に刻み込んだ]
[殺しても―― 死なない者がいるッッ]
[アイツは―― まさにそのタイプ]
[あんな姿になり果てても 必ず何かを持っている]


ピクルはジャックにハチの毒に似た逆襲を感じていたのだった。
食っても反撃されたんじゃ損だ。
ほう経験が生きたな。
野生に生きてきたピクルは食欲よりも生存を重視するのだ。

ピクルは恒例の体育座り――体育座りをしているピクルはけっこう可愛いと思うが関係ないので略しておく――をする。
こう無理に縮こまる座り方をせんでも…
そんなピクルの顔には冷や汗がにじんでいる。表情も暗い。
まるで悪いものを食ったかのような顔だ。
ジャックの皮にも毒があったのか?
今すぐ吐き出すか脱糞しておけ。
…そういえば、ピクルは排泄をどうしているんだろう。

食わずに座った。そのことに刃牙は驚く。
結局、ピクルに無視されたままだ。
どれだけ印象薄いんですか、アンタは。
テメエ、俺を無視するんじゃねえ!と闘争心が燃えさかることもない。
ジャックがボキボキに砕かれる惨劇を見せられたら、自重するのが正しいことは正しいが…
それでいいのか、主人公。

「どう見ても失神してる」

徳川光成はジャックに失神判定を出した。
〜〜〜〜ッッッ。あれで勝負ありかよ!
いや、アゴを完膚無きまで砕かれたから復活しても戦うのはありえないだろうけど。
でも、それじゃあ前回散々ジャックの復活を期待していた俺の立場はどうなる!
冷静に考えれば、復活は無茶ですよね。顔も持ち上がっていませんよね。
煽りすぎました。

ともあれ、ジャックは失神している。
失神したジャックにピクルは何を恐れたのだろうか。
というよりも、現在進行形で恐れている。不安でピクルの顔が彩られている。
この顔を対戦中に見せていたらジャックも報われたのだが…

徳川光成はジャックに語りかける。
いや、失神していますから。答えられませんから。
それよりも病院に運んでアゴにワイヤーを通してやるのが先だ。
相変わらず抜けているというか、何というか…

「アッだめッッ」

徳川光成は指先をジャックの身体に触れる。
それを刃牙はまるで小坊主以外の何物でもないリアクションで制止したその時だった。

ベチィッ

ジャックの両腕がバネ仕掛けのように動き、徳川光成の顔面を挟み込んだ。
後ろ手に回していた柵を破壊している。
意識がありそうではあるが、目は白目…やはり、失神している。
失神してなおこのパワーは恐るべしだ。
目の前に超異常なパワーの持ち主がいるから気付きにくいが、ジャックのパワーも超一級品であった。

予想のできないジャックの行動に一同大驚きだ。ピクルだって呆然とする。
食べようとしていたら…野生が危機を避けた。
でも、ジャックのベストヒットでも揺るがないピクルなら挟み込み程度なら…

さて、ジャックの最後っ屁は不発に終わったが、問題は今それに見舞われた徳川光成だ。
徳川光成の顔面に血が滴っていた。
ついに巨凶徳川に報いの時が訪れたのか?
調子ぶっこき過ぎてた結果だよ?
徳川光成…臨終の時であった。

そう期待…あいや、思っていたら違った。
血はジャックのものだった。
ジャックの両手は中指を突き出したまま、合流している。
こんな不自然な形で思いきりぶつかったため、中指の根本から血が出た。
その血が徳川光成の顔に降りかかっていたのだった。
徳川光成の身長が頭ひとつ分高ければ…両中指は徳川光成の脳天を貫いていたことだろう。

[あのままピクルがジャックに触れていたら―――]
[恐らく……]
[その中指はピクルの両耳を貫き――]
[延髄を分断させた可能性大]


刃牙はもしもたらればを想像する。
もしも食おうとしていたら…ジャックの反撃を受け、中指は鼓膜を突き破り、三半規管も貫いて、延髄を破壊されていた。
…ピクルは間違いなく死んでいた。いくらタフネスだからといって、延髄を破壊されたらお終いだろう。
ピクルは死の危険を感じたが故に一歩退いたのだった。
失神中なのにピクルの両耳をピンポイントで狙えるのは…範馬の細胞が為せる技ということで。

「そうなったら……… 結果は逆だったッッ」

刃牙の想像に合わせて烈は力強く断言する。
ええ?そこでお前が断言するの?
片脚を失ったとは言えど海王は海王。力の解説で押し切った!

ジャックが秘めていた毒はドーピングの毒ではなかった。
意識を失ってなお捨てない闘争こそがジャックの毒であった。
受動的に発揮する毒というのも今思えば範馬一族としてかっこつかない。
あくまでも自分から繰り出す肉体こそが範馬一族の毒であるべきなのだ、多分。

[自身に刻み込まれた細胞の記憶]
[意識失えどなおジャック…]
[地上最強のファックユー]


ジャックは両腕をだらりと下げる。
手の形は中指だけを立てたファックユーの形だ。
神に祈り、アゴを砕かれ、意識を失って…敗北したジャックであったが闘争に対する意地は折れてなかった。
負けてなお闘争を捨てない範馬一族であった。
さすがは闘争のために存在する一族だ。
敗北したものの最後の意地を見せて、次回へ続く。


ジャックは復活こそしなかったものの無事生存した。
そして、現代の戦士としては初めてピクルに消えない傷と恐怖を刻みつけた。
さらにはアゴがグシャグシャで歯もほとんど吹っ飛んだものの、烈や克巳と比べるとまだ治療できる範囲と被害も少なめだ。
さすがは範馬一族であった。
ピクルと戦って再起不能になっていないのは大きい。
それでも十分すぎるほどのダメージを負ったけど。

普段のジャックなら鼓膜から延髄を狙うようなことはしない。
そうしたピンポイントの攻撃よりもパワー任せの打撃を好む。
好むがピクルには通じなかった。通じない上にアゴの骨を砕かれるまで追い詰められたからこそ、ピンポイントに急所を狙ったのか。
やれば出来るけどあくまでもやらないだけのジャックであった。
明日から動き出すけど明日も動き出しそうにない刃牙とはきっと何かが違うぜ。

しかし、バキ世界トップクラスの実力者であるジャックすらも、本気の本気のピクルには一蹴されてしまった
意地は見せつけたもののピクルに対する勝機を掴むことはできなかった。
どうやってピクルに勝つのかが最大の悩みどころだ。
今のところ、勇次郎以外の人間にピクルを倒せる気がしない。
無論、刃牙は勝てない。ジャックよりも勝てる気がしない。

やっぱり、ピクルは強すぎた気がぷんぷんとする。
ここまで来ると正面衝突で勝つ手段はないようにすら思える。
ジャックはピクルを恐れさせたけど、どちらかと言うと搦め手だった。
やはり、正面から恐れさせないと…
勇次郎以外には無理か?

耳の中を狙えばピクルに勝てる可能性が出てきた。
しかし、普通にピクルの両耳を狙っても決まらないだろう。
いや、隙だらけのピクルだから決まりそうでもあるが、自分の命に関わることには敏感だ。
今回、それが証明された。

だが、食事中ならどうか。
食事中に油断をしない生物などいないと某怪物怪盗も言っていた。
ジャックは無意識のうちにその一瞬を狙い、ピクルもまた無意識のうちにその危機を悟った。

というわけで、次期挑戦者候補の刃牙はそこを狙うのだ。
まずは自分の腕を食わせる。
食っている隙に麻酔を打って塩漬けにして保存する。
これで刃牙の勝ちだ!
ただし、主人公らしくはない。

ジャックが敗れたとなるとピクルへの次期挑戦者は誰になるのだろうか。
烈は脚を、克巳は腕を、ジャックはアゴを壊された。
ピクルと戦った格闘家は自らの象徴ともいえる武器を失っている
その失う覚悟と実力のある格闘家はまだいるのだろうか。

やっぱり、ジャックが敗れた以上、次に来るのは刃牙か勇次郎であろうか。
バキ世界のカリスマ範馬一族は敗れた。敗れたがピクルの壁は範馬一族以外には破れないだろう
ちょっと普通の人間には無理です…
勇次郎はともかく、刃牙は勝てる気がまったくしないのが悩みどころだ。
ピクルとジャックの戦いを見て何らかの勝機を掴んでいればいいけど…
終始驚愕しっぱなしだから無理か。

範馬一族以外でピクルと渡り合えそうな実力者はいない。
特に厚木基地に集まった8名はもう弾切れ同然だ。
ガイアなんて大統領警護に逃げ込みやがったぞ。
超軍人VS超野生は見てみたかったんだけど…残念だ。

ピクルを驚かせるだけなら切れ味抜群の昂昇と心理戦の達人寂海王がいる。
ただ二人とも立ち位置が微妙だ。
寂海王は実力のほどが知れているからともかく(褒め言葉ではありません)、昂昇は強いのか?
烈を倒せると豪語していた時期があったけど、直後にドイルに敗れてしまった。
ドイルに爆薬を使われなければ勝てていたのだろうか。
いや、最低でもそれくらいの実力はください…
それでも針金を切る独歩以上の切れ味を持っているかとなると…微妙だな、昂昇。

範馬一族にして厚木基地に集まった戦士たちの中でも随一の実力者であるジャックが敗れた。
ピクル編において大きな転機になることだろう。
挑戦3人目にしてすでにクライマックスだ。
次こそは刃牙か勇次郎か?
それとも、残された厚木基地戦士が人間の意地を見せつけるのか?

いずれにせよ刃牙は自分を鍛え直す必要があるだろう。
勇次郎に追いつけないからって、ピクルと戦うだけじゃダメなんですよ。
戦うだけじゃ食われてお終いだ。
ピクルと戦ってなお勝てるだけの実力を身に付けて、初めて勇次郎の領域に踏み込むことが出来る。
…お先真っ暗だな。
とりあえず、SAGAや14リットルの砂糖水を越える常識外れのトレーニングが必要になるのは確定的に明らか。

あ、SAGAりながら14リットルの砂糖水を飲むのはどうだろうか。
SAGAと砂糖水が両方そなわり最強に見える。
梢江とSAGAると読者の頭がおかしくなって死ぬ。



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