範馬刃牙 第16話 次戦(ネクストステージ)



バキ、海を越える!!
――と、表紙で大アオリだ。
刃牙が作中で海外へ行ったことは数度ある。
あるにはあるが、海外が話のメインになったのは大擂台賽編だけだ。
そのため、海を渡るというのは一大イベントに近い。
もっとも、国内で刃牙と対等に戦える者は数少ないので、自然な流れともいえるが。
まぁ、妄想カマキリとのバトルで格闘漫画を超えた(悪い意味で)後に海を越えてもインパクト的には若干弱いか?


何はともあれアメリカのTV放送が行われている。
アメリカ合衆国テキサス州ダラス、J・F・ケネディが暗殺された場所で現大統領G・ボッシュ(仮名)が現在パレードを行っていた。
忌まわしい歴史を塗り替えるため、ダラスのイメージを回復するため、と本人は主張しているが、国民の反応は冷ややからしい。
でも、パレード自体には多くの人が駆けつけている。
「あなたと一緒に祭りへ行きましょう、ですって?どうして、この私があなたと二人っきりで!まったく愚かしいですわ!」
――と、デートの誘いをツンツンと断りながらも、
「ふ、ふん!庶民の祭りもなかなか風雅なものですわね…
 ね、念のため言っておきますけど…祭りが楽しいのであってあなたと一緒にいることが楽しいのではなくてよ!!」

――と、デレデレするお嬢様みたいな反応だッ!!
どうみても墓穴を掘っています。本当にありがとうございます。
とはいえ、実際は支持者だけが駆けつけているようなので、この盛り上がりも局地的なものなのだろう。
いわゆるどうみてもかっこよくはないけど、不思議と人気のあるハーレム系主人公状態(ry

ボッシュ大統領は当時の10倍といわれる警備に守られていた
絶対の体勢だ。
おそらく、付近のスナイピングが可能な場所も潰しているのだろう。
この状況で暗殺などを起こすのは難しい。
勇次郎なら肉体のみでやり遂げるだろうけど。
そんなことを思っていると突如パレードを映していたTVに混線が生じた
あ、あれ?
何かトラブル?
勇次郎?
タイトルが「範馬勇次郎」に変わっちゃうよぉッ!!
個人的にはそちらの方が嬉しい。

「大統領がたった今」
「何者かによって誘拐されたもようです」


現地リポーターから状況が伝えられる。
大統領誘拐だ。一国が揺れるほどの大事件だ。
でも、バキ世界にこんなことを行える人間は多数いる。
強さを図るバロメータにはなりえないだろう。
多分、シコルスキーでもできる
そして、ハントしにきたオリバにボコられる。

「衆人環視のなか……」
「G・ボッシュが」
「ご覧下さい東洋人ですッ」
「東洋人の少年がッッ」
「大統領を運び去ったのですッッ」


大統領を誘拐したのは刃牙だった。
もう完全に人生諦めてますね、こいつ。
前科一犯だ。いや、SAGAを含めると二犯か?
猥褻物陳列罪ってヤツで。
いや、こいつが主人公という時点で罪なのだが。

刃牙は大統領を担ぎ上げる形で誘拐している。
実に原始的なやり方だ。
全力疾走で大統領に近づき、担ぎ上げ、全力疾走で逃げたのだろう。
さすが急ぐのだからこそ奔る人間だ。
大統領を誘拐するのだからこそ、肉体のみを使った原始的な方法を取るのだろう。
何だか不器用だ。
パンツを破ってしまうくらい。


とりあえず、大統領を現場の近くにあるレストランへと連れて行く。
立派な拉致監禁罪です。
本人曰く狙撃される窓がない及び現場から近いため、このレストランを選んだようだ。
テーブルにコーヒーが用意されていることから、方法とともかくとして誘拐自体は綿密に計画されていたようだ。
まぁ、前日にいい監禁場所を見つけたからここに連れこもう、という陵辱系エロゲーの主人公クラスの発想なんだろうな。

「大統領誘拐及び拉致監禁」
「重罪です」


国外へ出てもやっぱりこいつはタチが悪い。
犯罪を犯罪と知って易々と実行できるなんて本ッ当にタチが悪い。
主人公としてどうよ、ハンマバキ。
ついでに刃牙が言うには18歳になったばかりらしい。
やっぱり、こいつ。本気で人生捨てる気だ。

「しかしこの建物は」
「完全に包囲されている」

「問題ありません」
「捕まるのが目的ですから」


刃牙のマゾっぷりは極限まで飛躍した。
捕まるために国外まで出向いたのだった。
…大丈夫か、こいつ。もうナニかが終わってる。
範馬だから一般社会に適合できないとは思っていたが、まさかここまでキテいたとは。
いや、カマキリの時点で気付いていたけど。

「君の要求は………?」

「合衆国アリゾナ州立刑務所」
「そこへ収監してもらいたい」
「Mr.アンチェイン ビスケット・オリバが棲む場所」


オリバと戦うために大統領を誘拐したのだった。
やっと、明確な目的が見えてきた。
この辺りは純粋に評価してもいいだろう。
でも、戦うために誘拐して収監されるというのも馬鹿馬鹿しい話だ。
やっぱり不器用だ。
パンツも破かないと脱げない。

「あの……モンスターに………ッッ」
「いったいなんのために………ッッ」

「要求してんのは俺だよ」


刃牙の不遜がBA・KU・HA・TSUだ。
さっきまでの敬語は何処へ行ったのやら。
しかも、要求が飲めない場合は「ソッコーアンタに暴行を加える」「死なないていどにね」と本気で人生を諦める発言をする。
まぁ、勇次郎との決着をつけようとする時点で諦めてるけど。

オリバは大統領に取っても恐ろしい存在らしい。
さすが、アンチェインだ。刃牙の相手としては相応しい。
以前の刃牙ではまったく相手にならなかった。
が、今の刃牙はセックスをし、14リットルの砂糖水を飲み、5ヶ月チャンピオン誌上から姿を消し、カマキリを倒した。
以前とは比べ物にならないほど強くなってるって、強くなるプロセスが間違っている気がする。
まぁ、今更だけど。


オリバと戦うという、「範馬刃牙」になって目的らしい目的がやっと見つかった。
勇次郎を倒す、という目的は目的というよりもむしろ「夢」なので除外。
刑務所に行ったら即オリバと戦うのかが問題だったり。
それだといくら何でも味気ないので1年くらい刑務所内で寄り道しそうだ。
ジョジョ第6部だってグリーンドルフィン刑務所内での話しが大半を占めているし。
あんな感じに囚人と戦うのだろうか。
囚人が格闘家ばかりというのも変だけど、オリバがいるからきっと何とかしてくれる。


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