範馬刃牙 第163話 皮一枚
ピクルがダウンしてしまった!
刃牙は何をしたのだろうか。むしろ、何てことをしてくれたんだ。
刃牙っていうか、刃鬼になってしまったのか?
掲示板での報告があったのですが、餓狼伝の丹波が丹羽になったように!
いや、それじゃ情けなくなってるな。よし、刃牙も情けなくなってみよう。
刃牙じゃなく刃木くらいがいいだろう。刃姫だと別のファンが付きそうなので止めておこう。
さて、ピクルはダウンしていた。
夢でもなければ演技でもない。リアルシャドーですらない。
トゥルー真実のダウンだ。
未曾有の出来事にギャラリー一同は戦慄する。
テメエ何ダウンさせていやがると缶詰を投げつけても、それを止められる者がいようか。いや、いない。
ピクルをダメージでダウンさせることは貴重だ。
烈はダメージによるダウンは奪えなかった。体勢を崩して倒れさせたくらいに留まっている。
克巳は刃牙以前では唯一明確なダメージを与えてダウンを奪っている。が、四肢を犠牲にしたものだった。
ジャックも明確なダメージは与えられなかったようだ。ダウンは奪ったものの、体勢を崩したことによるものだろう。
これから見るにピクルのダウンは四肢を犠牲にしてやっと取れるものなのだ。
それを五体満足で…それもあっさりと…範馬刃牙の格という奴だろうか。
妬ましい本当に妬ましいわ…
でも、ピクルはすぐに立ち上がる。
そうだ、効いていないんだ。わざとダウンしたんだ。
これぞ安全パンチに続く安全ダウン!
あのピクルが刃牙の打撃でいきなり倒れてどうするというんだ!
ドォッ
だが、再びピクルはダウンした。
明らかな脳震盪の症状だ。
範海王ならもう勝負ありである。
刃牙の打撃はたしかにピクルにダメージを負わせている。
「うわァァッ き……ッッ 効いとんのけェ!!?」
あまりの衝撃にみっちゃんの言葉遣いがさらに変になってしまった。
効いとんのけって、どこの言葉だよ。お前は一体何と戦っているんだ。
普段は礼儀正しかったりする委員長系キャラが、動転したと同時に方言を口走ってしまうような萌え要素を意識したのだろうか。
みっちゃんは萌えキャラになることで、この情勢下で己の存在意義を見出そうとしているのか?
この尋常ならざる事態を花山は把握できていなかった。
とりあえず、解説一流っぽい烈に聞いてみる。
尋ねる側なので丁寧に烈さんと呼んでいる。
ぬう…珍しくフレンドリーな花山さんだな…ちょっと花山らしくない。
もっとも、相手が烈だからこその丁重な態度なのだろう。
何せ花山組希望者を烈の元に送り出したくらいだし、信頼と尊敬があるのかもしれない。
多分、本部だったら呼び捨てにしている。そもそも、本部には聞かない。
烈はあくまでも推測であることを前置きしながらも語り出す。
古代の恐竜の打撃、現代の戦士の打撃…
どれもを耐えきったピクルのタフネスを揺るがした刃牙の打撃の秘密とは…
刃牙はハイキック、そして30mからの落下…
これらの経験からまともに当てても脳が揺れないと気付いていたらしい。
30mからの落下は脳が揺れる云々の問題だと思うが、とにかくまともに当ててもダメージは期待できない。
これは既に幾度も証明されていることだ。
「そこでやってみた」
「皮一枚の打撃」
「まともに当てるのではなく」「ギリギリにアゴを掠らせる」
と、刃牙は非常に浅いインパクトで当てたようだ。
ボクシングで空振りのようなカス当たりでダウンする…稀に見られる現象だと烈は言う。
アゴ狙いの打撃はかすめるくらいが力を発揮する。
ボクシング漫画ではよく語られることである。
ついでに烈の説明に出ているボクサーは片方がスキンヘッドだ。
アイアン・マイケルじゃないかと積極的に誤解したい。
スキンヘッドの方がKOされているし、アイアン・マイケルの資格は十分だ!
あと、どうでもいいですけど、アイアン・マイケルで検索すると当ページが一番上来る。
アイアン・マイケルはいつの間にか欠かせぬ存在になってしまったようだ。
「この一閃が肉眼では捉えられぬほど 顎を―――そして脳を微かに―――」
「しかし超高速で震撼(ふる)えさせる!」
本当にかすめさせるくらいの打撃が、アゴ狙いの打撃の最上級だと語る。
しかし、グローブの先をかすらせる…神業、あるいは奇跡のような打撃だ。
プロボクサーの試合でやっと稀にあるレベルなのだ。
ボクシングの技術、もといパンチの技術ならば(おそらく)バキ世界一のJr.でさえ、かすらせるレベルの打撃は行っていなかった。
グローブありで稀に起こりうるその打撃を、刃牙は素手で、つまり皮一枚でやってのけた。
それも3発…神懸かり的なレベルだ。
ただ、アゴを狙った(普通に当てる)打撃とかすらせる打撃の具体的な違いはさっぱりだが。
揺らすだけなら普通に当てるだけでも十分のはずだ。
むしろ、かすらせるよりもインパクトが強いから効果がありそうだ。
もっとも、普通に当てたくらいではピクルの頸椎に阻まれてしまう。
そこでカス当たりによって普通に当てただけでは起こりえない微細な震動を起こしたのだろうか。
それなら頸椎によって無効化されることもない!
ハッキリ言って、微細な震動とか私自身も何を言っているのかわかりません。
ともあれ、この神業的な打撃にはピクルの脳も揺れるより他なかった。
しかも、1発だけでなく矢継ぎ早の3発。
1発だけならピクルも耐えたかもしれないが、3発も重ねられたことで脳の震動は増加。
ピクルのタフネスを以てしても耐えきれぬほどのものになったようだ。
そんなわけでピクルのダウンの真相はものすごい(あとよくわからない)技術によるものだった。
ピクルと戦った3人の戦士は、いかに強い打撃を当てるかで勝負していた。
だが、刃牙はそれじゃあダメということを知っていた。さらに身を以てわかった。
打撃が効かないならまともに当てなければいい。
コロンブスの卵的な発想で、まともに当てない打撃で勝負したのだった。
な、何かセコい…
やっていることはスゴいけど、何かセコいよ。
やはり、防御無視攻撃は刃牙の十八番だ。
他の戦士たちが真っ向勝負で挑んだのなら、堂々とイカサマをするような暴挙である。
勝つためには手段を選ばない。
まさに文化の戦い!まさに外道!
ピクルに痛みはない。ないのに、ダウンする。地面が起き上がるような錯覚を覚えた。
ピクルにとってはまったくの未知の体験だ。
烈はピクルが混乱していると予想する。事実、混乱していた。目は血走り冷や汗は流れる。
冷や汗を少し前までは貴重なシーンだったのに、最近は流しまくりだ。
刃牙と出逢ってからというものピクルにヤキが回っている。
やっぱり、疫病神だよ、こいつ。
[まさに拳雄
烈海王の分析通り 謎の打撃を体験したばかりのピクルの眼には――]
[未だ落下のダメージから回復をはかれぬ 瀕死のバキの姿を――――――]
[地面をも操る 無敵の妖術使いへと変身させていた]
刃牙のイメージ悪ッ!
妖術使いって明らかに悪役のイメージだ。
ピクルの目に移った刃牙の顔は思いっきり悪役顔だし、こいつ絶対悪だよ。
罪なき民を妖術で翻弄させ暴利を貪りそうだ。
食人余裕の極悪キャラのピクルがいい人に見えてくる。
そんなわけで妖術師、範馬刃牙が誕生した。
ドラクエで言えば魔法使い、FFで言えば風水士だ。
どっちも主人公の職業でもジョブでもありませんね。
まぁ、刃牙だし。
パーティでの役割は、補助魔法とかで相手を弱らせることです。
自分から積極的にダメージは取りません。味方の回復もしません。
しかし、妖術師という表現は何かぴったりだ。
防御力はピクルよりも低い。攻撃力も低いだろう。
だが、不思議技術はピクルを超えている。
戦闘に直接関わる能力で勝てないから、迂回路で勝負していることからぴったりだ。
…やっぱり、悪役だよ。
[ピクル戦慄す
しかし――――]
[未だ逃亡せず!!!]
悪の妖術師による未知の攻撃にピクルは恐怖する。その脚は震えている。
未知の出来事に直面した時にピクルは無遠慮に逃げる(第115話)。
それが野生の知恵と本能だ。
だが、妖術師を前にしても今のピクルは逃げない。
今のピクルには守るべき誇りがあるのだ。
まして目の前の妖術師が己の身体を傷付けてまで虚勢を張ったのだ。
最強の自負を抱いている男が、背を向け逃げ出すことを許すものか。
…逃げることがデフォルトみたいで格好付かないな。
妖術師刃牙を恐れながらも、ピクルは笑っていた。
奇怪な妖術を用いる相手だが、未知の強敵には違いない。
ピクルが戦いたかった強敵なのかはわからないが、強敵は強敵だ。
強敵と出逢えた喜びに打ち震えるピクルなのであった。
原始の最強と妖術師…真の戦いが間近に迫っている。
次回へ続く。
刃牙は刃牙だ。とことん刃牙でした。
肉体面で勝てないことはわかりきっていたから、防御力無視の攻撃でダメージを与える!
まるで成長していない…!
相変わらず何か詐欺っぽい。
妖術師というか詐欺師だよ、これじゃ。
汚いなさすが刃牙きたない。
しかし、白亜紀闘法という小細工の及ぶ範囲ではない戦いをするピクルが、見事な小細工に倒れるというのも何か不思議だ。
不思議というか、納得がいかない。
克巳とかマッハでアゴを打ち抜いていたら、勝てていたんじゃないかと思えてしまう。
ぐう…刃牙め…
脳震盪狙いの打撃はバキ世界において必殺級の破壊力を持つ。
地味な一撃だがこれで勝負が決まることが良くある。
ピクルもこれに倒れるのだろうか。
…倒れたら今まで食ってきた格闘家たちが報われないので頑張ってください。
だが、刃牙の妖術パンチ(仮称)は超繊細なコントロールを必要とする。
動いているピクルに当たるのだろうか。
凄まじい技術だったが実戦向きではなさそうだ。
妖術は種が割れれば恐るるに足らずというのがセオリーだ。
大丈夫か、妖術師刃牙。
希望的観測を行えば、妖術も刃牙の技術のひとつだろう。
他にも技はあるぜ。
0.5秒でパンチを打ち込んだり、ペテンを仕掛けたり、一流のハンターを呼んだり、100キロのカマキリを召喚したりな!
あんまりないかもしれない。
バキの戦いは基本的にターン制だ。
一方が攻撃したら、今度はもう一方の番となる。攻守の交代が規則正しく行われるのだ。
わかりやすい例では勇次郎VS郭海皇だ。
さて、ここまで刃牙の攻めが続いている。ピクルは一切と言ってもいいくらい攻撃をしていない。
強いて言えば刃牙に祈って、安全パンチをしたくらいだ。
自分のターンに挑発を行うという剛胆さ!刃牙も見習…わなくていい。
さて、今週まで刃牙のターンだった。
となると、次はピクルのターンとなる。
刃牙は防御の方は大丈夫なのだろうか。
攻撃は何とかなっちゃったけど、問題は防御だ。
刃牙の未来に不安が残る。
芯を逸らせばダメージは軽減される!とか止めてください。
それとも、防御も妖術で何とかするのだろうか。
殴りかかろうとするピクルを取りあえず制止する。
純粋なピクルは刃牙に従う。
で、刃牙はピクルをリアルシャドーで呼び出し、殴られる。
これでお前のターンは終わりな!次、俺の番!とまたも妖術で攻撃を仕掛けるのだ。
妖術師刃牙に隙はない!
…詐欺師だな、やっぱり。
少し忘れられかけているけど、ピクルには必殺技、ピクルタックルがある。
全身で攻撃を仕掛けるピクルを代表する技だ。技じゃないけど。
妖術師刃牙…ピクルタックルを放つには相応しい相手かもしれない。
妖術を吹き飛ばす意味でもピクルタックルは相応しい。
ピクルタックルを放たれたら刃牙は如何にするのか。
真っ向から破るにはファイナルマッハ突き、
パワー自慢のマックシングジャックでも力で破るんじゃなく技で破った感がある(ジャックの場合、詳細不明だけど)。
そんなわけでピクルタックルに対する刃牙のリアクションが気になる。
よし!ピクル!ここでピクルタックルだ!
でも、刃牙が真っ向から受け止めたら…ちょっとチャンピオンを窓から投げてしまいそうだ。
ピクルの強さはわかりきっていることだが、相手が刃牙だから先行きが不安だ。
うっかりやられちゃうんじゃないか?と油断できない。
現にうっかりやられちゃっている。
ピクルがどれだけ真面目にやっても、刃牙がイカサマ一発で形勢逆転できる可能性がありそうなのが怖い。
相手が妖術師なだけにピクルには油断なきよう戦ってもらいたいところである。
しかし、まったく刃牙を応援する気にならないのは不思議だ。
今までピクルと戦った戦士たちは応援したのになぁ…これが人徳の差であろうか。
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