範馬刃牙 第19話 唯一の自由
ブラックペンタゴンこと、オリバー刑務所の一室に刃牙は送り込まれる。
オリバー刑務所ナンバー2が潜む超一級に危険な部屋だ。
貞操が危ない。
もしかしたら、17話に出てきたホモがいるんじゃないだろうな?
貧相な肉体だが、それゆえにテクニシャンかもしれない。
もしくは刃牙が「お前、いいケツしてるな」と掘り返すのか?
だめだ。刑務所という場所のせいか、ホモネタしか思いつかない。
[ここが――――――――]
(空きベッドが2つ…………)
[俺の部屋]
範馬刃牙初の刑務所生活だ。
緊張のためか冷や汗が流れる。
前回のラストには両側の2段ベットが2つ、中央にベッドがひとつ存在していた。
空きベッドが2つということはこの部屋にはナンバー2を含め、3人の囚人いるらしい。
おそらく3人の構図は本命・対抗・かませ犬となるだろう。
刑務所社会でもかませ犬は欠かせない。
かませ犬のいないバキなんてバキじゃない。
「バキ…」
(お
俺の名を………ッッ!?)
突如ベッドから人影が起き上がり、刃牙の名前を呼ぶ。
いきなりの不意打ちだ。
さすがの刃牙もこんな場所で知り合いと出逢うとは思ってもいなかっただろう。
人影の体格は非常にいい。
誰だ?
シコルスキーか?
だとしたら、かませ犬のポジションは君だ!!
「ア………ッッ アイアン・マイケル」
部屋の中にはなぜかアイアン・マイケルがいた。
ヒゲをはやしているので最大トーナメント時代のアイアン・マイケルとはまるで別人だ。
チャンピオンが刑務所にいたことに驚いたか、ヒゲに驚いたか、どちらにせよ刃牙は驚く。
(え〜〜〜〜〜〜〜!!?)と心の中で大叫びだ。
読者も(え〜〜〜〜〜〜〜!!?)だ。
あんた、作者にいいように使われすぎ。
妄想でぶちのめされた後は、刑務所でぶちのめされるのか?
まさにかませ犬のポジションだ。
そういえば、バキ世界においてボクシングはかませ犬の格闘技だし、かませ犬になる条件は全て満たしているぞ!
しかし、アイアン・マイケルの利用されっぷりはすごい。
最大トーナメントで終わった人物かと思ったが、いきなりリアルシャドーで戦わされ蹴り一発で敗北し、挙句の果てには刑務所内に囚われている。
廃品利用はエコロジーでいいことだが、すでに分解され尽くした廃品は利用できないと思う。
それとも、分解され尽くした状態から再構成するのか?
マイケルの黒色の肉体を持った中国拳法家が今誕生する!
見た目烈海王、中身アイアン・マイケルだ。絶対に弱い。
「“ナンバー2”って君のことだったんだ…………」
刃牙は何を血迷ったのかこんな世迷言を吐く。
いや、それはない。
絶対にない。
全盛期ですらあんたの蹴り一発で敗北する男だぞッ!(妄想体の話だけど)
そんなのがナンバー2になられたら、オリバー刑務所のレベルが疑われる。
まぁ、マイケルがナンバー2だったら、刃牙としては楽だろうな。
蹴り一発で倒して即オリバに決闘を申し込めるのだから。
「俺などベスト10にすら入っちゃいねェ」
あ、やっぱり。
「もっと言うと刑務所(ここ)のランクと俺とは無関係なんだ」「早死にしたくねェからな」などと、刑務所内での自分の小ささを積極的にアピールしていく。
ボクシングヘヴィ級チャンピオンに何があったのか、現状では何もわからないがずいぶんヤケっぱちになってしまっているように思える。
こう自分を卑下していくのは悪い傾向だ。
ムエタイは自分を卑下せずに大きな山にぶつかり大事故を起こすけど。
何にせよボクシング界では随一の実力の持ち主であるマイケルがオリバー刑務所に怯えている。
アイアン・マイケルなんて廃品なので少しわかりにくいが、これはオリバー刑務所の恐怖を暗示している。
もうちょっといい人物を連れてきていれば、オリバー刑務所のすごさが分かりやすく伝わったのになぁ。
龍書文なんかがこんな台詞を言えば説得力があるのに。
末堂がなんかがこんな台詞を言えば…いつものことか。
「口は災いの元…………」
「おしゃべりもその辺にしておかねば」
「ミスター2(セカン)に触れるぞい」
同じ部屋に住んでいる中年男性が刃牙たちに警告する。
細い身体つきのため、とても強そうだとは思えない男だが、マイケルに察知されることなく背中を取っていた。
気配を消すことが特技なのだろうか。
もしかして、暗殺者とかその辺の部類の人か?
想像が膨らむばかりだ。
だが、この部屋にはさらなる怪物がいた。
[でけェ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!〜〜〜〜〜〜〜〜〜]
ベッドに身体が収まりきらないほどの巨漢がいた。
巨大だ。とにかく巨大だ。
布団をかぶっているので顔は見えないが、なかなか凶悪そうだ。
こいつがナンバー2なのだろうか?
部屋の中にいる3人目の人物だし、間違いなさそうな気がする。
でも、刃牙世界にとって、巨漢は長所ではなくむしろハンデだ。
でかいと呼ばれてきた格闘家のほとんどが無様に敗北している。
でかいだけでは勝てないのがバキ世界の厳しいところだ。
そして、刃牙にとって初めての刑務所の夜が過ぎ、初めての朝がやってきた。
(ナンバー2ッッ)
起き上がると同時に猛っている。
さすが、範馬の子だ。
いきなり喧嘩を売りそうな勢いだ。
きっと、梢江と付き合っていた頃は朝起きると(梢江ッッ)と言って、SAGAを開始したんだろうな。
朝っぱらからいい迷惑だ。
刃牙の目の前に昨晩でかいと呼ばれた男が立っていた。
刃牙の2倍はありそうなくらいでかい。とにかくでかい。
でも、ドリアンを細く長くしたような外見なのが、ちょっとした不安要素だ。
あと体毛が濃い
。
体毛が濃いと弱いというわけじゃないけど、なんだか不安だ。
(2メートル40?…50?………もっと?………………)
(やるか…!!?ここで……ッッ)
冷や汗を流しながら、巨漢の能力を分析する。
刃牙はいきなり戦う気だ。
刑務所内で戦ったりでもすれば、即刻反省室行きだろう。
だがここはオリバー刑務所だ。
喧嘩なんて禁止事項どころか、むしろ推奨されているだろう。
異を唱えるようならば肉ハッグ確定だな。
「2(セカン)……」
――と思ったら、巨漢が突然清掃箱に向かって話しかけた。
こ、こいつ、ナンバー2じゃないのか!?
巨漢だしな!!
巨漢がナンバー2になれるわけがない。
「グッドモーニンミスターバキ」
(こいつかァ〜〜〜〜!!!)
ついにナンバー2が現れた。清掃箱からだけど。
背は180cmくらいで巨漢ゾクセイはない。安心だ。
容姿は若めで爽やかな笑顔をしている。危険だ。
この手の笑顔をする人は大抵危ない人だ。
オリバー刑務所内のナンバー2だし、例に漏れず危ない人なのだろう。
ついでにナンバー2は本部風の不精ヒゲを生やしている。
本部の息子というオチじゃないだろうか。
ぶっちゃけ、ありえない。
頭に何かをかぶっているが、それがドリアン帽子に似ているのでこいつはドリアンの親族!なら納得できるけど。
ナンバー2がもったいぶって登場した。
わざわざ清掃箱に隠れてまで。
もしかして、このサプライズは刃牙を迎え入れるために仕組んだ
んじゃないだろうな?
きっと、オリバが入念に計画したのだ。
まずはアイアン・マイケルを罪なき罪で拉致する。
あの中年男性は柳っぽさを出すためにどこからか連れてくる。
巨漢はまさに驚かせ要因なので、オリバの知ってる逸材を連れてくる。
そして、ナンバー2にはわざわざ清掃箱に寝てもらって、期が熟したようなら出てきてもらう。
完璧な演出だ。
ナンバー2以外の人たちはみんなオリバに連れてこられる。
無論、筋肉で、だ。拒否権などない。
今回でナンバー2が登場したので、次回辺り実力が披露されるのだろうか。
それとももったいぶって5ヶ月引っ張って、刃牙に金的一発で負けるのか?
それだけは勘弁だ。
むしろ、刃牙に金的してもらいたい。
来週の「範馬刃牙」の最初のコマは2ページ見開きで金的を食らう刃牙で決まりだ。
その後、ドリアンの如く1ページ1コマの流れで悶絶する。
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