範馬刃牙 第194話 特殊能力
勇次郎が死亡フラグを立てた。
死亡フラグは漫画やアニメにおいて、絶対の効力を持つ死神だ。
勇次郎はこの運命にどう抗うのだろうか。
地上最強の力が、今試されている。
勇次郎は徳川光成に健康診断をしているのかを聞いた。
一体、何のつもりなのだろうか。
勇次郎の表情は真面目だ。からかうために聞いたわけではないようだ。
「ハァ〜〜…」
「なんとお優しいことよ…」
みっちゃんが呆れた！
…勇次郎を相手にそんな態度をしていいんですか？
畳を両断されたように、あんたも斬られてしまうぞ。
この瞬間、死亡フラグが勇次郎から徳川光成に移った。
まさに順逆自在の術！
500万もの超人強度が必要になる。
徳川光成は勇次郎に対し、罵詈雑言をぶつける。
立ちはだかる者は赤子も軍隊も容赦しない。
本人の強さと同じくらい傍若無人なその精神こそがオーガなのではないか。
そう説教するのだった。
徳川さん、アンタ、自分が誰にモノを言っているのかわかっていますか？
勇次郎が徳川光成の心配をするなんてよほどのことだ。
それこそ冗談の類ではない。
徳川光成はそのことに気付いていない。
みっちゃんは、相変わらずバカだった。
「ヤキが回ったかッッ」
「興醒めじゃ」
「シラけたぞ勇次郎」
言いたい放題の徳川光成だ。
かつて勇次郎にここまでの物言いをした人間はどれほどいただろうか。
いたことはいたが、その人間は末路はどんなものだっただろうか。
少なくとも五体満足に済んではいない。
本部なら地面に叩きつけられる。ついでに株も大暴落して解説役になる。
勇次郎はほんの気持ちばかりにみっちゃんを心配しただけなのかもしれない。
逢う度に美味い物をおごってもらっている。長い付き合いなんだし、少しくらいは心配しておこう。
なんて思っちゃったのかも。
そうだとしたらヤキが回ったとか興醒めとかシラけたとか言われるのは納得がいかない。
何故にここまで言われる必要があるのだ？
むしろ、お前は攻略初期のツンデレキャラか？
な、何よアタシのことを心配なんかしたりして…迷惑なのよ、そういうの！みたいな。
徳川光成は異常なペースで自らの死亡フラグを立てていっている。
死亡フラグを操るのも勇次郎が地上最強たる所以なのか？
何かもう健康診断関係なくみっちゃんに災いが降りかかりそうな勢いだ。
病気とかじゃなく拳で死ぬ。
「聞こえとるわいアホウッ キサマこそ自分が何を言ったのかワカっとるのか！！？」
「範馬勇次郎ともあろう者が―――――」
「ガハッ」
調子に乗っていたら、突如、みっちゃんが吐血した。
大量の血だ。危険だ。
ついに勇次郎に殴られてしまったか？
勇次郎を怒らせたからこうなる。
このパンチで北海道の多くの不良を殺して来た。
貴様こそ自分が何を言ったのかわかっているのか、徳川光成。
徳川光成は自らが吐き出した血に頭を埋め、倒れ果てる。
勇次郎は一切の手を出していなかった。
てっきり堪忍袋の緒が切れて殴ったと思ったら違った。
徳川光成は病を抱えていたのだ。
具合を見るに重病のようだ。これで軽かったら逆に困る。
勇次郎はこの事態を予見できていたようで、慌てもしなければ驚きもしない。
予見出来ていたから健康診断について聞いたのだろう。
女給に医者を呼ぶように指示して、その場を立ち去る。
一応、アフターフォローはするんですね。
病人には優しい勇次郎だった。
その後、勇次郎は街中を歩く。
当然、いつもの漆黒の胴着だ。
半径1m以内に誰も踏み行ってこない。
意外と勇次郎を発見するのは簡単な気がしてきた。
街を歩く勇次郎にはある物が見えていた。
すれ違う人々の弱点だ。
癌細胞から虫歯まで勇次郎の目に映っていた。
レントゲンで解析したように局部的に弱点が露呈されている。
何だかTYPE-MOON作品の主人公みたいだ。
同じように徳川光成の病を見抜いていたから、健康診断をしているのか、病に気付いているのかを聞いたのか。
でも、あれほどの病ならもっと前から潜伏していましたよね。
メフン食べた時に教えてあげれば良かったのに。
爆発直前まで放っておかんでも…
優しすぎないのが勇次郎か。
［全ての弱点が急所として―― 男の眼に飛びこんでくる！！！］
勇次郎は人間から兵器まで、分け隔てなく叩き潰してきた。
戦いに生きてきた人生がこの特殊能力を身に付けさせていたのだ。
勇次郎がダメージを瞬時に見抜くことが出来るのはこの能力があるからだろう。
意外なところで勇次郎の秘密が明らかになった。
この能力があれば、戦闘において非常に大きなアドバンテージとなる。
全てを破壊する腕力だけでなく、弱点を見抜く眼まで兼ね備える。
広域破壊から局地破壊までこなす万能兵器だな。
この眼で刃牙を見れば脳を弱点として捉えちゃうんだろうな。
なお、股間は鋼鉄の睾丸で守られているので、金色に輝いております。
［幸か………… 不幸か…………］
凄まじい能力だが、ナレーションはどこか物悲しい。
人の弱点が目に見えてしまう…
徳川光成の病をわかってしまったように、身近な人の死を間近に感じてしまうのかもしれない。
それは孤独だ。
強さと引き替えに本人の意志とは関係なく孤独になってしまった。
それは勇次郎にとって不幸なのか。そうでないのか。
勇次郎にしかわからない。
場面はボクシングジムに変わる。
バキ世界において不幸が集まる場所だ。
ボクシングジムでの事件発生率は非常に高い。
いや、事件が起こらなかったことなんてないんじゃないか？
そこに訪れたのは烈海王だ。
片脚こそ失ったものの、実力者中の実力者だ。
解説者としても大成したのは記憶に新しい。
この男がボクシングジムに何の用だろうか。
貴様らのいる場所は4000年前に通過している！とボクシングを馬鹿にしにきたのだろうか。
「入門の許可を 是非……ッッ」
バカー！アンタ何言ってるんですかあ！
いやいやいやいやいやいや、NONONONONO。
落ち着いてください、烈先生。
何でボクシングなんですか？
あなた、ボクサーという人種を知っていますよね？
ボクシングをアイアン・マイケルが代表している時点でお察しだ。
一体、烈は何を考えているんだろうか。
かつての烈は中国拳法以外を馬鹿にしていた。
刃牙に敗北したことでその認識を改めたのはわかる。
そして、中国拳法以外のエッセンスを身に付け、自分の強さに磨きをかけたい…
片脚を失ってマッハ突きを一応打てる程度に身体能力が下がったのならなおさらだ。
だが、ボクシングに目を付けたのは失敗だ。
負け組格闘技を覚えてどうするんですか。
いや、ムエタイじゃないだけマシか？
あくまでも比較の問題ですが。
いや、烈先生の考えは深いに違いない。
今の烈は正直落ち目だ。
一流の闘士から解説役を主としたギャグキャラになりつつある。
断言します。睾丸は内臓なのです！
こんなことを大真面目に言っちゃう子なのだ。
だからこそ、ボクシングを身に付ける。
ボクシングはムエタイほどではないがギャグ方面に傾いた格闘技だ。
それを身に付けることで烈海王のギャグキャラっぷりが加速する。
烈は格闘家としてはもう再起不能だ。
だからこそ、自らの立ち位置を守るためにボクシングを身に付ける！
戦わずとも笑わせる。そんな烈になるのだ。
さらにムエタイを身に付けることによって、中国拳法とムエタイの両方が備わってサムワンに見える。
でも、烈が読者を笑わせることはずっと昔から出来ている。
今更、ボクシングに頼る必要なしだ。
どうせならシコルスキーに弟子入りすればいいのに。
スプリンクラーにぶら下がって面白い人になれるぞ。
烈の考えていることはわからない。
刃牙と勇次郎の話が続いている中で、突如割り込むKYっぷりも凄まじい。
まさに烈海王だ。
ボクシングジムはとんでもないことになりそうだ。
次回へ続く。
…あ、そういえば、みっちゃんはどうなるんだ？
みっちゃんが倒れた。
それはどうでもいい。
そう言わんばかりの烈の割り込みだった。
私は本気でみっちゃんのことを忘れてしまった。
どうなるんだ、みっちゃん。どうなってもいい。
さて、烈だ。
烈ですよ。
これは数年に一度ある烈祭りの前兆ですよ。
15mまで問題なかったように！
14リットルの砂糖水を飲ませたように！
米軍兵士の後ろに張り付いたように！
烈祭りで来週は盛り上がりそうである。
でも、烈は何を考えているんだろう。
本気でわからない。
烈祭りになると烈が何を考えているのか、わからなくなるけど。
つまりはいつものことだな。
座して見守れい。
ここでアイアン・マイケルが出てくると凄いことになる（断言）。
烈とアイアン・マイケルが共演は誰も望んでいないけど誰もが望んだものだ。
アイアン・マイケルは鉄海王とでも名乗っておこう。
貴様は中国拳法を嘗めたッッッと本気で怒られる。
しかし、ボクシングを習うよりは空手を習えばいいのに。
神心会にはボクサー上がりがたくさんいるだろう。
同時に純正ボクサーより強い。
アタシ、完璧。
いやもう、加藤に弟子入りしちゃいなよ。
冷静に考えると今の烈は片脚を失っている。
拳だけで戦う必要がある。
そこでボクシング！
ボクシングを身に付けることで拳を鍛え上げ、失われた片脚以上の働きをするのだ。
所詮はボクシングなどこの程度か…とか言ったら面白いな。
じゃあ、片腕を失った克巳はムエタイを身に付けてみるか？
烈はボクシング、克巳はムエタイ…
お似合いだよ、お前ら。
今回は最後の1ページのインパクトが強すぎた。
死にそうなみっちゃんや勇次郎の能力を忘れてしまった。
見事なまでの烈海王であった。
いいとこ取りはまさにこのことか。
次回の最後はみっちゃんの葬式が行われるくらいじゃないと烈を上回れないな。
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