範馬刃牙 第199話 新たなる境地
刃牙は一体克巳に何の用なのだろうか。
不吉な予感しかしない。
いやいや、刃牙が語った母親に対する想いは感動に値するものだったじゃないか。
刃牙だってやれば出来る子なんだ。
やれば、妖術する子なんだ。
ごめん、やっぱり信用出来ん。
克巳はビニール袋に打撃を当てる練習を繰り返している。
廻し蹴り、上段蹴り、そして突きでビニール袋を飛ばす。
ビニール袋を風圧で飛ばしているわけではなく、きっちりと打撃を当てている。
だが、相変わらず破壊してはいない。
壊すことも技術なら、壊さないこともまた技術であった。
ビニール袋が水平に飛び、何もないところで跳ね上がる。
そこにはいつの間に現れたのか、刃牙の姿があった。
神出鬼没は範馬一族にとって、欠かせないスキルだ。
白亜紀闘法に対応したように、刃牙もそれを身に付けていた。
なお、白亜紀闘法に対応したのは対ピクル戦でもっとも納得出来ないことであると思う。
「……………バ………キさん?」
驚きのあまり、克巳が刃牙をさん付けしてしまった。
いや、そんなにかしこまらんでも。
これで刃牙が克巳を呼び捨てにでもしようものなら、せっかく稼いだ好感度を下げてしまうところだ。
幸い呼び捨てにはしないのだが。
刃牙はビニール袋を克巳に殴って返す。
ビニール袋が破れていないことから、お前に出来ることは俺にだって出来るという余裕が伝わってくるようだ。
こういった細かい仕草まで何かとイラッと来るのが範馬刃牙だ。
ハートキャッチプリキュアで言うなら青のポジションである。
刃牙が言うには出入り口が閉まっていたので9階までよじ登って窓から侵入したらしい。
加減しろ莫迦!
侵入するなら1階の窓からでもいいじゃん。1階の窓が閉まっていたのなら2階や3階でもいい。
わざわざ、9階までよじ登る力み方が範馬刃牙なのであった。
そこまでSECOMを恐れていたのか?
アメリカ大統領を誘拐したくらいなんだから、今更不法侵入程度など…
これには「さすがは範馬刃牙」(意訳:本当にマゾ野郎だな)と克巳は評価した。
貴様はシコルスキーの仕事を奪ったッッッと猛ってもいいのに。
ピクルといい刃牙といい、シコルスキーの特技だったクライミングを奪うのを止めていただきたい。
この調子だと彼に残るのはスプリンクラーだけだ。
「失ってまだ間もないのに―― もう新しいスタイルを身につけつつある」
とりあえず、克巳を褒める刃牙であった。
克巳は右腕を失った。
烈は義足で右脚の代用をしちゃっているが、克巳の場合はそうもいかない。
代用品はない。
克巳は隻腕用の新しい空手を作り出さなければいけない。
「簡単なことではないが…… 失ったものではなく 手にしたものを考えるよう努めた」
隻腕という個性を克巳は見出した。
悪く言えば誤魔化しにしか聞こえないが、片腕を失ったことにショックがないのは幸いだ。
隻腕になったのではない。隻腕を手に入れた。
今の克巳は精神的に以前よりも成長している。
「剣の世界では――― たった一本の剣を操ることを極める」
「その技術は決して二刀流に劣るものではない」
「厳然たる前例が存在している」
いや、それは完全に誤魔化しだろう。
克巳さん、アンタ何言ってんですか。
その一本の剣を二本の腕で操り、二本分の力を使うのが剣術だ。
隻腕であることとはまるで話が違う。
そもそも、二刀流が剣術の世界ではマイノリティで一刀流がマジョリティだ。
マイノリティな隻腕空手家になった人間が挙げる例としては不適切だ。
例え話として挙げるならシグルイを挙げておけば良かったのに。
克巳は前向きと言えば前向きだが、何か無茶な前向きだな。
何だかんだで心中には動揺が未だに渦巻いているのかもしれない。
「隻腕(片腕)という現実に身を置くことでしか―― 手にできないものがあるハズ」
ともあれ、克巳は空手の新たなる境地を目指そうとしている。
隻腕で極める空手…
以前にもそれを目指した人間はいただろうが、おそらくは多くの者が大成出来ずに終わっただろう。
克巳は空手史の新たな先駆者になるのかもしれない。
とりあえず、真マッハ理論の完成からか?
新たな境地を目指す克巳を刃牙は賞賛する。
独歩という偉大な父親を持つ身として、克巳も邁進せねばならぬ。
そういう話題になると刃牙VS勇次郎の話題が挙げられる。
二人はビニール袋をパスし合いながらそのことを話す。
克巳曰く、刃牙VS勇次郎は現在考え得る最大のマッチメークだ。
勇次郎VSピクルの方がより最大だと思うが、それを口に出さないのが克巳なりの優しさか。
作中ではほとんどと言ってもいいくらい、話題になっていないのが刃牙と勇次郎の戦いだ。
いや、話題にはなっていたけど烈のせいで吹っ飛んだ。
チクショウ、あいつは一体何をやりたかったんだ。
「もう…… 恨んですらいない」
「なのに闘うと決めている」
「なんでかな……」
刃牙は自分の抱える矛盾を克巳に話す。
実に意外だ。こんな話を克巳にするなんて…
二人はそこまで親密な間柄だったか?
刃牙は自らの中で母のために戦うと結論付けている。
勇次郎と戦う理由に答えを見出しているのだ。
克巳にあえてこのことを語ったのは再確認するためだろうか。
お互いに偉大な父を持つが故に、わかり合えるものがある。
なお、Jr.やジャックのことは無視しております。
郭春成は存在すらなかったことにされている。
それに対して克巳は理由が必要なのかと問い返す。
「知ったところで止められない……」
「父と子だから……」
父と子だから戦う。
同じ道を歩む以上、それは必然だ。
克巳もその理由を肯定する。
偉大な父親同士を持つ者同士、理解し合えるものがそこにはあった。
そんなことを言いながら刃牙は蹴りでビニール袋を真っ二つにする。
空中にある柔らかい物を両断する。高い筋力と技術が要求される。
これには克巳も大驚きだ。
いや、あなたにも出来ると思うのですが。
無闇に神格化される範馬刃牙であった。
しかし、刃牙が出てきたのに話が真面目だ。
克巳がいたからか?
先週までの烈っぷりは一体何だったのだろうか。
これでピクルと戦った戦士の今後が語られた。
烈はボクシングを破壊しようとし、克巳は新たなる境地を目指そうとしている。
…何だよ、この差は。烈も片脚だからこその中国武術を目指す気はないのか?
烈は克巳に謝ってほしい。
というわけで、次はジャックだろう。
肉体はピクルに砕かれ、精神は刃牙に砕かれた。
ジャックの負った傷は大きい。
だが、不屈の男がジャックでもある。
ガリガリでも吐いても頸動脈噛み切られても復帰してきた男だ。
きっと、想像を絶する復活劇を企んでいるはず!
「転移――― しまくっとるのォォ……」
期待と共にページをめくったら、自らが抱えた病巣を見つめる徳川光成の姿があった。
って、徳川ァ!おのれかァ!!
ジャック…不憫な子…
というわけで、来週は徳川光成の病について語られそうだ。
けっこうどうでもよかったがそうもいかないらしい。
記念すべき連載200回は徳川光成と共に祝うことになる。
…そういえば、連載200回なのにまったく企画がないな。
次回へ続く。
最近の刃牙は真面目だから困る。
ネタになってもリアルシャドーくらいだ。
お前それで良いのか?
なお、リアルシャドーすれば地震を起こせるぜ。
地震を起こすだけの力を勇次郎にぶつけた方が良くないか?
刃牙は何故克巳に自分のことを話したのだろうか。
勇次郎と戦う理由を見つけたはずだ。
だが、迷いはまだあるのかもしれない。
今の刃牙は勇次郎と戦う準備が出来上がっていないように見える。
ピクルを実力で倒していたのならまだしもイカサマすぎたし…
勇次郎との決戦は先の話か?
ここで徳川光成の企みが問題となる。
いい加減話してもらいたいところだ。
生涯の最後を彩る一大
迷惑
イベントには違いない。
それにしても話が進みそうで進まない。
じりじりと毎週が過ぎていく。
アニメ版のドラゴンボールを思い出す勢いだ。
そろそろ進展が欲しいな。
今のところ、抱えているものは、
・刃牙VS勇次郎
・徳川光成の夢
・烈VSボクシング
――の3つだ。
刃牙VS勇次郎と徳川光成の夢は今後の展開に大きく関わるだろう。
だからこそ、回収されることは遅かれ早かれ半ば約束されている。
だが、最大の問題は烈VSボクシングだ。
こっちはどうやって回収するのだろうか。
そもそも、回収する気があるのか?
ボクシングをやる気がまったくない烈をどうしてくれよう。
なまじ実力があるものだから、なおさら扱いに困る。
いや、ここで扱いのひどいジャックの出番ですよ。
戦士として終わったのなら、底辺からやり直せばいい。
故にここでジャックもボクシング!
烈とジャックがボクシングでドリームマッチを開始する。
さすがにこれなら烈も勝ち目があるまい。
ジャックに頼らずとも、烈がボクサーをなぎ倒すだけでも爽快感があるかもしれない。
最近のバキに足りないのはかませ犬だ。
最大トーナメントや大擂台賽の出場者を見た時に頭に浮かぶ「こいつは噛まれる!」という感覚と、
実際に完膚無きまで叩きのめされた時の「やはり噛まれた!」という爽快感…
あの感動をもう一度!
と言うわけでボクサーを増産だ。
こいつなら負ける!というボクサーを出して、烈に挑ませる。
そのうち、烈も疲れてジムから出て行くのだ。
うむ、完璧。
問題はボクシングの株が下がることだけだな。
とはいえ、ムエタイよりちょっと上くらいなので我慢して下さい。
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