範馬刃牙 第206話 皇帝(カイザー)



烈がグローブを破壊した!
グローブはボクサーの象徴ともいえるものだ。
中国武術で言えばカンフーシューズである。
それを破壊するとは何と罰当たりな。
烈的にはカンフーシューズをけっこう脱ぎ捨てているからありか?


(こうするしかなかったのか………………? 本当にそうか…?)

暴虐の限りを尽くしていた烈だったが、その心中は複雑であった。
大きく傷んだグローブを選んだ理由は破れやすいから…
烈は容易な道を選んだことを悔いていた。
烈海王、蛮勇でありながらも不器用なまでにまっすぐな男でもある。

でも、方法を悔いる前にボクシングを侮辱するような真似をしたことを悔いてもらいたい
あとジムの備品を破壊したことも悔いて欲しい。
ついでにギャリーを破壊したことも悔いてください。
どこかズレているのが烈でもあった。

(辞めよう………… 今日で……)

烈は自責の念に苛まれ、今更にジムから出ようと思い始める。
ジムにとってはこれほどありがたいものはない。
というか、烈はジムを辞めてもまったく支障がない
站椿するくらいなら神心会でやればいい。ボクサーと戦うだけなら徳川光成に手回ししてもらえばいい。
そもそも、何のためにここに来たんだか。

そんな本人としては恥なだけのグローブ破壊だったが、ボクサー一同は驚愕しか出来ない。
グローブは破れない。
それがボクサー一同共通の認識だからだ。
そんなグローブがバキ世界ではやたらと破けているがそれは無視しておこう。

ただのトリックと自らの行いを卑下する烈だったが、カイザーはそれを否定する。
烈と同じことが出来るボクサーがいるか。
いや、いない。
例えトリックがあったにせよ、それは偉業であることに変わりはないのだ。

「ボクシングの象徴であるグローブ 彼はそれを破壊したのだ」
「ウォ〜…(戦争だ)」


同時にボクシングを侮辱したことも変わりはない
ボクシング150年が中国四千年に踏みにじられた。
カイザーはサングラスを外し、そう口に出す。
ボクシングに身を置く人間として、烈海王許すまじ!
そんな意志が見え隠れする。

対する烈はそんなつもりはないと、この期に及んでそれを否定する
…いや、アンタはボクシングに喧嘩を売りまくりじゃないですか。
ボクサー破壊、トレーニング拒否、グローブ破壊までやって今更それはない。
今回だって破壊したグローブを床に捨てたままだ
どうみても侮辱です。本当にありがとうございます。
ここまで来ると詭弁越えて強弁である。

カイザーは巨万の富に加え、強敵と戦えると烈に言う。
強敵との戦い…烈の目の色が変わる。
それは烈がボクシングにもっとも求めていたものだ。

「150年or4000年」
「この絶望的なマッチメークに世界は飛びつくさ」


「4000年を代表する侵略者― チャイニーズカンフーレツ・カイオーがいい」
「レツ・カイオーのままがいい」


「見えるようだ」
「君の足下に平伏す歴戦の強者達」


「君の腰にはベルトはない」
「なくとも世界は知っている」
「君の腰に巻かれる見えないベルト」


「何故見えないのだろう」
「まばゆすぎるからだッッ」

カイザーは次々に美辞麗句を並べ、烈を煽っていく。
さすがプロモーターだけあり口が上手い。
一見、烈が勝って当然のように言っているが、やはり内心は異なるのだろうか。
カイザーの心中は見えない。

カイザーの言葉を耳にした烈は沈黙する。
あまりにも美味い話すぎる。
天然ボケの烈だって疑おうというものだ。

[止めかかった運命の歯車]
[棄てかかった歯車に――― カイザーという――――――――]
[とびっきりの動力]
[再び駆動(うご)き始めた]


烈は片足を失い、現役格闘家としての道を閉ざされたと思われた。
だが、今再び戦士として戦える場所が提供されようとしている。
それは格闘家として本懐とも言える。
烈は言葉に出来ない歓喜に震えていそうだ。

カイザーの口車に乗ったのか、乗せられたのか。
ボクサーの強者を求め、烈は渡米する。
傍らには深町コーチがいるぞ。
なんで!?

(な………)
(なんで俺まで…?)


そのことを一番疑問に感じていたのは、深町コーチ本人であった。
烈はボクシングの練習を一切しない。
コーチがついていく必要性は皆無だ。
なのに、何故俺が…深町コーチはそんな心境なのだろう。

もしかして、烈は意外にも深町コーチにデレているのだろうか。
今の深町コーチはツンデレキャラに不思議にもデートに誘われた身だ。
こいつ、いつも俺に憎まれ口ばかり叩いているくせに…一体今日はどういう吹き回しなんだ?という状態だ。
落ち着け、深町コーチ。
それは烈ルートに踏み込んだ証拠だ!

カイザーの手によって、烈の新たな戦いが定まった。
烈の前に誰が連れてこられるのかわからないが、並大抵ではないボクサーなのだろう。
ヘヴィ級チャンピオンを越えるインパクトが期待される。
これでアイアン・マイケルが差し出されたら、貴様らのいる場所は3850年前に通過している!と豪語しかねない。
次回へ続く。


烈VSボクシングのエキシビションマッチが実現!
やっと話が進みそうだ。
いい加減政治家一同は話の片隅から去って欲しい。

カイザーは烈の実力を認めている。
それも一級品であると見切っている。
エキシビションマッチとはいえ、烈がボクサーに勝ってしまえば面白くない。
カイザーほどの男が試合を作るのだ。
今後のボクシングの集客に関わってくるかもしれない。

だからこそ、烈に負けることのないようなボクサーが必要だ。
でも、そんな奴がいるのか?
Jr.くらいしか思い浮かばないが、Jr.は残念ながら賞味期限が切れている。
あと睾丸が潰れている。
睾丸が潰れた格闘家は二度と表舞台には出ないのだ。

でも、今の烈はヘヴィ級なだけでボクサーを評価している。
何だかんだで片足を失ったことによる弱体化は大きそうだ。
ただのヘヴィ級チャンピオンでも意外と戦えちゃうかもしれない。
でも、アイアン・マイケルと互角に戦う烈は見たくないな…

有名なボクサーであるマイク・タイソンとモハメド・アリを材料にしたボクサーは既に出た。
その点でもボクサーは何とも弄りがたい。
亀田兄弟でも材料にしておくか?
必殺技は投げだ!
うん、盛り上がらない。

もういっそのことボクサーを出すよりも、オリバにグローブを握らせた方が話が早そうだ。
烈も一目で強者と認める。
こうしてグローブをお互いに捨てて、何でもありの全力の対決へ…
ダメだ、それはボクシングじゃねえ。

もっとも、烈に匹敵する強者が本当にボクシングから出たらゆゆしきことだ。
烈は片足でどう対抗することやら。
アライ・猪狩状態をやってみるか?
これなら片足のハンデもない!
烈×ボクシング編は波乱ばかりになりそうだ。
そして、他の展開は完全に忘れ去られる。



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