範馬刃牙 第217話 ミリオンダラー
ワーレフが敗北したぞ!
コーラを飲めばげっぷが出るくらい、決まりきっていた結果であった。
これはボクシングが悪いんじゃない。
巨漢胸毛ロシア人のワーレフがいけないのだ。
ボクシングの権威は壊れることなどない!
でも、こんな逸材が元チャンピオンな時点で、ボクシングって斜陽格闘技だ。
烈はカイザーの部屋へと呼ばれていた。
机の上には山のような札束が乗っている。
おそらくは烈が今までの人生で一度も見たことがないであろう多額の金だ。
一般人なら見ただけで腰が砕けそうなほどの破壊力がある。
福本漫画にも余裕で出てくることができる巨額の富だ。
だが、烈は平静そのものだ。
金に己を見失う人間ではないようだ。さすが、武に人生を捧げてきただけのことはある。
あるいはドルだから価値がわからないのかもしれない。
元で渡せッッ。今すぐにだッッ。と内心猛りたい心持ちだったりして。
カイザー曰く、烈は全米でもっとも注目される中国人になったようだ。
烈は元チャンピオンを倒した。それもボクシングの教科書にはない技で。
そのインパクトたるや、衝撃的という言葉では語り尽くせないことだろう。
でも、バキ世界では日常茶飯事でもある。
米国って意外と田舎なのか?
ここで時系列は烈が無寸勁をワーレフに決めた瞬間に戻る。
無寸勁によってアゴを撃ち抜かれたワーレフの目は踊り、紐が切れた操り人形のようにダウンする。
明らかに勝負ありだ。
だが、烈は追い打ちをしようと踏み込んでいるのが印象的だ。
圧倒的なまでの白目だよ。気を失ったワーレフの白目とは意味合いがまるで異なる。
レフェリーに止められなければ、ワーレフはさらにひどいことになっていたんだろうな。
勝利した烈はインタビューを受ける。
これも今までの烈の人生にはないことだ。
インタビューの王道中の王道、今の心境を問われる。
どう答える、烈。
「既にワカっていたこと―― 中国武術の優位性を示したまでです」
げぇ!空気まったく読んでいねえ!
原田コーチに殴られて少しは反省したと思った。
そう思ったが、まるで違う。
烈は完全にボクシングを見下している。
さすが、蛮勇烈海王だ。
とりあえず、インタビュアーは空気を読まない発言を無視して、ワーレフを仕留めたパンチについて問う。
その技の名は無寸勁。ノーインチパンチ!
………
って、それだけかよ!?
無寸勁の説明、その効力、総じていかなる技なのか。
名前以外の説明を一切行わない烈であった。
これが興業不可解の男のやり方なのか。
半端なところでサービス精神がない。
「君たちの拳法は――――― ボクシングはまだ幼い」
「成熟した拳の闘いを見せたい」
「次なる強敵をすぐにでも…」
貴様らのいる場所は3000年前に通過しているッッッと言わんばかりの烈海王だ。
こんなんだから原田コーチに殴られるんだ。
また、殴られたいのか?
今度は関節を外した挙げ句、無寸勁で反撃するのかもしれない。
これで原田コーチデレフラグはまたへし折られちゃうのかな…
それにしても本当に空気を読まない烈海王だ。
さすがと言うべきだろうか。
生粋の烈海王を見せられた。
「あの一言で――――― 君は世界を敵に回した」
カイザーは烈の発言に突っ込む。
烈の発言はボクシングに関わる人間全てに喧嘩を売る発言だ。
でも、こんな暴言を吐いても郭海皇あたりは喜びそうだ。
いいぞ、もっとやれ!とむしろ推奨する。
カイザーの予告通り、烈には多額の賞金が舞い込んだ。
そして、逃げ出したくなるような怪物も…
ゴリアテは弱かったけど。
…賞金はともかく、怪物は大丈夫なのか?
まぁ、アイアン・マイケルを出しておけば大丈夫だろう。
ギャグ的な意味で。
アイアン・マイケルなんて出しておけば受けが取れる万能カードだ。
烈に噛まれるのも、本物のボクサーに噛まれるのも、どっちもありだ。
もし、アイアン・マイケルが善戦しようものなら私はチャンピオンを引き裂く。
さて、カイザーの差し出した賞金はドルにして200万、重さは20キロ。
とんでもない金額だよ。
アタッシュケースを用意してあるからに入れておけとカイザーは支持する。
並みの人間なら目の色を変えて、札束をアタッシュケースに入れる作業をするだろう。
烈だって人間だ。こんな大金をあげると言われて受け取らないとは言わない。
でも、あえて不満を隠さない。
机の上に乗せているカイザーの足が気に入らないのだ。
このまま、その金を受け取ることはカイザーの足元に落ちている金を拾うのと同じ行為だ。
烈は飛ぶ。回し蹴りをカイザーに放った。
烈の蹴りはカイザーのサングラスだけを吹き飛ばす。
義足でも蹴りを使える。その狙いは精妙そのものだ。
魔拳烈海王は健在である。
ボクサーとの戦いも佳境に入れば素足になるのだろうか。
そして、カイザーに対してお前が金を入れろと指示する。
さもなくば、その脚をへし折る。
一応のスポンサーに対してこの不遜な態度…骨の髄まで烈海王だ。
これにはカイザーだって冷や汗だらだら流して詰めますよ。ええ、はい。
烈の蛮勇にカイザーの陰謀が負けている。
カイザーはついつい底を見せてしまった感がする。
バキ世界には珍しい策謀を巡らせるタイプだったのに…
カイザー×烈は鉄板かと思っていたが、このままだと烈×原田コーチという掟破りの烈攻めの組み合わせにシフトしちゃいそうだ。
このままだとボクシング界を支配する重鎮に子供扱いされちゃいそうだな。
しかし、アウェイで実力者(仮)を倒してアタッシュケースいっぱいの札束をもらうなんて、
餓狼伝の巽過去編だろうか。
このままだと盲目ボクサーが烈に襲いかかりそうだ。
…意外とその確率が高そうで怖い。
なお、アイアン・マイケルの立ち位置は巽が瞬殺した怪しい空手家となります。
烈はカイザーが用意したリムジンに乗って帰っていく。
これほどのVIP待遇は生まれて初めてだろうか。
ボクシングに喧嘩を売ってどうなるかと思ったが、烈は見事に勝ち組のレールに乗っている。
グラップラーたちが富を得ようとすればこうなるのか。
でも、烈は肝心なところでノリが悪いからな。
今回の無寸勁を説明しようとしなかったり、ピークを過ぎれば飽きられてしまいそうだ
ただ基本的な部分でボケキャラだから、そこを強調すれば受けるのかもしれない。
最悪、3分クッキングに出演してみるか?
ドライバーにブランデーでもどうかと勧められる。
健康一点主義の烈はウーロンティーを要求する。
ウーロン茶ではなくウーロンティーと言うあたりが米国を意識している。
烈はものすごく無礼でノリも悪いけど、礼儀正しくもあるんだよな。
そのアンバランスさが烈の魅力なのである。ロリ巨乳みたいなものだ。
当然、リムジンにそんなものはない。
紅茶ならあるとドライバーは言うのだが、それでは烈のお眼鏡にかからない。
「不便なものだ……」
烈は僅か1戦で巨万の富を手に入れた。
だが、烈の心は満たされていない。
求めていた強敵もいなければ、心を休める中国茶もない。
ファイトマネーを手に入れて、一番に感じたものが不便さだった。
今の烈の心には空しさがある。
今回の烈の顔はどれも落ち込んでいるかのように覇気がない。
本場のボクシングと戦っても、餓えは満たされなかった。
カイザーと出逢った時から烈の心は変わっていないのだ。
ボクシングを挑発したのも、萎えた心を奮い立たせるためか?
次回へ続く。
烈が金持ちになったぞ。
でも、烈からは貧乏くさい空気しか漂ってこない。
何とも似合わぬ大金だ。
ただ、烈は金の使い方が荒い印象もある。
それなりに高そうなところで食事しているし、サンドバッグの前に立つと確実に破壊している。
この大金もあっさりと使っちゃいそうだ。
14リットルの砂糖水に使い果たしたりして。
烈はボクシング界に喧嘩を売った。
全世界から烈ハンターがやってくるかもしれない。
ボクシングなら返り討ちに遭いそうだけど。
オリバにグローブを握らせるくらいじゃないと厳しいな。
ボクサー以外にボクシングをやらせた方が強そうだ。
無論、それはボクシングの復権にはならない。
とりあえず、アイアン・マイケルは出しておこう。
限りなく無意味に出しておこう。
かませ犬くらいにしかならないか。
でも、笑いは取れる。
うん、それだけでもアイアン・マイケルの価値はある。
今まで現れたボクサーの全てを合体させれば烈にも対抗できるかもしれない。
高山の若さ、ユリーのモンゴル魂、Jr.のフットワーク、麻仁アキオの理にかなったボクシング、ワーレフの長身と胸毛、
そして、最後にアイアン・マイケルの…
アイアン・マイケルの…ッッ。
アイアン・マイケルの長所って何だ?
…うん、彼は忘れよう。きっと、あの後射殺されたんだ…
ようやく登り始めたばかりなんだ。
この果てしなくボクシング坂をよ…
と思ってしまうほど、烈ボクシング編の先が読めない。
やっぱり、ボクシングが題材だからだ。
目が覚めるような実力者は現れるのやら…
次回は休載して再来週の合併号に2話連続掲載だ。
年に3回あるバキ感想書き大忙しの期間である。
そして、毎回こう思う。
連続掲載しなくていいから普通に掲載して、と。
ともあれ、2話同時掲載となると話が進む。
…はずなんだよな。
今年のGW前の掲載時は話がまったく進まなかったけど。
刃牙がピクルとの戦いを終えてからというもの、話の進行速度が大きく落ち込んでしまった。
あれ以来、本格的なバトルは一度もやっていない。
さすがにこのままではいかんだろう。
そろそろ、大きな展開が欲しいところだ。
第2回最大トーナメント(仮)とか面白そうな題材はあるが、そこにはいまいち触れられない。
2話まとめて使って開催してみるか?
でも、そうなると烈は一人ベガスで置いてけぼりになったりして。
烈さん、何でボクシングに喧嘩売ったん…
今の展開には話の中核を為している人物が存在しない。
なので、どうしてもみんな足踏みしたり回り道しちゃったりしている。
今更ながらにピクルの力が凄かったと思い知らされるのだ。
ここで曲者揃いのグラップラーの視線を集められるカリスマが現れてみようか。
だが、146歳生きた妖怪や現代に蘇った原始人といった特級ファイターの後釜となると難しい。
この二人は今でも話の主役を張れるほどの存在感と実力がある。
そのインパクトを越えるキャラクターを!
あ、そうだ。刃牙以上の変態ってどうだ?
梢江と同等の雌を常に周囲に6人ははべらしており、試合になるとナイアガラのような勢いで尿を垂れ流し、
当然、トレーニングは全てリアルシャドーで体重100kgの昆虫たちと戦う。
無論、ゴキブリの極意は全て体得しており、もはや常時液体状態!
うむ、話の主役を張るほどのインパクトはあるが、できれば出てきてほしくない。
ただ、刃牙もそんな立ち位置なんだよな。
そういえば、刃牙は今何をやっているんだろう。
さらなるゴキブリ化を目指して、いろいろなところからゴキブリを集めていたりして。
今の刃牙ハウスはゴキブリハウス!
誰も近寄るはずがない。
そして、刃牙ハウスで行われているSAGAにはゴキブリも近寄らないのであった…
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