範馬刃牙 第221話 選択



次の相手はもっともタイトルに近い男だ!
…自慢にならねえ。
もっとも海王に近い男という称号ですらもはや何の意味もない。
せめて範馬一族にもっとも近い節馬一族くらいはやってもらわないと。


[ジョー・クレーザー36歳]

烈の対戦相手、スモーキン君の本名が語られる。
タイトルにもっとも近い…とはいえ、その年齢は決して若くはない。
むしろ、36歳はボクサーとしてはピークを過ぎた時期だろう。
バキ世界の格闘家の寿命は長いので忘れられがちだが、ボクサーの寿命は原則的に短い

バキ世界において、若くないということは一種のステータスだ
一例を挙げれば146歳も生きているだけで、ものすごく強い空気がする。
タイトルが近いという称号でクレーザーには危うさが漂った。
だが、この年齢から察するに曲者なのかもしれない。
ベテランほどバキ世界において怖いモノはない。

ついでに50年生きて、身についたものが解説と武器の扱いである某本部流柔術の某本部以蔵もベテランのうちに入る。
入るが、あえて無視しておこう。

「アマチュアでG・G(ゴールデングローブ)を獲得後 プロへ転向」
「勝ったり――」
「敗けたりを繰り返しながらキャリアを重ね」
「トップステージへ登りつめた」


カイザーはクレーザーの略歴を語る。
そのキャリアには栄冠があるものの、決して華々しいものではない。
まして36歳という年齢…
カイザーの語るようにクレーザーは多くの敗北をしてきたのだろう。
天才ではない。

ここでゴールデングローブという単語が久し振りに出てきた。
最大トーナメント屈指のピエロ、マイク・クインが出場したものだ。
優勝したのではなく出場したことを自慢する彼は実にピエロだったが、それはどうでもいい。
マイク・クインの出場した大会を優勝…自慢になるようなならんような…

もしかしたら、マイク・クインが優勝を逃したのは、クレーザーがいたからかもしれない。
マイク・クインの宿敵、クレーザー!
…うん、この肩書きはない方がいいな。

カイザーは才能に乏しい相手とクレーザーを称する。
だが、クレーザーを見つめる烈の視線は真剣そのものだ。
クレーザーに何か感じるものがあるのだろうか。
肩書きはともかく、年齢だけでワーレフ以上の空気はある

ホテルに戻った烈は深町コーチにクレーザーのことを話したようだ。
カイザーが言っていた才能がないと言う言葉も伝える。

それに対して深町コーチは納得はしていなかった。
ゴールデングローブの優勝者…それだけでなくタイトル目前のトッププロ…
36歳の時点でタイトルを掴めていないが、クレーザーにはボクサーなら羨むだけの才能はあるだろう。
だが、バキ世界には天才が超弩級の幾人もいる。
どこぞの何もしないうちに史上最強を乗り越えた人とか。
それを目にしてきた烈の語る言葉やいかに…

「その通り 彼には才能がない」

空気読まねえな、オイ!
深町コーチの前で相変わらずの暴言だ。
また、ジャブられるぞ。
というか、またジャブるぞと言わんばかりに深町コーチが立ち上がる。
再び烈が鼻血を流す時が来るのか?

「いい風貌(かお)をしていた」
「一朝一夕でできる風貌(かお)ではない」
「乏しい才能――低い身長――それでもなお絶望を拒否し―――死線を踏み越えた」
「風貌ひとつで 彼はそれをワカらせる」
「並の経歴ではない」


だが、続く言葉はクレーザーを評価していた
才能ない。身長もない。ボクサーとしては老いすぎた年齢だ。
それでも戦ってきた。見ただけで伝わるほどのモノがある…
烈は正確にクレーザーという人物を捉えていたようだった。

背丈が劣っているのは烈も同様だ。
おそらくは自分と同じような空気を感じたのかもしれない。
烈が初めて認めたボクサーであった。
クレーザーは噛ませボクサーかと思いきや、なかなかの実力者のようだ。

クレーザー、36歳。
カイザー曰く下がらないファイトスタイルらしい。
そのようなファイトスタイルで未だ現役なのはある種矛盾している。
多くのパンチを受けてきたはずだ。
であるのに、36歳で現役ボクサー…
前に出ても被弾しない。そんな戦いが得意ということだろうか。

「実は俺も 彼のファンなんだ」

烈のクレーザーに対する評価は正確だったのか。
おそらく自分と同じくらい、あるいはそれ以上の理解を烈はしたのだろう。
深町コーチはそれだけを言って、それ以上の言及はしない。
才能はなくとも、戦うのを諦めない男…
同じボクサーの道を歩んだ深町コーチとしては、リスペクトに値する人物なのだった。

その時、チャイムが鳴る。
当然、開けに行くのは深町コーチだ。
召使いの立ち位置である。お前が行けよ烈とは言わないのだ。
クレーザーのことを褒められてけっこう嬉しいのかもしれない。

ドアを開けた瞬間、深町コーチは固まる。
現れたのは超大物マホメド・アライだ。
念のために言っておくと、Jr.ではなく父の方だ。
ボクシング界隈に身を置く深町コーチは言葉を失う。
あの烈でさえ呆然としてしまう。

アライ父に有名人と言われるが、アライ父の1/1000にも達しないと烈はへりくだる。
あの烈がへりくだっている!?
さすがボクサーとしては例外とも言えるだけの貫禄を持つ男だ。
アライ父は冷静に考えればあまり強くないのかもしれない。かつてはJr.に負けたほどだったし。
まぁ、今のJr.よりは強そうな気がするし、強さだけではくくれない何かを持っている。
アライ父は強さ以上のスケールを持つ男なのだ。

そんなアライ父がこの場に来た理由は烈の試合を止めるためだった。
クレーザーが負けるからではない。
烈が負けるからだ。

「中国拳法とやらがボクシングに一泡吹かされるところ 観たくないワケではないが…」
「ハンマファミリーとの友情があるのでね」


〜〜〜〜ッッッ。
ここで範馬一族が絡んでくるのか!?
強者の裏には範馬あり。
範馬が絡んでいない強者なんて偽者だ。
死刑囚あたりは範馬一族が絡んでいなかったのが堕落の原因なのかもしれない。

アライ父は勇次郎と親交がある。
さらに息子のJr.は範馬一族の刃牙と戦っている。
その刃牙と烈は友人以上の関係にある。
そんな烈がボクシングに負けるのは忍びない…そういうことか?
…正直、ややこしい関係だ。

というか、範馬一族云々の前に烈とアライ父は無関係だ
繋がる線が一切ない。
もしかして、範馬一族は口実で中国武術じゃボクシングに勝てないと挑発しにきたのかも。
アライ父はそれをやりかねない腹黒さを持つ人物だ。
華と修羅の登場人物すら見せられない黒い笑みを浮かべるぞ。

アライ父はボクサーのニックネームについて語る。
ボクサーには様々なニックネームがあるが、いずれもボクサーは形容されるもの以下だと。
どのボクサーもサンダーボルトよりもアイアンよりも強くはない。
ファントムと呼ばれたアライ父も、スローだとパンチを確認できる。
だが、スモーキンことクレーザーは例外らしい。
本当に煙のようなファイターなのか?

[迫りくる煙(スモーキン)
[打ち込まれる中国4000年]
[ほどなく君は煙に包まれるだろう………………………]
[そして必ず打ち込まれる]
[恐らくは世界最強の―――]
[左(レフト)フック!!!]


アライ父は烈の敗北の予想を語る。
煙のようなクレーザーに翻弄される烈…何とも想像しがたい。
だが、アライ父が太鼓判を押す以上、クレーザーの実力は本物なのだろう
実はカイザーの刺客ではなく、アライ父の刺客だったりするかも。

そう言われても当然引っ込む烈ではない。
自らを餌にした男なのだ。
煙や左フックをちらつかせられた程度で怯むはずがない。
むしろ、良し!
そのような強敵こそ、烈がボクシングに求めたものなのだろう。

「一向にかまいません!!!」

私は一向に構わん!と烈は猛る。
数度しか言ったことのない私は一向に構わんが口癖にされていたが、とにかく一向に構わん!
まぁ、原人と戦った以上、ボクサー程度にはビビってもいられない。
クレーザーとの試合が初のボクシングとの本格的な試合になるのだろうか。
次回へ続く。


その経歴からかませ犬と思われたクレーザーだが、アライ父が太鼓判を押すほどの実力者らしい。
チャンピオンになれていないのも何らかの事情がありそうだ。
36歳というのは非常に期待できる要素だ。
烈は初めてボクシングに苦戦することになるのだろうか。

今の烈の弱点は失われた片足だ。
烈の戦力は下がったようには見えないが、実際のところかなり落ち込んでいるのは間違いない。
特にフットワークという点においては、ボクサーに大きく劣るだろう。
だからなのか、フットワークを封じる立ち回りをワーレフとの戦いで行った。
クレーザーは煙のように消えたと錯覚するフットワークの使い手なのかもしれない。
バキ世界ではあまり重要視されない相性問題が絡んでくるか?

後ろに下がったことがないのに、36歳で現役を張れるだけのファイトスタイル…
前に出ながら相手の攻撃を捌く技術に優れているということだろうか。
地味めなボクシングにしては見栄えの良さそうなファイトスタイルだ。
相手の出方を見て、カウンター気味に戦う義足烈に取ってはやりにくいタイプの気がする。

今の烈は策略を張り巡らせて戦うタイプだ。
やはり、ワーレフにやったような奇策をクレーザーにも行うのだろうか。
でも、相手は煙だ。烈といえど煙と戦ったことがないようだ。
そんなのと戦う準備をしているのは多分刃牙くらいだけど。
リアルシャドーで煙になったかまきりと戦っていても何の不思議もない。
い〜や、自然じゃ!
だから、刃牙の戦い方を想像すれば烈も…刃牙の戦い方は妖術だった。忘れよう。

予想外にもアライ父が出てきた。
もしかして、今回の件にも噛んでいるのかもしれない。
アライ父+カイザーの曲者コンビは厄介だ。
ボクサー海王クラスの人選もしちゃいそうである。

アライ父と言えば何を企んでいるのか、気になるところだ。
何せバキ世界でトップクラスに腹黒い人だ。
あのナイススマイルは忘れようにも忘れられない。
刃牙を敗北させて勇次郎にあのスマイルを向けられなかったのが密かなフラストレーションなのかも。
烈を敗北させて郭海皇にスマイルするのが当面の目的かもしれない。
そうなれば中国武術VSボクシングが過熱化しようというものだ。
すごいね、ボクシング(はぁと)

今回範馬の言葉が出てきた。
ハンマファミリーとの友情…友情だけなら、烈の試合を止めさせようとする理由がよくわからない。
範馬一族も絡んでいるのか?
うーん、範馬一族はよくわからん。

現ヘヴィ級チャンピオンが範馬一族だったりして。
アイアン・ハンマーとか名乗っている。
うん、強そうだ。
なお、アイアン・マイケルとの関連性は不明です。



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