範馬刃牙 第222話 威圧感
ジョー・クレーザーは強者だった!
アライ父のお墨付きだ。大物のお墨付きなら間違いあるまい。
猪狩・独歩・渋川先生の各種大物(猪狩だけ微妙)のお墨付きだったJr.が惨敗したこともあったけど、それはそれだよ。
クレーザーは強い!多分!
さて、ほぼ地球の裏側の日本ではアメリカ人、ヤン・ウィリアムスが事情聴取を受けていた。
どうやらウィリアムスがいた付近で事件が起きたようだ。
その時の様子をウィリアムスは語る。
[紫のマントだった――――――――と]
[黄色いタオルを額に巻いていた――――――と]
[銜えタバコだった――――――――と]
[そして――――――――
地下足袋(ニンジャブーツ)だった――――――――と]
目撃者の特異性を語る。
話を聞く限り、明らかに日本の日常からかけ離れた人物だ。
でも、ウィリアムスの身振り手振りは明らかに胡散臭いぞ。
この男を信じていいのか?
大体、忍者ですよ、忍者。英語だとNINJAだ。
胡散臭い日本の代名詞No.1と言っても過言ではない。
NINJAとか言っている外人を信じるのは不味いと思う。
バキ世界の忍者と言えば、無隠流忍術の使い手であるゲバルが思い浮かぶ。
ここでゲバルが日本に来訪か?
でも、ゲバルは足袋なんて付けてなかった。
そもそも、ハチマキもマントもない。
[あれは忍者だった――――――――と]
見開きでNINJAの正体が明かされる。
そいつは柴千春だ!
…帰っていいですか?
柴千春だよ。柴千春がNINJAになったよ。
柴千春はつい最近完全なるギャグキャラになった。(バキ外伝読み切り)
言ってしまえば本部・加藤・末堂の解説驚愕トリオのように、観客席でいいリアクションをするくらいしか見せ場が与えられない。
株を上げるためには爆破を食らうくらいはしないとダメだ。
まぁ、加藤と末堂はドリアンとの戦いでけっこう株を取り戻している。
加藤は男らしさを見せつけたし、末堂は克巳の応援でも地味ながらいい働きをした。
もしかしたら、柴千春の株も…
ついでに本部は柳との戦いで悪い意味で株を取り戻した。
武器がなければまともに戦えない男として、本部は今の立ち位置を手に入れた。
それは決して名誉ではない。
もしかしたら、柴千春の株も…
NINJA柴千春。
中二病に続いて新たな称号を手に入れた。
この人は末期だ。
多分、何をやってもまともに受け取ってもらえない。
アイアン・マイケルとの名勝負もなかったことにされる。
…ボクシングのチャンピオンって柴千春といい勝負になる程度なんだよな。
柴千春は道のど真ん中で仁王立ちする。
さすが、NINJA。やることがデカいぜ。全然、忍んでない。
そして、どこまでも中二病だ。
多分、自分のことを人間に滅びをもたらす神に使える天使だと思っているのだ。
人に滅びをもたらすために監視しているが、実は人を愛しているという設定だ。
柴千春の視線は鋭い。
並みではない決意・意志の強さ・根性?が現れていた。
…根性には「?」がついているのか。
うーん、胡散臭い。
まぁ、一番並みではないのは邪気眼っぷりだ。
腕が勝手にうずき始めても知らないぞ。
今の柴千春は煙草の煙が目に来ても瞬きすらしない。
…どうしようもなく中二病だ。
これを夜中ではなく真っ昼間からやっているのが胸熱である。
誰得の方が正しいか?
ふ…神と人間の狭間にいる者の身にもなってくれよ…
そんなNINJA柴千春の前に範馬刃牙が現れる。
行動は異常というレベルではない刃牙だが、見た目は普通だ。
柴千春よりなら遥かに普通だ。
だが、一皮剥けば刃牙だって柴千春と中二病を競えるぞ。
「…………… 柴………千春さん……」
所々に「?」を浮かべながら刃牙は対応する。
そりゃそうだ。
刃牙だってこんなNINJAが道のど真ん中にいたら困るよ。
柴千春の名前を出すのに吹き出しひとつ分の時間がかかっているし、
もしかしたら柴千春のことをど忘れしていたのかもしれない。
これは刃牙を責められまい…
柴千春の待ち人は刃牙のようだった。
それなら刃牙ハウスへ行けと言いたいところだが、刃牙相手になら中二病レーダーを稼働させておいた方がいいかもしれない。
でも、前言撤回をするようだけど刃牙は中二病というよりも黒魔術系だ。
魔女帽子を装備した女子高生みたいな。最近の例だと長門有希である。
そう考えると刃牙の萌え度が上がる気がしなくもない。
「範馬刃牙さん なんにも言わず」
「喧嘩買ってください」
…この人は一体何を言っているんだ?
体育の日の中二病が未だ尾を引いているのだろうか。
刃牙の「中国拳法を教えて欲しい」、烈の「ボクシングを習いたい」、ストライダムの「勇次郎と戦う」に並ぶ唐突トンデモ発言だ。
…この人は一体何を言っているんだ?
もしかして、バキ外伝の読み切りってアレか?この伏線だったのか?
あまりに暴投すぎて気付くわけがない。
というか、待ち方が無茶苦茶だ。
柴千春には刃牙がこの道を通る確信でもあったのか?
この威風堂々としたNINJAっぷりは確信がなければできない。
邪気眼に覚醒した柴千春にとって、偶然という言葉も宿命や運命に変換されるのかもしれない。
今こうして喧嘩を売ったのもDestinyだ!
「……………」
これには刃牙だって返答に困る。
あまりにも唐突すぎる。いや、何も言わないというのは合っているが。
いや、刃牙の唐突っぷりもなかなかのものだけど。
これで「いきなり中国拳法を教えてくれと頼むのは不味いよな」とか、「相手に嘗められたからって自殺するのは良くないな」とか、
「親父と一緒に食事したいなんて言うのは良くないな」とか、「ゴキブリを師匠にするのは良くないな」とか、自分を振り返るかもしれない。
刃牙は柴千春と戦うのか?
柴千春は知らないかもしれないが(知らないのもどうかと思うが)、刃牙は不良ハンターだ。
刃牙ほど多くの不良を恐れさせ屈服させている人間はいない。
不良の柴千春としては目の上のたんこぶであり、壮絶なまでの弱点属性だ。
ダメージ2倍とかじゃなく、即死になる弱点属性ですよ。
バキ外伝読み切りで私は柴千春は刃牙に弟子入りしてはどうだと書いた。
それがこんなことになろうとは…
やっぱり、ニート仲間として柴千春は刃牙に憧れているのか?
刃牙と柴千春には共通点がある。
それは同じ相手と対戦したということだ。
二人とも、アイアン・マイケルと戦っている。
柴千春は反則と激戦の末に辛くも勝利を手にした。言うまでもなく自力では大敗している。
刃牙は反則である蹴りを用いて一瞬で勝負を決めた。多分、ボクシングルールでも大勝できる。
絶望的な戦いが今始まろうとしている。
本気で始まるのか、これ。
さて、ラスベガスへ戻る。
既に烈はリングの上に立ち、クレーザーと対峙していた。
そこで烈はある疑問に包まれていた。
[この―――――― 小さなヘヴィ級に……]
[威圧されるのは何故だ………?]
[この圧倒的な存在感………]
[肉体の――――――否
人格そのものの密度がまるで違っているかのような………ッッ]
烈はクレーザーをべた褒めしている。
180cm92kg。データは平凡そのものだ。
170cm弱で100kgオーバーの烈と比べると、劣っていると言ってもいい。
それでも百戦錬磨の烈が威圧感を覚えていた。
烈の見立ては正確であり、アライ父の評価もまた正確であったということか。
人格そのものの密度が違っているというのが今までにない評価だ。
36歳…格闘家としては老いていると言っても過言ではない。
それだけに駆け引きに長けたファイターなのだろう。
それに対して烈は基本的に年上と思しき相手と戦ったことはそれほどないし、負けたことに至っては一度もない。
戦ったのは斗羽とドリアン、それに寂海王くらいだ(ピクルは板垣計算で1億9000歳になっているけど、無視)。
斗羽とドリアンは烈と比べると身体能力が圧倒的と言ってもいいくらいに劣っている。
キャリアを生かし切れていなかった。
だが、クレーザーはどうか。
片脚を失った烈と比肩しうるフィジカルの強さは持っている可能性は否定できない。
肉体の強さの差が少ないなら、駆け引きの差が出てくるだろう。
そして、烈にはキャリアが上の相手との対戦が少ない…
烈はキャリアが生み出す駆け引きには疎いのかもしれない。
事実、寂海王には翻弄されていた。
あれはキャリアというか圧倒的な人間力の結果だけど。
深町コーチはクレーザーの印象を問う。
データ通りでそれ以上でもそれ以下でもない。この上なく美味しい相手。
心象とは裏腹に烈のクレーザーに対する評価は手厳しい。
前回、深町コーチにデレたから、今回はツンしておこうというわけか?
しかし、それを聞いても深町コーチは感情を荒げることはない。
これは烈の本心をわかっている証拠の気がする。
得体の知れない相手と対峙して、不安を抑えるように自分を鼓舞している…
今の烈はそう思えてしまう。それを深町コーチは理解したようにも思える。
二人の絆は一戦ごとに深くなっている。
「スモーキン・ジョーの対角線に立つ栄誉 与えてくれた礼を言いたい」
「必ず帰ってこいッッ」
深町コーチは感謝と激励を烈にする。
デ、デレている!デレているよ〜!
胸が熱くなるな。
ツンデレ×ツンデレという強力な組み合わせである。
ツンデレ好きにはたまらない組み合わせだ。
しかも、お互いに相乗効果を生み出しているからたまらない。
ソレスタルビーイングの最終兵器ですか、これ。
次に烈に声がつくことがあれば、声優は釘宮理恵で当確だ!
ゲーム版の胡散臭い烈だけは勘弁な。
[中国4000年にまるで臆する様子もなく ベタ足のボクサーは最短距離で烈へ歩み寄った]
中腰でボクシングにはない構えを取る烈だったが、それに構わずクレーザーは突っ込む。
ぐにょぐにょ動いて終わったワーレフとは対称的だ。
それだけでなく煙を出しながら突っ込む。
アライ父の予告通り、烈は煙に翻弄されて左フックを食らうことになるのか?
次回へ続く。
烈とクレーザーの戦いは期待感が高まってきた。
これでボクシングという肩書きさえなければ…
あるいは地下ボクサー(なんだそれは)だったら…
ボクシングの信頼度は低い。
それもこれもアイアン・マイケルのせいだ。
チャンピオンのくせに不良と五分ったり、刃牙に蹴り一発で負けたり、素人3人組に完敗したりと、
アイアン・マイケルはボクシングの品位を存分に貶めている。
逆に言えばアイアン・マイケルがいなければ…
もしかしたら、アイアン・マイケル(とワーレフ)がタイトルを取れた時は、偶然にも質の低いボクサーばかりが集まったのかもしれない。
実は本来のヘヴィ級ボクサーたちは海王レベルなのかもしれない。
クレーザーだって範海王くらいには強いぞ!
クレーザーのファイトスタイルは未だ見えてこない。
が、一気に突っ込むスタイルや人格の密度が濃いというのは期待要素だ。
直球でありながらも変化球。そんな強さが見える気がする。
期待の持てる人材だ。
人格を評されたということは、クレーザーは人間力で戦うタイプなのだろうか。
真っ直ぐ突っ込んだと思ったら、いきなり護身開眼のポーズを取ったりする。
背中の耐久力は正面の実に7倍。烈の打撃にだって耐えうるぞ。
グローブなので烈はツボを突くことができず詰む。クレーザーも反撃できないので詰む。
これぞ千日戦争(サウザンドウォーズ)!
あるいはこのまま煙のように烈を通り過ぎて、やったァ!勝ったぞォ!と勝利宣言するとか。
克巳のそっくりさんを用意して翻弄してもいいぞ。
人間力で戦ったことがあるキャラは猪狩と寂海王だけど、卑劣だったりイロモノだったり、一言で評価しにくい。
それだけに面白くもあるので、クレーザーの戦い方には期待がかかる。
さすがに寂海王ほど面白くはできないだろうけど。
で、クレーザーはともかく柴千春は一体何を考えているんだろう。
板垣先生は一体何をしたいんだ?
柴千春が爆発してAッッCHIIッッと面白いところを見せるしかないぞ。
いや、これは盛り上がれる要素がないだろう。
そもそもの強さに天と地ほどの差がありますよ。
傍らで見ていた加藤は「ヘッ、あいつが刃牙にかなうわけねえだろ」といきがる。
そこで路地裏から(さも当たり前のように)出てきた本部は「何もワカっとらんのう」と解説を始める。
「あの柴千春という男。不良という型(スタイル)を捨て、ありのままに喧嘩をすればわしとて危うい」と本部は驚愕の事実を言う。
その時、加藤と末堂に冷や汗が流れる。
「おい、まさか、そんな…」「おい、見ろ、末堂ッッ」
その時、刃牙と柴千春の足はサラシで繋がっていた!
本部は「ほう、考えおるわ。よう見ておけい。不良ならではの駆け引きというヤツをのう」と本部は前言撤回するようなことを言う。
…うん、あの解説驚愕トリオがいれば、ギャグがより際立つのに。
クレーザーは意外な実力者として現れた。
なら、柴千春だって意外な実力者になれるか?
でも、柴千春って強い部分がないんだよな。
根性くらいだ。
でも、刃牙は具現化するほどの妄想を持つ。
根性だけじゃ勝てないよ。
こういうことを素面でやるから、本当に板垣先生は油断できない。
アイアン・マイケルを墓場から蘇らせるわけだよ。
でも、どうやってオチつけるんだ、これ。
刃牙がハイキックで瞬殺する以外の未来が思い浮かばない。
ストライダムVS勇次郎並みの名勝負になりそうだ。
…何でギャグにしかならない組み合わせばかりなんだ?
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