範馬刃牙 第229話 震盪



予想通りに烈のターンが来た。
隔週の範馬刃牙に隔週の烈海王だな。
展開がひとつにまとまらないから何ともめまぐるしい。


(この震盪(ゆれ)が…………… 静止(とま)るまで……………)
(次なる一打……! 断じて打たせてはならぬッッ)


脳震盪継続中の烈海王だ。
脳震盪慣れしていないだけあり、その対処に困っている。
今までは脳震盪が起きてもいつの間にか治っていた。
あるいは脳震盪が起きたらそのまま勝負ありだった。
そう考えると脳震盪って致命傷なのか?

烈は構えを変えたものの不動だ。
セコンド深町コーチの「止まるなッッ」「廻り込めッ」というアドバイスをガン無視だ。
…ん?深町コーチがアドバイスしている…?
やはり、相当にデレているようだ。

だが、このクレーザー容赦せん。
烈の構えに関係なく突っ込む。
さすが、下がらないファイトスタイルの男だ。

(煙(スモーキン)は追いすがるだけ……ッッ)
(煙(スモーキン)はまとわりつくだけッッ)


ついにクレーザーが喋った!
いや、今更と言うべきか。
何にせよ烈の仇敵の心情が判明した。

クレーザーは煙に身を包みながら突進する。
煙の正体は未だに明らかならずだ。
そして、明らかにならないまま、決着がつくことがままあるので注意したい。

放たれたクレーザーの拳が眼前に迫る。
烈は覇気も生気も感じ取れない呆然とした表情をしている。
深町コーチの「廻れェェッッ」という叫びが空しく響く。
当たればヤバい。
正直、納得いかないがヤバい。

ドリュ

その時、烈が廻った!縦に!
そんなわけで烈はバク宙でクレーザーのパンチをかわした。
普通に避けろ!
こんな動きができるのなら脳震盪関係ないんじゃ…
脳震盪で細かい動きができないから、大雑把な動きでかわしているのか?

はじめの一歩じゃ絶対にやらないような常識外の回避をされた。
だが、クレーザーは動揺せずに次のパンチを送り込む。
正面からのパンチは変態軌道でかわされた。
ならば、横からはどうだ。
死んだ魚のような目をしている烈にフックが迫る。

それも烈は廻って回避した。
…腰を基点に横回転で。
脳震盪の回復をするはずが、これじゃむしろ消耗しないか?
そんなオーバーアクションでかわせば、クレーザーのコンビネーションに対処しにくかろう。
いや、目の前でこんな動きをされれば、次の手を出しにくいかもしれないけど。

着地すると同時にクレーザーは三度目の正直と言わんばかりに拳を出す。
これをコマのように回転してかわす。
やっと老師の教えを守った。
一番最初にこれをやれ。
いきなり応用をやりやがって…

ただ、老師の教えを実戦したのはいいけど回りすぎだ。
明らかに5〜6回くらいは回転している。
そこまで回転する意味はあるのか?
逆方向からクレーザーに殴られればダメージ増大で笑えない。
あと脳震盪から回復するつもりが、回転しすぎで目を回してしまったら笑えない
…パンチをかわすという一挙動にも力みすぎな烈であった。

(よし……ッッ イケるッッ)
(回復している………………)


あれで回復しているのかよ!?
烈の身体はよくわからんな。
これだけ動けば器の中にある豆腐も崩れてしまうんじゃないか?
もしかして、ダメージが裏返ったァ!な状態なのかも。
あ…?あ…?

烈の変態的な動きを何度も見せられたクレーザーだが、闘志は萎えることはない。
むしろ、烈が優秀なファイターだと知っていた。
あの回転回避のどこに優秀な部分があったのかはわからないがならば良し!
優秀かは置いておいて、トンデモナイファイターであることはたしかだな。

クレーザーは首をめまぐるしく振りながら突っ込む。
こうしてターゲットを定めさせないのがボクシング的には正しいディフェンスだ。
間違ってもバク宙とかで回避してはいけません。

その動きに烈は…冷や汗を流しました。
烈ゥ!お前大丈夫かァ!?
そんなものに惑わされるなんて…
大丈夫じゃない。問題だ。

クレーザーはパンチを連打する。
烈の回転回避の欠点はモーションが大きすぎることだろう。
それ故にコンビネーションに弱い。
クレーザーは手を出すことでそれを封じてきた。

それに対して烈は…ガードでした。
ダメだ、本質的部分は何も解決していない。
クレーザーはグローブ付きだからパンチが貫通してくるんですよ。
何か意味不明だけどそういうことなんですよ。
受けるだけでは不利だ。
こうして烈は再び煙に包まれた。

(これしか知らない!)

前に出ることしか知らないクレーザーのパンチは烈のガードを突き破り命中する。
顔面に3発、ボディに2発の大盛りだ。
(正直、非常に納得がいかないが)1発顔面に食らっただけでとんでもないことになった。
これだけ被弾すればヤバいのか?
ヤバいのかなぁ…
烈にピンチが続いたまま、次回へ続く。


老師の教えを守るのはいいが、とんでもないことをしでかした烈であった。
いくら何でも回りすぎだ。
深町コーチのアドバイスはそういう意味じゃないぞ。
何事もやりすぎるのがグラップラー一同なのだが。

中国武術における打撃を受け流す技術と言えば消力(シャオリー)だ。
勇次郎の打撃を無力化するほどのものだ。
それさえできればボクシング何するものぞだが、烈はあれをやるには若すぎるようなので辛いか。
できたらピクルとの戦いで既に使っている。

代わりとなる回転回避に目覚めたのはいいが、コンビネーションを捌ききることはできなかった。
結果、新たなピンチに襲われることになりそうだ。
脳震盪だけじゃなくボディの苦しみも味わうことになるのだろうか。
ボクシングのダメージを嫌というほど味わうのが烈の宿命か?

ボディの苦しみを知ったらどうするのだろう。
老師に腹を砂鉄袋で殴られたことを思い出してみるか?
こんな調子で回想シリーズが続けられそうだ。

突破口を見つけたと思ったら、すぐにそれを封じられてしまった。
烈はピンチばかりが続く。
そろそろ反撃の糸口を見つけて欲しいものだ。
マッハ突きをしてみるか?
あれならボクシングルールでもあり!イケる!

しかし、笑えない展開だ。
烈は貴様らのいる場所は既に3000年前に通過していると調子に乗っていた時期があった。
その結果がこれだ。
ボクシングに舐められていては本当に笑えないぞ、烈。
そう、たかがボクシングに…
俺の烈がこんなに弱いわけがない。

そういえば、今回久し振りにカイザーが登場した。
当たり前のことだが烈の変態回避に驚いていた。
そりゃあ驚くか。
ここまでイロモノだったとは想像も出来まい。

観客としては一流のパフォーマンスを見られて大満足なんだろうな。
その上で憎き烈がボコられて最高の試合だ。
アクロバチックに反撃しない限り、観客を味方に付けることはできないだろう。読者だって味方に付けられない。
玄人好みする試合は烈に求められていない。
なので、イロモノとして生きて欲しいものである。

刃牙は根性に押され、烈は技術に押されている。
同時展開しているバトルに繋がりがあると考えれば、技術を上回る根性を烈は見せるべきなのだろうか。
でも、烈はけっこう根性ある気がする。
ドイルとの戦いなんて首筋に刃物を刺した状態で戦っていた。
勝利を求めるためなら狂気すら垣間見せるのが烈なのだ。

それを考慮すると最近の烈はちょっと牙が丸くなったのかもしれない。
牙を取り戻す時が来たのか?
とりあえず、久し振りの貴様らのいる場所は〜を言ってみるとか。
いや、この体たらくでは逆効果か…

ここで烈の最終兵器グルグルパンチがリベンジしちゃうか?
中国武術が通用していないんだ。泣いてもおかしくはない。
グルグルパンチが炸裂しても何もおかしくはない!
ここまで来ると偶然ではなく必然――
イケる!勝つる!
…明るい未来が見えないなぁ。


余談ながら今回の作者コメントは胸熱だ。

「体育の日」、皇居を走る花山は幾度も尋かれたことだろう。『疵面』は?

…まぁ、うん…



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